ALBIWAY ALBIWAY

モアブログ

【燃え上がれ清五郎】Muito Obrigado

2013年8月1日
いきなりですがJ1リーグ10周年の企画本を買ったのです!大変失礼な言い方をしちゃうと、最近買ったアルビ系、サッカー系の本の中では抜群の面白さ。鈴木慎吾(現アルビシンガポール)も寺川能人(現アルビレックススクール)も山口素弘(現横浜FC監督)も新潟在籍時には言えなかったであろうこと、言いたくなかったようなこともさらっと答えてくれちゃってる本です。そうそう僕らはこんな言葉が聞きたかった。僕らが「こうやったら選手にもっと応援が届くんじゃないだろうか?」と思っていた無駄とも思えるようなこだわりは、むしろ選手にダイレクトに届いていたんだなぁとちょっと誇らしい気分になっちゃいます。
2013-08-01 09.22.51_01.JPG
 
 当時の事を思い出したのでさらっと10年前に戻ってみようと思います。J1に昇格したその年は一言で言うと前半戦の大苦戦と後半戦の大躍進。その立役者は途中加入したブラジル代表経験もあるFWオゼアスで、彼の加入後は前線で起点ができ、エジミウソンとファビーニョはそれこそカミソリのような切れ味で相手DFを切り裂き得点を量産。撃ち合いに続く撃ち合いで順位を上げていったわけです。
20130801-1_01.JPG
オゼアス(左)とファビーニョ=(2004年10月2日、ビッグスワン)

「アルビレックスの歴史に名を残したことを誇りに思う」この言葉を覚えている人がいたら結構なマニアです。この泣かせるコメントはオゼアス加入により契約を打ち切られたブラジル人DFアンデルソンのコメント。J2昇格シーズンの2003年に加入し、埼玉スタ大宮戦のデビュー戦では強烈ヘッドで得点を記録。得点後は僕らの方を向いて両手でハートマークを作り一発でサポーターの心をつかんだ選手。昇格後の最初の試合では新加入のエジミウソンを連れて一足先にピッチに顔を出し「ほら、アルビレックスのサポーターは凄いだろ」とばかりに新人エジミウソンに自慢していました。しかしサポーターってのはその感動のコメントをしっかりと読みながらも、オゼアスがフィットしてからはもう「オゼアス!オゼアス!」しか言わなくなってしまうんだから現金なものです(苦笑)
20130801-2_01.JPG
アンデルソン(2004年3月20日、ビッグスワン)
 
アルビレックスらしい選手ってどんな選手でしょうか?前述の慎吾、寺川、山口の3人や、矢野貴章、田中亜土夢らを掲げる人も多いと思いますが、僕はそれを強烈に形作ったのはファビーニョだと思います。ファビーニョはよく走り、よく守り、そして(特に在籍初期は)よくシュートを外しました。今だから笑えますが、2003年の5月の札幌ドームでの相手ゴール前でのファビーニョの空振り。あれにずっこけた人は多かったと思います。「ファビーニョは後で必ず返してくれるよ」と皆で言っていましたが、その後ファビーニョは4年間にわたって僕らを虜にし続けてくれました。そのファビーニョとの涙の別れが2006年最終戦。その時の様子は(ここ)に書かれています。そう、みんな試合前から泣いていました。
SMNC20061203_M000100120A190003.jpg
(2006年12月3日新潟日報朝刊)
 
「ファビーニョを切って連れてきた選手」それは幸運にもマルシオだったわけで、よく走り、よく守り、全力を出す「アルビレックスらしい」選手でした。僕はそれが何よりうれしかった。セットプレーでハットトリックを達成したことよりも、後半40分を過ぎても相手にチェイスを仕掛ける姿勢が僕には誇らしく思えました。
 
話をようやく現代に戻すと、今週もう一人のブラジル人ホージェル・ガウーショが加入したわけです。途中加入ということは当然その裏には「アルビレックスらしい選手」との別れがあったわけなんだけど、僕の興味は「果たしてホージェルは無事アルビレックスの選手になれるのか?」って事。よく走り、よく守り、どんな試合でも全力を尽くす。あたりまえだけど、それは実は誰にでもできることではないわけで。。。
 
実は2013シーズン現在、アルビレックスより長くJ1に連続で在籍しているチームは鹿島、浦和、横浜、清水、磐田、名古屋の6チームしかない。僕らは今7番目の「古参」クラブになっちゃいました。ファビーニョ魂で作り上げたクラブは大企業ベースのクラブよりも強いって事だね。果たしてホージェルにファビーニョ魂はあるか?僕らはホージェルにそれを伝えることが出来るか?
20130801-5.JPG
ホージェル

——————————–
浜崎一(はまさき・はじめ) 
1977年生まれ。神奈川出身だが、新潟大学進学という理由で偶然新潟に移り住む。大学院時代にJ2初年度のアルビレックスにはまり、その後10年間事実上のコールリーダーとしてアルビレックスの応援の最もホットな部分で活躍。現在はゴール裏を離れ、市民レベルでサポータームーブメントを起こす仕掛け役となっている。