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オレラグ

悲劇的な晴れた土曜の昼下がり【Review】第16節 ヴァンフォーレ甲府戦

2019年6月3日

さてレビュー書こうかな。いや〜あのシュートは素晴らしかったですね。素晴らしいプレスが効いていました。やっと光が見えてきましたね……

は!
試合見直して、レビュー書くためにいろいろ考えていたらいつの間にか寝てしまっていました。
昔から現実的な夢を見ることが多いタイプなんですけど、恐ろしいですね、夢に願望が出てきちゃうんですから。
4連敗という結果もさることながら、その負け方が傷を深くしています。
相当にしんどい、堪える内容が続いて精神的にもバグってきているのかもしれません。

それでも、今節も可能な限りちゃんと振り返ってみます。はい。

スタメン

うちはいよいよ10番・キャプテンをベンチスタートにする手を打ってきました。
いよいよという言葉を使いましたが、ここ最近途中交代が続いていたこともありましたし、正直驚きはありませんでした。
空いたボランチには善朗が入り、レオナルドが2試合ぶりのスタメンに名を連ねました。
レオナルドと貴章は、役割的にはレオナルドが少し下がった1.5列目的だったのかもしれませんが、実質横並びの2トップだったように思います。

対する甲府は小柳が4試合ぶりのスタメンで3バックの左に入っていました。
プレビューでリマのマークが怪しいなんて書いておきながら、メンバー外。
「リマ、いねーじゃん」と優しく笑って突っ込んでいただければ書いた身としては幸いです。

前半

敵将の伊藤さんは「最初の15分パワーを持って入った」ということを試合後のコメントで仰っていて、最初それを聞いた時は守る時は試合を通じて5-4-1で守っていたように見えたのでピンと来なかったのですが、パワーというのは別に前からプレスへ行くということではないのかなと思い直しました。
長いボールを中心にラインを上げて、セカンドボールや球際のところをしっかり戦うという意味のパワーだったのかなと思います。

そんな甲府に対して、立ち上がりについては最悪だったわけではなかったのかなと、見直してみて感じました。
3分は新井が持ち出して中央の貴章へ縦パスを入れていたり、5分もプレスに行って相手のパスがアバウトになったところをしっかり回収できていたり、8分や10分のそれぞれ貴章と凌磨がファールもらうまでの一連のビルドアップの流れなんかも、決して悪くなかったのではないかと思います。
ただ、現地で見ていた時に感じたのは5-4-1で守る相手に対してちょっとゆったりしすぎているというか、慎重すぎる気がしました。
それは思い返してみると、持たせるところは持たせてカウンターを狙う甲府のペースが序盤から醸成されていたと言えるのかもしれません。

そんな中で12分、やられます。
右サイドからのカウンターを一度は尚紀がスローインに逃げて止めますが、その後曽根田がすぐに小椋へ預けると、再びもらった曽根田がすかさずクロス。ファーサイドのドゥドゥが折り返したボールをウタカがプッシュ。
「なんてきれいな揺さぶりでしょう」と某リフォーム番組みたいなナレーションが聞こえてきそうなくらい完全に崩されてしまいました。

このシーンちょっと突っ込んでみます。
まず、スローインを受けた小椋に善朗が寄せます。
この時スローワーの曽根田、オーバーラップしてきていた田中に対して新潟は尚紀と泰基で人数は足りていました。
また、その後ろには大武も戻れていたので、小椋に入った時点で尚紀か泰基は声をかけて曽根田まで詰めに行ってよかったのではないでしょうか。
キックフェイントで曽根田に渡す時も2人ともその場にステイしていたので遅くともそのタイミング、もっと言えば小椋がトラップして2タッチ目で少し前に出した時点でどちらかが前に出てもよかったのかなとは思いました。

そして、もう1つはゴール前です。
状況としては最初新井がドゥドゥを見ていて、中央に走りこんでいたウタカに対しては凌磨が気づいて途中まで追いかけているように見えました。
しかしクロスが上がるタイミングでウタカはニアに走りこんだのですが、ここで凌磨はウタカではなくファーサイドのドゥドゥの方へ戻りました。
新井はニアに走りこんだウタカが気になってしまい元々付いていたドゥドゥから離れて、結果的にドゥドゥもウタカもフリーにしてしまいました。
このReview&Previewで図を作っていただいているさいとーさんに「尚紀が(本来の右に)いないことに気づいて凌磨はドゥドゥが気になってしょうがなかったんだろうね」とこのシーンについてやり取りしている際にご指摘していただけたのですが、その意見が自分の中でも非常に合点がいきました。
実際何度か確認して見ると、スローインが入った時点で戻っている凌磨はチラチラとドゥドゥを確認していました。
だから、もしかすると最初からウタカに付いていくためではなくドゥドゥを見るために戻っていたのかもしれません。
しかし、あれだけボールホルダーにプレッシャーがかかっていなければドゥドゥまで戻るのは距離的に無理があります。そうであればやっぱり凌磨がそのままウタカに付いていった方がベターだったのかなと感じました。

いずれにしろ、ボールホルダーの状況を確認しきれていない、または声をかけあえていないわけですし、さらにそもそもの話で言えば、スローインへ逃げてプレーが切れた後の切り替え、戻りが緩慢になっていました。

とにかく、深刻であることは間違いないでしょう。とほほ。

リードされて以降は序盤に薄々感じていたボールを持たされゲームがゆったりしている甲府のペースがハッキリとしてきます。
それでもまだ、13分の善朗がボールを持った時に貴章が下がる動きをしたタイミングでその裏に走りこんだレオへのフィードとか、25分の大武からレオへのフィードも、通りはしませんでしたが、貴章が受けに下がってからの動き出しで善朗も大武に拍手していたのでイメージとしては悪くなかったのでしょう。
29分の善朗のミドルまで至った新井のインターセプトから右に流れた貴章へのスルーパスなんかも決して悪いものではありませんでした。

しかし30分前後から前半の終わりまでが、それはそれは地獄のようでした。
前線は裏に欲しい、後ろは受けに来て欲しい、それでパスコースがなくてずるずる下がって長いボール蹴って奪われる。無理して繋ごうとすると引っかけられてカウンターのピンチ。ゴール裏からは必死に鼓舞しようと闘え新潟のチャントが響きますが、ボールが前に入らない状況に対してついにはスタンドからもザワザワどころかほぼブーイング。

ピッチ上のオレンジのユニを着た11人以外の周りは全部敵のような恐ろしく悲劇的な雰囲気、光景が2019年6月1日のビッグスワンには確かにありました。
前半終了、0-1。
正直ビハインドが1点とは思えないほどの重苦しい空気に包まれます。

後半

前半が終わった時は1人1人が静かに自信を失っている感じでロッカーへ戻っていましたが、後半ピッチに出てくる時は何人かの選手が話し合っていたり、カウエが1人1人を鼓舞するように声をかけていたりしたのは印象的でした。
あそこまで前半何もできなければ逆に吹っ切れてくれという思いをアイシテルニイガタのチャントに乗せていたのは自分だけではなかったのではないでしょうか。

実際、開始30秒で泰基からライン間に入ったレオへのパスを起点に左サイドから泰基のクロスまで行ったり、46分の大武からワンタッチで入れたレオへの縦パスだったり、48分の通りはしませんでしたがカウエから凌磨への縦パスなど、前とか縦に入れる意識は見えましたし、そのカウエから凌磨の前に新太と善朗がワンツーで抜けたシーンなんかも簡単に下げない意識が見て取れました。
53分には、ギアを上げるために個での突破が期待できるフランシスを投入します。

しかし、その直後でした。
右サイド曽根田の仕掛けに対して泰基が一旦は体を前に入れますが、恐らく相手に体を預けようとしたところで透かされ、うまく入れ替わられてしまいラストパスをドゥドゥがフィニッシュ。
さあ、ここから。といったタイミングでの痛恨の失点で2点差にされます。

これ以降新潟の主なチャンスでいうと、58分フランシスの素晴らしい守備からカウンター返しを発動し、最後ゴール前でレオがうまく反転して倒されますがノーファールというシーン。
また、67分泰基の斜めのくさびをレオがワンタッチで落とし新太が抜け出してシュートもGKのセーブに遭い、76分にはフランシスがいいミドルシュートを放ちましたが、これもGKのセーブに阻まれました。

68分には貴章→シルビーニョ、77分には新井→至恩で終盤はカウエがCBに下がって、善朗がアンカー。トップのレオの下に左から至恩、新太、シルビーニョ、フランシスが並ぶ超攻撃的な4-1-4-1のような布陣でゴールを奪いに行きます。
実際かなり押し込んでいるように見えましたが、あれはあくまでも甲府が2点目以降全体のラインの高さを抑えてノーリスクな戦い方を選択したことでそうなったと見るべきかと思います。事実決定機はほぼなかったはずです。

その甲府は61分、78分に曽根田とウタカを下げて宮崎、橋爪を投入します。大きなリスクは冒さないやり方の中で、カウンターに出て行くパワーはできるだけ維持するために前線にフレッシュな選手を入れつつ、終盤の84分には横谷に替えて守備的な新井を入れて試合を締めました。

試合終了、0-2。
正直点差が2点なのが意外なくらいの惨敗と言っても過言ではないのではないでしょうか。
甲府からするとほとんど恐さを感じずにアウェーで勝ち点3を取れた試合だったのではないかと想像します。

4-2-4の袋小路

ボールを持ちながら全然前へ運べなかったところは大きな問題でしょう。
図は36分35秒あたりのシーンですが、この直後にDAZN解説の勲さんは「前線4人が甲府の最終ラインに張り付いている状態ですからね。これではなかなか受けられないですよね」と冷静に指摘されていました。
仰る通りです勲さん、という感じです。
4-2-4もしくはSBがボランチの高さくらいと考えれば2-4-4ですが別に数字の羅列をどう呼ぶかはどうでもよくて、全然前へのパスコースが無い(作る動きも乏しい)まま甲府の5バックを底に見立てた大きな袋の中で彷徨っている、文字通り袋小路に陥ってしまいました。

策としてはSBが高い位置を取った上で、CBが少し運び相手のシャドー(5-4-1の4のサイド)を釣りだして、その高い位置を取ったSBを起点にSHやボランチと共に、釣りだした相手が空けたスペースを使うとか、釣りだしたことで瞬間的にできるサイドでの数的優位を活かして深い位置を取る形が考えられます。

しかし、前線のパスコースを作る動きが乏しいがためにCBへサポートしなきゃと思ってSBは高い位置を取れないという流れだったのかなと感じました。
もちろんこれは、じゃあ前線だけが悪いわけのではなくて、それを感じて修正できていないチーム全体の問題です。
結局図で切り取った瞬間から同じような状況が1分近く続いてしまっていましたし、このシーン以外にも特に前半のラスト3分の1は袋小路状態が多発していました。

プレスのムラ

守備では1点目に代表されるような切り替えの遅さや、前後半共に開始10分前後というゲームの入りでの失点、2失点目に関してはさらに交代直後というプレーが止まった後のリスタートでの失点と、この試合に限らない悪癖がこの日も見られたわけですが、プレスの行くタイミング、行き方も気になったのでそこを少し。
前半34分30秒あたり、最終的に曽根田にエリア内へ侵入されるまでの一連のシーンです。
まず34分14秒、新潟の右サイドで凌磨と貴章が内田に寄せているのですが簡単に間を通されてしまいます。ボールを受けた小椋に対して善朗が急いで寄せますが中央の小出に逃げられ、レオが追いかけて右の武岡に入ったところで新太がプレスに行くのですがワンタッチで中央のウタカにくさびが入ってしまっています。

貴章と凌磨のところは行っているけど真ん中が消せてない、レオは小柳へのバックパスを消した後小出に出てから追いかけている状況です。
また、新太は後ろを確認して行っているわけですが曽根田へのコースは消していても中央のより危険なウタカを把握できていません。
ウタカに対して善朗が急いで行って結果的に入れ替わられてしまっていますが、その前に小椋へスプリントして取りに行っているわけでこれでは善朗が持ちません。

無謀とまでは言いませんが逃げ道が十分にあるのにプレスを敢行してしまい教科書通りに甲府に運ばれてしまう、もしくは運ばれそうになるシーンはいくつかあったように思います。
何にも考えてないとは思いません。ただ、その考慮すべきことが足りていないのか、考えすぎて整理できていないのか。
これは攻撃が袋小路状態になったところでも似たようなことが言える気がします。
味方がどう動くか見てしまっていたずらに1人がボールを持ちすぎてしまうのはそもそも考えておくことが足りてないのかもしれませんし、考えすぎてしまって結局同じように1人がボールを持ちすぎて詰まってしまっているのかもしれません。

信じ切れているか

とにかく迷っている、考えが整理できていないように見えてしまうのは否定できません。そうなると、果たして今、吉永さんの下で取り組んでいることを選手たちが心から信じ切ってプレーできているのかという疑問を持ってしまいます。
今回のレビューは頑張って悪くないところを探しながらそこを書きだしたつもりですが、誰かが下がって誰かが裏に抜けるとか、SBが高い位置を取ってとか、縦パスの意識とか、そいったことは5-4-1の相手を崩すためには最低限の話です。
これができれば点が取れる、勝てる保証にはなりません。これらがあった上で最後もう一工夫どうしようか、という話をしないといけないわけです。

でも、チームとして同じ画を共有できていない、というよりそもそも画を描けていないように見えてしまいました。この画というのは決してフェルメールとかミケランジェロみたいな美しい物やピカソみたいな独創的な物を求めているわけではありません。
多少タッチが雑でも線が歪んでいても構わないですし、事実そういうものをちょっと前までは描けていたはずなのです。
だから、考えれば考えるほど不安になってしまいます。

最後に

正直戦術云々じゃないという見方もあるのかもしれませんが、ここがこうだからよくないとか、もっとこうしないといけないとか、ここは悪くないとか確認しておかないと自分が落ち着かないので、今回のレビューは自分が落ち着くために書いたと言えるかもしれません。

頑張っていないとも必死にやっていないとも思いません。
ただ、負ければ厳しいことを言われるのは仕方のないことです。
特に負けた後は。スタジアムは学校じゃありませんから。

スーパーマンみたいなのが現れてなんかうまいこと勝てるようになったり自信がついたりしたらいいなぁなんて思ったりしますがそんなことはあり得ないわけで、吉永さんも仰っていましたけど、自分達で乗り越えて行くしかないわけです。

結局最後自分でも何が言いたいか分からなくなってしまいましたが、まあまた来週も応援しますよ。別に綺麗事を言うつもりはありませんが、本当にそうだから仕方ありません。
それでも大好きなアルビレックスですもん。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。