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オレラグ

広がる白い翼が掛け橋【展望】第15節 京都サンガF.C.戦

2021年5月22日

こんにちは。
日報では火曜日の座標軸や水曜日の大中さんコラムで触れられており、また野澤さんもご自身のツイッターで呟かれていましたが、5月19日はビッグスワンのこけら落としからちょうど20周年の節目でありました。

この記事の一番下にあるプロフィールの通り、ビッグスワンの近所で生まれ育ったものですからあの2001年5月19日の試合にはその他大勢の方と同じように無料招待券で見に行きました。
そこでフットボールに恋をし、アルビレックスに惚れ、今に至る……というのは自己紹介でちょっと説明を省く際の見栄えを重視した流れ。言うなれば記憶を少し綺麗に装飾したドラマティックなバージョンです。実際のところは正直ほとんどあの日の記憶はございません(なんか政治家みたい)。
考えてみれば小学校上がりたての6歳ですから無理もありません。

ただ、あれだけたくさんの人が集まった真新しい大きな会場の雰囲気に惹きこまれたのは間違いない真実です。結局1年もしない内にいつの間にかフットボールに恋をし、アルビレックスにも惚れてしまっていたわけですが、そこに至る流れを作ってくれたのは間違いなくビッグスワンだったと言えます。ほんとに幸運だったなというのといろんな人に感謝という感じです。

ということで今回はこういう機会ですのでちょっとだけ昔話からさせてもらいました。
改めてビッグスワン20周年、祝成人、おめでとうございます。

下馬評通りの強さ

では本題に入りましょう。
今節は第15節。20周年を迎えた我がホーム・デンカビッグスワンスタジアムに京都サンガFCを迎えます。20年前のこけら落としの時と同じ対戦相手ということで、これは日程君がすごいってことでいいのでしょうか。ちょっとその辺の細かい事情はよく分からないですけど、まあ何にせよ素敵な巡り合わせとなりました。

さてそんな京都は現在勝ち点32の3位。まあ強い、めっちゃ強い。
6連勝を含むここ9戦無敗という勢いもそうですが、勢いだけでなく純粋に今リーグで最も手強い相手だと思います。それはつまり順位的には3位ですが、2位の琉球よりも厄介な印象があるということです。

今季を迎えるにあたり曺貴裁監督が新しく就任し、その曺さんの教え子でもある松田や中川、武富といった選手をJ1から補強することにも成功しました。もちろんウタカやバイス、福岡など昨年からの主力も健在ということで、分厚い選手層を誇る京都は開幕前から多くの人が昇格候補に挙げるようなチームでしたが、ここまではまさにその期待通りの成績を残していると言っていいでしょう。

流動的な前線

今季の京都が掲げたスローガンは『HUNT 3』
これはHIGH INTENSITY(高い強度)、ULTIMETE(究極)、NEWBORN(新生)、TOUGH(タフ)の頭文字を取り、また勝ち点3を狩りに行くという意味での言葉だそうです。
そしてここまでの戦いを何試合か見る限り、このスローガンにもある通り非常に強度が高くてタフなチームに仕上がっています。

基本のシステムは4-3-3。
平均のポゼッション率は50%をちょっと超えるくらいで、リーグの中では半分より少し下という位置ですが、これは豊富な戦力を見れば明らかなように、持ちたいけど持てないのではなく、持つことはできるけど奪ったらスピーディーに攻め切れていると見るべきでしょう。

攻撃において特徴的なのは前線の流動性です。
2CB+アンカーが最後尾でビルドアップの土台となる中で、3トップのワイドが内側に入ったら、SBが高い位置に出ることもあればインサイドハーフが外側に出る場合もあります。またSBが少し内側に入ることでワイドがそのまま外側に張っていることもあるなど、インサイドハーフとワイドの選手、そこにSBも含めてかなりフレキシブルにポジションを入れ替えながらプレーしています。
ちなみに昨年限りで引退し、現在はチームのアンバサダーでもある安藤淳さんは今季のチームについて「秩序あるカオス」と表現されていました。

ライン間や中間のポジションに入るタイミングが良いので、守る側としては大変捕まえづらく、13節に対戦した山形なんかもその中間に入る選手をボランチが捕まえに行ったがために、空いた背中のスペースでSBに入られてボールを受けられたりなんてことも見られました。こういう危険性は十分あるでしょう。

ただ前節京都と対戦した水戸に関しては、それまで4-3-3、もしくは4-4-2で戦っていたところを3-5-2に変更し、中盤を3人にすることで中間のスペースをあらかじめ消しながら前へプレスを掛けることで、比較的高い位置で引っかけたところからカウンターというチャンスを作っていました。これは1つの参考になるかもしれません。

支えつつ狩り取る川崎

守備は前から積極的に奪いに行く、スローガンの通りハントするというやり方が基本としてあり、そこがこのチームの大きな強みとも言えるでしょう。考えてみれば湘南もアグレッシブなスタイルが代名詞としてありましたから、曺さんらしいチーム作りが京都でも順調に進んでいると言えそうです。

前線からのプレッシャーということで当然3トップがその先陣を切って出て行くわけですが、相手のSBにはそのままワイドが出るというのは分かりやすいとして、2CBにはトップの1人とワイドのどちらかがSBへのコースを切りながら嵌めに来る場合と、インサイドハーフの1人が本来のマークである相手ボランチへのコースを消しながら前へ嵌めに来る場合とがあります。
ここ最近を見る限りは後者の方が多い印象ですが、まずこの辺の誰がどのタイミングでプレスに来るかというのは早い段階で見極めないといけません。

そしてそんなタフで高強度なチームにおいて、アンカーという要のポジションを託されているのが今回注目であり警戒したい選手として挙げる川崎です。
京都ユース出身で今年プロ2年目の19歳という若い選手なのですが、今季はここまで全14試合(スタメン13試合)に出場し、フィールドプレーヤーではチームで3番目の出場時間ということで、曺さんの信頼をがっちり掴んでいます。

彼の特長は本人も話していましたが何と言っても守備。
前に出て奪ったり、中盤のこぼれをことごとく拾ったりと、まさにハンターといった感じです。攻撃の際、CBのバイスは縦パスを出したらそのまま自らも前線まで出て行ってしまうことが多いのですが、そこの留守も川崎がしっかりカバーするなど非常に周りも見られて気が利く選手です。

また、先程彼のポジションをアンカーと言いましたが、曺さんはここのポジションについて、3トップ+インサイドハーフ+外側で高い位置を取るSBの7人をあやつる意味で『ホールディング7』と表現しているそうです。
ボールを捌くタイプではないですが落ち着いてしっかりボールも持てますし、隙あらば前線に出る姿勢も窺えます。ホールディング7というのは攻守においてチームを動かすという意味でもあるのかもしれません。
うちの自慢の2列目とのマッチアップが今から楽しみです。

最後に

1位vs3位。両チームともに速くて強度も高い攻守の切り替えを誇り、マイボールの際はスペースを見つけながら崩す術をいくつかのバリエーションと共に持っています。
両チームのサポーターではなくても必見の1戦と言えるでしょう。

前節で今季の3分の1が終わったということで、今節からは中盤戦となります。まだまだ長いシーズンですから多少の浮き沈みはあるでしょうし、結局最後にてっぺんでいられることが一番大事なことです。それでも、常に一番上にいられるならそれに越したことはありません。

勝って先を走りましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。