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オレラグ

Qからの究・求【戦評】第19節 ギラヴァンツ北九州戦

2020年9月15日

こんにちは。

寂しいですね。
秋山が沼津へ育成型期限付き移籍という発表がありました。
中島や福田も加入して序盤に比べると出場機会も減っていた中でしたから、コンスタントに出てこそ成長できると考えれば、十分理解できる話しですし、こうして一旦離れるのも致し方ないのかなとは思います。それでもやっぱり寂しいですけどね。

他のレンタル組同様に新しいチームで思い切り活躍してもらって、また新潟で躍動してくれる日を心待ちにしたいと思います。がんばれ秋山。

スタメン

さて、気分は暗いですが、ようやく吹き始めた涼しい秋風に慰めてもらいながら北九州戦を振り返っていきます。

まずスタメンですが、新潟は今季初めて前節からの変更なしでスタメンの11人を組んできました。良い内容で勝利した千葉戦からの継続ですから、つまりは恐らく現状のベストメンバーがこの11人という事なのでしょう。

対する北九州は前節からの変更が2人。
SBに永田ではなく野口が入り、右SBに野口で福森が左へ移りました。ここに関してはこれまでもよくローテーションしながらやっていた部分でしたのでいいのですが、ボランチの位置に7試合ぶりに復帰の國分が入ったところに関しては、“よりによってこのタイミングかよ”とちょっと意表を突かれました。ケガで國分が離脱していた期間も高橋がボランチとして好パフォーマンスを見せていたので、どちらにしたって厄介ではあったのですが、國分が帰ってきたことで高橋も右SHに移って本来の形に戻る事となりました。

前半

開始20秒でネットを揺らします。
右サイドからの縦パスを一旦はDFにカバーされながらも新太が粘りの守備で奪い返すと、至恩がゴール前でファビオとのワンツーのような形から決めます。しかしこれは無情にもオフサイドの判定。
約100年前に現在の形へ改定されたオフサイドルールが、今もこうしてサッカーをおもしろく興味深いものにしてくれた1つの要素であることは間違いないと思いますが、贔屓のチームがこのルールによってゴールを取り消された時はいつも「キーッ」と憎らしく思えてしまうのはまだまだ子供なのかもしれません。

オフサイドの話はまあいいとして、キックオフから右に動かして縦へ入れるという恐らくデザインされた流れが見られました。決定機になったのは新太のがんばりがあったからこそではありましたが、先日の欧州CL決勝でもそうでしたし、少し前からその傾向はあるようですが、セットプレーに限らずキックオフやゴールキックといったプレーもどんどんデザインする流れが加速しているのかなと改めて感じた次第です。

開始早々にチャンスを作ったこともあってか、立ち上がりは非常にいい入りができていたように思います。
マウロのパスをディサロに引っかけられて少しヒヤッとするシーンもありましたが、それでも勇気を持って丁寧に繋ぐことを基本に、6分頃には「前(前線)同数だから蹴っていいよ」という味方(恐らく島田)の声掛けで小島が鋭いライナーのボールを新太へ入れる形も見られました。

しかし11分。
正面25mくらいのFK。福森の狙ったボールは左ポストに当たってゴールへと吸い込まれました。失点。
この失点は仕方ないと思ったのが正直なところです。
ポストに当たって入ってしまえば解説の山形さんも仰っていましたがGKはどうしようもないでしょう。距離的にも落とすのに十分なものでしたから、そこでFKを与えたのが痛かったと言えば痛かったのかもしれませんが、展望記事に「最悪ファールで止めるということも頭に入れておいていい」なんて書いていたのはどこのどいつだって話です。だからFKを与えたことについて指摘できる立場にはございません。
とにかく福森のキックが見事でしたということに尽きるのではないでしょうか。

失点してからしばらくはややボールを持たれて我慢を強いられる展開となりましたが、それは守備が機能していないとか噛み合っていないのではなく、攻撃で思うように動かせずに失ってしまう事の方に問題があったように感じました。
実際、北九州が前半エリア内に侵入してゴールを脅かしたのは、飲水タイム明け直後にディサロが拾ったボールを高橋が裏へ送り町野が抜け出してシュートを小島がファインセーブで防いだシーンくらいだったかと思います。
守備自体は安定していた印象です。

そして、丁寧にビルドアップする形は見せていた中でなかなか運び出せなかった攻撃面も、飲水タイムを挟んで少しずつ改善されていきます。
31分に島田のボールをマウロがヘッドというCKに至る場面では、舞行龍、荻原、福田、至恩がテンポよく繋いだ左サイドでのいい崩しがありましたし、42分には福田、島田、新井、中島、が絡んで最後は新井のクロスにファビオヘッドという決定機も作り出しました。
左右どちらのサイドからも自分達で意図的に動かした流れから深い位置まで侵入して惜しいチャンスを創出するところまではいきましたが、結局ゴールを奪うまでには至りませんでした。

前半終了、0-1。
アディッショナルタイムにも後ろから丁寧に繋いで、最後はライン間で受けた新太がミドルというチャンスも作りましたが枠を外れました。

後半

後半どちらも交代なしでスタートしますが、立ち上がりにやられます。
49分、中盤でのリスタートからエリア内でディサロが収めます。落としたボールを椿が受けるとドリブルで深い位置をえぐって行きます。一旦は新井がカバーに入ってかき出しますが、ディサロがダイレクトで上げたボールに野口ヘッド。2点目。

こちらは1点目と違って、仕方ないとは割り切れないもったいない失点でした。
ディサロにこぼれたところでみんながボールを見てしまって、野口に対して一番近かった福田も反応が遅れてしまったのはありますが、あそこまで深く入られたらそうなってしまうのも無理のないことです。やっぱり椿の仕掛けであそこまで突破されてしまった事が問題でしょう。
そしてこのシーンが象徴的に感じましたが、パスの判断や細かいポジションの修正なんかも含めてマウロの疲れみたいなものは否めない印象を受けました。それでも使われる選手はやり切らないといけないですし、使う監督やスタッフはそれも考慮してプランニングしなといけないのでしょうから、疲れというのがこの失点のエクスキューズにはなり得ないわけですが、舞行龍も含めてCBの勤続疲労問題はなんとかしたいところです。

2点ビハインドとなりましたが、それでもすぐさま1点を返すことに成功します。
54分、左サイドで得たFK。中島のボールにファビオ!
ケガから復帰後ようやく最初のゴールが生まれました。オウンゴールか微妙なところでしたが、どっちにしたって中島のボールは素晴らしかったですし、ファビオの高さもしっかり活かされました。
また、このFKに至る新井のインターセプトも見事だったということも忘れずに記しておきます。

同点に追い付いて勢いは加速します。
ファビオをシンプルに使う形も増やしたり、荻原が後半も積極的な攻め上がりで深い位置まで入って行ったりして、58分には至恩の素晴らしい仕掛けからゴール前中島、さらに新太と立て続けに決定的なシュートシーンも作りますがここは相手GK永井のファインセーブに阻まれます。

60分に島田→テセを投入し、新太を右SHでテセとファビオの2トップに変更すると65分には中島の右CKにテセがヘッドと早速見せ場を作ります。
さらに飲水タイム明けの70分には中島→ロメロを投入。福田をアンカーにして右にロメロ、左に新太でトップ下至恩のような形で攻めに出ます。
直後には高い位置で福田が奪ったところから、至恩の反転シュートはGKに弾かれ、ファビオと新太がつめにいきますが枠の外へ。
さらに75分、77分には連続して至恩のシュートがあり、84分にはテセが直接FKを狙いますがゴールとはなりません。

北九州の方は62分、サイドチェンジを起点に右サイドから町野と高橋の惜しいシュートシーンがありましたが、思うようにボールは持てません。
新潟が形を替えて前掛かりになったことと、時間が経つにつれオープンになったことでそれまでより内側に入るSHへ縦パスが入る機会はやや増えましたが、それでも押し込まれながらなんとか我慢をする展開が続きます。
74分にはディサロ、椿→鈴木、佐藤というよく見られる定番の交代で前線の血を入れ替えて運動量を担保します。

終盤まで来ると、北九州は89分に高橋→川上を投入。加藤がCBに下りて5-4-1へ変更して逃げ切りを図ります。
新潟はアディッショナルタイム、右サイドから至恩がえぐってクロス。新太がゴール前で収めますがシュートまで行けず。その後セットプレーもいくつかありましたが追いつくことはできませんでした。

試合終了、2-1。
連勝とはなりませんでした。

右のお話

今回も2つの場面をちょっと抜き取って紹介してみますが、まずは右サイドの関係性について、前半34分です。

ビルドアップでマウロから右に開いた新井へパスが出ます。新井はサポートに入った中島へ渡し、中島はやや強引に自ら前へ持ち出そうとしましたがラインを割ってしまったというシーンです。

この試合に限らずですが最近少し目立つのは、右サイドでのビルドアップで、中島が後ろ向きで受ける状況を相手に狙われてノッキングが起きてしまうということがあります。
まず伝えておきたいこととして、このシーンでもマウロから新井に出たところで前に中島、後ろに福田という三角形のいい距離感は作れています。42分のファビオの決定機なんかも、もう少し高い位置で相手が下がった状態であればテンポよく絡んで深い位置も取れていますから、右も決して悪いわけではありません。
ただ左のビルドアップは、より攻撃的で前に出られる荻原がいて、至恩と新太の関係性、特に至恩がかなり幅広く且つ特長のドリブルを活かせていることで右に比べると低い位置からでもスムーズにやれている印象があります。左右の差はそれぞれの質の高低ではなく、選手の特性によって少し違いが出ているという認識です。

それでもノッキングが多い以上もっと右も運び方のバリエーションを練らないといけません。理想としてはもう1つ図にしてもらった18分20秒の左サイドのように、舞行龍からの縦パスを至恩がダイレクトで逆や中央へ展開するというものがありますが、これは体の向き的に右SHが右利きだと逆足になって蹴りづらいですし守備のリスクも高いので難しいでしょう。
だから、34分のシーンで1つ案を挙げるとすれば新井が中島へ出す瞬間に福田が中島へ寄って(前へ出て)中島から落としてもらうか、もしくはスイッチをするイメージで裏に送るといった形があるといいのかなと思いました。

昔代表を指揮していた時に岡田武史さんが「接近・展開・連続」というフレーズを使っていましたが、その接近を少し極端にしてお互いの距離を瞬間的にですが縮めて裏や逆へ展開する形です。バレーボールで言うクイック攻撃みたいなイメージでしょうか。
もちろん、これはあくまでも自分が考えてみた右の運び方をスムーズにするための一例です。方法なんて何でもいいのです。ただ、「もっと運び方スムーズにしたいね」って書くだけじゃ申し訳ないので1つ提案してみたという感じです。はい。

継続したい守備組織

もう1つ。
こちらは守備の組織自体はよく整理されていたんじゃないかなという観点で、特に印象に残った前半21分のシーンです。

ファビオが先頭でプレッシャーを掛けると、それに伴って右に開く岡村には至恩、左に下がる加藤には中島、ボランチの位置に残る國分には新太がしっかり付いていました。そして中盤に下がって受けようとする高橋には島田が付き、さらにその後ろの2トップにもCBがタフに付いて行けていました。
また、SBも大外に相手のSBが張って待っている中で、まずは内側を閉める意識を持ってブロックを作れていました。
このシーンだけに限らずですが、相手のビルドアップに対して各々がしっかり正しい立ち位置を取れていたことと、全体が縦横にコンパクトに保てていたことから、守備の組織はよく整理されていたように感じました。
実際これまで何試合か見てきた北九州の試合と比べても、内側に入るSHを起点に攻撃を作る機会はかなり少なく抑えられていたように思います。

だからこそセットプレーであり、長いボールでのリスタートから食らった失点がもったいないし余計悔しく感じました。
特に裏へのボールが起点となった2失点目です。
62分に右から仕掛けられて高橋にシュートを打たれたシーンでもサイドチェンジが起点でしたが、こういった裏やサイドへ1発で替えられてどうしても人数が薄くなってしまうところの局面はなんとかしたいところです。

ただ、どこかを隠せばどこかが出てしまうのがサッカーですから、組織がしっかりできている分、大外や背後が空くことはある程度許容しておく必要があるとも言えます。
その空けたスペースを活用させないようにすることだけを考えたら、現状できている守備組織は変えて全体を後ろに下げた方がいいでしょう。ただ攻撃とも連携しやすくするためであり、主導権を握ってアグレッシブにやる事がより勝ち続けるためには得策だと考えて、今やっていることを開幕から取り組んでいるのでしょうから、やっぱり人数が薄くなった局面でもしっかり抑えられるようにすることを考えた方がいいのだろうと思います。

それが具体的にどうすればいいのかは、ちょっと確固たるものを見出せてはいないので(そもそも見出せるほど簡単な話ではないと思いますが)、またいろいろ1週間ああでもないこうでもないとグルグルしたいと思います。

最後に

また最後ごちゃごちゃした気がしますが、まあ負けた時なんてそんなもんです。このままじゃダメだと危機感を持つのも必要なんでしょうし、それと同時にアルベルさんがこの試合について「いいプレーだった」と仰っていたことをわざわざ否定する必要も全くないでしょう。

先に書いたように局面の薄いところをどう守るかを始めとして、いろいろな試合を見ていろいろ考えながらまた次の試合を楽しみに待ちたい思います。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。