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オレラグ

終了間際のギフト【Review】第17節 FC岐阜戦

2019年6月10日

ひとまずよかった。ほんとうにそれに尽きます。
しかし。
思い切りヒャッホー!みたいなテンションのノリでレビューを書いて見ようかなとも思ったんですけど、いざ振り返ってみるとそれもなかなか難しく感じてしまうのは連敗が続いて「ここはよくないなぁ」という部分に目が行ってしまうように自然となってしまっていたからなのか、それとも実際に褒められるようなゲームではなかったからなのか。
まあどっちでもあるとは思うんですけど、勝ちは勝ち、とりあえず何でも勝ちゃいいのです。

これを書いているのは翌日の日曜日なのですが、土曜日のうちに勝利の喜びは十分に味わって噛みしめたという事にするので、勝ったけどあんまり楽しい感じのレビューにならないかもしれないのでご了承ください。

スタメン

前節はいよいよという表現を用いて大のベンチスタートについて書きましたが、今節はなんと前節から半数になる5人のメンバー変更をしてきました。
しかも、その内最終ラインを4人中3人替えるという大胆な采配です。
サムエルサントス、フランシス、そしてゴメスが初スタメン。ゴメスに関しては初スタメンどころか今季初出場です。
さらに広瀬が6試合ぶり、サチローが4試合ぶりのスタメン入りを果たしました。
前節甲府戦の翌日に行われた松本とのTMは5-0の大勝だったこともあって、それもいいアピールになったのでしょうし、彼らには大いに期待がかかります。

対する岐阜は前節からの変更点が1人。3バックの一角に藤谷ではなく北谷を起用してきました。

前半

最初のビッグチャンスは6分でした。
大谷からサチローがパスをもらうと少し横に動かしてから相手の間を通す縦パス。ゴメスが触って新太が拾うとスルーパス。
右サイドのフランシスが出てくると少し中へ入ってシュートと見せかけてレオへのラストパス。トラップで前へ出るも戻ったDFのカバーに遭いシュートまでいけませんでした。
実は2分にも大谷からCBの間に下りたカウエへ渡り、右サイドのサムエルへパスというビルドアップの始まりが似た形のシーンがありました。
その時は通らなかった上に相手が前から人をきっちり捕まえに来る守備だったのに対して、ずるずる下げられてからの展開だったのでビルドアップに多少の不安を感じてはいたのですが、6分のチャンスを見て狙いを持ってやっていることがとりあえず窺えたので一安心しました。

また、15分にこの日最初のライン間を取られるところからクロスまで行かれるシーンこそありましたが、序盤から連続でセットプレーを取れていたり、相手の3バックの脇、サイドのスペースを突いてシンプルにクロスという狙いもハッキリ見えたりして悪くないリズムでゲームを進めることができていたのかなと思います。

そして23分、先制です。
左サイドからゴメスのFK。インスイングのボールをニアで新太が触り最後はカウエ!狙い澄ました胸?腹?のシュート。どっちにしたって素晴らしい。
ゴール後には子供の生まれた大谷へのゆりかごダンス。やっとできましたね。

ゴール直後のプレーで見られたデフリースへのサチローとカウエのダブルタックルが象徴的でしたが、先制前と同等かそれ以上に先制点を取った以降も中盤の運動量を武器としたボールへの反応、奪いに行くアクションはハードに出来ていた印象でした。

しかし、30分くらいから少し流れが変わってきます。
岐阜のパスの距離感が近くなったのもあるでしょうし、デフリースや山岸がそれまでよりもさらに中盤とDFのライン間に立ったりするようになったことも影響して少し新潟は全体的にラインが下がります。それに伴ってWBのケアのためにフランシスがDFラインまで下がって5バックで対応するようになりました。
ベンチからもそういう指示があった上でのことだったようなので大きな問題ではないのでしょうけど、ちょっと余計に押し込まれた気がしてしまいました。ここは後で少し書きます。
それでもマズイと思ったのは32分の柳澤からのクロスに山岸がヘッドであわせたシーンくらいで、時折カウンターも出て行けていましたし、締めるとこは締めて試合を進められたのかなと思います。

前半終了、1-0。

後半

岐阜が先に動きます。
中島→風間で小野をアンカーに下げて風間がインサイドハーフに入ります。
よりオフェンシブな選手を投入してきますが、新潟が見事に岐阜の出鼻をくじきました。

46分、ビクトルのゴールキックから中盤のルーズボールをサムエルが拾うとサチローへパス。
密集地帯でうまく前を向くとすぐに縦へ送ります。善朗が受けると少し運んで左の新太へ。新太が狙い澄まして入れたクロスの先には走りこんだカウエ!
素晴らしい速攻からの追加点を奪います。
まずサチローのコントロール。
かなり狭いエリアの中でパスをもらったわけですが、トラップでしっかり前を向くと少し大きくなりますが素早く善朗へつなげました。あのトラップからパスの一連の流れはしっかり状況を見ることができている証拠でしょう。
また、運んでいる時に中へ行く雰囲気からノールック気味に外へ出した善朗とGKとDFの間を狙っている雰囲気から冷静にマイナスに流した新太も見事でした。
そして、カウエです。
勢いよく後ろから走りこんだ後、新太のクロスボールに対して軽くジャンプする形で歩幅を調節して右足のインサイドで丁寧にインパクトしました。
DFに当たってはいますが、左から来る速いボールを右足で捉えるのは繊細さが必要ですし、足に当たってから押し出すようにして、それと同時に体を開いていましたから、そういう細かい工夫でしっかりコースを狙えていたことでDFに当たっても枠に飛ぶようなシュートになったのではないかと思います。

岐阜は2点目の直後に前田を呼んで、50分にデフリースと代えて投入します。
恐らく予定としては1点差を維持しながら65分前後かそれ以降に投入という算段だったのではないかと推測するので、2点目を取れたことで相手のプランを繰り上げることができたのではないでしょうか。

前田が投入されてからもしばらくは良い出足の守備が見られ、その流れからチャンスを作れていました。
53分にはサチローのフィードを起点にレオのシュートや、57分にも再びサチローのフィードからレオが左で受けて、ラストパスをフランシスがシュート。
さらに61分には、中盤で奪ったところから細かくつなぐとサチローがフランシスへパス。フランシスの強烈なミドルシュートはGKに防がれ、こぼれ球にレオが反応したのも外れてしまう決定機がありました。

岐阜は66分にアクシデントで小野→ 咸泳俊という交代を行います。
このあたりからじわじわ不安な時間が長くなっていきました。
それまでの小野にしても中島にしても、彼らは後ろに下がって最後尾からボールを配球することがほとんどだったのですが、咸泳俊はもちろん同じようにやってもいましたが、彼ら2人よりも中盤で受けて前を向いたり、スペースがあれば自ら運んだりしていて、それによってそれまでよりもディフェンシブサード(ピッチを3分割した時の自陣ゴール側)でプレーする、守る時間が長くなってしまったのではないかと思います。

新潟は72分レオ→貴章の交代を行いますが、5分後やられてしまいました。

77分、阿部のくさびのパスを風間がフリックして山岸が受けるとエリア内でシュート。
広瀬がブロックしますがこれがハンドの判定でPK。これは判定に疑問を持つことはできないでしょう。明らかにハンドでした。
PKを山岸がしっかり決めて1点差に詰め寄られます。

83分、直前に達也さん投入を取りやめて先にゴメス→新井の交代を行いました。新井はそのまま左SBに入ります。

そして87分、中盤でプレッシャーに行ったところを風間にかわされて前田が受けると、左の山岸へ送ります。タメてからオーバーラップしてきた粟飯原へ送るとニアへのクロス。
前田が広瀬の前に入りトラップで前へ出ようとしたところで広瀬のファール。
痛恨過ぎるこの日2度目のPK献上。これもファールを取られて致し方ないプレーでしょう。
89分PK。キッカーは自らファールを受けた前田。大谷の逆を突いて左を狙ったシュートでしたが、これが枠を外れます。
もう、感謝してもしきれません。神様仏様前田様といった感じです。
そして、DAZNで映っていたあのギッフィーの怪しいハンドパワーもきっと岐阜にとって悪い運を呼んでしまったのだろうと勝手に考えています。ありがとうギッフィー。

すると直後でした。
89分、北谷から風間が下がって受けますが、そこを善朗が素晴らしいカット。
フランシスがつないでサチローから裏へのパス。オフサイドポジションの貴章が最初に反応しますがフランシスが来ているのに気づいてすぐに止めると、そのままフランシスが独走。
これでもかというくらい優しい、優しいラストパスにつめたのは新太!3点目!
一瞬死にかけてからの大きすぎる3点目を手にしました。
ちなみに公式記録はオウンゴールになってしまったようですが、新太のゴールでいいじゃんと思ってしまうのは共感していただけるのではないでしょうか。
サポーター的には新太のゴールということにしておきましょう。

最後、善朗→達也を投入して締めくくりました。

試合終了、1-3!
ようやくの白星、連敗を4で止めました。よかった、よかった、本当によかった。

5-3-2の是非

終わってみたら2点差ではありましが、終盤は息も絶え絶えなゼーゼーハーハーするゲームになってしまいました。
いくつか気になる点はあるのですが、まずは前半のところで「後で書きます」とした部分について。

岐阜はアンカー(中島→小野→咸泳俊)が下りて4バックのような形になってビルドアップをしていましたが、シンプルな4バックではなくサイドに出ることになる阿部と甲斐が、阿部の方は後ろに残り気味で甲斐が高い位置を取るような左右非対称に見えました。
ひょっとすると新潟の右SBが攻撃的なサムエルだったこともあってそっちを狙うような意識があったのかもしれません。結果的に1試合を通じて61%も左サイドから攻めていたことがデータでも表れていました。
それに対して前半の開始から30分くらいまでと後半に関しては4-4-2(4-2-3-1)で対応していましたが、前半のラスト15分くらいはフランシスがDFラインに下がる形の5バックで守っていたように思います。
そもそも5バックにして守る必要があったのか、4バックのまま守れなかったのかという思いもないわけじゃないのですが、ベンチからも5バックという指示が出ていたようなので、それならば後ろの人数に関しては特に問題視する必要はありません。
しかし、中盤より前はどうだったのかが少し気になります。
2トップはそのままで新太が少し下がって中盤3人の形でやっているように見えましたが、フランシスが下がった新潟から見て右のスペースをそのままにしているように感じてしまいました。

下図の場面はレオと新太がポジションを戻す判断がどうだったのかという問題も加わってくるのですが、結果的に簡単に逆へ展開されて岐阜からすると左サイドはかなり高い位置でボールを持ちながら攻撃できていたかと思います。

このシーンに限らず3センターのスライドがいまいちのまま、善朗が相手のCBと開いてSB化した2人を行ったり来たりして牽制する格好になることが多々あり、激しく動いているわけではありませんでしたが、ちょっと善朗1人に負担が寄り過ぎてしまっている気がしました。
これならばいっそのこと善朗も右サイドに下げて5-4-1で構えてもよかったのかな感じます。

チームとして形やその意図を共有してプレーできれば別に5-3-2だろうが5-4-1だろうがどっちでもいいのですが、5バックにすることに関しては試合途中に臨機応変にできていたので、中盤より前ももう少し状況に即した対応を共有できれば、あれだけ余計に押し込まれずに済んだのかなと思ってしまいました。

後ろの耐久力

全体で見れば前線や中盤でそれなりに守備の網はかけられていたと思います。サチローの運動量なんかはその点でさすがの輝きを放っていたわけですが、そこを抜けられた時、例えば1人マークや寄せに行ったところを剥がされたり、中盤のルーズを拾われたりしてディフェンシブサードに入られた時の不安感はなんとかしたいところです。
不安感というのは非常に曖昧な表現で申し訳ないのですが、決してバタバタしているわけではないですし、連敗中に比べれば最後のところで跳ね返したり、ガツンと行くところは行って潰せたりもしていましたが、それでもやはり不安は拭えない印象を持ってしまいました。
正直岐阜がパスをつなぐことにこだわってくれるチームであったおかげで、中盤で引っかけたりくさびを狙えたりすることもあり、クロスがリーグで最も少ないチームということもあってか、ゴール前でギリギリのクロス対応を迫られるシーンも少なかった部分は事実だったように思います。

その点でやっぱり気になってしまったのがCBでした。
最初に具体的なシーンを挙げれば、2つ目のPKを与えたシーンなんかは完全に前田は後ろを向いていて、そこから前を向いてもコースはほとんどない状態なので、あそこまで無理にチャレンジする必要はないわけです。
ひょっとするとクロスが少しマイナスに来て前田の左足に入ったから取れると思って行ってしまったのかもしれませんが。

完全に自分の間合いで狙い通りの型であれば潰せているのかもしれませんが、そうでないと1つ目のPKを与えたシーンのように潰しきれず、カバーも相手にボールが入った瞬間に深くまで懐に潜れないということなのかもしれません。
正直これがどのくらい完全な個人の問題で、どのくらいチームとしての問題なのか解りかねるところもあるのですが、とにかくこの日の2人もそうですがCB陣にはより一層の奮起を期待したいところです。

いいとこ

結局気になったところを書いてしまったわけですが、もちろんいい部分もたくさんありました。
ゴメスは縦への意識を強く持ちながら鋭いくさびを入れたり、セットプレーでも質の高いボールを蹴ったりできていましたし、サチローは解説の方も「最後まで足止まりませんね〜」とさすがの運動量、献身的なプレーを見せてくれました。
チームとしても試合の入りから3バックの横、WBの裏のスペースを明確に狙ってクロスからチャンスを作れていましたし、2点目のように奪ってからの速攻もいくつか仕掛けられていたのかなと思います。

そしてやっぱり善朗です。
この日チャントができて、コールの呼び方も善朗になり、スタンドからも幕が出されていたようですが、悪い時期も彼自身のパフォーマンス自体は全然悪くないというか、奮闘していました(だからこそのメッセージだったのでしょう)。
よく頭を使って気を利かせてプレーしているのが、一番と言っていいくらい見てハッキリと分かる選手で、それもあってボランチでも起用されたりしていたと思うのですが、この日は再び2列目に上がっていつも通りハードワークを見せてくれました。これからも期待したいと思います。

最後に

2つ目のPK失敗の後に、アイシテルニイガタのチャントと共にスイッチを入れ直して3点目を取ったわけですが、本来あれを最低でも1点返されたタイミングでやってほしいな…と、結局こうして最後まで気になるところを書きたくてなって書いてしまったわけですが、冒頭にも書いた通りとにかく今節は何でも勝ちゃいい、勝利こそ全てだったので、本当に、本当にホッとしました。

しかし、選手のコメントを始め多くのサポーターさんもつぶやいていたりしていたように、次の試合こそが超ウルトラスーパーハイパー大事なわけです。
続けていきましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。