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オレラグ

5で4の3【Rview】第5節FC町田ゼルビア戦

2020年7月17日
こんにちは。
リーグ戦が中断していた間、その他様々な芸能や芸術の活動も同じように止まってしまって、やっぱり娯楽って必要不可欠な物なんだなと改めて感じられたわけですが、こうしてJリーグが再開して数試合。我がクラブはそんな不足していたエンターテイメントをこれでもかというくらい存分に提供してくれています。
なんか自分で書いておきながら皮肉っぽくて嫌な感じですけど、実際は結構それを素直に楽しんでしまっているのが本音です。自分達でどうにかできる失点がほとんどで自作自演感もあるので何とも歯痒い気持ちもありますが、「今のゴールすげー!」とか「それやられちゃうか~」とか、やっぱ面白いですね。
さて、そんな自作自演感の否めない試合を今回も振り返ってみます。

スタメン

うちは前節から4人の変更がありました。
ゴメス、ロメロ、ゴンサが2試合ぶりにスタメンに復帰し、大本が開幕戦以来、再開後としては初のスタメンに名を連ねました。
対する町田は、ここまで再開初戦の2節から前節までの3試合をリーグで唯一1人もスタメンを替えずに戦っていましたが、今節初めてFWに安藤ではなくベテランの中島を起用という変更をしてきました。
とはいえ中3日での3連戦の2戦目でありながら変更はたったの1人ですから、ほとんどここまでの不動のメンバーを並べてきたと言っていいでしょう。

前半

開始2分、右サイドから吉尾のFK。ゴール前で滑ってしまった舞行龍のクリアがジョン・チュングンにこぼれて押し込まれました。町田先制。
初回先頭打者ホームランといったところでしょうか。
町田が先制点を取ったこともあってか勢いを持って押し込む試合の入りとなりましたが、6分にゴメスがサイドから運んで上げたクロスにファーサイドで新太があわせたシーンでは町田のGK秋元が右サイドの選手に対して「行けよ!」と怒鳴っていたように、多少町田側にも緩さが見られた部分もありました。
ただ、そんなやられかけたシーンがいい目覚まし代わりになったかどうかは分かりませんが、10分を過ぎて新潟がポゼッションをするゲーム展開に落ち着いてからは、本来の特長である町田の堅い守備ブロックが築かれることとなりました。
アルベルトさんが試合後のコメントで「前半2つ3つ決定的なチャンスがあった」と仰っていました。改めて振り返ってみるとセットプレーの流れからゴール前に迫って最後は舞行龍がシュートを放ったシーンや、大本のクロスに田上があわせてクロスバーを叩いたシーンがありました。田上のシュート以外で“決定的”と言えるものがあったかどうかは何とも言えませんが、確かにチャンスはあったなと振り返った数秒後。
やっぱり今挙げたシーンくらいしかなかったのでは、と再び思い直してしまいました。
後半がガラッと良くなった印象の分、前半は全く何もできなかったイメージを勝手に持ってしまって、実はいいところもあったのではないかとアルベルトさんのコメントを手掛かりに自分を疑ってはみたのですが、そんなことはありませんでした。
結局後ろでボールを持ちながら縦パスを通せず、冷たい雨の降る水曜日の夜を手詰まったままいたずらに過ごしてしまった元々の印象が正しかったという結論に戻りました。とほほ。
それでもまだ先頭打者にやられた1発だけで試合を折り返せてればよかったのですが、37分でした。
マウロが少し持ち出したところをジョン・チュングンと中島に挟まれて奪われると、佐野が拾って右サイドの吉尾へ。胸でコントロールしてから左足に持つとカットインしてシュート。彼の得意の形からゴール左隅に決められました。
前半終了、0-2。
初めて先制点を奪われ、リーグ再開後初めて前半45分間で点が取れずに折り返し取りとなります。

後半

新潟は頭からマウロ、島田→秋山、マンジーと2人を入れ替えてきました。
この交代に伴い基本形も図のような4-4-2へと変更します。
するとこのシフトチェンジが功を奏し、パスのテンポや守備への切り替えの早さが向上し、前半には見られなかった新潟のリズムが立ち上がりから窺えるようになります。
そして迎えた53分、ポストプレーに入ったファビオが倒されて得た正面やや左からのFK。これを田上が決めます!レアルマドリードのセルヒオ・ラモスやアーセナルのダビド・ルイスと見紛うほどのCBによる美しいFKでした。
前節も1本惜しいFKがありましたし、前節の試合前のアップでも両足から良いキックを見せていたのが印象に残っていたのですが、その高精度のキックから1点を返します。
町田は60分にケガの影響でジョン・チュングン→安藤を投入しますが、引き続き新潟のペースで試合は続きます。
前半にはほとんど見られなかったサイドチェンジやライン間で受けるプレーも見られるようになり、そんな中で65分の田上のプレーも見事でした。
結果的にオフサイドとなったマンジーに鋭いパスを入れたシーンですが、サイドの大本に出す雰囲気を醸しつつ相手の寄せが緩くなったところを見逃さずにクッと方向を変えて前に持ち出したプレーは、前半の3バックが探しながらとりあえず持ち出していたのものとは似て非なる効果的なプレーでした。
67分に両チーム交代。新潟はロメロ→至恩。町田は中島→李漢宰。
至恩はそのまま左SH、李漢宰は佐野とのボランチに入り、左SHに平戸、前線に安藤、高江がトップ下のような位置とそれぞれポジションを替えました。
李漢宰という中盤を締めることのできるベテランを投入して、何とか流れを変えたいという意図があったかもしれませんが、やっぱり新潟のペースは続きます。
そして75分。
直前の左CKは新太、ゴンサ、さらに新太と連続でシュートを浴びせながらゴールとはなりませんでしたが、続けて得た右CK。
ゴメスのボールは一旦クリアされますが、ゴンサがヘッドで繋ぎ最後は舞行龍!ついにこじ開けました!CB2人のゴールで同点に追い付きます。
77分には舞行龍のサイドチェンジから大本が積極的にシュートまで行くシーンがあり、79分には新太→善朗とフレッシュな選手に入れ替えて、“さあ逆転するぞ!”という空気がぷんぷん充満していたと思われたのですが、そんな矢先の84分でした。
右から平戸のCK、マイナスに低いボールを入れるとエリアの外から走り込んだ高江のシュート。3点目。まんまとデザインされたプレーにやられました。
蹴る前に和輝は「裕紀!18(高江)出たら出ろよ!」と声を掛けていたのですが、秋山もマークに付いている安藤に付いてニアへ行ってしまったため完全にフリーでやられる形となりました。
それでもまだ終わりませんでした。
89分、右サイドで大本が受けると30mくらい自らドリブルで運んでクロス。ファビオが落としたボールを至恩スーパーボレー!同点!
ちょっともう何ですかね、あれ。
少し前にサイドで1対1の場面があり、対峙した小田に完全に読まれて止められたシーンがあったので、「対戦相手もいろいろ考えてうまく対応してくるようになってて、これは1つ乗り越えるべき壁がそろそろできてくるかな」なんて偉そうに思っていたらこれですよ。ほんとに恐ろしい。
ずっとここにいてほしいけど、正直やっぱりここにいちゃいけない選手だとも思ってしまいます。チャンピオンズリーグでバイエルンとかユベントスをチンチンにしている彼を遠くない将来に見てみたいという勝手な願望です。
試合終了、3-3。
グラウンド整備を挟んだ6回以降は点の取り合いとなり、9回に何とか追いついたところで日没コールドの引き分けといったところでしょうか(ちょっと照明落ちたのは故障か何かだったんですかね)。

we can do it

町田の守備はとにかくコンパクトで組織的で1つの生き物のような感じでよくまとまっていました。何よりもDAZN解説だった小村さんも何度か言及されていたようにスライドがしっかりしていました。しっかりというのはタイミング然り、速さ然りです。
本来2トップに対して3バックであればその1人の数的優位を起点にして組み立てがしやすくなるわけですが、町田は新潟が後ろを3人してビルドアップすることと、SHが内側に入ってライン間を狙っているところを確実に消してきました。ひょっとすると4バックから可変で後ろを3人にしたり、SHが外から中へ入ってくるよりも、最初から3バックでありシャドーがいたのは町田にとっては分かりやすくて好都合だったかもしれません。
とはいえ、中盤(SH)が前に出てプレッシャーを掛けているので、スライドしていたとしてもそれまでにはなかったスペースが生まれたり、1人のDFの近くに2人いたりという事象は生まれます。そこをこの試合ではうまく使うことが新潟はできませんでした。
3分55秒のシーンでも、町田にプレスを掛けられた中で舞行龍は後ろに下げましたが、田上に出してワンタッチで中央の島田に出してそこからまた左のワイドへ広げるということもできたかと思います。
もちろんかなりリスキーですし、終わってからならなんだって言えるよって言われれば確かにそうなんですけど、今年の新潟は開幕戦から「そこに出すか」とか「その狭い局面を少ないタッチでうまくかわしたな」というプレーが毎試合随所に見られていました。
つまりできないことをやれと言っているのではなく、できるはずのことをこの日はできなかったということが言いたいのだとご理解いただけたら幸いです。

興味深い現象

では、できなかった理由としてはどんなことが考えられるかというお話ですが、後方に人数を掛けすぎた点はあるんじゃないかと思います。
人数が多ければパスコースも増えて回しやすくなるような感じもしますが、後ろに人数を割いているという事は=前線の人数が少ないわけです。前線に人数が少ないと守る方としても全体のラインを上げやすくなりますし、前に出て潰しにも出やすくなります。
新潟としては前線3人がもっとサイドを含めて裏のスペースへ抜ける動きがあればよかったというのと、それに加えてWBが思い切って高い位置を取ることで相手を前に出させないようにするアクションもあればよかったのかなと思います。
実際に後半は形を変えたことで一気に流れも変わったわけですが、これは2トップ+両SHで前線4人が相手のDFを押し込み、且つ2トップもサイドに流れたりすることで、相手CBはあまり中央を留守にしたくないわけですから、守備を助けないといけないという意識が働く町田のSHは気持ち的にも後ろが気になって下がってしまったのではないでしょうか。
さらに、新潟のボランチ2人がビルドアップの際に後ろで数的優位を作ろうと余計にCBの間やSBの位置に下りるような可変をしなかったこともいい判断でした。中盤に残ることで町田のボランチ2人の気を中盤の中央で引くことへ繋がり、そうなると町田のSHはボランチとの間も通されたくないので下手に前やサイドにアプローチしにくくなるという効果があったのかなと思います。
これは舞行龍が試合後のコメントで「4バックの方が回しやすかった。ゴンサロゴンザレスが(疲れて)後ろに落ちてきたけど、落ちてこない方がパスコースが多くて回しやすかった」と話していたところからも言える事かと思います。
本来相手と違う形にすることでギャップを作ることがボールを循環させるには必要なはずですが、この日はミラーゲーム、つまり相手と同じ形にした方がむしろボールを動かしやすいというなかなか興味深いものとなりました。
サッカーって難しいけどほんとおもしろいですね。

最後に

結果は違いますが同じように失点がかさんだ金沢戦と今回の町田戦を、同じように守備をどうにかせにゃあかん、という話で括ってはいけないのかなと思います。
金沢戦に関しては寄せられていないとかスペースが空いているとか守備の話で解釈できましたが、今回は2失点目に代表されるように攻撃の不具合が失点でありいくつかのピンチに繋がっていました。
セットプレーに関しては試合の中のもう1つ別の試合という見方ができるみたいなことを本で読んだのでこれはまた別で要修正しないといけませんが、オープンプレーの中身として今年のアルビレックスは結局いかに攻撃の質を高められるかが大事になってくるのかなということを今節改めて感じさせられました。
昇格のためには松本戦のように苦しくても3ポイントを取ることが何よりも大事だというのは重々承知しつつ、それでもやっぱり今年は楽しいです。
くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。