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オレラグ

イベントは十分に楽しみたい【Review】第29節 ツエーゲン金沢戦

2019年8月26日

試合が終わって帰ろうと思い自転車置き場へ戻ったら、自分の自転車のカゴに綺麗に飲み干された某コンビニコーヒーのカップが置いてあり、さらにちょっとその場でスマホをいじっていたら割と大きな虫が自分の腕をテクテクテク…。
普段だったら、「どうして人のチャリにこうやってゴミ捨てられるかな」と腹を立てていただろうし、「うわ、マジか、ヒッ!」って腕をぶんぶん振って虫を払っていたでしょう。
しかし、「あら、ゴミ入っている」くらいのテンションで「あら、こんなでっかい虫珍しい」なんてしばらく腕を歩く虫を眺めてしまいました。
何が言いたいかというと、それらの出来事がもうどうでもよく感じて、怒ったり怯えたりするのが面倒になるくらい、ただひたすらに悔しく、苦しく、そして辛い。そういう話です。
そんな試合のレビューを書こうと思います。

あ、タイトルに深い意味はないです。いいのが思いつかなかったのでたぶんみんなが思っているであろうことをシンプルに付けました。
え?イベントやめろって文句を仰る方もいる?
あらら、それは何とももったいないですねぇ。せっかくあれだけ楽しいイベントもグルメがあるんですから楽しめばいいのに。まあ思う事は人それぞれってことなんですかね。よく分かりませんけど。

スタメン

新潟はプレビューでも書いた通り善朗が出場停止ということで、代わりに入ったのはやはりシルビーニョでした。
また、DFラインは前節の後半と同じく將成がCBで舞行龍が右SBという並びです。左SBにはゴメスが2試合ぶりに戻ってきました。

対する金沢は前節からの変更が1人。
左SBに今季初出場の小島を抜擢してきました。

前半

開始わずか3分でした。
藤村の右CKをニアで山根がすらしてファーサイドでフリーだった廣井がつめます。失点。
セットプレーに至るプレーについて少し。
コイントスでカウエがボールを選び、キックオフからプレスに来た相手を舞行龍がかわしてボランチへつけて、ワンタッチでつなぐとか、CKになる直前もゴメスからプレスに来ている相手の間に入ったカウエ、そしてサチローとボールを動かせていて、入りはいいように見えました。
しかし、そのサチローが受けて右の舞行龍へ展開するパスが弱かったのが気になりました。パスが弱いがために相手もボールの移動中に十分寄せられるとこまでスライドできてしまったことが、結果として直後に奪われてしまった一因だったように思えます。
改めて映像で見たら特別ボールスピードが遅い感じはしないので非常にわずかなことでしょう。また、仮に遅くてもわざと遅いボールで相手をおびき出して素早く空いたスペースや右のフランシスへ渡すところまで計算されていれば全く問題ないのですが、その直後に中央で失ったところから見てもそういったことは考えていなかったようなので、そうであればあのスピードはもう少し上げた方がよかったのかなと思いました。
これが影響したとは思いませんが、この日はちょっとサチローのパスがズレたり合わなかったりしている印象も受けました。

プレビューでは『やや新潟がボールを持つ展開になるのではないか』なんて書きましたが、早々と1点入ったことや、試合後ヤンツーさんも反省していたように金沢は奪った後の質が低くて簡単に失ってしまっていたこともあって、ややというか完全に新潟がボールを持つ展開になります。
その中で最初の大きなチャンスは16分。
少し内側で受けた舞行龍からのくさびをシルビーニョがフリックしてレオとのワンツーで抜け出し、さらにワンツーでゴール前へ侵入しましたがここはGK白井に阻まれました。
舞行龍がこのシーンのように少し内側に入ってビルドアップしていく形はもっとあってよかったのかなと思います。どうしても外に張っているフランシスと並んでしまっていることが多くあって良い連携を生み出せていないように感じました。

それでも、ここからチャンスが続きます。
18分、サチローのくさびをレオが受けて落としたボールを新太が左サイドのスペースへ送ります。走り込んだシルビーニョが低いクロスを上げるとファーサイドフリーのレオがシュート。白井に止められた後もう1回倒れながらシュートを放ちますが上へ外れました。
シルビーニョはやっぱりサイドから低いクロスでDFとGKの間に入れるのが得意なようです。
さらに、21分には大武のくさびをレオがうまく反転してシュートだったり、23分には内側で受けた新太のパスをシルビーニョがフリックで流してフランシスのシュートだったりと続けにシュートシーンを作りますが、金沢DFのブロック、そして白井のセーブでゴールを割れません。
畳みかけた中で点が取れないと、流れが相手に移ってしまい隙を突かれて追加点なんてことはよくある話ですし、経験もしてきているので懸念していましたが、この日は攻め続けて取り切りました。

30分、シルビーニョが高い位置で素晴らしいタックルによってボールを奪います。パスを受けたフランシスはシルビーニョとのワンツーで抜け出してクロス。ファーサイドで待っていたレオがフィニッシュ!今度はしっかり決めてくれました。
サッカー王国からやってきた3人による、いい攻撃はいい守備からとか、相手を抜くにはワンツーが有効とか、相手の視野から外れるようにファーに回るとか、サッカーの基本的なセオリーが散りばめられているようなゴールでした。muito bom!(素晴らしいとかナイスみたいな意味だと思うけど使い方が合っているかは知りません)

同点になった以降も33分のロングカウンターからフランシスのシュートや、1分後のサチローのフィードからレオが落としてシルビーニョのミドルなど攻め立てます。勢いのまま逆転まで持っていけていたら…なんてたらればを言っても仕方ないのは分かっていますが…。

前半終了、1-1。

後半

金沢はスタートから1人交代してきました。
山根→クルーニーを投入します。確かに振り返ってみると前節、前々節に比べて存在感はほとんど出せていなかったですし、もう1つの理由として、これは山根だけの問題ではないと思いますが、守備の面でヤンツーさんは試合後「2トップからの守備が機能していなかった」と仰っていたのでそのあたりのテコ入れという側面もあったかと思います。

前半同様入りは決して悪くなかったように見えました。
47分は右サイドで舞行龍がボールを残すと、中央のサチローへ渡し、さらに左のゴメスへ展開。新太とのパス交換からエリア内に侵入してチャンスの手前まで迫れていました。

しかし、こちらも前半同様、早い時間に失点してしまいます。
50分、左サイドまで来ていた大石のパスに内側を加藤が抜け出し、エリア内でフランシスが後ろから倒してしまいPK献上。このPKを大石に決められます。
右サイドは3対3で人数は足りていましたが、フランシスが戻り遅れてしまいました。
もちろん、フランシスの過失は大きいのですが、新潟の右側でサイドに起点を作られてから内側を割られた失点は2試合連続です。前節の試合前に新加入の舞行龍の起用に関連して吉永さんはこれまでの良いものを崩す恐れがあっても使う、というようなことを仰っていましたが、こうして悪い結果が続いてしまえば、その判断にも疑問を持たざるを得なくなってしまいます。今節に関しては新井がケガだったらしいという情報も聞いたりしたので(間違っていたらすみません)難しいところではありますが…。

金沢の2トップからの守備が前半に比べて寄せるところはしっかり寄せてきて、またSHを始めとした後ろとの連動もよくなったことで、前半幾度も中央に入ってボールを受けに顔を出しながらリズムを作っていた新太がボールに触れなくなって新潟はビルドアップに窮するシーンが増えます。
金沢の奪った後の質の悪さはそれほど変わっておらず、すぐにマイボールにすることはできていたので、シルビーニョの直接FKを始め、CKやクロスボールから単発ではありますがゴールに迫るシーンは作れていて、試合のペース自体を持っていかれた印象はありませんでした。
それでも、やりたいことができずに停滞している感じも否めませんでした。

ところが、67分に右サイドから舞行龍のクロスをレオがヘッドという決定機を作った直後に歓喜が訪れます。
セカンドボールを拾った新太がゴメスへつなぎ、ゴメスがワンタッチでレオへ入れると、ゴール前で倒されてPK!
68分、このPKをレオがしっかり沈めて同点!
あの独特な助走もわりと見慣れてきましたが、これで通算14点目ということで得点ランキングも5位まで上がってきました。

“さあ、残りはまだ20分もある中で追いつけた。これは至恩投入でまた昨年のような最高のシチュエーションが整った”なんて思った矢先の72分。
藤村の右CKに山本がヘッド。サチローにあたり、加藤に跳ね返ったボールを加藤自ら蹴り込んで3点目。
またもやセットプレーでした。
CKになる過程はカウエが出しどころを見つけられず囲まれてしまって奪われた流れからで、その後マークのポジション取りのところでもカウエは不必要にイライラしていました。この場面を筆頭にカウエはちょっと不安定なプレーが散見されたような気もしますが、失い方が悪いのとセットプレーの苦手意識は別の話。
何せこの試合CKは3本しか与えておらずその内の2本を決められているわけですから。
舞行龍は「ちょっとした集中」、大谷は「毎回言っているが準備が遅い」といった課題を話していました。大谷も「毎回言っているが」と付けたように、これらの言葉を聞くのは今日が初めてじゃないはずなのでどうにも歯痒く感じます。
それでもこれは個人個人の取り組み次第で解決できるのか、やっぱりチームとしての守り方にもう少しメスを入れる必要があるのか。
メンタルコーチの次はセットプレーコーチを望んでしまいます。誰か助けて。

76分新潟は2人同時に替えます。
新太、舞行龍→至恩、凌磨を投入して、至恩はそのまま左SH。凌磨はシルビーニョと共にインサイドハーフのような形でカウエをアンカー的に残した4-3-3のような形になっていました。
対して金沢は79分、加藤→金子をそのまま左SHに投入します。

新潟は85分、フランシス→貴章を投入して右サイドにシルビーニョ、ボランチに凌磨、貴章とレオの2トップでパワープレーから強引にでもこじ開けに行きます。
すると、89分。將成のフィードを貴章が競るとエリア内のレオが収めたところで倒されます。PKゲット。
このPK、レオがいつも通りゆっくりとした助走からさっきと同じ左を狙います。しかし、白井のファインセーブ。やっちまった。
白井は助走の時にちょっと右手を広げて駆け引きしているようでした。この試合何度か大きなセーブがありましたが、最後に勝ち点3を手繰り寄せたという意味でも白井がMOMといって差し支えないでしょう。

試合終了、2-3。
金沢は今季2度目の3連勝だそうで、反対に新潟は今季2度目の3連敗となりました。

狙い(シルビーニョ)と機転(新太)

新太が前半の戦いについては「感触はよかった」と話していましたが、見ていてもそれは感じました。
ファーストプレーで舞行龍がプレスに来る相手をかわしたプレーだったり、縦パスをフリックしてかわしたり、ワンツーで相手を置き去りにしたりというプレーは、しっかり人を捕まえに来る、かつその寄せのスピードが早い金沢に対しては有効です。それも踏まえてフリックとかレオやフランシスとの連携で特長を出せるシルビーニョを選択したであろう起用も含めて、狙いは感じましたし、それを実行することもできていたように感じます。
試合前のインタビューでヤンツーさんは新潟に対して、「幅を使って個で1対1を作ってそこを打開する」という印象を仰っていたので、そのコメントからしても金沢からすると多少違った表情を新潟が見せてきたことで対応しきれなかった部分があったのではないかと感じました。

また、新潟がボールを持つ中で「感触はよかった」と話していた新太自身も非常に機転を利かせたプレーをしていたことは記しておかないといけないでしょう。
中央に入って攻撃のスイッチとなる縦パスの受け手という役割だけでなく、ボランチやSBからボールを受けてシンプルに逆へ動かすという、リズムを作る働きもしてくれていました。善朗の不在を補おうという意識があったのかどうかは分かりませんが、いずれにしろ非常に効果的なプレーを見せていました。

アタッキングサイドの偏り

しかし、後半になると上にも少し書きましたが、金沢がまず2トップからの守備を厳しくしてボールの出所に十分な制限を掛けてきました。また中盤、特にSHが連動して前から行く時は行く、中を締める時は締めるとハッキリ、そして素早く前進なり横へスライドするなりするようになって、新潟としては金沢の2トップの横から金沢のボランチの手前に入れて起点を作ったり、SHとボランチの間に縦パスを通したりすることが減ったような印象を受けました。
これによって、前半は左サイドから新太が中央に顔を出してボールを受けて、そこから中央なり右サイドから突破を試みるシーンを作れていましたが、新太の受ける回数が減ってしまい、最初から右サイドにボールが入ってそのまま攻撃が右へ寄ってしまって、金沢としては守りやすくなったのではないかと思います。
データでも前半31%と出ていた右サイドの攻撃比率は、試合後43%へと上がっていました。

それでも、右サイドからシンプルなクロスで決定的なレオのヘディングまで持ちこんで、結果的にPKを取って追いつけているわけですから、脈略なく押しきって取れるポテンシャル(リーグ2位の得点力とはまたちょっと違うと思いますが)はあるだけにもったいない気がしてなりません。
その脈略なく押しきれるポテンシャルをもっと発揮できるようになりたいですし、あとは何より取った分より取られるのはなんとかしたいとつくづく思ってしまいます。

消された狙い

後半の金沢の修正でもう1点。
前半の新潟はフリックとかワンツーで崩すシーンがいくつかありましたが、後半はそれにアジャストされてしまい消されてしまいました。
例を挙げれば、下図の6分のサチローがダイレクトのヒールパスでレオへつないだシーンや、16分のレオとシルビーニョのワンツーからエリアへ入っていったシーンで、起点となった舞行龍からのくさびをシルビーニョがフリックでレオへ入れたシーンなどがありました。どちらも金沢は素早くボールホルダーへ寄せていますが、寄せているが故にレオがフリーになっています。

しかし、後半は下図の6分のシルビーニョのフリックを引っかけられたシーンや、同点弾直前の66分に中央でレオとシルビーニョがワンツーで突破を狙いましたがカットされたシーンなど、試みが失敗するシーンは増えました。
56分のシーンで言えば前半のシーンに比べてポジションが低いので一概に比べてはいけないのかもしれませんが、図にもある通りシルビーニョへ対応しに来た廣井は食いつきすぎずフリックのコースへ足を出していました。

66分のシーンもレオには大橋がパスを出した後に体をぶつけていますし、シルビーニョに付いていた山本も慌てて寄せている感じはなく、ワンツーに対して準備できているように見えます。
多少極端な例だったり、全部が全部そうだったりというわけではなかったと思いますが、後半になって対策されたのは間違っていないはずです。

最後に

ヤンツーさんは「勝ち点0でも仕方ないようなゲーム」と仰っていて、決勝点の加藤も「決して良くはない」と厳しい言葉を残していましたが、これは仮に新潟が勝っていても同じような、要はどちらが勝っても十分に反省しがいのある、そんなゲームだったのかなと思います。
それでも金沢の方は、先制しても追いつかれる悪癖を克服しきれずとも、前々節の町田戦に続いて、最後に勝ち切れる強さを身につけつつあるということで言えば、チームとして明らかに進歩しているのでしょう。
そして新潟からすると、この試合に負けてしまった上に順位や勝ち点といった結果と同じかそれ以上に、チーム力で大きく水を開けられてしまっていることを浮き彫りにさせられた気がします。

なんだかまだ考えたけど書き切れていないことがある気がしますが、うまく言葉にできないし、考えたことに確信を持てるほどサッカーに深い造詣を持ち合わせてもおらず、無責任なことを書いてはよろしくありませんので、終わりにします。

最後に一応付け加えておきますが、当然目標を諦めようなんてことは全く考えていません。がんばりましょ。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。