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オレラグ

前を向いて歩く、彼のように【Review】第28節 ファジアーノ岡山戦

2019年8月19日

痛い。
8月は大事な戦いと心して臨みながらの連敗は痛恨の極みであり、ショッキングです。
ただ、ショッキングと言いつつも、これが想定もしていない突然襲われた悪夢とか、偶発的に起こった悲劇ではなく、心のどこかで十分に考えられたことでもある気がしてしまうのが非常に悔しいというか、歯痒いというか…。
それはつまり下のチームには勝てても上のチームには勝てていないという現実。
今、この立ち位置に甘んじてしまっているということを真っ直ぐに突きつけられた気がしてしまいます…。

メンバー

まずは両チームのメンバーを振り返ってみます。
新潟は前日コメントで吉永さんが「使います」と明言されていた通り、加入したばかりの舞行龍が早速スタメンに入りました。ポジションはCBに入り、將成が右SB、新井が左SBへと移りました。
また、前節体調不良で欠場したレオは無事戻ってきていつも通り最前線に入ります。
そして、ついに史哉が公式戦のメンバーに帰ってきました。
これについては最後にちょっとだけ書きます。

対する岡山のメンバーは、琉球から期限付き移籍の増谷、松本から同じく期限付きで加入した山本が揃ってスタメンに名を連ねました。
増谷は右SB、山本はFWに入ります。

前半

まずコイントスで岡山のキャプテン仲間がエンドを替えてきました。
特に強い風が吹いていたわけでもなく、芝のコンディションに違いがあったわけでもないように見えたので、連敗を止めるとか、相手のホームだから少しいつもとは違う違和感を与えるとか、そういう雰囲気を変えたい意図かなと想像しました。でもすみません、真相は分かりません。

立ち上がりにお互いセットプレーからゴールへ迫ります。
新潟は4分。一旦奪われかけたところをサチローが拾って得たFK。善朗のボールにファーサイドのカウエが足を伸ばしますが触るので精一杯。
岡山は7分。左サイドから上田のFKにニアで山本が飛びこみますが届かずDFがクリア。
セットプレーの守備はこのシーンが最も顕著だったのですが、完全にやられてはいないけどマークを外されたり付き切れていなかったりという、一時期失点が続いた悪癖が垣間見られるようになっている気がしました。
14分のクイックで始められたCKも事なきを得ましたが、ちょっと不安を感じるシーンはいくつかあったように思います。

前半20分頃の時点でポゼッションは45% vs 55%とほとんど同じで、どちらかにポゼッションが大きく偏るという感じではありませんでした。
ただ、新潟の方は時間を経るごとにボールを持っていても持たされている印象が色濃くなっていた気はします。これはボールの動かし方の問題と同時に、試合の立ち上がりは中盤かそれよりも少し前で奪ったり引っかけたりできていたのが少しずつ取りに行けなくなり、攻撃の始点自体が下がってしまって余計に時間がかかってしまうような状態にさせられたことに、そもそもの問題があるような気がしました。
逆に言うと新潟が取りに行きづらいような攻撃時のポジショニングや、ボールを動かすリズムが出せた岡山がよかったとも言えるかもしれません。
それでも、自陣でブロックを作って守る分には我慢強く対応していましたし、山形戦の反省点であるサイドのボールホルダーに時間と空間を与えないように寄せるところは意識されているようにも感じました。

しかし、32分。
左サイドから仲間の仕掛け。將成が付いて行って一旦スピードダウンさせます。フォローに来た椋原はワンタッチで関戸へ戻すと、関戸は中央の上田へパス。上田がワンタッチで出したスルーパスに反応した仲間がDFの間をうまく抜け出してシュート。失点。
綺麗にサイドから崩されました。
仲間には將成、椋原にはフランシス、関戸にはサチローと最初はしっかり3対3の状況で守れていました。しかし関戸にボールが入って仲間が中へ入ったところで將成とフランシスのマークは入れ替わっていました。入れ替わっていること自体は状況に応じて必要なことではあるので咎められるものではないと思いますが、結果的にこの隙を中央に入ってきていた上田に見事に突かれてしまいました。

36分にカウエの縦パスを新太がエリア内で受けてシュートに行ったシーンや、41分のこれもまたカウエのスルーパスにフランシスが抜け出しかけるも合わなかったシーンなど失点後も気持ちを落とさずすぐに反撃に出ます。
ただ、岡山ベンチの「裕介(田中裕介)!カウンターだけ気を付けろ!」といった声がマイクに入っていたように1点リードしたことで岡山は落ち着いて無理なくゲームを進めます。
そして、新潟ベンチの「動かせ!動かせ!」という声もマイクに入っていましたが、ボールを持っているけどなかなか勝負に出られない展開は失点後も続きました。
また、フランシスが抜け出しかけた直後にレオと田中が少し言い合っているシーンがカメラに抜かれていましたが、このへんからどんどん判定へのフラストレーションが分かりやすく表出し始めてもいました。

前半終了、0-1。

後半

早々の48分、左サイドからテンポよくつながれて、椋原のクロスに山本がフリーであわせますが大武がなんとか体を張ります。
このシーンを筆頭に、味方のスローインに誰も反応できていなかったり、ルーズボールに誰も行かず奪われてピンチになったり、90分を通じて急に電池が切れちゃったようなプレーがいくつか見られたのは非常に残念と言うか、どうしたんだろうと心配になってしまいました。

50分、新潟ベンチは早くも動きます。新太→シルビーニョ。
シルビーニョとレオが前線中央で、善朗が左に回りました。
すると投入直後、右サイドに流れて受けたシルビーニョがクロスからチャンスメークして見せ場を作ります。
56分にも右サイドからシルビーニョがクロス。逆サイドに流れますが左サイドで新井が拾うと、中央のカウエがワンタッチで縦パス。エリア内で善朗が受けてシュートはDFにブロックされます。
さらに62分にも舞行龍のくさびをシルビーニョが受けると、少しタメを作ってからパス。フランシスが右サイドから勢いよく走り込んで行きますがDFに跳ね返されます。こぼれ球を新井が拾ってシュートに持ち込みますがGKにキャッチされました。
ただ、シルビーニョが積極的に顔を出して起点となるプレーを見せてくれたり、後半頭から舞行龍と將成の位置を入れ替えたことで縦パスもスムーズに入れられるようになったりしていました。

しかし、新井のシュートの直後でした。
一森のパントキックをイ・ヨンジェがヘッドで流すと、山本が抜け出して落ち着いて流し込みます。痛すぎる追加点。
解説の勲さんが仰っていた通り「人数は揃っている中でカバーが遅れてしまった」ことで「最短距離」でやられてしまいました。
山陽新聞デジタルの試合評の最後にも「新潟は軽率な守備が目立った」と清々しいくらいバサッと指摘されましたが、このシーンはまさにそんな軽率な守備の一例だったのではないでしょうか。辛い。

岡山は66分に増谷→廣木、74分に山本→中野と新加入選手を下げました。強度は落とさず、またオーガナイズも継続してゲームを進めます。
新潟は69分にフランシス→至恩、75分には舞行龍→凌磨でサチローを右SBに下げて、右SHに凌磨、左に至恩、カウエが1人中盤の底に残るような感じで善朗とシルビーニョは前目という感じに終盤はなっていました。
主なシュートシーンでいうと、67分のシルビーニョ、81分の善朗のクロスに走りこんだサチローなどがありましたがゴールは奪えません。

86分、岡山は上田→三村でゲームの締めに入ります。
新潟は最後までゴールを狙います。
88分には新井のスルーパスに至恩が抜け出してマイナスのクロス。レオが狙いますが椋原が見事なカバーで得点を許しません。
89分には至恩が左から得意の形で巻いたシュートを狙いますがこれは枠を外れます。
アディッショナルタイムに入っても右サイドから善朗のクロスにレオが滑り込んであわせたシーンなど、なんとか1点を奪いに行きますが取れません。

するとラストプレー。
一森のパントキックに抜け出そうとした中野を大武が引っ張ってしまいPK。
このPKをイ・ヨンジェにしっかり決められ万事休す。

試合終了、0-3。終わってみれば完敗であります。

問題はこっち側

先にジャッジの話を。
久々にレフェリーへ盛大なブーイングが起こりました。
試合後も善朗は、自分が見えた限り審判団と握手をしていなかったように見えましたし、大武も最後まで激しく詰め寄ってスタッフに制されていました。スタンドからは分からないコミュニケーションの部分でも何かうまくいっていなかったのかもしれませんし、いち新潟サポーターとしてももうちょっとうまくゲームコントロールしてもらえたらいいなと思ったのは事実です。

ただ、それと勝敗はほぼ関係ないでしょう。
例えば新潟がファールをしていないところでファールを取られて、さらに相手がファールをしても笛が無いとかであれば感じ方ももう少し違ったのかもしれませんが、そういう風には見えませんでした。
岡山のプレーに対して笛が少なく感じて不満に思う事は多少あっても、新潟のプレーに対して鳴った笛はそれなりにファールだと感じましたし、カードが出ても致し方ないものに見えました。
つまり、自分たち次第でどうにかできる範疇だったと思います。さらに、イライラが募ってファールが増えたり不必要なカードが出されたりというのはそれこそこっち側の問題です。

何が正しくて何が間違っているのか分からないことは多分にあると思うので難しいところではありますが、とにかく試合の内容云々よりも真っ先にジャッジに矛先を向けるのはあんまり賢明な振る舞いとは思えませんし、せっかくのサッカー観戦、せっかくのアルビレックスの応援が、楽しくないものになりかねないと思うのでお勧めはしません。

取りどころという課題

サッカーの話します。
前半は57%、試合を通じても55%の比率で左サイド(岡山から見て)から攻めてきていた岡山。これは右SHの上田が中央に入ることで右サイドから中央のエリアで作ったのち、左の仲間が仕掛けるという狙いが数字にもよく出ていたと言えそうです。

12分40秒からのシーン。
岡山の2CB+関戸に対してレオと善朗で3vs2。中盤にはこのシーンの場合仲間も中へ入ってきていましたが、上田、喜山、仲間が中央にいることで新潟のボランチだけでは数的不利になるため新太とフランシスは中を締めて中盤4人で対応します。岡山から見て右サイドへ開いた田中へボールが渡ると新太が取りに行きましたが、そうなると元々のマークである増谷には新井が前へ出て捕まえに行きます。するとその裏のスペースに2トップが流れて起点を作られました。

またそれ以外にも、岡山の2CBに新潟の前線2人(善朗、レオ)、岡山のボランチ2人+上田に新潟のボランチ2人というシチュエーションで、2CBにプレッシャーへ行っても、相手のボランチがうまくSBの位置に下がりサポートするところを新潟のボランチは上田がいるために無暗に前へ出られないため、容易にサイドから前進されてしまうということもありました。

上田のポジショニングやSBが高い位置を取ること、さらに2トップがサイドに流れるプレーに対して、新潟は奪いどころを明確にできず、少しずつズルズルと後退して対応する形になってしまったのかなと感じました。

ボールを持った時の課題

攻撃でも結局持たされて停滞したわけですが、勲さんも仰っていた通り「背後へのボールが少ない」のは気になりました。
もちろん舞行龍からレオへの良いフィードがあったことも忘れてはいけませんが、それはそれとして、もっとアバウトにでもシンプルなボールでチャレンジしてもよかったのかなと思います。せっかくスピードのあるフランシスや、ガチャガチャとなってもマイボールにできるレオが新潟にはいるわけですし、反則は反則でもオフサイドは何度だってやってもいい反則ですから。
これは別に縦ポンサッカーを推奨しているわけではありませんが、オフサイドがゼロという数字からも、試みる回数を増やすことは必要ではないかなと感じました。

また、サチローがコメントしていた「ゴールに向かうパワーとそれを出すタイミングの共有」の部分も課題として残りました。
特にタイミングの方が気になったのですが、基本的な1人1人の持つ時間が探り探りで長くなってしまい相手を動かせなかったり、サイドチェンジしても受けたところで結局時間がかかって相手のスライドが間に合ってしまったりというのは特に前半よく見られました。
ここに関しては後半すぐに修正したとはいえ、將成と舞行龍の立ち位置(將成は守備を期待されてのSB器用だったそうですが)や力強く持ち出せるゴメスがいなかったところはどうしても気になります。練習を見られていないのでどういった経緯でこの決断になったか定かではないのであんまり指摘できることでもないのですが、ちょっと気になったというか疑問に思ったのは事実でした。

そんな中でも、シルビーニョの受ける意識やサチローの思いきったスペースへのランニング、さらに相手が取りに行きづらく、縦パスへも反応しづらくなる至恩の横へのドリブルがあったことはポジティブな点として忘れずに付け加えておきます。

史哉について

最後にちょっとだけ史哉について書いて終わります。
ついに史哉が公式戦のメンバーに戻ってきました。
この日の朝のFM-PORTの番組でも立石さんがひょっとするとなんていう話を紹介されていたので、正直この日はずっとそわそわしていました。

もちろん、ここがゴールではないのでしょう。実際にピッチに立つことが次のステップになるのだと思います。それでも、こうして公式戦のメンバーに入っている史哉へコールができる、もっと言えばアルビレックスのジャージを着てメンバーの一員として聖籠にいてくれることがもう既に、ただただ嬉しくて堪らないのです。

「これからも自分自身を楽しみにしたいと思います」と試合後にコメントしていましたが、そんな風に言える彼はU-15の高円宮杯でアルビレックスをファイナルまで導いた時も、U-17のW杯で日の丸を背負って戦っていた時も、筑波で身長のディスアドバンテージなど物ともせずCBとしてクレバーなプレーを見せていた時も、そして病気という大きな敵に対しても強く強く立ち向かっている時も、ずっと変わらずとにかくかっこよくて、尊敬して止まない人物です。
そんな彼を応援できる、そんな彼と今こうして一緒に戦えるということは大きな幸せです。

やっぱりちょっとまとまらないですね。
とにかく、こんなに嬉しいことはありません。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。