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オレラグ

喚起はGo To これは歓喜への号砲【戦評】第24節 FC町田ゼルビア戦

2020年10月6日

こんにちは。

約1か月ぶりの連勝。そして1カ月ちょっとぶりのホーム戦勝利。
本来1カ月ぶりであればせいぜい4、5試合くらいのものですが、今年に関しては10試合ほど消化しているのでなんだかとっても久々な感じがしました。
しかも待望の初ゴールと圧巻のハットトリックによる4ゴールということで、とにもかくにも素晴らしい、最高のゲームとなりました。

スタメン

それでは早速スタメンです。
新潟の方は前節から変更が3名ありました。
まず舞行龍がこの日はお休みということで代わって新井がCBへ入り、右SBには田上を起用。さらに前線がシルビからファビオになり、2列目も至恩がベンチスタートで善朗が左に移ると、右SHには中島が2試合ぶりに名を連ねました。

対する町田ですが、こちらは前節から左SHのジョンチュングンをマソビッチに入れ替えたのみで、あとは基本的に不動のメンバーで今日も臨んできました。

前半

先に概要だけ説明するとすれば、予想通りボールは持てた中でなかなかうまく運び出せず苦労したというのが前半の45分だったかと思います。

最初のチャンスは6分。
左CKを善朗はショートで島田へ繋ぎ、島田は中央の中島に渡すと、中島が強烈なミドルを放ちましたがこれは枠の外へ外れました。
ただ中島の特長であるミドルをうまく活かすためのいいアイディアを1発目に見せます。
すると次のシュートシーンもCKでした。
17分、今度は右からのCKを善朗がシンプルにゴール前へ入れるとそれに田上がヘッドで合わせましたがこれも枠を外れました。
どちらのCKも荻原のクロスがきっかけとなっており、甲府戦にゴールを生み出したクロスがあったように、これはこれで荻原の仕掛けとクロスはポジティブな部分として考えていいのですが、前半に関してはそれ以外でボールを動かしながらスペースを突いて崩したり、もしくはシュートまでいったりというシーンをなかなか作ることができませんでした。

町田からするとボールを持たれたとしても、新潟は後ろを3人にしてビルドアップをしてくるので、そうしたらSHが内側を消しつつ2トップと連動してプレスを掛けるということが、4-4-2の守備ブロックをベースとして非常にまとまりを持ちながら守ることが出来ていたように思います。
ただ反対に攻撃の方は町田もなかなかチャンスを作り切るところまではいけません。解説の梅山さんも仰っていたように、特に序盤は荻原が上がって空いたスペースを繰り返し狙って来ていましたが、CBの新井がサイドに出てさらにボランチの島田が埋めるという連動で確実に対応できていました。

飲水タイムを挟んでも展開は概ね変わりません。
新潟の方はポジションチェンジをしつつテコ入れを図り、多少全体が押しあがる時間があったり、動き出しが見られたりもしましたが、やはりチャンスというものはほとんど作り出せずに時間が進みます。
逆に33分には、ゴールキックから岡田に前を向かれるとシンプルにスルーパスを入れられます。マウロと小島の間で少し連係ミスが起きてボールがこぼれてしまうと、これを平戸に詰められましたがギリギリ田上のナイスカバーでしのぎました。
ボールを持たれることは想定済みの中でこうして決定的なチャンスも作ることができたと考えれば、前半は町田の方がある程度プラン通りにできていたような気もします。

そんな風に感じていたこともあって、『まあとりあえず前半は0-0でいいでしょ』なんて思っていた自分をアルビレックスは良い意味で裏切ってくれました。

45+1分、新潟陣内での奪い合いから島田が粘ると新井がワンタッチで縦に送ります。これをファビオがフリックで繋いで善朗が抜け出しカウンター発動。左から中央へと運んだ善朗は絶妙なタイミングでラストパス。
右から駆け上がってきた中島がボールを受けるとゴール左隅へシュート!
一切の無駄がないカウンター、これにて完結。お見事。

善朗のギリギリまで溜めて相手を引き付け、最後は股抜きで通したラストパスには痺れました。
そして中島のシュート。
本人は「考え過ぎずにコースだけを狙った」と話していましたが、ほんのちょっとだけ外側へトラップすることでDFがシュートブロックのためにより足を伸ばさないといけないように仕向け、そうすることで開かせた股を狙ってファーサイドへ流し込めていました。さすがです。
また、フリックしてから善朗のドリブルのコースを考えて左に回り込んで善朗の選択肢を増やすと共にDFの的を絞らせづらくしたファビオの動きもお見事でした。

前半終了、1-0。
なかなか思うようにチャンスを作れない中で、最後の最後に素晴らしいカウンターからリードを奪いました。

後半

後半頭から新潟は荻原、ロメロ→史哉、至恩。
対する町田も小田、マソビッチ→酒井、ジョンチュングンとお互いに2人ずつを入れ替えて入りました。
ポジションは史哉が左SBで至恩が左SH。町田は右SBに酒井、左SHにジョンチュングンという並びになります。

後半に関しても先に大まかな展開だけ言うと、前半同様ボールを持つのは新潟で変わりませんでしたが、前半とは違ってかなり余裕を持ってビルドアップしたところから何度も仕掛けのフェーズまで持っていけるようになりました。

そんな押し込んだ流れの急先鋒となったのが至恩でした。
51分、ハーフラインを少し越えたあたりから至恩がドリブルで運んで深い位置まで入ると、マイナスのボールを中島が中継して最後は島田のシュートもDFブロック。
52分、カウンターでファビオが左サイドに抜けて起点を作ったところから、内側で受けた至恩がミドルもGKセーブ。
57分にはCKをショートで始めたところから至恩が深くまでえぐって折り返しますがシュートまでいけず。
いずれもゴールとはなりませんでしたが外側に張ったところから至恩が存分にストロングポイントを見せつけて相手を翻弄します。
62分には右から中央を経由して左の至恩に渡ると、DF2人の間を割って突破してシュートまでいくプレーを見せ、相手GK秋元も対峙した味方に強く喝を入れている光景がありました。

それでも押し込みながらなかなか追加点が取れない展開の中で、64分にファビオ、善朗→テセ、大本を投入します。テセはそのまま前線に入り、中島をトップ下に移すことで大本を右に入れます。至恩の左だけでなく右も大本を張らせて突破力を活かせる形にしました。

すると77分に待望の追加点が生まれます。
相手CKをクリアするとそれを至恩が拾ってうまくDFと入れ替わります。そこからカウンター発動。そのまま少し持ち出してから縦に走りこんだ中島へパス。ボールをもらった中島はトラップで少し運んでから2タッチ目ですかさずゴール前へ。フリーで待っていたテセシュート!2点目!
先制点に続きまたもやカウンターを綺麗に完結させました。

中島のパスはもう芸術の秋にふさわしい秀逸なプレー、いや、美しいパスという名の1つの作品でしょう。梅山さんも「100点」と評価されていて、野澤さんも「ワールドクラス」と絶賛されていました。
そして決めたテセです。
あれだけフリーでさらに最高のボールが入ってくると逆に緊張しちゃうものです。自分だったらキックミスが恐いのでたぶんトラップしちゃうだろうなあなんて思いましたが、恐らくそうした時点であの角度とGKとの距離だと余計難易度は上がってしまうのかもしれません。その辺もしっかり考えて「シュートはダイレクトが一番入る」という信念の下、力強く決め切ってくれました。

80分、町田は深津、岡田→バブンスキー、中島を投入します。
2点ビハインドになったということで、佐野をCB、平戸をボランチに下げて右SHに中島、前線にバブンスキーを置く攻撃的な形へ変えてきました。
対して新潟は82分、中島→ゴンサを投入します。
福田をトップ下に上げてゴンサをボランチに配置するという、リスクマネジメント策です。何だか2点リードの残り10分でゴンサ投入は中日の岩瀬とかヤンキースのマリアノ・リベラくらい安心感がありました。

さて、このまま締めても十分でしたが、まだまだ試合は終わりません。
88分、相手のバックパスを狙っていたテセが相手GKより先にボールを触ったところで倒されてPKゲッツ。このPKをテセが自らゲッツ!3点目!
いわゆるケーキにイチゴを乗せるようなゴールで勝負を決定づけます。

さらにさらにアディッショナルタイムの+5分。
小島のフィードをテセが落とすと、拾った福田が少し右に流れてからフワッとしたボールをゴール前へ。これをテセドーン!ハットトリック!
サッカーやっていたら1度はやってみたいやつです。豪快すぎるジャンピングボレー、ただただ圧巻です。
さっきケーキにイチゴを乗せたので次はどうしましょうか。おいしいブラックコーヒーなんかがいいですかね。

試合終了、4-0。
今季最多の4ゴール。しかも無失点。
素敵な日曜日、これにてお開きです。

シフトチェンジ

お開きって書いちゃいましたけど、この文章はもう少し続きます。
前節琉球戦では守備の変化について図も作っていただいてちょっと書いてみましたが、今回は攻撃のシフトチェンジについてピックアップしてみました。

まず前半の21分。
ビルドアップから田上が前線へフィードを送るも通らなかったシーンです。

アルベルさんも試合後のインタビューで「前半は奥行きを取った攻撃を目指し……」と仰っていましたが、確かに飲水タイムあたりまではこのシーンのように、SHは内側に入ってライン間を狙い、ロメロは前線にいてファビオと共に奥行きを出そうとする形が多く見られました。
その意図自体は悪くないですし明確にやっていたとは思いますが、このシーンのようにせっかくSHが内側に入って相手のSBを釣り出してもその空いたスペースに抜けるというシーンが少なく、出し手の方も結局スペースではなく前線に張っている人をめがけて蹴るシーンが多くなっていました。

梅山さんも前線の動き出し、フリーランの少なさを指摘されていましたが、そうであったがために町田としても動かされることなくブロックで対応しつつ、前半に関してはプレッシャーをかけることもできていて、新潟としてはうまく運び出せない状況となってしまいました。

次に36分、マウロがフリーで持ち出したものの出しどころがなく、やり直して左まで展開しましたが、結局失ったシーンです。

20分を過ぎたら善朗とロメロはポジションを入れ替えていいよ、という指示がどうやら監督から出ていたようで、実際飲水タイム以降は左にロメロでトップ下に善朗へ入れ替えていました。
この変化に伴って両サイドのロメロと中島が内側に入るのは変わらないものの、中央に移った善朗に関してはそれまでのロメロのように前線に張らず、少し下がってライン間でボールを受けるように役割が変わりました。
こうしてライン間でボールを引き出そうとする選手を2人から3人に増やしたことで、その内の1人がスペースに抜ける動きを見せる回数はやや増えていました。前線に張るFWが横に流れるよりも、少し後ろから斜めに飛び出す形の方がボールを受ける角度は保ちやすくなりますから、ここも狙い自体は悪くなかったと思います。

ただ、ちょうどこのシーンのタイミングで梅山さんもご指摘されていましたが、やっぱり前線の選手がみんな足下で受けようとすることも多くなってしまい、相手にとってはブロック守備のまま守りやすい状況となってしまっていました。

そして3つ目が後半に入った50分。
最終ラインに下りた島田から内側に入って少し下がってきた善朗へパスが入り、そこから外側の史哉、至恩と繋ぐと、直前で善朗が下がって空けたスペースに入ってきた中島が至恩からのパスで抜け出したという崩しのシーンです。

まず後半に入って左SHへ投入された至恩には、大外へ張る役割が与えられていました。これによって相手のSBとひいてはDFラインを押し上げさせない効果を生み出していたかと思います。またこれによって前半は1人だけだった幅を取る選手がSBとSHの2人となりました。
これらの策を施したことにより、トップ下の善朗がライン間にポジションを取る前半同様の動きに対して町田のSHもやはり内側を閉めることを優先せざるを得ず、史哉に対するアプローチを遅らせることへと繋がります。
そしてこの善朗が下がって空けた背後のスペースに、中島が右からグッと逆まで入ってきたことによって数的優位を作り出し内側から抜け出す形を作ることが出来ました。

アルベルさんも「後半に関してはサイド攻撃を狙っていました」と仰っていましたから、後半頭から至恩を投入して左から攻め、さらに途中から大本を投入して右も活性化させるという狙い通りのベンチワークだったのかなと思います。
また、アルベルさんは前半の善朗とロメロの貢献についても褒めていましたから、もう少し押し込んだり攻め切る形を作ることができたりすればもっとよかったのかもしれませんが、自分が最初に感じていたよりも、奥行きを取る狙いだった前半も含めて計画していたことをよく表現できていた試合という見方でよかったのかなとも感じました。

最後に

ポポヴィッチさんが仰っていたように「0-4で負ける内容ではなかった」というのは確かにそうですし、あの前半にあった大ピンチで先制されていたらどうなっていたか分からないというのは事実でしょう。
その点で言えば小島とマウロのところはあのシーン以外にも何度か連携で不安定な部分は見られましたから、今後要改善したいところです。

それと同時に、それほど実力差はない難敵相手に無失点でしかもシュートも2本に抑えたというのは素晴らしい内容でした。
特にCBの新井、そしてこの日は途中出場で左に入った史哉の活躍は目を見張るものがあったと思います。今後は舞行龍、マウロ、新井の3人を中心にCBを回すことも可能でしょうし、SBもより各々の特徴に応じた起用法、バリエーションが広がってきたのではないでしょうか。

では、久々のオフでしっかりリフレッシュして、再びやってくる上位との対戦に備えましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。