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オレラグ

【Review】第7節 FC町田ゼルビア戦

2019年4月5日

久しぶりにありました、嬉しいやつ。
試合後あったかいものでも買って帰ろうと思って寄ったコンビニで、タオマフをしていたため自分がアルビ帰りだと気づいたのであろう店員さんからの
「アルビ、勝ちましたね」という一言。
通称“帰り道のコンビニ確認”。
(ちなみスタジアムへ向かう途中に寄った際「がんばってください」と声をかけられるのは“出発のコンビニ確認“って勝手に呼んでいます)
おしゃべりは好きですが得意ではないので
「そ、そうなんですよ……いや、ほんとよかったです…」と微笑むくらいしか自分はできないのですが内心めちゃめちゃ嬉しくて喜んでいるわけです。
ささやかかもしれませんが、勝利が町に笑顔を運んでくれるというのを確かに実感できるのがたまりません。

スタメン

というわけで連戦の平日ナイターです。
まずスタメンを確認すると新潟は前節途中出場で流れを変えた凌磨と、さらに貴章も今季初めてスタメンに名を連ねました。
またベンチには広瀬が今季初のメンバー入りということで、おかえり、広瀬。
町田は前節愛媛戦から全く同じスタメンとベンチメンバーで臨んできました。連戦とはいえ1-0で連勝できている流れを継続したいという意図があったのかもしれません。

前半

キックオフから町田は左サイドに寄って一旦下げたボールをその寄せた側に放り込んできましたが、試合を通じて49%、前半に関しては62%という比率で左サイドから攻めてきていたように、試合の最初の時点から明らかに狙っているのは窺えました。
具体的な理由についてはよくわかりませんが、今季これまでの試合でも同じようにやっていましたし、思い返せば昨年のビッグスワンでのゲームでも左サイドから中心に攻めてきていた記憶があるので、パターンとか形としてやっていることなんでしょう。

立ち上がりから予想通り町田が前への圧力を前面に押し出してきて、新潟もそれに負けないように奪ったらシンプルに縦という構図が見られました。
開始10分ほどは多少押し込まれて劣勢な印象で、セットプレーが続いたり、6分には右サイドのスローインからロメロが富樫とのワンツーでエリアに入ってシュートというピンチもあったりしましたが体を張ってしのぐと、15分前後から新潟も盛り返し始めます。

ファーストシュートは17分。
新井のフィードは相手に引っかかりますがルーズボールを凌磨が裏へ展開します。
先に下坂に拾われますが貴章が奪ってクロス。大がシュートもDFにブロックされました。
ファーストシュートより前にもセットプレーがあったり裏を狙う場面もあったりしましたが、その中でも10分の新井のフィードに尚紀が抜け出して残念ながらオフになったシーンが最初のいい形で、やや劣勢だった立ち上がりの流れを変えるきっかけだったようにも感じます。
また、セットプレーについては貴章が体を張ることでもらった場面がありましたが、奪ったらシンプルに縦という狙いから、貴章と新太をスタメンで使ってきた理由が見えるということをこの日FM-PORTで解説をされていた梅山さんがおっしゃっていました。
20分の藤井に出たイエローカードなんかはまさにその形でしょう。
この藤井のファールで得たFKは新太のダイビングヘッドでフィニッシュまで持ち込みますが惜しくも外れます。
さらに27分には中盤での奪い合いから藤井に流れたボールを貴章がカットしてループというチャンスシーンも作り、このプレーの後に梅山さんは「“矢野貴章です”というプレーが多いですね」と一見雑に聞こえて実は非常に分かりやすい説明をしてくれました。

そして問題のシーン。
30分、自陣右サイド深い位置から凌磨のロングボール。
貴章と酒井の競走、貴章が驚異的なスピードで前に出てマイボールにするとGKをかわしにいったところで倒されます。
「あざす!いただきます!」と思ったらまさかのノーファール。
2タッチ目でGKを誘うようにやや大きめに出して、3タッチ目のところで先に触るという上手に誘って見事にそれがハマったプレーのように見えましたが……。
ファールでないとするとGKとの接触より少し倒れるのが早かったかも、というのは考えられますが、危険回避もあるかもしれないし、もし早かったとすれば相馬監督が主張していたようにシミュレーションでイエローが出される気もします。
ただ、やっぱり普通にファールだと思うのですが……詳しい人に聞いてみたいところです。
それでも、福岡戦のような試合がまだ記憶に新しいからこそ、怪しい判定関係なくしっかり勝ち切ることができたのは素晴らしかったと言えるのではないでしょうか。

その後もタフな一進一退が続く中で、39分には富樫のプレスバックからのボール奪取を起点に中島、岡田と繋がれ最後は岡田にポスト直撃のシュートを打たれてヒヤリとするシーンも作られましたが、前半はそのまま0-0で終わります。

最後の方少し判定にストレスを感じる中で特にカウエなんかはロッカーへ戻る際しばらくレフェリーの方を見ていたのでイライラは募っているように見えましたが、そこで大がしっかりレフェリーの方へ行って言葉をかわしていました。
大としても納得できない部分があったから行ったということもあるかもしれませんが、彼が行くことで他の選手には行かせないように、チームの代表として説明を求めに行っている姿は、さすがキャプテンという頼もしさを感じました。

後半

後半も入りから特に展開は変わりません。
というか選手も形も変えていませんし、なによりお互いハードワーク、セカンドボールといったことを意識して臨んでいる「似た者同士」(フチさん)というチームでしたので変わりようがないと言った方が適当かもしれません。
49分には大谷のリスタートを貴章がフリックして新太が受けるとすぐさま逆サイドの凌磨へ。ワントラップしてシュートはDFにブロックされます。
57分には町田。左サイド奥山からエリア内の中島へ入りタメてから上がってきた下坂へ渡し、角度のないところからシュートもGK大谷セーブ。
これもオフサイドくさく見えたけどな……。

そんな変わらないバトルが続く中でついに歓喜が訪れます。
59分新井からのサイドチェンジを泰基が受けて善朗へつなぎます。
善朗から再びサイドを替えるボールを凌磨がおさめると、キックフェイントで1人かわし、華麗なステップでもう1人かわすと左足一閃!先制!
サイドチェンジ2つ続けて相手を左右に動かし、急いでスライドして対応しに来る相手を落ち着いたフェイントで外してのシュート。
町田攻略のお手本のような形でゴールを奪いました。
前半、FM-PORTの中継でピッチサイドコメンテーターの松村さんが凌磨は椎茸が苦手という情報を伝えてくれたあとに実況の長谷川さんが発したコメントがまさに総意かと思います。
「椎茸が食べられなくたって活躍すればいいんですよね」

試合が動いた直後町田は中島→ジョンチュングンという交代を行います。
そのままFWに入に入りました。

61分に善朗にイエローが出ましたが、ファール自体を推奨するわけではありませんが、1点取ってさらに球際の強度やボールへの反応みたいなものが強く速くなっていたように思います。
リードしたことで変に受けに回ることなく、次の1点を狙って変わらずに裏を狙っていく姿勢を続けられていたのは勝利の1つのポイントだったのではないでしょうか。

67分貴章→ヨンチョル。貴章はちょっと腿裏を気にしていたので少し心配ではありました。
代わって入ったヨンチョルはアウェーでは横浜FC戦に出場していましたが、ついにスワンのピッチにも帰ってきたということで嬉しい限りです。

74分ジョンチュングンのミドルはわずかに外れてサイドネット。
77分には善朗の右CK、GKが弾いたボールを凌磨ボレー。DFにあたって新太の前にこぼれたボール右足アウトでシュートもGKセーブ。
お互い局面局面のバトルを続けながらチャンスも作る見応えあるゲームを一番苦しい時間でも続けます。

町田は74分に岡田→山内、81分にロメロ→森村と3人の交代枠使い切ります。
新潟は83分に新太→達也さんという交代。
貴章が下がってからは新太がやや前でヨンチョルが少し後ろ気味の役割でしたが、達也さんが入ってからはヨンチョルが少し前で達也さんがやや下がり目の役割をしていました。
前線の守備強度を下げないように、また一発で裏を狙うところはなくさないようにまずは2トップを入れ替えるという交代策を施します。

そしてアディッショナルタイムに入ってすぐに善朗→広瀬という交代で締めに入ります。
ジェフ戦も善朗から柳という逃げ切り策を用いましたが、その時は大を左SHへ移し新井をボランチにして柳をCBへ入れましたが、この日は大を左SHに動かすのは同じでも広瀬はそのままボランチにしました。
真実は分からないですが、相手FW、特に富樫に対して新井はほぼ完璧に対応できていたので、わざわざマッチアップは替えなくていいという判断もあったかもしれません。

そして、試合終了!
1-0、ついにホーム初勝利!

新井さんとカウエさん

先にちょっと個人の話を。
新井がこの日も素晴らしかったです。もう笑っちゃうくらいすごいです。
先制点の起点になったプレーを筆頭とした球出しの部分もそうなんですが、やっぱり守備。何度も見事なインターセプトがありましたが、個人的に好きなのが82分です。
善朗のミドルがDFにブロックされてそのボールが富樫に入ってしまいカウンターのピンチになりそうという場面。
普通ならなんとか遅らせなきゃ、前を向かせないようにしなきゃ、と慌ててピタッと富樫の背中に付きに行きそうなところですが、
そこは新井さん、冷静です。
途中までは素早く寄せて行きますが、ボールが入る直前に少し止まって相手が右足アウトサイドで右側へ持ち出したところでスッと相手を抑えながら体を入れて奪ってしまいました。
おそらく相手がどうトラップするか予想できたのでそこに狙いを定めたということなんだと思います。
しかし、ただでさえ慌てそうな状況でしかも80分過ぎという体力的にしんどい時間であれだけ冷静にスマートに守れてしまうなんて。
梅山さんも「すごく効いていますね」「何がいいってカットするだけでなく奪いきることができる、相手ボールをマイボールにできるのは素晴らしい能力」と大絶賛されていました。

あと、もう1人カウエ。
相手のシュートシーンや危ないと思う場面、ここぞというところにはかなりの確率でカウエがいてブロックしてくれている印象でした。
この日はボランチが左に大、右にカウエと利き足サイドに戻っていましたが、相手が左サイドからの攻撃が多かったためカウエのプレーエリアもかなり新潟の右サイドのライン際まで濃くなっていました。彼がサイドまで守備に加勢してくれたことは完封勝利の大きな手助けになったかと思います。
また、攻撃に関してもクロスにしっかり意図を感じました。
前半貴章へ向けたクロスの際は高くてフワッとしたボールを上げていたり、そうでない時は相手がクリアしづらい速くて鋭いボールを低く上げていたり、後半の終盤にはクリアされても飛距離が出ないように滞空時間の長いボールを蹴ったりしていました。
このあたりに彼の賢さがよく表れていた気がします。

好きなタイプの試合

とにかくスリリングでした。ほんとうにおもしろかったです。
いや、勝ったからおもしろく感じたというのもあるのでしょうけど、お互いアグレッシブでとにかく前へ縦へ速くという、まるでライプツィヒとかリバプールのゲームみたいな強度、速度、そしてテンションの高い試合を展開してくれました。

パスの本数と成功率のデータを見ると、町田は6節までで平均283.6本で53.3%という数字で今節は300本の56%と大体平均並みの数字です。
それに対して新潟は6節までの平均は411.3本で72%だったのが、今節は286本の50%。本数、成功率共に今季最低の数字です。
元々パスが少ない町田と今季最低の本数だった新潟ということでこういうゲームが展開されたということはデータからも明確に読み取ることができましたし、また、前回のホーム福岡戦は440本の79%、相手の福岡は531本の82%だったということで改めてサッカーはこんなにも表情豊かなんだということも感じさせてもらいました。
ちなみにデータついでに言うと今季ここまでの新潟はパス本数が400本を超えた試合は全敗、400本を下回った試合は負けなしのようです。

もちろんじゃあパスなんてクソ食らえということを言いたいわけではありません。速さだけで勝ち続けるのは難しくて、ゆっくりするところはゆっくりするといったペースの変化や賢さが求められるのでしょうし、仮にそれだけを貫いて勝ち続けるならばそれだけの準備とそれこそリバプールくらいのタレントや息切れしない仕組みを作りこむ必要があるのだとは思います。

そして、この日に関して言えば4-4-2同士でマッチアップがハッキリするため球際のバトルも激しくなり、さらに相手の特徴が明確な分、迷いなくガンガン狙いどころを突きに行けたのかもと考えると、町田相手だったから自然と新潟もテンションや強度が引き上げられた、とちょっとひねくれた見方もできなくもありません。
しかし、逆に言うと貴章が話していたようにそれはつまり「こういうゲームが本来できるチーム」ということです。
どの相手でも主体的にこれくらいのエナジーを出せるようにならないといけませんし、出せればそう簡単に負けないのではないかと思います。その上で崩しのアイディアやクオリティを上げていけるといいなとは思います。

最後に

後半立ち上がりはプレスに行ったFWと中盤より後ろのギャップが少し広がってしまったことだったり、相手選手がゴールを背にして受けた時に背後から付いていても少しそのあと軽かったりというのは課題として感じました。それらを修正しつつ、そして何よりフチさんがコメントしていたように「勝った次のゲームが我々の課題の1つ」なのです。

準備する時間は少ないですが連勝しましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。