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オレラグ

飲み込まれたり温められたり【戦評】第40節 ザスパクサツ群馬戦

2020年12月15日

こんにちは。

これを書き始めた現在、日付替わって月曜の深夜1時過ぎなんですけど、時折吹く強い風、強い雨、そして雷が轟いています。さっきあまりの音と光に驚いてビクっと肩をすくめたら肩をつりました。
まあそんなことはいいとして、今週からはいよいよ雪も降るということで、そんな時期に行われた今節、もうほんとにめっちゃ寒かったです。

一応公式記録だと5度となっていましたが、間違いなく体感はもっと低かったでしょう。プレーヤーのことを考えると7月8月よりこの時期にやった方がいいのは分かっているので何とも心苦しいところではあるのですが、やっぱり冬の新潟でサッカー観戦はたとえ雪が降らずとも堪えます。というか雪が降ったら開催もできません。

この日程はイレギュラーな今年限りであってほしいなと改めて思いました。

スタメン

はい、連敗です。
しかもやられ方もつい最近見たことがあるような、非常に既視感のあるものでした。つくづく頭の痛くなる思いです。
ホーム最終戦、いつも通りスタメンから振り返ります。

まず新潟ですが、前節からの変更は舞行龍が帰って来たということと、システムを4バックへ戻したということでした。
対する群馬の方は前節からの変更が3人。

まず2トップの一角が青木ではなく3試合ぶりの林。
そしてDFラインには共に2試合ぶりとなる渡辺、平尾が入り、前節は左SBだった飯野を右SBへ移してきました。
展望では左サイドを予想していたのですが、ほんとにまあ当たらないですね。4つの数字が揃えばおまけでもう1本っていう自販機のあれくらい当たらないです。
今季もあと2試合、1つくらいビシッと当てたいところです。

前半

梅山さんも仰っていましたが非常にいい入りができていました。
最初の1分くらいのうちに2回高い位置からの守備で引っかけるシーンもありましたし、2分にはサイドチェンジから右サイドで至恩、善朗、中島が絡んだところからテセへ絶妙なスルーパスが通るチャンスも作ることが出来ていました。

立ち上がりから2回あったCKでは中の動きを替えつつも、ゾーンで守る相手を考えてファーサイドを狙う意図が窺えましたし、かと思えば左サイドからあったFKでは島田がニアサイドに低く速いボールを入れるという違ったアイディアも見せていました。
また、入れて一旦落として縦パスというテンポのいい運び出しも両サイドで見られましたし、和輝のキックは基本サイドの選手に送ることを考えつつ、相手のマークに嵌ってしまっていればサイドの裏のスペースに送るといった的確な状況判断による使い分けもできていました。

そして何より守備の部分です。
梅山さんも「本来のプレーができている」と仰っていましたが、全体をコンパクトに保ち、前線2人がコースを切りながらしっかりアプローチを掛け、前に入れてきたら複数人で囲んで奪うというのが随所に見られました。
やはり久しぶりに1週間空いたという事実は、反応スピードや足の運びにもよく表れていたのかなと思います。

そんな展開の中でしっかり先手も取れました。
20分、少し舞行龍のパスがズレますが、こぼれ球をゴメスが前線へ送ります。DFがクリアし損ねたボールはテセへ流れてそのまま持ち込みシュート。
一旦はGKのセーブに遭いますが、こぼれ球を拾った至恩が丁寧な落とし。
走りこんだゴメスがドン!先制!
抜け出した後、DFに寄せられながらもしっかりファーのコースへシュートを狙ったテセがまずはさすがでした。また至恩もCKになるボールを妥協せず残して思いやりしか感じない丁寧なボールを落としました。

そしてゴメス。
あれだけ勢いよく走り込んだ場合、歩幅の調節もありますし、丁寧過ぎて蹴りやすいが故に力が入り過ぎて思わぬ方向へ飛んで行ってしまう可能性もなきにしもあらずですが、ゴメスであればそれらの心配は必要ありませんでした。
落とされたボールが多少内側だったこともありますが、キックの際に振り切るのではなくインパクトのまま押し出す感じで浮かないようにという工夫がされていたかと思います。さすがでした。

飲水タイムを挟んで前半の残り半分も基本的にはいいリズムでプレーできていました。
何度か左サイドの加藤を起点にして抜け出されたり、アーリークロスからゴール前の林にボールを入れられたりというシーンはありましたが、舞行龍もコメントしていたように「そんなにチャンスを与えないで」できていました。
それもやはりコンパクトな陣形を基礎とした強度の高いアプローチと組織的な守備によって成されていたのかなと思います。

だからこそ、34分の至恩と中島のパス交換から最後テセがシュートを放った決定機を始めとして、いくつかのチャンスシーン、シュートを決めておきたかったなという感じでした。
結局そんな悔いる感情は試合後、さらに増幅されることになってしまいました。

前半終了、1-0。

後半

どちらも交代なく始まった後半ですが、右サイドから善朗のクロスにテセが飛び込み、最後は中島がシュートを放ったように、最初に見せ場を作ったのは新潟でした。
しかし、その直後にやられます。

47分、一旦はカットした舞行龍はヒールで史哉へ繋ごうとしますが、ここの意思疎通が合わずすぐに失います。
田中、大前、林と繋がれて右サイドからのクロス。ファーサイドでフィニッシュを担ったのは加藤でした。同点。

さらにその3分後でした。
自陣で繋ごうとしていたところを激しいプレスで奪わると、中央への楔も入れられつつ逆サイドまで運ばれます。
左サイドでもらった平尾が右足でクロス。このクロスボールに対しては数的不利になっていながらも史哉が先に飛んでしっかりクリアしたのですが、こぼれたボールをフリーで待っていた飯野がシュート。
あっという間に逆転されました。

とりあえず飯野のゴールはあの梅山さんの語彙力すら一瞬失わせてしまうくらいの見事なゴールでした。
しっかりボールを見た上で丁寧な軸足の踏み込み。そして力感のない非常にリラックスした状態を保った状態で、キックは少し切るような感じでわずかにアウト回転をかけて右隅に突き刺しました。
一応高校、大学時代と何度か見に行って陰ながら応援もしていた選手ですから、この日活躍が見られたというのは純粋に嬉しい事ではあったのですが……やっぱり悔しいです。

そして新潟としては、ゴメスも「同じ事を繰り返している」とコメントしていましたが、まさにここ最近見覚えのある展開に今節も陥ってしまいました。

さて、これも栃木戦と同じでしたが、逆転されてからようやく落ち着いてボールを動かせるようになってきます。しかし、当然ですが群馬も意気が上がっていますし、それと同時にリードしたことでリスクマネジメントも意識してきますから、新潟としては攻め切れない難しい展開となります。

60分過ぎに両チームとも交代。
群馬は林→青木という2トップの一角を入れ替えます。
新潟の方は田上→荻原。史哉を右に移して左サイドから荻原の突破力に期待を掛けます。

しかしボール保持は落ち着いても、アグレッシブな守備、そしてそれを実現するためのコンパクトな陣形というのが前半のように表現できず、ボールは持てても自分達のリズムでできている感じはしないまま時間が過ぎます。

飲水タイムを挟んでから新潟は2列目3人の配置を、左に至恩、右にゴメス、トップ下に中島へと入れ替えます。
さらに75分にはゴメス、テセ→シルビ、矢村を投入。
直後には史哉を左のCBへ移して後ろを3人にし、ワイドに中島と荻原、至恩がトップ下でシルビと矢村の2トップという3-5-2へとシステムを替えました。

形を替えてからは中島が何度か個で打開してチャンスメークするシーンがありましたが、なかなか決定的なチャンスとまではなりません。
85分には至恩がライン間で受けたところから右の中島へ渡り、カットインからニアを狙ったシュートもGKの好守に阻まれます。
直後のCKも、島田のボールに史哉がドンピシャで合わせましたがカバーに入っていた岩上がライン上でクリアしてゴールとはなりません。

群馬の方は82分に右SH田中、左SB平尾→ボランチが本職の金城、CBもできる舩津を下がった選手と同じ位置へ投入。
さらに終盤にはFW大前→CB川上を入れてこちらも5バックへ移行し、左SH加藤→宮阪も投入して着々と守備を固めて逃げ切り態勢を図ります。

アディッショナルタイムに入って+2分、今度は左から善朗のCKにマウロがドンピシャで合わせましたが、これは無情にもポストに弾かれてゴールとはならず。

試合終了、1-2。
再びの連敗。結局ビッグスワンでの試合は11月8日の北九州戦で勝った後、4試合を1分3敗で今季はおしまいということになってしまいました。
残念、無念。

繰り返さてしまう現状

今回も後半の立ち上がりでした。
逆に言えばほとんどあそこだけと言ってもいいでしょう。だからこそ余計もったいないプレーや時間帯に感じられましたし、それが結局最後まで重くのしかかってしまうこととなりました。

ゴメスもそういう趣旨のコメントをしていましたが、ちゃんと意識して声を掛け合ってはいたようです。
しかし明らかにテンションとかギアを上げてきている相手に対してどうにも合わせられてないのが気になります。そもそもそこに合わせる必要なんてなくて、その上げてきたテンションやギアを空転させるように、大きくプレーしたり、多少アバウトなボールを送ったりという状況に応じた選択ができていないように感じられるのが何とももどかしいです。

これも結果論だと言われればまあそうなんでしょうけど、ここ最近同じような失敗をしていたことを考えれば、予測してそういう判断をチームとして統一できなかったのか、と問われても致し方ないのかなとも思います。

また、こう言っては何ですが、いくら注意していたとしてもアクシデントやミスなんかで1点くらい取られるものです。サッカーはそういうものだと思っています。
だからこそ、1点取られた後のリアクション、何となくそのまま引きずってしまっているように見えるのが非常に悩ましいというか厳しいなと思わざるを得ません。
これもチームとしての意識の統一という部分でしょう。

一応付け加えておきますが、気が抜けていたとかやる気といった話ではないのかなと思います。これは前も書いたかもしれませんが、それでどうにかなるほどサッカーって簡単なものとは思えません。
そういったことが根本として大事なのは間違いないことですが、失敗の要因を考える時に最初からそこが挙がるのはあまりに安易かなという気はします。

まだ諸々思う事はありますが、あんまり脱線してもいいことないでしょうから、はい、この項終わり。

より恐いプレー

もう1つ思った事としてビルドアップの話しを図も交えつつちょっとだけ。

まず前半21分です。
実際に起こったプレーを先に文章で説明すると、後ろでボールを動かしている場面で、舞行龍から和輝に戻し、和輝は再び左に開いた舞行龍へ渡し、舞行龍は長いボールを送ったのですが受け手とタイミングが合わず相手ボールになったという場面がありました。

そして1枚目の図です。

これは和輝にボールが渡ってから、以前というか本来のプレーが出来ていた時期であればこうして動かせていたのではないかというイメージです。
中央に島田がいて、そこに相手のボランチも1人寄ってきている中で、それでも島田に入れてワンタッチやツータッチで右のマウロへ展開という組み立てができていたように感じました。

一旦島田へ入れることで、まず前へ出てきた相手ボランチをより引き付けて後ろにスペースを作ることが出来ます。さらに島田から仮にマウロへ展開されたとすれば、左SHの加藤が出るか留まるかの判断を迫られます。ここで出てきたら田上or善朗を使えばいいですし、出て来なければマウロ自身が運び出してより高い位置に人数を掛けるといった状況ができるでしょう。

そしてもう1つのシーンが2枚目の41分。
左から右へやり直して、ボールをもらったマウロが田上へ渡した場面です。

これも史哉からマウロへボールが移動し、それに伴い相手もスライドをする中で、このくらいの群馬の守備の距離感であれば、田上に出すフリをして間に立っている中島へ楔のパスを入れるようなこともできていたように感じます。

つまり、いいリズムでできていたこの日の前半でも、やっぱり以前に比べると見えている範囲なのか、それともチャレンジする意識なのか分かりませんが、いずれにしてもビルドアップの際にあった余裕はかなり減退しているように改めてですが感じてしまいました。
1つ目に挙げた21分のシーンでは、じわじわプレッシャーを掛けて来ていてDFラインも高くしてきている群馬に対して、実際に行われた長いボールを裏へ送るという選択は決して間違った選択とは言い切れないでしょう。
ただ、群馬はこれで容易にボールを回収することができていましたから、そういう風に考えると、図にしていただいたような相手にとってより恐いプレーや嫌らしい選択というのが実行できなくなっていることを実感させられた気がしました。

最後に

すごいなんてことは今更ではあるのですが、それでもこの日の至恩は特に目を見張るものがありました。
ドリブルやキープ、アシストのパスなど攻撃面はもちろんですが、何と言っても守備。テセと共にプレッシャーの先導役を担っていたわけですが、ボールホルダーへ寄せる強度もさることながら、単純にコースを消す動きに加えて、背後からスッと狙ってインターセプトしていたプレー、さらに相手のパスを読んで本来リアクションである守備をアクションとしてプレーできていたのは圧巻でした。

また、同点に追いつかれた直後にまずキーパーとして和輝が「切り替え!切り替え!」と声を出して手を叩いていましたが、それと同時に至恩が前線から手を叩いて鼓舞している姿も非常に頼もしく、そして逞しく感じました。

こうして最後に書き残しておきたいと思わせるくらいこの日の至恩のプレーは光っていました。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。