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オレラグ

おおきに ほなごめんやす【戦評】第25節 京都サンガF.C.戦

2020年10月12日

こんにちは。

この日は大本や史哉(早生まれですが)、さらに京都でも飯田や仙頭といった高校・大学時代からよく見ていた同じ94年生まれの選手に特に目が行くことが多かったのですが、その筆頭が何といってもゴメスでした。
なんと5年ぶりのゴールだったということなので、新潟に来てからは初ゴールだったようです。ちょっと驚きました。
それはつまり1点も取っていなかったとは思えないほどアルビレックスに対して計り知れない貢献をしてくれているという感覚があったということです。

同じ年に生まれたというだけなのにどうしても94年の選手は他チームを含めて気になっちゃうのですが、そういった中で改めて同い年のゴメスがキャプテンとして自分の心のクラブを引っ張ってくれているということに嬉しくなりそして熱くなった京都戦でした。
ナイスゲーム、ナイス3連勝。

スタメン

ではスタメンです。
まず新潟の方ですが、前節からの変更が3人。
前節お休みだった舞行龍がスタメンに復帰して、代わりに新井が今節はお休み。そして荻原がベンチスタートで左SBには史哉が8試合ぶりのスタメンとなりました。

対する京都も前節からの変更が3人。
まず右CBに森脇ではなく上夷。そして3センターの左右には前節FWとして先発した仙頭と2試合ぶりの曽根田が入り、その仙頭が入っていたFWには野田がこちらは4試合ぶりのスタメンとして名を連ねました。

前半

立ち上がり押し込まれます。
2分、中央を突破したウタカから左に展開され、仙頭のクロスに曽根田が入ってきましたが史哉ナイスブロック。
続けて左から庄司のCKに野田ヘッドも枠の外。
さらに6分、右サイド飯田の突破から獲得したCKを最後はバイスがシュートもここは田上がブロック。

6分頃、インサイドハーフの仙頭が新潟のCBまで取りに出て、空いた中盤のスペースに中島が入って受けますがそこを本多が素早く出て止めたシーンがありました。
試合後に實好さんは「もっと大胆にいくシーンをたくさん作りたかった」「リスクをもっともっと負いながらゲームを進められれば良かった」と仰っていたので、恐らくこの立ち上がりのような展開を攻守共に理想として描いていたのだろうと思います。ただ、ここで何とかしのいだことでペースは予想通りボールを持つ新潟に傾いて行きました。

最初のチャンスは10分。
マウロからの鋭い楔を中島が受けると左の史哉へ展開。史哉からさらに大外の至恩へ渡ると、至恩はカットインから中島に渡します。ゴールからは遠目で受けた中島でしたがここから思い切ってミドル。このシュートはわずかに上へ外れましたが、自信のあるブレ球で狙ったいいシュートでした。

この辺からはもうすっかり京都が作る5-3-2のブロックをポゼッションする新潟がどう打開するかという展開に落ち着いていました。
シュートまでいくシーン自体は多くありませんでしたが、特に惜しかったシーンを挙げるとまず17分。高い位置で善朗が奪ってからのカウンター。至恩が繋いでファビオがエリア内で粘ってシュートもDFブロック。
30分、左サイドで史哉、福田、善朗、至恩と繋いで史哉が裏に飛び出して最後は福田のシュートもGKセーブ。

前者は良い守備からのカウンターということで、相手の3バック+アンカーの庄司に対してファビオ+2列目の3人で上手に網を掛けて守るということがよくできていました。このシーンでは内側に入ってビルドアップをサポートしようとした上夷に素早く至恩が寄せに行きミスを誘発しましたが、上夷、本多の左右CBに対して中島と至恩が外側へのコースを切ることで中へ囲い込むことがよくできていたように思います。
またボールがサイドに出たら出たで、素早くSBが前へ出てSHもプレスバックして全体が横にスライドしてサイドに関しても追い込む形がよく見られました。

後者はテンポのいいパス回しから崩しかけたシーンですが、前半はこのように主に左サイドを起点に攻める形が多く見られました。やっぱり大外に張る至恩を敵としては気にしますから、その内側や裏に善朗、福田、史哉、時には逆から中島も入って来て時折深い位置まで侵入することが出来ていました。
ただ相手も5バックで人数は掛けているため、前節の後半みたく完全に抜け出したり突破しきる形を多くは作れませんでした。

いくつかあったピンチはやはりカウンターでした。
29分、一旦はカバーしたマウロからの縦パスは田上が収めきれず。リスタートのスローインから最後は仙頭のクロスに野田がシュートは枠の上へ。
34分には京都陣内で失ってから曽根田、野田、ウタカと中央を運ばれて、ラストパスに曽根田シュートもゴール横に外れます。
さらに43分、バイスのクリアをウタカが収めて、野田へのパスは田上が一旦は引っかけます。しかしルーズボールを先にウタカに触られて抜け出されましたが、ここはギリギリで舞行龍がカバーしました。

やっぱりウタカの脅威に何度か肝を冷やしましたが、それでも彼へのパスコースを最優先に切る細かいプレーだったり、時にはタクティカル(戦術的)ファールで止めたりというウタカを中心としたカウンターに対する強い意識は見て取れました。
また34分の曽根田のシュートシーンでは、内側から抜け出されながらもマウロは焦って飛び込まずコースを消すようにアプローチすることでシュートを外させて、それに対して小島も親指を上げて称えていました。
前節はマウロと小島の連携に課題がある旨のことを少し書きましたが、この日はきっちり修正されていたというか、連携で不安を感じることはありませんでした。

前半終了、0-0。
終盤にも史哉や田上が内側から抜け出す形や、田上に関してはセットプレーからのヘッドも含めて2本のシュートを放つなど、シュートで攻撃をやりきる積極的な姿勢が見られて前半は折り返しとなります。

後半

後半の立ち上がり、入りのところは前半同様ボールを動かし、守備は前から網を張り、47分には中島が右から突破してクロスという見せ場を作りましたが、少しずつ京都に押される展開となります。

52分若原からのスローを受けた仙頭が一気に運び出し、ウタカとのパス交換からさらに前進してゴール前の野田へ送りますが何とかクリア。
53分には庄司の右CKからこぼれ球を仙頭に狙われますがわずかに外へ外れます。
さらに54分にも飯田に奪われたところから曽根田のスルーパスにウタカが抜け出し、マウロをかわしてシュートにいこうとしたところで舞行龍が戻ってミスキックとなり難を逃れました。
解説の佐藤さんは京都がチャンスを作り始めた要因について「5バックが受けて立つのではなくて、ボールの出所にアプローチに行くようになったことで良い奪い方が出来るようになりましたね」と仰っていました。
54分のカウンターもそうでしたが、開始10分の間に至恩がカットされて反撃されたシーンが2つあったのに象徴されるように、新潟からすれば悪い失い方が増えたと言えそうです。

57分新潟は善朗、中島→ゴメス、大本を投入します。
大本は右SHに入り、ゴメスも最初はそのままトップ下に入りましたが、本人も話していたように「調子が悪かった」ということで60分過ぎに至恩と入れ替わっていました。
すると京都に傾いていた流れがこの交代によって少しずつ変化してきます。これはアウトした選手がどうだったとか、入った選手がこうだったというよりも、ここで2人を交代させたというベンチワーク自体が相手に傾いていた流れを変えたのではないかなと感じました。
対する京都は64分に野田→福岡を投入して、福岡を中盤、仙頭を前線に上げます。
京都も交代を行いますが、それでも新潟が前半のようにボールを動かし、失いかけても素早く回収して支配する展開は変わらない中で、68分ついに動きます。

右から左へ動かし、縦に出せないと判断してやり直したところから、舞行龍が島田とのパス交換を挟んで右の田上へ展開します。ここでも相手の3センターの脇で受けた田上はファビオへ楔のパス。落とされたボールを大本がダイレクトでクロス。田上のヘッドはDFに当たったもののゴメスが詰めて最後は田上!先制!
まさに狙い通り。ビルドアップから中央へ相手を寄せて、3センターの脇から持ち出してゴール前まで運び最後はクロスから押し込む。クロスが上がった時にはエリア内に4人も入ることが出来ていました。

しかし、飲水タイムを含めてリードした時間はあっという間に終わってしまいます。
70分、中盤でのルーズボールを上夷が前線へ送るとマウロがトラップミス。これをウタカにかっさらわれてそのままフィニッシュ。同点。
マウロ痛恨のミスとなってしまいました。

でも、とはいえあのボールが出てきた時にどうすればよかったかと考えた時に、マウロは恐らくしっかりトラップして次に繋げようという意図だったと思いますが、その判断自体は間違っていないのだと思います。
解説の佐藤さんは「新潟の2CBの処理のミスが何度か目立っていたんですよね」と仰っていましたが、それは確実にマイボールとして収めて、そこから丁寧に繋ごうとするが故に起こっていたものでしょう。
そうであるならシンプルに個々人の技術を上げていくということにフォーカスしてもいいのかなと思います。あそこで後ろからウタカが迫っているのを感じて簡単に逃げてしまうというのは今季のやろうとしていることとは相反するわけです。
もちろん、時にはそれに縛られずセーフティーに蹴り出した方がいい時もあるのでしょうけど、う~ん……ここは難しいです。はい。

それでもこの日はすぐに取り返してくれました。
75分、田上からのクロスをファビオが落としたボールはクリアされますが、これを舞行龍が拾ってゴメスへ。完全に相手を背にした状態で受けましたが、見事なターンで曽根田をかわすと、ファビオとのワンツーでエリアに入ってシュート!勝ち越し!
「いつも練習でやっている」とのことでしたが、堅い5バックの壁をスムーズなワンツーで完璧に崩し切ってくれました。
またこのゴールに至るまで、右から左、左から右とじっくりボールを動かしていたからこそ、ゴメスに入った時に曽根田も先に外側へ周ってインターセプトを狙ったと思いますが、そこをゴメスは冷静に見極めて縦に入っていきました。素晴らしい。

さて、再び勝ち越してからすぐに新潟はファビオ、至恩→テセ、ロメロを投入します。対する京都の方は曽根田→谷内田を投入。守備のスライドで消耗の激しいインサイドハーフを入れ替えてきました。
残り10分強は当然京都もギアを上げてくるということで基本的に相手の攻撃をしのぐ展開となります。

79分、80分には自陣で失ったところからウタカのシュート、さらに左サイドからウタカのクロスとゴールに迫られますがいずれも史哉の素晴らしいカバーで守り切ります。
87分にも左サイドからウタカが味方とのワンツーで抜け出してクロスを上げましたが、ここも史哉が相手より前に出て必至のクリアを見せます。このプレーで足をつってしまいましたが、史哉らしい要所を抑えるクレバーな守備でチームを救います。
もちろん守備陣だけではなく、途中から入ったロメロとテセなんかがフィジカルを活かしてボールをキープしたり、うまくファールをもらったりしてチームに貢献していました。

試合終了、1-2。
終盤京都はバイスも上げて押し込んできましたが確実に跳ね返して締めました。

3センターの脇という狙い

新潟がボールを持ち、京都が5-3-2のブロックを敷く中で相手の3センターの脇を狙うということがよくできていたということで、それについていくつか書いてみます。

まず前半14分。
京都が5-3-2でブロックを敷く中で、中央でボールを持った福田へ島田が近づいて受けてマウロへ渡し、再び福田を経由して史哉へ展開したシーンです。

福田が中央でボールを持っているところで、島田はあえて中央の狭いスペースに入ってボールを一旦受けていました。ここで受けることによって京都の2トップと3センター(特に3センター)を物理的にも心理的にもさらに中央へ寄せることに成功します。
それによって3センターの脇に入った史哉にはそれまでよりもわずかではありますが時間とスペースにゆとりが生まれることとなりました。
またその際にマウロが福田へダイレクトで出した判断も、なるべく史哉に余裕を提供するという意味でナイスプレーでした。

ちなみに先制点のシーンも振り返ると、舞行龍から島田に入れたところでまず相手1人を引き出し、さらに再び舞行龍がもらったところで福田も下がることでもう1人相手を引き出しました。それによって田上は完全に3センターの脇、それどころか斜め後ろで受けることが出来て容易に持ち出すことが出来ていました。
またハイライトを見ていただいても分かると思いますが、福田は下がりながらちらっと田上を確認していたので、下がり過ぎて舞行龍からのパスコースを塞がないようにもしていました。

もちろんそこばっかり狙っていたわけではなく、ボランチがサイドに下りて3センターを高い位置まで引っ張り出してから、外に張っているSHもしくはSBとワンツーで内側を抜け出すという運び出し方も見られたので、上手にいくつかの方法を使い分けながらできていたこともナイスでした。

守備の効果

そして関連してもう1つが前半15分。
先程挙げた14分のビルドアップからボールを動かしてバイタルを狙いますがカットされてしまいます。
仙頭がそこから抜け出してあわやカウンターという場面でしたが、田上が素早い反応で止めて最終的にはマイボールにしたシーンです。

3センターの脇にSBが入るということはビルドアップにおける役割だけでなく、こうしてカウンターを防ぐ守備の部分でも効果を発揮していました。
実際このシーンのようにハッキリとその守備としての効果が見て取れた場面は多くなかったかもしれませんが、いわゆる“偽SB”的なスタイルの運用が攻守にしっかりされていたということで、これもナイスプレーでした。

浮かれ過ぎずに次へ

いいところばっかり書いて自分が浮かれ過ぎてしまわないように、いくつか課題も挙げておきますが、例えばSBや善朗、中島あたりが内側に入ってボールを受けた時に、もう少し受け手が大きなアクションを起こしてもいいのかなと思う場面があったり、またはせっかく2人くらい斜めのポジションで立てている時にスルーを使ったりということがあってもいいなと感じました。

あとは後半の立ち上がりに散見された、ブロックの外で動かしつつ急所を探る中で、相手にアプローチを掛けられて失ってしまうシーンというのは、もう少し意識して気をつけないといけないかなと思います。

細かい事を探したら当然まだいくつかあるのでしょうけど、まあこんなもんでいいでしょう。自戒も込めてとにかく浮かれ過ぎないようにということが大事です。

もう次の試合は水曜日にやってきます。
これも京都戦に続いて大事な大事なゲームです。
わくわくしながら楽しみに待ちたいと思います。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。