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オレラグ

期して五月【戦評】第11節 ジェフユナイテッド千葉戦

2021年5月3日

こんにちは。

試合前のコイントスで先に来ていたジェフのキャプテンである大輔と審判団が和気あいあいとお喋りしているシーンがDAZNの中継では抜かれていました。
少し細かく見ると、主審の池内さんが大輔に対して副審の細尾さんを手で紹介した後ゆりかごパフォーマンスのようなものをしており、それを聞いて大輔は細尾さんに一礼して細尾さんも頭を下げて返事をしていました。
これってたぶん、
池内さん『細尾さん、最近子供生まれたんですよ』
大輔『あ、そうなんですか、おめでとうございます』
細尾さん『ありがとうございます』
みたいなやりとりに見えたんですが、いかんせん調べようがありませんので、間違えてたらごめんなさいなのですが、細尾さんおめでとうございます。

あ、あとアルビレックスは今季9勝目で11戦無敗。これもおめでとうございます。そしてありがとうございます。それはそれは幸せでございます。

スタメン

それではいつものようにメンバーから確認しておきましょう。
新潟の方は前節からの変更が2人。
CBに2試合ぶりの舞行龍、そしてボランチにはこちらも2試合ぶりの島田ということで、変更というよりは戻したという表現が適切かと思います。
またベンチには小見ちゃんがプロ入りしてから初のメンバー入りとなりました。
小見ちゃんおめでとう。次は出場目指してがんばれ。

対する千葉は前節からの変更が3人。
まずは前節ケガのため前半で途中交代となった米倉に替わり右WBに伊東。そしてFWには4試合ぶりのスタメンとなる岩崎と今季初スタメンとなる櫻川ということで、2トップをそっくり入れ替えてきました。
またベンチには予想していた通り新加入のサウダーニャが加入後初のメンバー入りとなりました。

より恐い選択肢

試合後にアルベルさんは『今シーズン戦ってきた中で今日の試合が最も難しかったと思います』と仰っていました。
ジェフの修正によっていつもより運び出しのところから苦労するシーンが多くなり、チャンスを作りきれず逆に反撃を受けるという時間帯が長くありました。

今回はその運び出し、ビルドアップのところで感じたところを作っていただいた図と共にちょっと書いてみます。

まずは前半13分のシーン。
2CB+ゴメスが残ることで後ろを3人にし、ボランチの位置にはヤンと2列目から下りてきた星が相手の前線3人の間に立って、5人のビルドアップ陣形を形成します。
前線へのパスを探りつつ、また相手の出方も窺いつつ、ボランチへ入れて、また後ろへ戻してという出し入れをしながらボールを動かした後、千葉が縦パスを入れます。
そのパスが本来の位置よりも高い位置=相手のボランチ脇のスペースに入っていた島田へ通り起点ができましたが、寄せられたことで一旦外へ預けてまたやり直すという一連の流れでした。

序盤でもあり、さらに1点リードもしています。さらに相手が配置を替えてまだ間もないタイミングというのもありましたから、やり直したって全く問題ない場面ではあるのですが、欲を言えば島田に入ったところでダイレクトに落としてもらって、中央で前向きが作れていたヤンにボールが入る状況ができればよりよかったのかなと感じました。

そしてもう1つが31分のシーン。
こちらも後方はゴメスが残って3人。さらに相手の前線3人の間にボランチ2人が立つという陣形です。
千葉がボランチ2人と出し入れしながらボールを動かした後、少し横へドリブルして櫻川を引き付けて角度を作ってから島田へ縦パスを送ります。
フリーとなっていた島田はスッとターンをして前を向きますが、少し全体を確認してから横にドリブルで運んで作り直す選択をしました。

こちらに関しても、このやり直した選択自体が特別良いとか悪いとかっていうことではありません。ただ、うまく千葉が相手を引き付けたことによってジェフのファーストディフェンスである前線3人のラインを越え、中盤の中央で完全なフリーという状況を作り出すことに成功していました。
従ってここでは急がずともじわじわ縦に運び出すことで、ジェフのボランチ2人に対して島田+脇にポジションを取っていた善朗、奏哉という3vs2の数的優位を活かして中央から仕掛ける選択ができるとより恐さが出たのかなと感じました。

プレースピード

ジェフは最初5-3-2のシステムで入りましたが、予想された通り噛み合わせの悪い新潟のSBに対応が行けず、遅れて出ることで今度は中央が空いてしまうという悪循環が起きていました。
そこで恐らく12分頃だったかと思いますが、インサイドハーフだった見木と前線に入っていた岩崎をシャドーに並べることで前線を3人にし、小林と高橋がボランチという5-2-3(3-4-3)のような形へ変更していました。

それでも新潟はジェフのボランチの脇やライン間を狙う意図がよく感じられたのと同時に、先に挙げた2つのシーンのように実際ボールが供給されるシーンもわりと作れていた印象が特に前半のうちは見て取れました。
しかしそこで受けた後、もう少し運べそうだったり縦へ入れられそうに見えたりした場面でも一旦やり直す選択がいつもより多かったように感じ、それがアルベルさんも仰っていた『プレースピードが若干遅くなってしまった』1つの要因に思えました。

一旦やり直して意図的に相手を引き出してからサイドや裏のスペースを突くみたいな考えも当然持ちつつやっていたとは思いますが、それを表現する、もしくは表現しようとするプレーが少なく感じましたし、またそういったやり直すプレーがジェフのプレーエリアや、DFラインを上げるきっかけともなっていたのかなと感じます。

文句なしの2点

今季最も難しい試合になりながらもしっかり勝ち切れたというのは、金沢戦と同じように地力の強さを改めて証明してくれたと言えるのではないでしょうか。
その地力を見せつけてくれたという意味で、立ち上がりの先制点と劣勢の中で奪った2点目というゴールについて少し。

まず先制点。
立ち上がり、相手の混乱する守備を前におもしろいようにボールを動かしてチャンスを作り、NHKで実況されていた増田アナも『完璧ですね』と仰るほどの中でしっかりセットプレーで先制できたというのは見事でした。
特にジェフの場合、リードすると後半残り15分以上あっても守備固めに入るようなチームですし、先制されると堅い守備がさらに堅くなる厄介な相手でしたから、あの早い時間帯にしっかり先手を取れたというのは試合を落ち着いて進めるためにも重要なポイントとなりました。

そして2点目。
カイトの抜け出しからカットインしてニアを打ち抜く技術は、さすが昨季J3得点王といった感じでした。2試合連続ゴールでしかも複数得点ですから、ここから量産体制を期待したいところです。

あとこの2点目に関してはやっぱり至恩です。
何ですかあのターン、あのステップ。どうかしてます(褒めてます)。
『ここはもうこのターンでしょうね。このワンタッチで…ワンタッチですよ』とこの日もDAZNで解説されていたあの梅山さんもちょっとテンションが上がっちゃうほどのプレーでした。

ほんとはこんなこと言いたくないのです。このクラブのサポーターとしては本心ではないのです。ただ、それでも1人のサッカー好き、1人の至恩ファンとしては『さっさと世界驚かせてこい』って感じです。
こんなこともあんまり考えたり想像したりしたくはないのですが、恐らくこの地で、このユニフォームを着てプレーする彼を見られるのもそう長くはないでしょうから、今のうちに存分に焼き付けておこうと改めて思った次第です。

何にせよ素晴らしい時間帯に点が取れました。そして善朗、至恩といううちが誇る2列目のクリエイターのお膳立てからカイトというトップに張るストライカー、決めるべき人が決めたというのも文句なしでした。
素晴らしいの一言です。

ミシェルさんも太鼓判の切り替え

試合を決定づける得点と共に、見せ付くてくれた地力という意味で守備の安定も見逃してはいけないでしょう。

思うようにボールを運べず失ってカウンターというジェフの目論見通りとも言える展開。繰り返しになりますが今季最も難しい試合だったにも関わらず、今季6回目のクリーンシートを達成できたというのは、この日も守備の粘り強さと攻撃から守備への素早い切り替えが体現できていたからと言えるかと思います。

数は少なかったとはいえ、相手が後ろで持っている際はカイトと善朗が相手のボランチを消しつつCB中央のチャンミンギュに制限をかけ、左右のCBには星と至恩が外を切りながら寄せるという一連の守備組織はメンバー交代があっても継続できていました。

また五分五分のボールの奪い合い、もしくはセカンドボールがジェフにこぼれた場面でも前線のプレスバックはこの日も目を見張るものがありましたし、中盤より後ろの選手が寄せるスピードと距離感も今季できていることがこの日も継続できていました。
前半ジェフの岡野にイエローが出たシーンなんかは、岡野のトラップが大きくなったところを見逃さずに至恩が寄せてファールを受けていたわけですが、その直前にボールを持っていた小林に対する島田の寄せる速さと距離感も、結果的にそこで奪うことはできませんでしたがしっかり行き切っている素晴らしいアプローチでした。

あとは何と言っても航斗でしょう。
後半立ち上がりのクロスから櫻川が合わせたシーンや、終盤パスミスを発端に中央の船山に狙われたシーンなど、一瞬失点も覚悟せざるを得ないようなピンチを見事なセーブでしのぎ、まさにアルベルさんも仰っていたように『チームを救ってくれました』。

苦しい試合だったからこそ、誰かのミスは誰かがカバーすればいいとか、誰かのがんばりに誰かが呼応するといった、チームとしてそれぞれが助け合えている部分がよく表れていたようにも感じました。
某CMではありませんが、ありがとう、良いチームです。

最後に

試合翌日はびゅんびゅん強い風が吹いていましたし、当日も試合が終わってから激しい雷雨で大荒れとなりました。
また、後半にゴール前の混戦からクリアボールが相手に跳ね返ってあわやというシーンもありましたが、クロスバーに当たって難を逃れたシーンもありました。
ここまでの成績は100%選手・スタッフ、クラブ全体の頑張りによるもので間違いありませんが、それにプラスして何だかちょっとした様々なツキも我々に味方してくれているような気がします。

そんなことでも簡単にポジティブに考えられるわけですから、ほんとに勝つこと、負けないことって素敵です。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。