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オレラグ

感謝を忘れず、予断を許さず、いざ再開 【Preview】第2節 ヴァンフォーレ甲府戦

2020年6月26日

こんにちは。

4月にアーカイブレビューと題して1つ記事を書きましたが、自分でも懸念していた通り、vol.1と銘打っておきながら結局長い中断期間中あれ1つだけ書いて再開初戦を迎えることになりました。みなさまお久しぶりです。

ちなみその記事以降の約2カ月は専ら映画漬けでした。
『パルプ・フィクション』『ベンジャミン・バトン』『麗しのサブリナ』ヒッチコック作品などなど、見ようと思いつつ後回しにしていた作品を結構見漁ることができました。
『グリーンブック』ではちょうど今現在また大きな問題となっている黒人への差別について深く考えさせられ、『ボヘミアン・ラプソディ』ではQUEENやフレディ・マーキュリーの激動に胸を熱くさせられました。
ただそんな中でも特に印象に残った作品が、1989年公開の『恋人たちの予感』です。
映画好きからしたら「何を今さら」というくらい有名な作品ではあると思うのですが、何といってもメグ・ライアンとビリー・クリスタルのキャラクターがいい。素晴らしい。好き。特にメグ・ライアン、素敵。
男女の友情は成立するのかという疑問については未だに明確な結論を見出せてはいませんが、とにかくまた1つお気に入りの作品を見つけられたのは収穫でした。

いけない。
このままだと映画紹介の記事になりそうなのでこの辺でやめておきましょう。ただ、この長い中断期間に得た学びは“サッカーばっか見てないでたまには映画も見たらいかが?”ということでした。

開幕戦パート2

さて、本題入ります。
ついに、いよいよ、Jリーグが再開します。
再開とはいえもう前の試合から4カ月も間が空いているので実質2度目の開幕戦と捉えてもいいのかもしれません。
しばらくは移動による感染リスクを避けるために近隣クラブとの対戦が続くという事で、2度目の開幕戦という大事な試合で相対することになったのはヴァンフォーレ甲府です(甲府は近隣なのかという疑問は様々兼ね合いがあったでしょうし、諸々調整も大変だったでしょうからツッコまないでおきます)。

2020年の甲府

伊藤彰監督2年目の甲府ですが、今季は昨年までベースとしていた3バック(3-4-2-1)から4バック(4-2-3-1)へとシステムを替えました。
さらに、守備の際は5-4-1で堅く守ってから速攻という特長を昨年までは持っていましたが、今季は自分達でボールを持ちながら、つまりポゼッションをしながらゲームの主導権を握る戦い方にチャレンジしています。

また、システムを替えたと書きましたがこれはあくまでも守備時の基本型の話です。ポゼッションするにあたり後ろから丁寧に繋いでいくビルドアップのシーンも多くなっているのですが、その時は最終ラインを3人にしてSHが内側へ絞りSBが高い位置を取るため、結果的に攻撃の際は3-4-2-1のような形になります。
ちなみに最終ラインを3人にする方法としては2ボランチの1人が降りるパターンや、SBが1人残って3人にするパターンがあります。

戦力の話に移ると、0-0で引き分けたアウェーでの開幕・町田戦では、スタメンの内半分にあたる5人が新加入選手でした。これは我々新潟と同じ数字です。
中身を見てみると、その開幕戦で両SHに入っていた泉澤(←横浜Fマリノス)、松田(←福岡)、ボランチに入っていた野澤(←愛媛)など、仕掛けたりゲームを作れたりといったオフェンス面でより多彩な選手が加入した印象です。ポゼッションをしながら攻撃的にやりたいというチームの色が反映されていると言えるでしょう。
また、この中断期間中にはしばらく練習生として参加していたハーフナーマイクも正式に加入となり、さらに強力な攻撃陣が揃いました。

強力な両翼

では、どんなところが注意かというお話ですが、これはやっぱり先にも挙げた新加入の両翼でしょう。
まずは左サイドの泉澤。
ビルドアップの際にSHが内に絞ってSBが高い位置を取ると書きましたが、右はほとんどがその組み合わせなのですが、左に関してはしばしばSB(内田)が内側に入り、SH(泉澤)が外に立つ形も見られました。
これはドリブル突破が得意な泉澤を外に張らせておくことで、サイドから仕掛ける1対1の局面を作りたいという意図があるかと思います。新潟としてはまず立ち位置を時折入れ替えてくる彼らに対して後手を踏まずにしっかり対応に出て自由にやらせないことが1つ。そして当然泉澤の仕掛けに対してしつこく付いて行くことが肝心になってくるでしょう。

対して右の松田ですが、松田は泉澤に比べて内側に入ってプレーしたり、そこから裏に抜け出したりするのが得意なタイプのプレーヤーです。また精度の高いキックを持っている左SBの内田のクロスにファーサイドから走り込んで合わせるというのは直近の練習試合(藤枝戦)でも見られて、今後十八番になっていきそうな形です。こちらも十分気を付けたいところです。

クロスに関連して付け加えると、開幕の町田戦では多く見られて藤枝戦では減っていたアーリークロスが気になります。これら2つの試合からだと今節はどうしてくるか何とも読みづらいところではありますが、藤枝戦では相手の守備ブロックの外でボールを動かすだけになってしまってなかなかゴール前に迫れず煮え切らない展開が長くなる問題が見られたので、それを踏まえると今節は攻めあぐねる前に入れられる時は早めに入れていこうという考えで臨んでくるのではないかと推測します。
加えてバホスやラファエル(今節からはさらにハーフナー)など背の高さと身体能力を兼ね備えた選手が多くいることと、良いキックを持っている内田がいることからもアーリークロスを上げてくるのはロジカルな話です。新潟としてはマークを離さない、ラインを下げ過ぎない、ボールホルダーにしっかり寄せるといった基本の徹底が求められます。

ちなみにアーリークロスではありませんが昨年のホーム甲府戦では、クイックで始めたスローインを起点に切り替えの遅れからボールホルダーへの寄せが甘くなったところを突かれてクロスから喫した失点がありました。
両チームとも様々に変化しているので、昨年のワンシーンを切り取って単純に照らし合わせて語るのは難しいところもありますが、それでも1つの参考として教訓にしておいて損はないはずです。

切り替えとラインについて

では次にどんなところが狙い目になりそうかというお話ですが主に3点挙げてみます。
まずは攻から守への切り替えの部分です。
藤枝戦後のコメントでも伊藤監督から切り替えに課題がある趣旨の発言がありました。まず守備のやり方として前からガンガンプレッシャーかけて奪いに行くスタイルではありません。前線の2人はまず相手のボランチを消してから外へパスコースを限定する役割であり、中盤より後ろはブロックを作ってサイドに追い込むスタイルです。
もちろんプレスに行かないといっても奪われた瞬間ファーストディフェンスは厳しくやろうとしています。特にポゼッションを標榜するチームであれば、そこはセットとして大事になってくる部分です。正直このファーストディフェンスでも怪しい部分がないわけではないように感じたのですが、それよりもファーストディフェンスが掛けきれなかったり、かわされたりした次の対応が中途半端に見られるシーンが目立っていた印象でした。
新潟としては秋山、ゴンサといったボランチの選手や善朗、ロメロ、シルビといった2列目の選手が中盤で多少スペースや時間に余裕を持てる局面が生まれるかもしれません。シュートであり、裏へのスルーパスでありゴールへの最短距離を常に意識しておきたいところです。

2つ目がライン間の距離です。
切り替えに比べると町田戦から藤枝戦では時間を経たことで改善されている印象はありましたが、それでも時折ライン間で簡単に受けられたり、縦パスの受け手に対して寄せが甘くなっていたりというシーンが見受けられました。
これは昨年までであれば5-4-1で守っていたので中央にCBが3人いたところが、今季は4バックになりCBが1人減ったことで、気持ち的に慎重になってしまって前へ出て潰しに行き切れないのではないかと考えられます。
元鹿島の岩政さんも4バックから3バックより3バックから4バックへ替わる方が難しいということを仰っていたのを聞いたことがあります。
このライン間の隙に関しても先程同様2列目の選手や、はたまたゴメスあたりにもうまく間に入って相手守備に穴を空けてくれることを期待したいところです。

最後に最終ラインの高さ設定です。
これは甲府のDFラインの高さが相手に自陣のゴール前3分の1(ディフェンシブサード)に入るか入らないかくらいまでボールを運ばれた時に、ちょっと深くなりすぎて後ろに重くなってしまっている印象がありました。
後ろに重くなることは攻める側からしても崩すのが難しくはなるのですが、ゴールを奪うためには必ずしも崩す必要はありません。深くなれば必然的に手前にスペースが生まれるわけですからそこを使ってゴールを奪う確率を上げたいところです。

主導権の意味

その他諸々として2つ。
繰り返しになりますが甲府は今季3バックから4バックへと変更しているので、やはりまだまだ未熟な面があるのは否めません。しかし、町田戦では後半途中から3バックに変更したことで安定感が生まれて自分達のペースにできたように計算できる形を持っていることも間違いありません。
今週UXのナマトク内でゴメスは「今年は相手がどうこうより自分たちが主導権を持ってやりたいサッカーをやるというのが前提」と話していましたが、これはまさにその通りで100%大事なことなのですが、それと同時にサッカーは相手あってのものですから、相手の変化にどう対応するかも大事な要素です。
まあこんな風に書いておいて正直それほどこの点に関して心配はしていないのですが、純粋に相手の変化に対してどういった振る舞い方をするのかは注目ですし、楽しみにしたいと思っています。

もう1つ。
ポゼッションをしながら主導権を取ってプレーすることにトライしているのは甲府も新潟も同様です。昨年からの土台を活かしつつ今季からハッキリとその色を鮮明にして取り組んでいるのも似た状況です。
ただこういったチームによく見られるのが、ボールを“持っているだけ”の状態になって攻めあぐねてしまい相手からすると恐さを感じないというパターンが往々にしてあります。実際甲府は開幕の町田戦や直近の藤枝戦でもそんな風に見受けられるところがありました。ポゼッションはあくまでもゴールを奪うための手段に過ぎません。
常に牙を研いでおき、ボールを奪った瞬間にチャンスと見たら躊躇なく勢いを持って前へ出て行けるかというカウンターの意識が、ポゼッションを標榜する同士の対戦だからこそ重要になってくるのではないかなと思っています。

最後に

まだ書いておきたいことはあるんです。
うちの秋山と、個人的に高校時代から大好きな同じ94年生まれの野澤とのピッチ中央におけるコンダクター対決は必見とか、高い選手の揃った中で深さや幅を作る動き出しが出来るドゥドゥは厄介とか、セットプレーはファーサイドがカギを握るんじゃないかとか、甲府には中村と特別指定の関口と新潟出身で明訓OBが2人もいるよとか。
まあ、でももう疲れたのでこの辺でやめましょう。
とにかく書きたいことが溢れるくらい久しぶりのJリーグ、久しぶりのアルビレックスに飢えているわけです。

こうして久しぶりにプレビューを書き進める中で気付いたのは、“やっぱりサッカーよりおもしろいものはない”ということがこの長い中断期間で本当に得た学びだったのかもしれません。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。