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オレラグ

縮まらずとも遠からず【戦評】第16節 V・ファーレン長崎戦

2020年9月4日

こんにちは。

観戦ルールの話がいろいろ出ていましたね。
自分は見たわけでも聞こえたわけでもないのでそれについてとやかく言えることはありません。ただただなるべく早くこの厳しい制限が緩和される日が来てほしいなと願うのみです。

あとこれは観戦ルールとは関係ありませんが、現状の態勢での応援における個人的に気になっていることを大きく括って観戦方法という話題ついでに書いておくと、例えばうちがリードしている時の終盤にうちのゴールキックや相手のセットプレーなどで拍手や手拍子が起こることにちょっと違和感があります。
まあ普段でいう『アイシテルニイガタ』を歌いながら最後締めようみたいなことであったり、“あともうちょっとがんばれ”といった激励の意味だったりすると思うんですけど、なんだかゆっくりすべきところを急かしているというか、相手のセットプレーを期待しているというか、そんな印象を感じてしまいます。
ただ、感じ方は人それぞれですし、現状拍手しか手段がないので難しいところではあるので、結局一番思うことはできるだけ早く制限が緩和されて欲しいということに戻ってしまうのです。

スタメン

さて、試合振り返ります。
感情がこぼれちゃうということで言えば、今節は間違いなく白熱した熱いゲームだったと言えるでしょう。改めてサッカーって感情抜きには語れないというか、むしろ感情ありきだよなと感じられるものでした。

ではまずメンバーをおさらいです。
新潟は前節からの変更が1人。契約で出られない島田に替わって秋山が入ります。そして何といってもテセです。加入後初のベンチ入りを果たしました。
対する長崎は前節からの変更が3人。
まずはこちらも契約で出られないマサルに替わってカイオセザール。そして前線のポジションが玉田ではなくイバルボ。また当初は左SHに澤田が入っていたのですがアップ中にアクシデントがあり急遽氣田がスタメンに名を連ねました。

前半

両チームとも前線からの激しいプレスを掛けあう展開で始まった試合ですが、立ち上がりは悪くないどころかむしろいい入り方ができていたように思います。
2分過ぎにはファビオがGKまでプレスへ行ったのをスイッチに、新太も連動して角田へ寄せに行きマイボールのスローインにしたり、5分には右サイドで新太が引っかけたのを起点に、一旦失っても素早くプレスを掛けて回収するという展開を2回経て最後は中島のミドルだったり、惜しいシーンも作ることが出来ていました。

しかし6分に至恩のミスからカウンターでイバルボのシュートというピンチを迎えると、それ以降強みである守備への切り替え、ネガティブトランジションの速さと、秋野がDFラインに下りてビルドアップをサポートするいつもの形を増やしてきたことによって長崎も少しずつ盛り返してきます。
10分にはその秋野が右に下りたところから少し中盤へ出て受けると、ゴール前へのフィードを送り氣田のシュートを演出しました。
19分に新井のクロスからファビオが収めて強引にシュートまでいったシーンがありましたが、結局前半新潟のシュートは立ち上がりの中島とこの強引なシュートの2本に終わりました。いい縦パスが何度か入っていたことは事実ですが、そこからシュートまでという形は作らせてもらえませんでした。

とはいえ、守備の方では決して破綻せずにやれていたと思います。
後ろに下りる秋野やその隣の角田が1つ飛ばしたパスを使いながら左右に揺さぶってきてなかなか前からの守備が嵌めづらかったり、相手の早いネガティブトランジションによってすぐに回収されて自分達の時間が作れず我慢の展開が続いたりしても、DFラインは下がらずにコンパクトさを維持して決定的なチャンスは作らせていませんでした。

だからこそ余計悔しい失点でもありました。

43分、大竹の右CK。ニアに鋭く落ちるボールはイバルボには合いませんでしたが、後ろにいた新太の肩にあたってそのままゴールへと吸い込まれました。失点。
これがこの日長崎は3回目のCKで、右からのCKは2回目でしたが、まずそれまで秋野が担当していたキッカーをここでは大竹に変更しています。
そしてその最初の右CKと比較すると、後ろに亀川と毎熊を残すことと、ゴール前に6人(角田、二見、カイオ、氣田、イバルボ、畑)を入れるのは同じでした。ただ、最初の右CKでは大竹がキッカーである秋野からショートパスをもらえるように右サイドのライン際に立っていたのですが、この失点シーンでは大竹がキッカーとなり、秋野はGKの前にポジションを取ってきました。これによってそれまではカウンターの起点兼後方に残る2人にプレスをかけるため少し外に立っていた新太が秋野に付くかどうかで少し迷い、福田や小島に促されて秋野へ付こうとしたところで素早く蹴られてしまい、結局準備仕切れない内に、しかも前にはファビオとイバルボがいたため見えづらい状況で、飛んできたボールに対してうまく対応できませんでした。
逆に言えばこういうところでしっかりセットプレーから先制できる長崎はさすが首位と言えるのかもしれません。

前半終了、0-1。
もったいない失点でビハインドを負うこととなりました。

後半

新潟はスタートから満を持して彼を投入します。
秋山→テセ。中島がボランチ、新太が右SHへ移り、ファビオとテセという強力2トップとなります。
後半ピッチに戻ってくる際、長崎のスタッフからも二見に対して「チョンテセ入ってくるから!49番!」と要警戒する旨の声掛けがありました。

しかし、“テセも入ってさあ行くぞ!”となっていた中で出鼻をくじかれます。
47分、長崎は右サイドでの密集からテンポよく動かして左サイドまで展開します。氣田、亀川と繋いで落としたボールを秋野がクロス。走り込んだ大竹がヘッド。2点目。
1点目のCKといい、この2点目といい、そして実況の岡田さんも紹介されていましたが昨年のアウェー戦といい、どうにも彼とは相性が悪いです。昨年の長崎戦の展望や戦評記事では大竹について結構キーマンとしていろいろ書いたのですが、今季はそれほど彼によって攻撃の質が変わることもなくなっていたので展望ではあまり触れませんでしたし何ならスタメン予想にも入れていませんでした。そしたらこれです。は~あ。
真面目な話しをすれば、解説の梅山さんも仰っていましたがボールウォッチャーになってしまったということでしょう。亀川から秋野に落とすタイミングで舞行龍はグッとラインを上げていましたが、そこで荻原とギャップが生まれてしまいました。
ただサイドでの対応を見ると、左に展開されたところで新太が素早く戻って新井と共に2対2の状況が作れていましたし、秋野に対してもファビオと中島が寄せる準備はできていました。恐らくワンテンポでもボールを持っていたらクロスは上げられなかったでしょうから、そう考えると秋野のワンタッチという判断も見事と言わざるを得ません。悔しい……。

さて、2点差になってしまったということでもう反撃するしかありません。
51分、舞行龍、福田、中島という三角形のスムーズなビルドアップから縦パス。これを至恩が落として新太のミドルもGKキャッチ。
58分には舞行龍の縦パスを内側に入った荻原が受けて、そのままドリブルからシュートを狙いますがこれもGKにキャッチされます。
前半に比べてフィニッシュまで行けるようにはなりますが、どうしても中盤のところでのミスはなくならず、54分のような左サイドから氣田に抜け出されたカウンターや、59分のライン間で受けた大竹から畑に抜け出されたシーンなど長崎も狙い通りに新潟の隙を突いて決定機を作ってきます。
62分には新潟のCKを始点に長崎のカウンター、カイオのシュートを小島が防ぎ中島がクリアしたところから今度は新潟のカウンターとお互いオープンな打ち合いとなります。

手倉森さんは試合後に「トドメを刺せなければアウェーではそう簡単に勝ち点3は転がって来ないのかなと身にしみて感じた」ということを仰っていましたが、長崎としてはこのお互いにチャンスがあった50分から65分くらいまでの時間帯で仕留め切れなかったのが悔やまれるところでしょう。
逆に新潟はここで反撃の狼煙を上げることができました。

64分、左サイドでスローインを受けた至恩は仕掛けに行こうとしますが一旦戻します。このパスが少しずれてしまいますが荻原が粘ったことで中島のもとへこぼれます。常にシュートを考えている中島がここで打たないわけがありません。右足で鋭い弾道のシュート!これはGKに防がれてしまいますが、いち早く反応したテセが二見に競り勝ってシュート!1点差!
彼に対して持っているイメージ通りのフィジカルを活かしたゴール。さらにこぼれ球を拾って押し込むという泥臭さ。加入後初出場でこんなプレーを見せてくれるなんて。痺れます。改めて、ようこそ新潟へ。

直後の67分にはテセが右サイドからラインの裏を取ってシュートや、その2分後には前線からのいい守備を起点に新太がパスカットをすると福田とのパス交換から縦パス。テセがフリックしてファビオが抜け出してヘッドという決定機を作るなど、新潟の勢いが追撃弾で加速します。
すると長崎は飲水タイムを挟んで氣田→ルアン。さらに76分には亀川と足をつった角田→米田、徳永とシステムやポジションは替えず選手をフレッシュにして立て直しを図ります。
しかしそれでも新潟の方が1点を返してからは中盤で奪う機会も増えていましたし、83分には中島→ロメロを投入し、直後にはそのロメロのクロスに至恩がゴール前で決定機を迎えるなど勢いは落ちません。

長崎は85分にイバルボ、カイオ→植中、磯村を投入します。ちなみに3分前にはイバルボと畑の2トップを下げて同じ植中と磯村を投入し、恐らく植中の1トップにして中盤を厚くする策を考えていたようです。ただ理由は分かりませんが一旦止めて畑を残してカイオを下げました。
ベンチワークもバタバタしてピッチ内もアップアップになりつつある長崎を尻目に新潟は終盤パワープレーで押し込みます。
88分には荻原のクロスにファビオヘッド、89分には福田のフィードからこぼれ球をロメロが拾ってシュートと決定的なシーンを作りますがいずれもGKのナイスセーブに阻まれます。

それでもアディッショナルタイム6分の内の4分が過ぎた頃、ついに執念が実りました。
ルアンから毎熊へ出たスルーパスを小島が飛び出して前線へ。新太が受けるとDF1人をかわしてドリブルで運んでから粘って左のスペースへ送ります。ロメロが抜け出してマイナスのボール、フリーで待っていた至恩が落ち着いてDFを外してシュート!正面に構えたGKの手を弾いてゴールへ!同点!
小島の判断、新太の粘り、ロメロの冷静なパスに至恩のシュート。
見事な同点弾でした。素晴らしい。

試合終了、2-2。
前半なかなかいつものようにリズムよくプレーできなかった至恩、また梅山さんも指摘していましたがボールに絡めない時間も長かった新太の2人が同点弾に絡み、さらに相手のプレスや切り替えに手を焼いていつもより手詰まって起点になれなかった新井が、ラストプレーだったルアンのシュートを読み切ってコースに入ってブロックしたりして勝ち点奪取に貢献してくれたということに胸が熱くなりました。

首位の強さ

長崎はやっぱり強かったです。
それを支えている堅守と組織的な戦い方が徹底されているなと印象的であり象徴的に感じたシーンを1つ。
前半33分、至恩が内側で受けたところを大竹に突かれて奪われると、そこからカウンターで氣田にシュートまで持っていかれた場面です。

両SBが高い位置に張りだして幅を取り、内側に絞った両SHがボランチやFWと絡みながら崩すというのは今季新潟のここまでの基本型です。ところがここで肝となる両SHのところでこのシーンのように奪われたり、または寄せられてミスが起こったり、失ってしまうシーンがここ最近の数試合に比べるとこの日は多く見られました。
そうなってしまった背景として、長崎のネガティブトランジションの速さという強みを見せつけられたというのは1つあると思います。

ただそれだけではないとも感じました。
長崎は後ろを3人にする新潟に対して2トップ+SHが早いうちから準備をして牽制していたことからも、一応前線からプレッシャーをかけることを基本にしていたかと思います。ただ、案外嵌め切れずにかわされたり剥がされたりということはこのシーンに限らず見られました。
もちろんこれは新潟がテンポよく動かしたり、いい角度でパスコースを作る事が出来ていたりしたこともあると思います。
でもそれ以上に長崎としては、相手のビルドアップのところをある程度割り切ってじゃないですけど、剥がされることは織り込んだ上で、4-4のブロックの網で引っかけることをより狙っていたということも1つあったように感じました。
試合後にテセが「相手の2トップの守備の仕方がそんなによくなくて」と話してもいたので、実際のところは長崎ももっと前でカットしたいけどプレッシャーが嵌らないということはあったのかもしれません。ただ個人的には4-4のブロックでしっかり守れればOKという意識を強く感じました。

自信が大事

もう1つ取り上げてみました。こっちはちょっと気になったシーンです。
時間が前後しますが、前半の29分のシーン。
右の新井からパスをもらった福田が長崎の2トップ間にポジションを取っていた秋山へパス。秋山は一度福田に戻して、再び福田は秋山へ入れますがここもダイレクトで福田に返したという一連の流れです。

ここで何が気になったかというと、秋山であればクルッと前を向いてスパッと楔を入れる、もしくは自らクッと運び出すということができたのではないかということです。
2回目に関しては畑も速い反応で寄せに来ていたので少し難しいかとは思いますが、1回目に受けたところは実際に前を向きかけていますし、その後に手を上げて「ごめん」という意思表示をしていることからも前にいた至恩を確認はできています。
恐らく至恩がもらいに行く動き出しとタイミングがズレてしまって出すのをやめたのだと思いますが、アルベルさんが不満そうだったように、それでも出してほしかったし、何なら自ら少し運んで相手を慌てさせてほしかったなと感じました。

秋山に限らずですがこれ以外にも、ボールをもらってから少しだけ考えて(相手を見て)しまったことで寄せられて詰まったり、ボールをもらう前もちょっと余計に周り(相手)を確認してしまうことでラグが起きてリズムが出ない原因になっていたりしていたように思います。
序盤にミスからカウンターを食らったのも影響して、ここ最近の相手に比べると守備の強度が高いという意識が必要以上に強くなってしまったり、やっぱりどこかで相手は首位であるといったことを考えてしまったりして、テセも「前半は首位相手に恐がってプレーしていた」というコメントをしていましたから、ちょっと消極的になってしまった部分があったのは否めないところだったのかなと感じました。

追いかける苦しい試合になってしまったのは相手の守備の強さやうまさと、自分達の積極性の不足とが重なってしまったことで引き起こされたと言えるのかもしれません。

最後に

試合後挨拶のためスタンドを一周する際、荻原が人一倍悔しそうだったのが何だかとっても印象的でさらに応援したくなりました。
それと同時にアルベルさんが両手を上げてガッツポーズしながらロッカーへ戻っていった光景も印象的でした。
勝たないといけない、勝てる試合だったという悔しさと、タフに戦って首位相手に2点のビハインドを取り返したという自信というか前向きな感情は両立しないものではないと思っています。

この両方の気持ちを携えて、中2日で迎える次の試合、勝ちましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。