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オレラグ

試練は続くよ(きっと)今節まで【戦評】第21節 愛媛FC戦

2020年9月25日

こんにちは。

試合が終わった瞬間のどんよりと沈んだ気持ち。
直後にふと、それでも勝ち点1は拾えたんだと気付いた時のそれすらポジティブに思えてしまった寂しさ。

つまりはそういう試合だったのかなと思います。

スタメン

まず新潟の方ですが、前節からの変更点が2つ。
軽い負傷の新太に代わって矢村。さらに右SHには4試合ぶりにロメロが入ります。またベンチにはケガから復帰した大本が久しぶりに名を連ねました。

対する愛媛は前節から大胆に8人を変更してきて、システムもいつもの3バックではなく4-4-2で臨んできました。恐らくで申し訳ないですがスタートから4バックでスタートするのは12節の栃木戦以来だったかと思います。
特に前線は5試合ぶりにスタメンの忽那、同じく11試合ぶりの藤本、そして前々節大ケガから帰って来たばかりの吉田眞紀人も今季初スタメンということで、フレッシュなメンバーが顔を揃えました。

ちなみに新潟は今季チームで唯一全試合出場中だった新太がメンバー外で、愛媛の方はチームで唯一全試合スタメンフル出場中だった茂木がベンチスタートと、お互い不動だったメンバーが不在で臨む試合となりました。

前半

開始6分、ビルドアップからの攻撃。
舞行龍からの縦パスを起点に、中盤狭いエリアに至恩が下りて受けると、福田、島田との連携から至恩が前を向く状況を作り出します。至恩からのスルーパスを受けた矢村が右足側にボールを置いてシュートを狙いますがGKに防がれます。
続く島田の右CK。
ファビオが競ってファーサイドマウロのオーバーヘッドを最後は新井が詰めにいきますが枠の外へ外れます。

この日はビルドアップの際に新井が残って後ろを3人にする形がよく見られました。10分が過ぎたくらいからはいつも通りボランチの1人が下がって両SBが高い位置を取るというやり方も見せていましたが、その場合でも新井は荻原に比べるとやや低い位置にいることが多かったように思います。
対面する長沼はドリブル突破が得意であり攻撃的な選手だからスペースを与えたくないというのもあったかもしれませんし、彼を前に引っ張ることでその背中を使いたいというのもあったかもしれません。
もしくは前にいるロメロはフィジカルを武器に推進力を発揮できる選手なので、それをサイドで活かしてもらうためにあまり出ないようにしていた可能性もあるかもしれません。

いずれにしても勝手な推測なので真実は分かりませんが、新井が残るにしてもボランチが下りるにしても、前から来る愛媛に対してある程度は持てていましたし、そこから至恩、島田、福田が近い距離感で絡むシーンは随所に見られました。

8分には西岡大志のバックパスを至恩がかっさらってFKのチャンスを作ったシーンがありましたが、こういった前から奪いに行くことも狙い通りできていたと思います。
愛媛は田中が右に下がってビルドアップする形が序盤は多かったですが、新潟はいつも通り2トップの1人(この日は矢村)が少し下がった位置で相手のボランチを見つつ、CBや後ろに下がるボランチに対してはSHが出て行ったり、そのやや下がってボランチを見る役割のFWが出て行ったりする形で前から制限を掛けることができていました。

もしこの試合で勝ち点3をかすめ取れた可能性を考えるとすれば、この立ち上がりの時間帯で取り切るというのが最も現実的だったのかな、なんて後で振り返ると感じます。それくらい序盤はいい入りができていたのではないでしょうか。

15分、20分を過ぎたあたりから少しずつ愛媛も前からのプレスで新潟のビルドアップを制限する場面を作り始めます。2トップがまずは新潟の2ボランチへのコースを消し、そこから横パスをスイッチにそのFWの1人、もしくはSHが出てGKへ下げさせたりサイドに追いやったりという流れです。
それでも中盤でのルーズボールを素早く拾うであったり、失ってもすぐに寄せて奪い返したりもある程度できていて、結局前半愛媛のシュートは1本だったようで、枠に飛んで小島を直接脅かすようなものはほぼありませんでした。

逆に33分新井のフィードからファビオが抜けだしてシュートまでいったシーンがあり、36分には島田のワンタッチでの縦パスから矢村が受けて荻原が仕掛けてファールとなったシーンがあり、42分にはやはり中盤で至恩、福田、島田の連携から右サイドのロメロがもらってクロスバー直撃のクロスがありと、終盤にもいくつかチャンスを作りました。

前半終了、0-0。
最大の目的であるゴールを奪うということが叶わなかった以外は決して悪くない45分だったのかなと思います。

後半

愛媛の方が先に動きます。
吉田→丹羽という交代で2トップの一角を入れ替えてきました。

しかし立ち上がりは前半の流れ同様、新潟が主導権を握ります。
46分島田の右CKから最後は矢村のシュートはGKキャッチ。
50分に一旦長沼に左サイドを突破されてピンチを作られますが何とかしのぐと、53分には新井のフィードから矢村が収めて、落としをもらった福田が右サイドから上げたクロスにファビオが折り返し最後はロメロという崩しを見せますが、ここは矢村と重なってしまい枠を外れてしまいます。
ただ46分も53分も、サイドから裏に抜ける形で起点を作ってチャンスに結びつけることが出来ていました。

54分矢村→テセを投入します。
これでさらにギアを上げにいったはずでしたが、ここからピンチの連続となります。
55分、中盤で拾った横谷の楔を忽那がワンタッチで繋ぎ、藤本にGKと1対1の決定機を作られますがここは小島のファインセーブに救われます。
さらに2分後、左サイドで長沼と田中のパス交換から新井が滑ってしまって藤本に繋がれ、カットインから強烈なミドルを放たれますがここはわずかに枠の外へ逸れます。
さらにその直後には荻原から小島へのバックパスに丹羽がチェイス。それに少し焦ったか小島がコントロールミスをしてしまいあわやというシーンも作られました。

バタバタの時間を何とかやり過ごして65分、新潟はロメロ、島田→中島、ゴメスと2人を入れ替えます。
この交代で至恩がトップ下に移り、右に中島、左にゴメスで中央福田という最近お馴染みとなっているダイヤモンド型の中盤へ変化させます。
68分には左サイドでテセの粘りからゴメスが抜けだし、ゴール前ファビオが落としたボールを至恩がシュートという1つチャンスを作りますがDFにブロックされました。

飲水タイム明けに愛媛は藤本、西岡大志→有田、前野、さらに75分には忽那→山瀬と、より経験があり主力として活躍している選手を投入してきます。
新潟は77分に荻原→大本を右SBとして投入し新井を左SBへ移します。
77分に中島のFKのクリアボールを至恩がボレーで狙い舞行龍がヘッドで詰めたシーンや、80分にはテセのポストプレーから右サイドの大本へ展開し、最後は至恩のシュートとチャンスがなかったわけではありませんでした。
しかしボールを動かすにしても前半のようなリズムは出ず、守備も1人1人がそれぞれ持ち場でボールが入ったら寄せに行く感じで、連動して前から取りに行って高い位置で奪ったり全体を押し込んだりはできませんでした。

84分に愛媛は田中→森谷を投入。
ボールを持てる技術と経験を持った山瀬、横谷、森谷という3人を併用する形はより攻めに出たい、しっかりボールを持って押し込みたいという時にこれまでもよく見られた形ですが、この日は終盤に満を持して起用してきました。
85分には新潟のスローインをカットすると、拾った有田がペナ左角から強烈なシュートを放ちますがここは小島のナイスセーブで事なきを得ます。
新潟の方は大本の仕掛けといくつかのセットプレーが終盤はあったくらいで決定的なシーンは作れず。

試合終了、0-0。
冒頭にも申し上げた通り、勝ち点1取れただけでもよかったといったゲームになってしまいました。

停滞

さて、今回も図を作っていただいたのでそのシーンについて少しだけ。
61分20秒~の守備が連動できていなかった一連のシーンです。
至恩の縦パスが通らず流れてしまった後、西岡大輝から下がってきた横谷にボールが入ると福田がそこへプレスを掛けます。ワンタッチで下げられたボールに対してさらに福田は追いかけて西岡大輝、そしてGKの岡本まで行きました。そこからビルドアップをやり直す愛媛に対して前線のファビオ、テセ、ロメロが網を掛けに行きましたがあっさりかわされて運び出されてしまいました。

解説の石橋さんも「DFの距離が遠いですよね」と仰っていたように、前線からプレスを掛けに行ったものの、中盤より後ろはそれに連動しきれずぽっかり真ん中が空いた状態でボールを持たれてしまいました。
このシーンに対してベストを求めるとすれば、やはり中盤より後ろも呼応して出てきてほしかったということです。
この時間帯はピンチが続いた直後でしたから、恐らく福田はそういったよくない雰囲気、流れを断ちたいといった気持ちもあってGKまでプレスに出て行ったのではないかなと思います。そう考えるとやっぱりチームとしてそれについて行ってほしかったなというのが正直なところです。

この数分後にも同じように前からプレスを掛けながらも、GK岡本が1つ飛ばしたパスでサイドに出して繋がれて結局中盤で前向きにボールを持たれるシーンがありました。
もちろん全部が全部、前から奪いに行くのは難しいですし賢明とも言えません。ただだからこそ行く時行かない時、特に前からアグレッシブに奪いに行くというベースは共有されているはずですから、行かない時、ラインは下げなくとも構える時の意思統一がもう少ししっかりなされるといいような気がしました。

ただこうして1つ挙げてみましたがそれよりも、最近はある程度オーガナイズされていたように感じた守備の連係もこの日はそう感じられなかったことにより課題を感じずにはいられませんでした。
最近は攻撃面でどう点を取るか、崩す形を作るかといったことに課題があって、その課題は残念ながら今節も持ちかえる事になってしまったわけですが、それに加えて守備でも、無失点という結果はあくまでも相手の精度に助けられた面が大きいように感じられ、以前はやれていたように思えていたことが発揮できていないように映ったのは残念でした。

こうなってしまったことは今節の一時的なものであったことを今は願うしかありませんし、成長という言葉に疑問を抱かざるを得なくなるようなことがこれからないことを祈るばかりです。

終盤の策

もう1つだけ。
最近終盤攻撃的に出るために行われる中盤をダイヤモンドにする形についてです。
正直効果的に運用されているようには感じられません。
2トップ+トップ下でゴールにより近い中央のエリアに人を増やし、3センターの左右も高い位置を取って押し込み、幅はSBが取って後ろはアンカーと2CBが残るという、無理矢理数字で表せば2-1-5-2みたいな格好でセカンドボールを拾いながら押し込むことを狙っているのだろうと思います。

しかしどうしても守備になった際、3センターのためサイドへのアプローチが遅くなって結局奪う位置が低くなってしまっています。こうなるリスクは承知でしょうしそのリスクが出ないように本来はもっと押し込みたいのだろうとは思いますが、そうなっていないということはまだまだ整理できていないのだろうと感じます。
これが最適解なのかという事も含めて再考する必要はあるのではないでしょうか。

最後に

今回の戦評はもしかすると今季一番筆が走らない、いやキーボードが走らない、まあ別にどっちでもいいんですけど、とにかく難しい試合でした。

もう中2日で次の試合です。
今迎えている苦しい状況、抱えた問題は1試合2試合で解決するものでもないでしょう。
ただ、とにかく今求めるのはすぐやってくる次の試合で良いプレーを存分に発揮して勝ち点3を奪って欲しいということに尽きます。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。