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オレラグ

あと1歩足りず【Review】第41節 大宮アルディージャ戦

2019年11月18日

いやいや、びっくりですよ。
日曜日の朝、今日はいい天気だな〜なんてボケーっと起きて新潟日報を見たら、
「吉永監督退任」
おっと、まじか!“まあでもそうか、昇格を逃したわけで結果を出せなかったと考えれば仕方ないか”…とか、“いやでもここでこんなスパッと替えちゃうのはどうなんだろうなぁ…”とか、いろいろ考えつつこの大宮戦のレビュー書いて、ちょっとU22の試合がてらお昼食べようと思ってちょっとスマホを見たら、
「アルベルト プッチ オルトネダ氏 就任のお知らせ」
お!まじかまじか!
プロフィールを見るとニューヨークシティのヘッドコーチをされていたということで噂に出ていたトレントさんと一緒に仕事をされていた方だそうで。
もう正直まだ頭グルングルンで気持ちが追いついていません。

そして今回のレビューですが、新監督が決まったことを踏まえて書けるほど器用でないですし、そもそもアルベルト プッチ オルトネダさんについて全くどういった方か申し訳ないですが存じ上げないので、単純に大宮戦のレビューということで書きましたのでご了承ください。
なんかこれ吉永さん就任の時も同じようなこと書いた気がするな…。

スタメン

新潟は4試合連続のお馴染みとなったメンバーで挑みます。
対する大宮の方は河本が2試合ぶりにスタメンに復帰し、ベンチには塩田が4試合ぶり、大山が8試合ぶり、そして前回対戦でゴールを奪われたシモビッチも少しコンディション不良で外れていたそうですが、3試合ぶりにメンバー入りしていました。

前半

キックオフから大きくは蹴らず、シルビに楔を入れたり秋山がCBの間に入って配球したりと、新潟は丁寧にボールを動かしていこうという意識が見られました。
それに対して大宮もある程度ラインは高く保って前から追う姿勢を見せつつ、無理なら5-4-1のブロック守備に切り替えて新潟がその外で動かす展開で試合が始まります。

それでも最初にチャンス、並びにシュートシーンを作ったのは大宮でした。
開始早々にロングスローから酒井に合わせられたシーンもありましたが、まずは5分。笠原のリスタートから一旦はクリアをしますがそれを三門に拾われて最後は奥抜のシュート。
ファンマという高さを起点に攻め切る形を見せます。

さらに8分。右に下がった石川から中盤の三門にボールが入り、寄せたサチローの背後のスペースでファンマがポストプレー。奥抜、茨田と繋がれて決定機になりかけますがここはゴメスの素晴らしい戻りで難を逃れます。
このシーンでは三門にボールが入った際、レオがサチローに対して「出てこい」みたいなジェスチャーをしていましたが、サチローが寄せきれず縦パスを通されていました。どこまでレオがボランチを消すような位置を取るか、どこからサチローが取りに寄せるかという部分で少しズレてしまいピンチとなったシーンでした。
基本的にはレオとシルビで相手のボランチを見る格好だったと思うので、この位置ならもう少しレオにケアしてほしかったかなという印象です。

新潟は後ろでの動かし方については決して悪くないように見えましたがいかんせん前に運べません。
10分過ぎたあたりで舞行龍、大武からシンプルにレオを狙ったフィードがあったり、史哉からも右サイドのスペースに走り込んだサチローへのフィードがあったりと少し意識的に長いボールを増やしているように見えた時間もありましたが、大武からのフィードに関しては結果的にセカンドボールを拾ってセットプレー獲得に繋がったものの、結局どれもうまく通らずに大宮に跳ね返されて決定的な形を作るまでには至りません。

反対に大宮の方は、10分頃にピッチリポーターの浅野さんから高木監督が「攻撃の時(ビルドアップ時)に石川が下り過ぎることが気になっているみたいでそこの声を掛けています」との情報があった通り、それ以降はボランチが下りてビルドアップする回数は減っていたように見えます。
それによって後ろに重くなりすぎることがなく、中盤でのルーズボール争いでもより優位性を出せるようになっていました。

なかなか前に出て行けない難しい時間が続く中で、新潟が最初に流れからゴール前へ迫って惜しい形を作るまでには25分まで待つことになりました。
後ろで動かした後、大武からのパスをシルビが受けて起点となると、ゴメスから再び下がったシルビがボールを引き取りドリブルで持ち込んでゴール前のレオへ縦パス。
レオのところはDFに潰されてうまく収まりませんが、流れたボールに新太が反応してシュートへ行きました。しかしDFに寄せられて打ち損ないます。

それでもこのあたりからようやくですが少しずつチャンスが作れるようになってきます。
29分、秋山の楔を内側に入った至恩がライン間で受けてスルーパス。
レオが抜け出しかけますがトラップがうまくいかずシュートまではいけません。それでも至恩がいいポジションでチャンスメークをしました。この直前には思い切り外へ張って大武からのロングパスを受けようとして結果的にラインを割ってしまうシーンがありましたが、それもこの29分のシーンに繋がる揺さぶりというかフリになっていたかと思います。
さらに39分には、ゴメスからの浮球パスを絶妙のタイミングで裏を取った至恩がもらって、得意の仕掛けからシュートまで行きます。
ここの2人のタイミングは完璧でした。また、この直後の奪われたボールに対してゴメス、シルビ、サチロー、そして大武と、連続で素早く寄せた守備への切り替えもナイスプレーでした。

ただ、セットプレーを除けばチャンスはこれくらいだったかと思います。
後ろでのいいボールの動かし方に対して効果的に攻め切れたシーンは非常に少なく、解説の佐藤さんも言及されていましたが「単純なボールへの反応、切り替えの早さ」といったところで劣勢だったのは否めませんでした。

後半

開始30秒。
河面のアーリークロスをファンマが収めて石川のミドルという、最初のチャンスこそ大宮が作りましたが、そこから新潟の見せ場が続きます。

49分、舞行龍からの鋭い縦パス。
シルビのポストプレーから追い越した新太がもらうとニアサイドへのクロス。レオが走りこんで一旦はDFにブロックされますが、もう1度レオが拾ってシルビとのワンツーからシュート。しかしこれもDFにブロックされます。
さらにセカンドボールを至恩が拾って上がってきたゴメスのクロスをサチローがマイナスで受けてシュートも、これまたブロックされました。
それでも左右から畳み掛けます。

もう1つ53分のシーン。
サチローの縦パスをレオはDFに寄せられて収めきれませんが、シルビがすぐに拾うと右の新太へ展開。外側を回った史哉をオトリにしてカットインシュートを狙いますがGKに阻まれます。

しかし、1つ目のようにシルビが右で受けるシーンが出てきたり、2つ目のサチローに入る前のゴメスからのパスとそれを受けた秋山の受け方のように、相手のプレスを落ち着いていなすビルドアップだったりによってチャンスが生まれます。

55分、試合に動きが出てきた中で大宮が先に交代を行いました。
茨田→バブンスキーを投入して攻撃に違ったアクセントを加えます。

交代の直後にはバイタルエリアで受けた奥抜のスルーパスにファンマが抜け出しかけて倒れますがノーファールで救われたシーンがありました。
前半にも1度イッペイシノヅカに対して大武がPKを取られても仕方ないようなシーンがありましたが、大宮の選手と審判が重なってしまったことなんかも含めて、大宮側からすると多少ジャッジやレフェリーに対して不満が溜まるゲームだったのかなと推測します。
まあ、相手からしたらそんなこと気にする必要はないですが。

そんなヒヤッとするピンチこそありましたが、大宮の1人目の交代以降も新潟がチャンスを作ります。
59分、ファンマに起点作られながらも舞行龍、サチロー、新太が囲んで奪う素晴らしい守備からカウンター。左サイドからゴメスの上げたクロスをレオが収め、サチローからシルビへ渡り今度は右からクロスもまた左へ流れます。再びゴメスが拾ってクロスに至恩が飛び込みますがうまく合わず。
それでも良い守備から厚みのある攻撃を見せます。

さらに61分には、舞行龍のカットをシルビが収めて至恩へ渡すとドリブルで運んでいきます。一旦スピードは落ちますがパスをもらった新太は相手が密集してきた狭いエリアを見事な技術でかわしてレオへのパス。
レオが左足でシュートを狙いますがGKにキャッチされます。
それでも新太のプレーは見事でした。このシーン以外でも寄せられながら抜け出すシーンがありましたし、何なら前節岐阜戦にも狭い局面を見事な足技でかわすシーンがありました。最近新太に唸らされるシーンが増えている気がします。

そしてそんな新太が歓喜を呼び込みます。
62分。中盤で一旦奪われかけたところをサチローが取り返すと至恩が拾って中へ運びます。右で新太がパスをもらうと中央のシルビへあてて落としてもらったボールを左足!素晴らしい先制点!
唸らされたと思ったら今度は叫ばされました。最高です。

シルビへ右足でパスを出した後、右、左、右、左と4歩走った次の5歩目の右足が肝だったように思います。ここでやや右側に強くグッと踏みこむことでバネにして、そこから少し鋭角に入ったボールへうまく入るためにトントンとステップするように左、右(軸足)と踏んでボールの横に置くと、体を折りたたんで力を溜めて、シュートと同時にジャンプするような感じで溜めた力を放出していました。
落としのボールはもう少し壁となるシルビと平行(鈍角)に落とした方がベストだったように最初は思いましが、「練習通り」という新太の言葉からもひょっとするとこの力を入れやすいようにわざとやや鋭角な落としにしていたのかもしれません。
まあ完全なる推測で全くの見当違いかもしれませんが、こういうことを考えながら何度も見直してやっぱすげーなーって感心するのが楽しいのです。

はい、戻ります。

先制された大宮はすぐに奥抜→大前を投入し、システムを4-4-2へ変更します。ビハインドや劣勢の場面で4バックに替えるのは今季の大宮の形ですが、今節もその例に漏れず替えてきました。
これにより酒井が左SBで櫛引が右SB。左SHにはバブンスキー、右SHにイッペイシノヅカ。そして前線はファンマと大前といった並びです。
さらに70分にはファンマ→シモビッチと前線のターゲットマンを入れ替えて3人の交代枠を使い切ります。
新潟もこのタイミングで秋山→カウエを投入します。
試合後の吉永さんのコメント曰く「アクシデントで戦術的交代ではない」ということだったようです。

シモビッチを投入してからの大宮はやはりシンプルに前線へボールを送る選択を取ってきました。
79分には河面のフィードからシモビッチが収めて落としたボールを大前が狙いますが、大武が体を投げ出してブロックして、コースが変わったボールも大谷が見事な反応で防ぎます。

新潟は77分にシルビーニョ→貴章、85分に至恩→フランシスとどちらも足をつって交代します。
新太がトップに移って貴章とフランシスが両翼を担う形となりますが、貴章は上手にファールをもらったり、新太も素晴らしいプレスバックを見せたり、フランシスもカウンターで脅威をちらつかせます。

しかし、88分でした。
右サイドのイッペイシノヅカからエリア内のシモビッチへボールが渡ると、じりじりとゴールへ迫るシモビッチに対して大武がファール。痛恨のPKを献上してしまいます。
このPKを大前に決められて土壇場で追いつかれてしまいました。

それでもアディッショナルタイムを含めて最後まで勝ち点3を奪いに前へ出る姿勢を見せます。
89分にはレオのスルーパスからフランシスがシュートもGKの正面。
ラストプレーではカウンターから舞行龍が深い位置まで出てきて落ち着いたフェイントから相手をかわし、クロスボールにフランシスがボレーで合わせますが無情にも枠の外へ。

試合終了、1-1。
我慢強くいいゲームをしただけに、悔やまれるもったいないドローとなりました。

大宮の変化による恩恵

前半うまくいかなかった理由、後半よくなった理由、それぞれいくつかあると思いますが、とりあえず後半よくなった理由、攻撃に出ていけるようになった理由の1つとして考えられることとして、大宮のリズムがやや変化したのではないかというところです。

高木さんは試合後のコメントでこのゲームを「残念」だったと評し、その理由を「精神的な面」と「それによるプレーの堅さ」を挙げていました。HTコメントでも「相手のテンポに合わせないこと」と話していたそうで、これは三門がコメントしていた「新潟の選手と同じようなテンションになってしまっていた」という部分とも重なるかと思います。
つまり、しっかりボールを動かして攻めたい、自分達のやってきたサッカーをしっかり出して勝ちたいという新潟に対して、大宮も少し丁寧に崩し切ろうとしたり綺麗にやろうとしたりしてしまったという前半の反省があり、後半はよりシンプルにゴール前へボールを入れたり(シモビッチ投入後だけでなく)、前へ人数を掛けたりしてゴールを奪いに行くためにリズムの変化があったのではないかと思います。
この後半の変化が新潟にとってはカウンターに出やすくなったり、中盤のセカンドボールを拾えるようになったりといったことに繋がっていたのではないかなと感じました。

そしてもう1つ新潟側から見た理由として、後半になってシルビが右サイドにも顔を出すようになったことが挙げられるかと思いますが、これに関しては前半うまくいかなかった理由の1つとして作っていただいた図も交えて考えてみます。

右見て左見て

まず、大宮の高い位置での守備時に2シャドーが担う役割には少し違いがあります。左の奥抜はやや前に出てあわよくばCBへプレスを掛けられるような位置を取ることが多く、反対に右の茨田は基本的に少し構え気味で中盤に残ることが多いです。これはこの試合に限ったことではなくこれまでも基本的にこのやり方で、夏場にはハッキリと2トップ、3センターとしてやっている時期もありました。
こうして左右に少し違いがあるため、奥抜側の方が人は少なくスペースが広くなりやすくなっています(1対1になりやすい)

それを踏まえて1つ目の図です。
奥抜がこのシーンもやはり最初は舞行龍へも行けるような前目の位置を取っていて、その背後=三門の左側には大きなスペースがあります。
このシーンでは奥抜は間に合ないと見て素早く史哉へスライドして対応しましたが、この際新太がそのスペースに入って来てはいました。
しかし、史哉にボールが入った時点で大宮は後ろに河面がカバーで残っているため、酒井が新太に対してガッと寄せに行けており、大宮のラインは下がらずに前に向かって守れています。
また史哉から秋山にボールが渡った際も、寄せてきた三門の背中には大きなスペースができていました。もちろん、大宮がうまく寄せて背中で守れているとも言えるのでそこで起点を作れるかは何とも言えませんが、もったいない気もしました。

対してその直後の左サイドのシーンが2つ目の図です。
シルビが中盤で間に入って大武からの楔を受けてくれることで、右と違いSH(至恩)は大外に開いて幅を取ることが出来ます。そのため大宮のラインは下がったり、下がらずとも逆サイドのように上げたりするのは難しい状況ができています。

最終的には大宮も人数が揃ってしまったのでシルビが下がって受けてから自らドリブルで運ぶことでチャンスを作りましたが、こうしてラインを上げさせないことで全体の陣地を上げて押し込みやすくなるわけで、こういったことをスペースが生まれやすい右サイドでこそ(もったいない気がしたと書いたようなスペースを使いながら)できるとよかったのかなと思います。

結局後半になったらスタートポジションからシルビは右にいて、恐らく指示もあったのかなと思えるくらい右サイドでボールを引き出す機会が増えていました。ここに関しては試合を通じてもっと相手を見ながらできたらよかったなと感じました。

最後に

新潟はいい戦いを見せてくれました。
しかし、言うほど特別良い試合だったとは思いません。大宮の高木監督も「決して新潟さんが非常によかったという形ではなかったと思います。最近の試合をずっと見ていても、もっといい試合をしていました」と仰っていたのはその通りだと思います。
やっぱり勝ち切らないといけないもったいないゲームだった印象です。

岐阜戦と大宮戦、どちらがよかったかと問われれば自分は岐阜戦だったかなと思います。
どちらの試合も球際で負けないとか戻るところはしっかり戻るといったベーシックな部分は持ちつつ、狙いを持ってそれを実行する、もしくは実行できずとも狙っているのが分かるようなポジティブな面と、もったいないミスや突けそうなところで突き切れないという課題もありました。
つまり内容の善し悪しはそれほど大差なかっと思っています。
ただ、結果を見れば大宮戦は引き分けで岐阜戦は勝ち切っているので岐阜戦の方がよかったと考えました。

ちなみに、自分は大宮戦を現地で見ていないので、現地でしか感じられない熱量というのはあるでしょうから、あくまでも個人的な感覚です。
大宮戦にそういった熱量があったのならそれはそれで誇らしいことです。

なんでわざわざこんなことを書いたかと言えば、どちらの試合がよかったかを本当に問いたいのではなく、前回のレビューでも書きましたが岐阜戦の評価が芳しくない印象に少しギャップを感じ、それと今回の大宮戦が思いの外高評価な印象が多いことも重なってどうしてもギャップを拭いきれなかったからです。
基本的に感じ方は千差万別ですからそれぞれでいいんですけど、昇格の可能性がなくなったからこそ単純な1試合の評価としてどうしても気になってしまったという感じです(それでも自分の感覚がただただズレているだけの可能性も十分にあるのでその場合は諭すように笑ってやってください)。

熱量が出やすかったり見えやすかったりというのは、実際にその差が明らかに大きいということよりも、試合展開によって違いが出ているということの方が多いと思っています。もちろん全然ダメな日もあるでしょうし、そういう時は叱咤も必要なんだと思います。
褒めるにしても課題を挙げるにしても、サッカーの中身をしっかり見て解釈した上でできたらいいなと思いますし、そうじゃないと勝手にチームのことを誤解してしまいかねませんから、いろいろ考えてチームは評価できたらいいなと自戒を込めて思いました。

なんか最後また何が言いたいのかまとまりなくダラダラ書いてしまいましたが、とにかく今季も残りあと1試合です。
吉永監督の下、2019年のアルビレックスをしっかりと見て、応援して、存分に楽しみたいと思います。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。