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【燃え上がれ清五郎】Your wish is my wish 2

2014年9月25日

一年前にYour wish is my wishというブログ記事を書いた。この文章で言いたかったことは、選手の望みとサポーターの望みは実はそんなに離れていないんじゃないかって事で、「離れていないじゃないか?」ってあえて書く必要があるという事は、実際には離れているように見えるてしまっている訳だ。簡単に言うと「○○選手、これからもずっと新潟にいてください」と僕らは思いつつ、肝心の○○選手はそのオフに移籍してしまうという妖怪不祥事案件が日常的に発生していて「それでも選手は僕らの思いと離れてないはず!本音では新潟に残りたいという想いもあったのではないか」と言わずにいられたかったわけだ。
 
一方でサッカーの世界はトライアングルが基礎になっている。パスコースは2つ以上作るべきなのだ。ってことで選手、サポーターともう一つの重要要素であるクラブに目を向けてみようと思う。
 
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2000年5月、サガン鳥栖戦での木澤正徳

僕がクラブと選手の関係について考えるようになったのは大学院生のとき。当時のアイドル選手といえばキャプテン木澤選手だった。99年J2に昇格したアルビレックスにセレッソから移籍してきた攻撃的右サイドバックで、J1での経験も豊富、さらに当時指揮を取っていた永井監督ともJEF時代に関係があった選手。その監督の指名もあり木澤はキャプテンとして活躍していた。右サイドを抜群のスピードで駆け上がり、当時のJ2トップレベルのクロスを連発していた。あれから15年。月日を重ねるごとに僕の記憶は相当美化されているのだろう。僕は木澤の大ファンだった。

無残にも木澤の契約が切られたのは2000年の冬。西区某所で行われた木澤の送別会に僕は一升瓶を持ち込んで強引に挨拶に行ったわけなんだけど、隣にいた秋葉が僕に日本酒をついでくれてそれを一気に飲み干したら「お前すごいな。混ざっていけよ」と気軽に混ぜてくれた。なんだか滅茶苦茶な時代なわけだけど体育会ってこんなもんだろう。
 
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JEF市原戦後半、守る秋葉忠宏=2004年8月、新潟スタジアム

いい加減酔っ払いまくってきたころ、木澤と同じくJEF閥だったある選手に「サポーターはキーさんが首になっても何も言ってくれない。俺は寂しい。」ってな事を言われてしまった。前フリが長くなったけど、これが僕が選手とクラブとサポーターの関係を考える原体験になったお話。
 
結論を言うと、僕らはクラブを応援していて、そのクラブでの契約期間しか選手をサポートすることは難しい。口ではいくらクラブのため、選手のためと言ってみても、実際その愛する選手たちの移籍後には基本的には何もできない。だから、在籍している選手を精一杯応援するしかできないなとその後思った。
 
一方で、当時木澤兄貴からは「このクラブをよくするわけには○○と××が駄目なんだ。あそこを何とかしなきゃ駄目だ。あと勲が寂しがりだからよろしくな」とお言葉をいただいたわけなんだけど、後者のほうはともかく、前者の駄目だしは今思うと滅茶苦茶で「切られた」選手の想いは深いなと思った反面、「アルビレックスが好きだったからこそ」出てくる感情なんだろうなとも思う。
 
クラブ、選手、サポーター。この3者はやっぱり立場が違う。クラブにかかわらず経営の基本は「安く買ってきて高く売る」事であり、選手はその看板となる商品ともいえる。でもここだけで捕らえちゃうともう「Your wish is my wish 」には絶対にならないわけで、マクドナルドや吉野家の世界になってしまう。そうではなく、共にサッカーを愛して、地域を盛り立てる仲間として価値を高めあう関係にならなきゃいけないはず。
 
マックや吉野家の業績が悪くなったからと言って意地になって買い込んだり通いつめたりは普通はしないわけで、僕らが株式会社アルビレックス新潟を応援しているのと他の株式会社のファンになるのは決定的に違う。
 
立場の違う3者が同じ方向をむいて「Your wish is my wish 」になる。それは僕らサポーターにしか出来ない事なのかもなぁとあの時の木澤さんより年上になった僕は考えている。「選手とクラブのWin – Winの関係がほかのクラブより明確にいい」こんなクラブにアルビレックスはなってほしい。移籍にしろ引退にしろ、その答えは3者が同じ方向を向いた中から出てきてほしい。


浜崎 一

1977年生まれ。神奈川出身だが、新潟大学進学という理由で偶然新潟に移り住む。大学院時代にJ2初年度のアルビレックスにはまり、その後10年間事実 上のコールリーダーとしてアルビレックスの応援の最もホットな部分で活躍。現在はゴール裏を離れ、市民レベルでサポータームーブメントを起こす仕掛け役と なっている。