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オレラグ

もったいないお化けがやってくる【戦評】第24節 大宮アルディージャ戦

2021年8月11日

こんにちは。
帰り道キューピッドで会った知り合いの方との『お疲れ様』という挨拶がもう完全に敗戦のそれでした。
さらにその後寄ったコンビニではおじさんが『っはぁ~……』とあまりに深いため息をついていました。まあこれに関しては『あ~明日からまた仕事だ…』とか『あ~あの番組録画し忘れた…』とかっていうことだったのかもしれませんけど、12番の入ったアルビレックスのユニを着ていましたからきっとこの日の結果に落胆してのもので恐らく合っているでしょう。

とにかく、スタジアム全体から、というかスタジアム自体から大きなため息が漏れ、それがサポーターを介して街へ散り散りになっていった感じがしました。

そりゃそうです。負けに等しい引き分けです。
してはいけない展開に自らしてしまったという印象のゲームです。到底納得できるものではございません。
それでもいつものように振り返るんです。振り返らにゃならんのです。いや、好きでやってるのでそんなこともないのですが、まあそんな感じです。

スタメン

再開初戦に臨む我がアルビレックスのスタメンですが、中断前の京都戦からは2人の変更がありました。まず左SHに3試合ぶりとなる至恩。そしてボランチにも同じく3試合ぶりとなる島田が入り福田とのコンビということで、今季ここまで全試合スタメンだったヤンが初めてベンチスタートとなりました。
また、そのベンチメンバーには新加入の高澤も早速名を連ねました。

対する大宮。
こちらはまず左SBの河面と左SHの奥抜が、それぞれ2節と6節以来という久々のスタメン入りを果たします。
そして、GKに南が入りトップに河田ということで、最後尾と最前線にそれぞれこの夏新加入の選手が早速起用されることとなりました。

支配し切った前半

前半は非常に素晴らしい内容の試合を披露してくれました。
うちがボールを持つ展開というのはアウェーでもそうでしたし予想されたものでしたが、主に島田がアンカー的に残って2CBと共にビルドアップを担い、SHが内側に入ればSBが大外高い位置を取り、SHが張っていればSBはやや後方でフォローする関係が見られました。

そして善朗と福田が中盤中央のやや高い位置にポジションを取りつつも、福田が随所に下りてビルドアップをサポートし、そこに食いついて相手が空けたスペースへ善朗が入りこむといった形も見られました。

特にこの福田の受け方や捌き方と、それに呼応した周りとの流動的なプレーは秀逸でした。
例えば、少し下りて受けた福田が一旦相手2トップの間に立つ島田へ渡すことで、相手の全体の意識をグッと中央に集めてから、再び島田からもらったボールを大外の奏哉へ展開するというのが1つ。
さらに福田が下りながら受けつつ少しドリブルで横に運んでから、相手のSHとボランチの間に入ったゴメスへ縦パスを通すというのもありました。
そしてこのいずれのシーンにおいても、善朗でありロメロであり至恩あたりがしっかりライン間や前線に立つことで相手を押し上げさせないようにする振る舞いを実践していました。

1点入って以降は梅山さんも仰っていた通り『大宮が受けに回ってしまっている』状態となり、うちは面白いように相手を1つずつずらしながらボールを動かして間を取るような展開にもなりました。

守備面でも支配

守備についても前半に関してはほとんど何もやらせなかったと言っていいくらいのものを見せてくれました。

基本圧倒的にポゼッションする中で、失ったらすぐに切り替えて奪いに行くことができていて、場合によってはそこで取り切れなくても連続で寄せに行くことで繋がせずにマイボールにすることができていました。

最初の方の大宮は2CBが開くことでSBも高い位置を取ろうとしていましたが、カイトと善朗を先頭にプレスを掛け、開いたCBに至恩やロメロが出て潰したり、アバウトなボールを蹴らせて回収したりという流れができていました。
また飲水タイム前後からは河面が残り気味になったり、ボランチが下がったりすることで後ろを3人にして動かす形をよりハッキリさせたように感じましたが、それに対してもうちは大宮の後ろ3人+中盤でアンカー的に残る1人の4人に対して前線の4人で蓋をすることができており、そこへ中盤より後ろの選手もしっかり付いていくことで守備も高い位置で完結することができていたかと思います。

そして、このような早い守備への切り替えや高い位置からのプレスというものに関しては後半になってもある程度継続できていたかと思います。
とにかく、相手に何か脅威を感じたり困った展開を強いられたりするようなことはほぼなかった印象です。
だからこそあまりにもったいないと言わざるを得ないわけですが……。

やられてはいけないところ

さて後半です。
まず先程も書いた通り、能動的に行うアグレッシブな守備みたいなところはある程度できていたかと思います。痛恨のPK失敗の直後に2回続けて高い位置で引っかけるシーンが見られたのも気落ちせずやれているように感じられてポジティブな点でした。

しかし、飲水タイムの直後と劇的な勝ち越し点の直後にやられてしまったというのは、何と言えばいいのか、様々な負の感情が入り乱れるばかりです。
得点したり少しゲームが止まったりした直後はゲームが動きやすいから気をつけるべしという教科書の太字で書いてあるようなところで取られているわけですから、一瞬の隙とかちょっとしたディテールの意識みたいなところに結局はなってしまうのだろうと思います。
ただ、今季ここまでも結構そういう教訓を得るためにそれなりの授業料を払ってきた気がするのは気のせいではないはずなので、もう十分ですといった感じです。

柴山の守備も中野の動き直しからの受け方も上手でした。西村のボレーもあそこでしっかりミートを意識して枠内の、しかもあの隅のコースに蹴り込むのは非常に難しいものです。
それでもそこに至るまでに、さらなる準備やしかるべき対応(例えば柴山に仕掛けられた時の消すべき優先順位の付け方、セカンドボールの予測及び反応)をする余地はあったように思いますし、少なくとも相手を褒めるしかないと言えるほどのゴールでは2つともなかったかなという印象です。

1点止まりは相手の勇気になってしまう

失点について悔しい想いを吐き出してみましたが、決めるべき時にしっかり決め切らないといけないという攻撃面も失点の仕方同様に触れておかねばならないこの日の明確な課題でしょう。

まずはマイボールでスピードアップしたまま攻め切る形をもう少しトライしてもいいのかなという点です。
基本的にポゼッションで圧倒して相手はブロックを組むという構図だったのでなかなかそのシチュエーション自体作りづらくはあるのですが、それでも中盤より前で奪ったところから出て行く場合しかり、ビルドアップで相手を十分に引き出してからその背中を取るという場合しかり、そこまでの過程はこれまで通りやりたいことができていたからこそ、そのままのスピードでシュートまで行き切ってほしいなと感じる場面がいくつかありました。

もちろん焦ってまで攻める必要はありません。1点リードであればなおさらです。また、試合中大宮の攻撃時にクロスを上げたところで『後ろに5人残っていて前線へ人数がかけられていない』ということを梅山さんが指摘していましたが、そういう大宮側の組織的に恐らく未完成な面が結果的にうちの攻撃のスピードが上げ切れない状況にも繋がっていたのかなとも思います。
とはいえ、完全に人が戻り切れていない内に仕掛けていった方が守る側からすると対応しづらくはなりますし、しっかり人数が揃った状態でブロックを敷かれてしまえば、それだけ攻略の難易度も高くなるのは確かです。

点を取るためにラストサードの質を上げないといけないというのはまあこれまでも言われていたことですが、どうしても精度が落ちやすくなるスピードが上がった場面も含めて、結局最後はこじ開けるための質をさらに上げるしかないというところに着地してしまう気がします。
その質を上げるための方法論とか具体的な話までできればいいんですけどね。たぶんそれが分かっていたら今頃自分もどこかで監督をやれているんだろうと思います。難しい。

高澤投入後の策

もう1つ。
中野ゴールで同点にされてから高澤を入れて一応孝司と高澤の2トップと左にカイトで善朗が右に出たのかなと思いますが、この終盤のやり方は正直得策とは思えませんでした。

圧倒的にボールを支配して押し込む中で、ヤンがアンカーで善朗と福田がインサイドになり、右は奏哉が高い位置を取ってゴール前に孝司、高澤、カイトと人数をかける狙いだったとは思うのですが、梅山さんも『大宮の4バックのマークが、誰が誰に付くか分かりやすくなった』『中継する選手がいなかった分、大宮のプレッシャーがうまくかかった』ということを仰っていたように、どうも前の方が渋滞気味でむしろリズムが停滞したように感じられました。
だからこそ前回対戦でも途中から出場して流れを良化した星を投入して中継役を担ってもらいたいとも思ったのですが、この日は奏哉に替わってSBで出場となりました。

もちろん、結果的に前線へ人数を掛けて押し込む形を取ったからこそあのカイトのゴールが生まれたとも言えるでしょうから、采配でありプレー選択自体は間違いではないでしょう。ただあれが最適解だったかと言われると何とも肯定しづらいのは正直なところです。

あとこれは余談ですが、カイトの左サイド起用はもっと見てみたいと思ったことと、それに加えて左にカイトで右に高澤というFWタイプの2人を逆足ウイングとして使うオプションもアリかもななんて勝手に妄想しました。

最後に

帰宅してからご飯食べてお風呂入って新作がアップされていたチョコプラの悪い顔選手権見て、すっかり時間も経って気付けば日付も替わりそう何手頃になってふと落ち着いたらまた試合の記憶がぶり返すほどこの日の試合はしんどく、今年1番堪えた気がしました。再開初戦ということで3週間ぶりの待ちに待った試合だったからこそ余計にそう感じられたのかもしれません。

非常にもったいない試合をしてしまいました。しかも自らそんな展開を自ら招いたとも言える内容でした。
集中力だとか、決めるべき時にしっかり決め切るといった話。必要以上と思えるくらい復習は完璧と言えます。

あとは頂いた教訓を活かしていくのみのはずです。来週からやってやりましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。