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【燃え上がれ清五郎】応援の科学

2013年9月5日
 思いっきり個人的な話を先にしちゃいますと僕は結構好き嫌いの激しい人間です。しかも理由が無いと動けないタイプの人間だと思います。応援に関してもそうで、コールリーダー時代も理由のない事ができませんでした。そして理系にありがちなシンプルイズベスト信者でありました。なので「基本的な応援は拍手と選手コールだ(シンプルイズベスト!)」という強い信念を持っていて、むしろ「それだけで良いだろ。他に何が必要なんだ!」という若造だったわけです。具体的に言うと「大旗いらね」「チェッカーフラッグ(手持ち旗)いらね」「太鼓いらね」「歌いらね」ってのが基本ラインとしてあったわけですよ、コールリーダーでありながら(苦笑)
 
 実際僕が組織していたゴール裏はと言うと。。。「お前、言ってることとやってる事が違うじゃねーか」と言われそうですが、そこはおっしゃる通り。僕にはそれを完全に実行することはしませんでしたし、できませんでした。僕個人のエゴを押しだして僕の理想の応援を実現することよりも、スタジアムに集まる皆のやりたい事でチームのプラスになりそうな事を寄せ集めたほうが結果として良いゴール裏になるかもなぁとも思っていたからです。この辺、個人のやりたいプレーと組織が求めるプレーを両立する必要があるサッカーと少し似てますね。
 
 さて、せっかくゴール裏の話になったので今まではあえてしてこなかった今のゴール裏の話をしようと思います。僕は2010年の5月にコールリーダーから降りました。それからもう4シーズン目。ほぼ部外者になったと言い切れる十分な時間が経ったと思います。
 
 今のゴール裏と僕がやっていたころのゴール裏の違い。応援技術的には応援の中で歌の占める割合が違いますね。僕は試合中に歌う事は比較的重要視していなくて、むしろ今と比較するとコールに比重を置いていました。これは僕が10人ぐらいの小人数のゴール裏から始めた事が原因です。人間が全力で声を出せるのは20秒~40秒くらいでした。事実2003年夏くらいまではそれくらいで収まるように応援の尺をコントロールしていました。
 
 とはいえスタジアムがリアルに満員になるに従って、サボりながら歌ってもそれなりの声が出ちゃうので長回しの応援もするようになったという事実もあります。「歌ってなきゃやってらんない」的なシチュエーションもあったので僕の時も歌い続ける試合は意外とありました(汗)。今ゴール裏を組織する林太郎やフミタカ(現コールリーダー)たちはそこらへん(2003年以降)がおそらく応援の原体験なんじゃないかと推測します。原体験は強烈でその人の個性を作ってしまいがちですが、人間の体力は有限であることと「長く強く歌うよりも貯めて貯めてドーンの方がココロに響く」という気がするのでちょっとずつマイナーチェンジを繰り返す事をお勧めします!って言うか僕がお勧めしなくても彼らが自力でそうするかもしれませんが(苦笑)
 
  念のため、僕の視点からマイナーチェンジをお勧めする理由をもうちょっと説明しましょう。「僕のつたないプレー経験から言っても選手には応援は切れ切れにしか聞こえていません。だからプレーが切れた時に的確にコールする必要があるわけです。しかし、歌を長回ししていると本当にコールを入れたい時に邪魔だよね。(だって僕はコール中心主義者だから)」という理由です。僕は当時これを結構真剣に考えていて「良い応援とは選手のナイスプレーにダイレクトに反応できる応援だ!」ってのをずーっと追及していました。
 
 逆に共通点はというと明確な組織を持たず、感覚的な「ゴール裏中心部」であって割りと緩いサポーターやその辺のオジサンオバサン的な人たちの協力が無いと成り立たないレベルのリーダー体制になっていることです。実はこれは非常に重要です。何が言いたいかっつーとですね。中断開けの今の勢いっつーのかな。イヤ、去年の終盤からのまとまり感っつーのかな。あーゆーの。あれを生み出すためには、この弱い・緩いリーダー体制ってすっごく大事だと思うんですよ。つまり周りが協力しないとパワーが生まれない仕組みになってるんじゃないかと。
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良い意味でどこまでが中心部か区別が付きづらい新潟ゴール裏
 
 2001年以降の新潟はそう言った「スタジアムの一体感」が他のクラブと明確に違っていたと思うんです。そこが一番の(唯一の?)強みなわけです。他のクラブはというとわりかし中心団体が組織化されていてその団体の応援という匂いが強い気がします。そうすると緩い、しかし長くクラブに居ついているサポーターは「自分は部外者」的なポジションに行ってしまう事が多いんじゃないかと思うわけです。こうなっちゃうともうスタジアムの一体感も糞もなくて、よくあるJ1のスタジアム(ゴール裏だけちょっと入っててあとはスカスカ)みたいになっちゃうと思うんですよ。
 
だが新潟は違う!違うべきなのだ!
 
 って事で現ゴール裏を形作っている皆さんには是非「スタジアムの一体感」を大事にしてほしいなと思うし、それが今はよくわかるんじゃないかなと思うわけです。で、僕ら一般ピーポーはと言うと、新潟の武器である一体感をより強化すべく、良いと思うものには積極的に乗り、良くないと思うものにも積極的に「違うんじゃね?」を出していくべきじゃねーかなと。(逆に言うと認められないことをやっちゃうとパワーダウンだよ)
 
 途中から調子に乗ってきて口調がだいぶ変わっちゃいましたが、僕個人の志向から応援論、そして一体感とは何かってところまでを書いてみました。何が言いたいかっつーと昨年の辛くも楽しかったアレが、今のゴール裏やスタジアムを成長させ、この1カ月のアルビレックスの一体感につながってるんじゃねーかなと僕は思ってるんだよって事です。
 
 成長する選手も、成長するスタジアムも両方見られるビッグスワンは素晴らしい。

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浜崎一(はまさき・はじめ) 
1977年生まれ。神奈川出身だが、新潟大学進学という理由で偶然新潟に移り住む。大学院時代にJ2初年度のアルビレックスにはまり、その後10年間事実上のコールリーダーとしてアルビレックスの応援の最もホットな部分で活躍。現在はゴール裏を離れ、市民レベルでサポータームーブメントを起こす仕掛け役となっている。