オレラグ
進め銀河の果てまでも【戦評】第5節 東京ヴェルディ戦
日曜日に善朗決めて、月曜日も善朗決めた
火曜日に至恩が決めて、水曜日は若頭も決める。
木曜日に孝司が決めて、金曜日に善朗ハット
土曜に三戸ちゃん締めて
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ
7点ってそういうことです。1週間も埋まっちゃいます。
ドラゴンボールで言えばコンプリートです。もちろん叶えたい願いはただ1つに決まっています。
まさかと言っては何ですが、勝ったことがないと散々言っていたヴェルディに7-0の大勝です。7点というのは03年に福島で横浜FC相手に取っていましたけど、7点差の勝利というのはクラブ史上リーグ戦最高記録のようですね。
もう堪らんですね。
ほんとに素敵な1日をありがとうございます。
スタメン
さてそんな堪らん試合、いつものようにメンバーから確認していきましょう。
新潟の方は前節からの変更はなしということで、全く同じスタメン11人とベンチ7人の顔ぶれとなりました。
対するヴェルディの方ですが、こちらはいくつかの変更がありました。
まずCBが2試合ぶりにスタメンの馬場と、こちらは今季初めてのスタメンとなる古巣対戦のカンペーさんというコンビでした。
さらに左SBの安在と左SHの松橋も今季初めてスタメンに名を連ね、ベンチには今季水戸から加入したンドカが移籍後初のメンバー入りを果たしました。
ビルドアップを破壊
アルベルさんは「今日のように全てがうまくいく日が、時にはある」と仰っていましたが、そんな中で自分なりにこの試合において触れておきたい2つの要素が続けて見られたということで、先制点のシーンを取り上げてみました。
1つ目の要素は、時折垣間見えた、ヴェルディの狙っていたであろう攻撃の形をしっかり消せていたのではないかという部分です。
16分、ヴェルディが一旦攻撃をやり直してからの場面です。
ここでは左SBの安在が後ろに残ることで2CBと共に3人で最後尾を形成します。ボールが最後尾まで戻ったところで2CBと加藤がパス交換をしている間にアンカーの立ち位置でプレーする加藤の両脇には、本来SBである若狭とインサイドハーフである井出も入ってきて中央のエリアに少し密集ができていました。
そこから左の安在へボールが渡ると、ワンタッチで加藤から井出、そしてくさびのパスが端戸に入ります。その後端戸が落としたボールを加藤がワンタッチで逆サイドへ展開しようとしたという一連の流れでした。
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田生命J2リーグ 第5節
🆚 新潟vs東京V
🔢 1-0
⌚️ 17分
⚽️ 高木 善朗(新潟)#Jリーグ#アルビレックス新潟vs東京ヴェルディ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXLYeZ pic.twitter.com/aFzWTvaMrs— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) March 27, 2021
やり直したところから近い距離でパス交換をしつつ、さらにアンカーの脇に味方がサポートする立ち位置を取るプレーは、そうすることで新潟の守備をグッと中央へ寄せる意図があったかと推測します。
そこからまたテンポよく動かす中、インサイドの井出が外に流れることで新潟のボランチを外側へ釣り出して、中央で起点を作るためのスペースを作り、そこからまた相手のDFを引き出すことで逆サイドの広いスペースを使うという思惑みたいなものが垣間見られたように思います。
こういったことはもちろんこの試合に限らず今季これまでの試合でもよく見られていました。そして試合後のコメントで松橋が話していたように、ヴェルディはこのシーンも含めて「立ち上がりはそんなに悪くなかった」と思います。
それでもこのシーンで結果的にパスミスからカウンターで先制点を奪われ、それほど時間を置かず立て続けに取られた2点目も新潟のプレスに対して下げざるを得なくなり、アバウトなボールを蹴らされて回収されたものでしたから、永井さんも仰っていたように「前回もそうですが、マイボールから我々が攻撃に移る時によくない失い方をする」という課題が再び露呈し、さらにそれが失点に直結したという意味でも気落ちする部分はあったと言えるのかもしれません。
また、インサイドの選手(佐藤優、井出、梶川)が外に出て新潟のボランチを外へ釣り出してから、ボランチ(中央)の位置に入った選手がシンプルに裏を狙うという少し違ったパターンもありましたが、それに関しても新潟から見て少しヒヤッとしたのは左サイドで起点を作ったところから中央の安在がワンタッチで裏に送ったボールを航斗が飛び出してクリアした31分の場面くらいでした。
この場面ではその後ロメロが味方に強く要求していたように、後ろの押し上げができていなかったがためにボランチの位置に入った安在にフリーで裏へ蹴られたのですが、それ以降は後ろもしっかり押し上げ、また前線もプレスバックを含めて短い距離ですらも繋がせないほどのより強いプレスによってヴェルディの組み立てのほとんどを高い位置で蓋をしてしまうことに成功していました。
4点目の島田のゴールなんかはまさにその代表的な物で、右に流れた佐藤優に対して善朗がプレスバックし、この時点でヤンも中央に入った若狭に出られる位置まで出ていますし、さらに至恩もプレスバックできる位置まで素早く戻っていました。それでも若狭は横に運んでプレスを回避しようとしたのですが、今度は孝司に寄せられてしまったことで苦し紛れに繋ごうとした梶川の手前で島田が奪ってみせました。
また、こういった激しく奪いに行く守備を行いつつもファウルが5つしかなかったというのも素晴らしいポイントだったかと思います。
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田生命J2リーグ 第5節
🆚 新潟vs東京V
🔢 4-0
⌚️ 52分
⚽️ 島田 譲(新潟)#Jリーグ#アルビレックス新潟vs東京ヴェルディ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/eLJjlBjany— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) March 27, 2021
縦への意識
続いて先制点のシーンから触れておきたい2つ目の要素として、奪ってからの縦への意識で完全に相手を上回ることができていたということです。
加藤のパスをカットしたゴメスはトラップした後、次のタッチで素早く至恩へ送っていました。また、この日5点目となった孝司のゴールも自陣でカットしたゴメスがダイレクトで孝司へ入れて、さらに孝司もワンタッチで善朗へ送ったところからのカウンターでした。
それ以外でも、試合中DAZN解説だった梅山さんが「奪ったボールをほとんどの確率で前に付けられている」と仰っていた通り、それが高い位置であれ低い位置であれ、素早く縦に入れるシーンは随所に見られました。
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2戦連発🧡
\#鈴木孝司(@07kouji25)選手と #高木善朗(@yyyoshiaaaki18)選手によるロングカウンター🏃♂️脅威的なスタミナはもちろん♾常に次の1点を目指す姿勢🔥が生んだ素晴らしいゴール👏
記念すべき勝利の振り返りは #DAZN で🤳https://t.co/TXEcE7LaoW#albirex #新潟vs東京V pic.twitter.com/tuj99Cs1du
— アルビレックス新潟 (@albirex_pr) March 27, 2021
対照的にヴェルディの方は、奪ってからまず短く繋いでマイボールで落ち着かせたいという意識が強い印象がありました。それによって新潟のプレスが余計ハマりやすくなったとも言えるでしょう。
35分頃にカンペーさんが中盤でインターセプトしてチャンスになりかけた場面もありましたが、ちょっと後ろからの追い越す動きが希薄で、結果的にサイドへのパスも少しズレてしまい時間が掛かったシーンは何とも象徴的に感じました。
1つ目の触れておきたい要素として挙げたヴェルディの攻撃における狙いに対する新潟の守備もそうですが、この2つ目の要素として挙げた縦への意識についても、ヴェルディの守備のウィークポイントをしっかり突けたと見ていいのではないでしょうか。またウィークを突くという点で言えば、内側から斜めに外へ抜け出す動きを前半から再三善朗やロメロが見せていたというのも当てはまるかと思います。
お互いが自分達の積み上げてきたフットボールを体現しようとする中で、その中でもうちの方が相手をしっかり見ながらできたことと、さらに1つ1つのプレーの強さや速さで優位性を出せていたことが勝利であり大量得点できた一因だったと言ってもいいような気がします。
ちなみにちょっと余談ですがこの先制点のシーンにおける至恩の動き方も見事でした。
守備のために自陣へ戻る流れから、ゴメスがカットできるのを見た瞬間外に開くように走るのですが、ここで外側に開きながら走りつつも体自体は中央に向けたまま膨らむ動きをしていました。
スペースも時間もある程度ありましたから外に流れるところでそのまま時計回りに体を反転させても別によかったのかもしれませんが、そうではなくて体を内側に向けたまま膨らむ動きをすることで、ボールとボールホルダーであるゴメスの両方を目線から切らさずに動き出すことができていました。
決して特別なことではないですし、言ってしまえば学生の頃から教えられるような動きではあるのですが、それでもこういう細かい動きの1つ1つが結局プレースピードを上げることになりますし、プレーの質も上げてくれるのだろうと思います。
個々の輝き
至恩の動きについて書いていたらちょっと思い出したので、余談ついでに個々人の細かい働きがこの日もよく見られたということを少し。
大車輪の活躍だった善朗の孝司へアシストしたプレーは、一旦右を見せてから孝司の右足に出すタメとパスが絶妙でしたし、ヤンのプレスへ出るタイミングと行き方、さらにその強度は間違いなく相手を困らせていて、実際それが起点となって2点目も生まれました。決して派手な活躍ではないのかもしれませんが、ボックストゥボックスで走り回る彼のプレーがいかにここまでチームの躍進を支えているかは計り知れません。
また、途中出場の選手がそれぞれの特長を発揮してくれたのもとても嬉しいポイントでした。田上や星に関してはもうすでに強い信頼の下、毎試合リリーフの役割をきっちり担ってくれていますが、この日は今季初出場となったゴンサが早速彼らしいハードタックルで中盤を締めてくれましたし、またカイトに関してもそれこそオランダのディルク・カイトばりの前線からの守備を始め、味方との華麗な連携からシュートというシーンも作り出しました。
そして何より三戸ちゃんです。圧巻のプロ初ゴールでした。確かに余裕があったとはいえ、どうしてあれだけ力の抜けた状態から利き足とは逆の左足であんなにも強烈なシュートがあの小さな体から繰り出せるのでしょうか。
いやはや、恐れ入ります。
今後相手が徹底的に研究してきたり、もしかしたらケガ人が出てしまったり、理由は何であれなかなかチームが思うようにいかない時期は間違いなくどこかでやってくるでしょう。
そんな時に今こうして途中から出ている選手であり、もちろん現状なかなかベンチには入れていない選手の活躍も必要になってきます。
備えあれば憂いなしではありませんが、現時点での主力を脅かすほどの活躍を今から大いに期待したいと思います。
最後に
今回もあーだこーだと思ったことをダラダラ書いてきましたが、正直今節はそんなことが野暮に思えちゃいます。
今節に関してはそれこそ山崎食品さんのマグロを始めとした、各スポンサーさんの商品を飲みつつ食べつつ、90分の試合と7つのゴールを1つずつ噛みしめながら愛でるのが唯一にして最も正しい振り返り方でしょう。
ヴェルディ戦未勝利という悔しい記録の克服に乾杯。
そして、アルビレックスに乾杯。