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オレラグ

【Review】第8節 ファジアーノ岡山戦

2019年4月9日

日曜日はプリンスリーグを見に行っていたため岡山戦はライブで見られず、ツイッターで試合の経過を追いかけていたのですが、一時3-1に突き放されてしまったところから、初出場のフランシスが2ゴール、しかも最後は90+5分ということを知り「いや〜よく追いついたなぁ〜」なんて思い、現地に行っていた信頼する友人にその言葉を投げかけたら「俺は勝ち点2を失った試合だと思う」との返事をもらいました。
そして帰宅後早速確認してみると……なるほど……。
彼の意見を肯定せざるを得ませんでした。
念のため補足しておくと0を1にできた見方が間違いだとは思いませんよ。それも事実ではあるんですけどね……難しい…。

スタメン

新潟は今季ここまで1度もメンバーにすら入っていなかった宗がいきなりのスタメン抜擢と来ました。期待が膨らみます。
岡山は前節からFW(レオミネイロ)とSB(喜山)のところを少し変更してきました。
こちらは変更したとはいえ2人ともここまで5試合以上出ている選手たちなので慣れたメンバーという感じだったかと思います。

前半

初っ端から動きました。
2分、セットプレーからのこぼれ球を一旦は奪われますがカウエが奪い返して泰基へ。
ファーサイドへのクロスを達也さんが折り返しつめたのは大武!
プレビューでも書きましたが岡山の苦手なサイドからの揺さぶりで早速先制点を挙げました。素晴らしい。

しかしあっという間に追いつかれます。
7分右サイドでの凌磨のパスミスを上田に奪われ一気にゴール前へ。
走りこんだイヨンジェに対して大武がペナルティエリア内でファール。
PK。やっちまった…。
解説の野村さんもおっしゃっていましたが、イヨンジェのスピードに対する感覚を掴めていなかったために与えてしまったファールのようには見えました。
このPK、上田のキックは大谷がビッグセーブも仲間がダイビングヘッドで押し込みます。同点。
これも野村さんがご指摘されていましたが、野村はエリアの5、6メートル後ろから助走をつけて勢いよく飛び込んできました。セカンドボールへの準備という点で後手を踏んでしまいました。

立ち上がりから動いたゲームはその後もしばらくボールの落ち着かない展開が続きます。その中で岡山は9分に仲間のミドルシュート、新潟は12分善朗の素晴らしいカットから達也さんのシュートとお互いにチャンスを作っていました。

すると、新潟は15分くらいからカウエが最終ラインに下りてビルドアップをサポートするようになりだんだん落ち着いてボールを持てるようになります。
また、守備では2トップが相手のボランチの高さをベースポジションにしてその後ろは4-4の堅いブロックを敷くことで相手の攻撃をうまく制限できていました。

その中で右サイドから2つチャンスを作ります。
26分、右サイド凌磨のクロスにニアで宗があわせますがサイドネット。
さらに33分には、大のサイドチェンジを尚紀が受けて凌磨へ預け、再び大がもらうとゴール前へ浮球のパス。
一度はDFがクリアも中途半端に上がったボールを尚紀が落とし宗が胸トラップからシュートを狙います。
わずかに外れてしまいましたが初スタメンの宗が積極的な姿勢を見せていたのはとてもよかったです。

岡山は上にも書いた通り新潟にうまく制限をかけられたことでつないでボールを運ぶという事があまり出来ず、前半のシュートシーンは開始10分前後に集中していてそれ以降はなかなか思うようにチャンスを作れていませんでした。

前半終了、1-1。
ここまで見た時点では「結構いいゲームやれているじゃん」というのが率直な印象でしたが、しかし。
インスタントコーヒーを準備して再び画面の前に座り再生した直後に悪夢が待っていました。

後半

まず開始40秒。
右サイド関戸からボールを受けた廣木がアーリークロス。
イヨンジェはマークについた大武をブロックしながらゴールを背にして収めると、1回腿でコントロールしてから振り向きざまのシュート。逆転。
大谷からしたら解説の野村さんもおっしゃっていたようにちょっと「対応しようがない」ニア上を打ちぬいた見事なシュートではありましたが、やっぱりその前の段階でしょう。
相手を後ろから完全にマークした状態からの対応という点は町田戦でも少し気になっていたところでしたが……。
確かにあの位置でボールが入ったらPKの恐れもあるので過度にチャレンジはできません。また、完全に後ろ向きだったのでその必要もないでしょう。
しかし、振り向かれてシュートを打つ猶予を与えてはいけませんでした。
もちろんイヨンジェの技術と強さは称賛に値するものですが、それでもあの状態からゴールへねじ込まれる、というかシュートを打たれるのは絶対に避けなければならないシーンだったと思います。

そして、さらに49分。
今度もまた右サイドでした。廣木から縦のスペースへ走りこんだ関戸へ渡ると、対応に出ていたマークの大を切り返して外し、中へ入って中央へパスを出します。
レオミネイロのシュートはミスキックになりますがイヨンジェがそれを押し込みました。
3点目。あたたたた……。
これに関しては解説・野村さんの言葉通り、「完全に崩れてしまいましたね」といった感じ。
まず、関戸への大の対応ももっと厳しくついて行く必要があったでしょうし、ゴール前の対応もレオミネイロといい、その手前の仲間、さらに奥の久保田も新潟の選手はすぐに対応にいける距離には見えませんでした。
無意味にというかとりあえず戻っていて、下がりすぎてしまっていたのかなと感じます。
また、イヨンジェのところも相手のミスキックが不意にこぼれてきたとはいえ新井と尚紀のちょうど間でフリーになって押し込まれてしまいました。これも問題でしょう。

55分達也→フランシス。ついに初登場。
さらに、61分には善朗→シルビーニョ。
最初フランシスはそのままFWに入っていましたが、シルビーニョが投入されてからはフランシスが左SHへ移り宗とシルビーニョの2トップになりました。
試合後「フランシスのスピードを活かして、できたスペースにシルビーニョが入ってボールを収めてくれることで攻撃の厚み、バリエーションを増やしたかった」というようなことをフチさんがおっしゃっていましたが、投入早々62分にシルビーニョが中央から運んでフランシスのシュートというシーンを作ったようにその後も随所に2人が存在感を発揮していたのでそれなりに狙い通りにいったのかなという気がします。

そしてその2人が結果を出してくれました。
73分右サイドからのシルビーニョのCK。ニアに鋭いボールは走りこんだ宗を抜けて、上田に当たったボールがフランシスの胸トラップというか不意に当たりそのままゴールへ吸い込まれます!1点差。
このCKの元を辿ると左サイドからのシルビーニョのFKからで、そのFKを得たプレーは左サイドのフランシスから縦に走りこんだシルビーニョへ渡してファールをもらったところからでした。
直前にもフランシスのドリブルからFKを得たシーンがありましたが、2点ビハインドで攻めるしかないという状況だったからとはいえ、ここまで全体としてはある程度まとまれているけど、もう1つ違いを作れない、なかなか打ち破れない印象だったチームにとってはすごくポジティブで新しいエッセンスとなり得るプレーだったように思います。それ以降もシルビーニョがよく起点になり、SBも出てきてサイドから侵入を試みるシーンが続いていました。

岡山は64分にレオミネイロ→斎藤、81分に久保田→武田という交代を行います。斉藤はそのまま前線で武田はボランチに入り関戸が右SHに移っていました。
ハードワークできるタイプの選手を入れてチームとして運動量を落とさないように、しっかり相手ボールへアプローチできるような策を講じます。

新潟は83分に大→新太。中盤にカウエ1人を残し、宗が前線にいてその下にシルビーニョと新太という感じで攻撃に人数をかけてなんとかゴールを奪いに行きます。
しかし、岡山も上手に時間を使いつつ、前掛かりになった新潟の中盤に生まれたスペースに入りながらうまくボールを動かして、85分には廣木のシュート、86分にはCKからチェジョンウォンのヘッドと勝負を決めに来てもいました。

アディッショナルタイム4分。
岡山は仲間→増田。大武を前線に上げてパワープレーに出ていた新潟に対して古巣対戦の長身CB”マグ”こと増田を入れて守備固め、逃げ切りを図ります。
それでも90+5分、左サイド泰基からのロングスローがゴール前でこぼれて押し込んだのはフランシス!同点!

試合終了、3-3。打ち合い、勝敗つかず。

前半のいい戦い

上にも書きましたが前半、特に15分過ぎくらいから少しずつボールを動かせるようになって、ゲームが落ち着いてからのプレーは非常によかったと思います。
相手の2トップに対してカウエがDFラインに下がって数的優位を作りビルドアップをサポートする形をベースにしていい運びからのチャンスクリエイトができているように見えました。
26分の凌磨のクロスから宗があわせたのも1回深い位置まで入って、そこでダメでももう1回やり直して、ゴール前も動き直してシュートにいけていましたし、そこに至る過程でも新井からの縦パスを宗が落として大が前向きにボールを受けてサイドへ展開する3歩進んで2歩下がるみたいな攻撃ができていました。
また33分の尚紀の落としから宗のフィニッシュに至った場面も、CB+カウエで右から左へ動かし泰基まで持っていき大からサイドチェンジで右サイドからの崩しという流れでしたが、後ろで動かす中でも1度大はボールに触っていてそこで反転することがあってもよかったのかもしれませんが、当然そこだと相手の2トップから挟まれて大きなリスクにもなります。
それに比べてある程度高い位置を取った泰基まで持っていってから大へ渡したのは逆を確認しながら受けることができていたのですぐにサイドを替えることができましたし、何より泰基から受ける時点で相手の2トップの背中で受けられているので相手のファーストプレッシャーのラインを超えることができているわけです。
これも3歩進んで2歩下がるほどではないにしろ、2歩進んで1歩下がるくらいの感じで攻撃ができていました。
そして、これらのシーンには達也さんが顔を出して受けようとする動きをしていたり、善朗が内に絞って相手のボランチの気を引いていたりといった貢献があることも忘れてはいけないでしょう。

守備でも、前から行く・行かないという判断を始めとして、相手もボランチが下りてビルドアップしようとしていましたが、達也さんと宗の2トップによる相手ボランチへの牽制と後ろの4-4ブロックがしっかり蓋をすることができていたことで恐らく岡山はもっと丁寧にボールをつないで攻めたかったと思いますがシンプルに長いボールを蹴るシーンは多くなったのかなという印象でした。
ただ、その蹴られたボールだったり、つなごうとしたボールがこぼれて偶然岡山に拾われたりしたシーンはもう少し整理というか、ハードに対応できればいいなとも思います。

入り方

そして、やっぱり後半の入りですね。
各々の失点シーンについては上で書きましたが、あのふわっとした入り方はいただけませんでした。
サッカーというスポーツは基本的に不器用な足で行うものであり、人間の一番器用な部分である手を使えないからこそミスがあることは前提ですし、だからこそざらに0-0なんて試合がたくさん起こるゲームなわけです。
それくらい他の競技に比べて点を取る難易度の高い競技だといえます。
それなのにあれだけあっさり、しかも2点も取られてしまえば得られる勝ち点も得られなくなるのは必然です。
その2点差を追いつくために何とか必死に頭を使って考えて、様々な手を尽くして追いつけたこと自体は大いに評価したいですし、素晴らしかったですが、これは本来使う必要のない労力だったとも言えるでしょう。
負けることもあれば、点を取られることだってあります。それがサッカーです。ただ自分達次第でどうにかできる、ましてや意識でなくせるようなミスや失点というのは是が非でも減らしていきたいところです。

最後に

最後に2つ。
ラストプレーについて田中の不満コメントが掲載されてすぐ削除されてちょっと話題になっていましたけど、まあ、あとわずかで勝ち点3を取れそうだったという時に直前でGKが痛がるようなシーンがあれば文句言いたくもなるかなということでお気持ちは察しますという感じです。ただ、お気持ちを察するだけで同意はしませんが。
この試合は3-3の試合で間違いなかったと認識しています。

そしてもう1つ。
この日は冒頭にも書いた通りプリンスリーグを見に行っていて、アルビレックス新潟U-18vs開志学園と帝京長岡vsカターレ富山U-18の2試合を見てきたのですが、前者は89分にセットプレーから開志が追いつき、後者は終始帝京長岡が攻め込んでいた中で前半のラストプレーでエースの谷内田からボールを奪った富山がショートカウンター1発で勝利したという2試合でした。
ほんの一瞬のミス。試合の入りや終了間際といった時間帯のプレー選択や集中力。
岡山戦の解説・野村さんは最後「いや〜サッカーは恐いですね」とおっしゃっていましたが、だからこそサッカーはおもしろいのだとも思います。
そんなことを改めて強烈に感じさせてもらった週末でした。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。