オレラグ
まだ何も終わっていない、しかし……【Review】第37節 アビスパ福岡戦
負けると振り返ってまとめてみるのも全然進まないから嫌になっちゃいますね……。そんなん知らねーよって感じですね…。はい、すみません…。
ただ、せっかく36試合もプレビューとレビューやってきたのにここで嫌だからってやらないのも癪ですし、何よりオレラグっていうちゃんとしたサイトに載せてもらっているので、いつも通り振り返ってみます。
でも、今までの敗戦時もそうでしたが負けた時は気乗りしないまま振り返っているのでそのへんはご了承ください。何をご了承してもらえばいいのか自分でも分かりませんが…。
スタメン
新潟は前節も割と早い時間で途中交代した善朗が、やっぱり負傷の影響もあって欠場となりました。報道では秋山がスタメンか、みたいな記事も出ていましたが、蓋を開けてみるとサチローの相棒にはカウエが入りました。
また、ベンチメンバーには新井が戻ってきていました。ケガは大事じゃなかったようで改めて一安心です。
対する福岡は直近の琉球戦から3人が入れ替わっていました。
まずは契約のため出場できないマサルに代わって田邉、さらにCBの中央には2試合ぶりに菊地、そして前線の右シャドーには2試合の出場停止が明けた松田が入っていました。
前半
キックオフからボールを握ったのは福岡でした。
新潟はレオとシルビが主に相手のボランチを見る形で、4分頃に少し前から取りに行ったシーンもありましたが、基本的には前節同様ブロックを作って持たせていいというやり方に見えました。
そんな中で9分に出鼻をくじかれます。
少し持ち出したウォンドゥジェから右の石原へ渡ると、鈴木とのワンツーから中央の前川へ送ります。前川は前方のスペースへドリブルで運ぶと、大体25mくらいの距離から左足を振り抜きます。
これが見事に左角に突き刺さりました。
ゴメスも「しょうがないと切り替えられた」とコメントしていましたが、このシュート自体は利き足とは逆の左足で、なおかつあのコースにズバッと決まっていますから割り切ってもいいようなスーパーゴールだったと思います。
ただ強いて言えば、福岡の右サイドにボールがある時に逆サイド(特に新太)はもっと絞っておくべきだったとも感じます。
前節愛媛戦と“似たような展開”としてゲームを進めるのは全く問題ありませんが、愛媛はあそこからさらに深くまで崩しきろうとするチームなのであまり遠目からのミドルは多くない印象でした。
しかし、当然ですが福岡は愛媛ではありません。
立ち上がりをフワッと入ってしまったというよりは、“今週の相手は愛媛ではなく福岡である”という意識が不足していたように感じました。ちょっと皮肉っぽいというか鼻につく表現かもしれませんが、そういう風に感じたので率直に書いてみました。気分を害されたらすみません。
ちなみにツイッターでは古賀誠史の名前がちらほらと見られて、確かに博多の森で左足のミドルといえば16年前の“あのシュート”が鮮烈な記憶として残ってはいますが、自分はその名前を見て思い出したので、皆さんの記憶力に感心してしまいました。
先制されてから10分くらいはボールをなかなか奪えず、マイボールになっても運べずと、しばらく苦しい時間が続きました。
それでも20分過ぎからはようやくマイボールで落ち着けるようになり、相手がバタバタしていたことも手伝って素早くボールを回収して押し込む事も出来るようになります。
23分頃のゴメスが攻め上がった流れのまま多少強引に相手のゴール前までプレスを掛けてミスを誘発したあたりから、さらに攻勢に拍車がかかりチャンスが生まれ始めます。
26分、カウエからのフィードをレオがDF2人に囲まれながらもうまくマイボールにすると、落としたボールを新太が狙いますが外れます。
28分、今度は大武の楔から相手DFがミスしたボールをレオが拾って、最後はシルビがシュートを狙いますがポストに阻まれました。
31分には大武からのフィードを至恩が受けるという前節脅威となった形からこの日も初めてチャンスを作りますが、縦に突破してからのクロスはクリアされます。
福岡にも32分、鈴木の楔から松田のシュート、35分には前川からパスを受けた石原のシュートと、シャドーの選手に間を取られたところを潰しきれずにフィニッシュまで持っていかれるシーンを作られてしまいましたが、終盤にはカウエの楔を起点にレオ、シルビ、新太の連携から最後はシルビのシュートだったり、アディッショナルタイムにはCKの流れからゴメスの強烈なシュート、さらにこぼれ球をカウエがシュートだったりと、最後まで攻め立てて優勢に試合を進めていました。
しかし、前半はそのまま終了。ビハインドで折り返します。
ハーフタイム、現地にいる友人から「どうすればいい?」とシンプル且つ難しい質問を迫られて「個で殴れば点は取れるんじゃない?」と非常に雑な回答をしてしまったのですが、果たして後半、新潟は自分が思っていたよりもしっかりと攻撃の形を作って押しこむことになります。
そんな予想以上の攻勢を引き出したのは、その友人からも「アップの強度を上げていた」と情報があった秋山でした。
後半
後半の頭からカウエ→秋山。
先週初めてメンバー入りした秋山がいよいよデビューを果たします。
47分、至恩が蹴った右CKのクリアボールをサチローがボレーで狙いますがDFブロック。さらに2本目のCK、同じようにこぼれたボールをサチローが今度はゴール前にクロスを供給しますがここはオフサイドになります。
ただ、入りから大きなチャンスを作りました。
すると51分、ゴメスのクロスにレオのヘッドというチャンスがありましたが、ここに至るまでに新太へくさびを入れ、さらにやり直してから再び受けたボールをゴメスへサイドチェンジしてと、秋山が攻撃のタクトを振るうプレーを早速披露します。
さらに54分には、ロナウジーニョを思わせるようなノールックパスでライン間にポジションを取った至恩へスッと楔を入れると、直後にはサチローとのパス交換からワンタッチで今度はライン間にいたシルビへ楔を入れて、最後は至恩のシュートに至るチャンスを演出します。
完全にペースを掴んだ新潟は59分、至恩の仕掛けからここもライン間にポジションを取れていたゴメスへ楔が入ると、中央へ流したボールをシルビのシュートという決定機を作ります。
もうあと少し……もうあとほんのちょっと……そんなシーンが連続で続いていた矢先の60分でした。
右サイドから抜け出した松田のクロスに城後がヘッドという大ピンチを一旦は大谷が見事にストップしましたが、それで与えたCKから篠原に追加点を奪われます。
福岡からしたら劣勢でなんとか耐えていた中でこれ以上ないタイミングでの追加点だったはずです。う〜ん……。
新潟はシルビ→達也さん。
解説の山形さんは2点差になったことで、「逆に思い切って攻撃に出られる」ということを仰っていましたが、その通りの心理的な影響があったのか、新潟はまたパワーを持って攻めに出ます。特に奪われた後のファーストディフェンスの強度が増したことによって2次攻撃、3次攻撃を可能にしていました。
66分、右サイドに出たサチローからのクロスのクリアを至恩が狙いますがGKキャッチ。
74分、ゴメスのクロスに大武が合わせますがこれもGKキャッチ。
前者は至恩のカット、後者はサチローのカットから取ったCKを起点として作ったチャンスと、どちらも相手陣内ですぐに回収してからの攻撃で、この2人以外でも史哉なんかもこの素早い守備への切り替えで特に存在感を発揮していました。
77分、新潟は至恩→フランシス。福岡は前川→木戸。
するとこの交代直後でした。
舞行龍の前線へのシンプルなフィードをレオはDFを背中でブロックしながら収めると、挟みに来たDFもスッと出し抜いてスペースに持ち出し、右足でシュート!ついに1点返します。
実況の方が「3本に1本決めている」ということをしきりに紹介されていましたが、見事にそのデータ通り、この日3本目のシュートで決めて見せました。
恐るべし、ゴレアドール。
残り10分、なんとか追いつくため、そして勝ち越すためゴールを目指しますが福岡も必死に耐えます。
81分には疲れの見えた城後→ヤンドンヒョン。さらに89分には足をつった初瀬→山田を投入して何とか逃げ切りを図ります。
アディッショナルタイム+3分、右サイド新太からのクロスに達也さんがヘッドもDFに当たり、こぼれに舞行龍が反応して最後はフランシスが滑り込みますが届かず。
さらに最終盤、右サイド史哉のクロスをニアで舞行龍がすらし、ゴール前でレオ粘ってシュート、さらにフランシスも詰めますがセランテスに止められます。
試合終了、2-1。
良い形は何度も作りましたが、結局ハーフタイムに話していた個の力で返した1点に止まったのはなんとも歯痒く思えてなりませんでした。
ビハインドからのプラン
久藤さんは「先制点が何よりも大きかった」と仰っていた通り、あれが大きな重荷になってしまったのは大前提として、その先制されてからのゲームプラン、ゲーム運びはどうだったのかというところについて感じたことを少し。
立ち上がりから前節の愛媛戦と似たようなプランとして、ブロックを作り、ある程度ボールは持たせていいという展開に見えた中で1点を取られて、じゃあ前から取りに行くのか、それともプランを継続していくのかというところで、前線2人は前へ出たい、後ろはプランを継続したいという風に見えて、チームとして意識の齟齬がしばらく続いていたように感じました。
この噛みあってない時間が非常にもったいなく感じたのと、前の2人がイライラを募らせて溜めたストレスが、セカンドボールへの反応が鈍かったり、後ろに任せたりというように悪い方に出てしまうシーンが少し見られたのも残念に感じました。
前から行く行かないについては、個人的には別に無理して前へ取りに出る必要はなくて、プランの継続でよかったのかなと感じました。
それはシンプルなロングボールでも、縦パスでも、相手は勝手にバタついてセーフティーに逃げることで新潟がボールを持てるようにもなっていたからです。
ただ、前半のところでも書いたようにゴメスが取りに行ったのを起点にしてチャンスができていることも事実ですし、もっと前から出て行けばチャンスが増えていたかもしれず、こればっかりは分からないので何とも言えません。
レオ、シルビの前線2人に関しては、取りに行って間を通されてしまい中盤が寄せに行けてないシーンや、10分10秒頃にはシルビが至恩に対してウォンドゥジェのところまで「出ろよ!」と要求するシーンなんかも見られて取りに行きたそうなのは窺えました。
そんなストレスがこの日は悪い方に出てしまっている印象は否めませんでした。ここ最近の連勝中は、我慢を強いられたり、内容がよくなかったりする中でも、なんとか無失点にできていたのでよかったのですが、この日は久しぶりにビハインドを負ったこともあってか、少し人任せにしたり、淡泊に間を通されたりするシーンがあったかと思います。レオで言えばセットプレーのマークも含めてです。
もちろん、気持ちは分かるし前から取りに行くのがひょっとしたら正解だったのかもしれません。またイライラすることはいつものことですし、厳しく要求することも問題ありません。勝つために味方へ強く求めることはむしろ必要なことです。
それでも、ビハインドの状況でもそうでないときのようにもう少し安定した貢献を求めたいとは思います。貢献の量を増やしてほしいわけではないのでそれほど難しいことではないはずです。
一応付け加えておきますが、前提としてビハインドにならないようにすることが最も求めたいところではありますが。
不在の在
不在だったことで逆説的ですが改めて善朗の存在を感じさせられた気がします。チームとしては決していいことではないでしょう。
それはやっぱりマイボール時の話が主にはなるのですが、例えば29分頃、解説の山形さんが左サイドに張ったシルビのポジショニングを褒めたシーンで、カウエは2タッチ目で右足に持って内側に向いてしまいましたが、早いパスを左のゴメスへ入れることで石原を釣りだして裏が空いたり、ライン間の至恩を使えたりという可能性が生まれた気がしました。
また35分あたりには大谷がボールを持った時に恐らくカウエに対して「受けに来い!」みたいな声をかけてもいました。細かいところだとは思いますがどうしても善朗がいる時とは少し勝手が違ってスムーズに動かせない状況はあったようには思います。
ただだからといって選手起用の面で、後半攻撃のリズムを見事に作った秋山を最初から使えばよかったとか、なぜ彼を最初から使わなかったのか、というのはあまりに結果論的でズルイというか、そりゃ試合見てからだったら何とでも言えるという典型な気がしてしまいます。
仮に最初からボールを取りに行って自分達でボールを握ってゲームを進めるプランが見られたとすれば、秋山をスタメンというのも考えられたでしょうし、そうやって突っ込まれても仕方ないでしょう。ただ先に書いたように、前節同様しっかりブロックを作ってボールはある程度持たせるというプランに見えたので、ボール奪取に長けたカウエを起用したというのは十分に理解できました。
あと、秋山については実況の方も「末恐ろしい」と評されていましたが、デビュー戦で素晴らしいプレーを見せてくれました。
春頃に聖籠で見た時にまず思ったのは“姿勢がいい”ということでした。背筋がピンと立っていると自然と顔は上がりますし、視野は広く確保されます。それによって落ち着いたボール捌きができているのだと感じました。
そんな春に抱いた自分の見解は、解説の山形さんも言及されていたので、プロの目の裏付けが取れて間違っていなかったと安心できました。
まあそんな自分の見方の正誤なぞどうでもいいとして、秋山のさらなる飛躍に大いに期待したいと、この試合を見てさらに思うことができました。
最後に
残り全部勝てれば何かいいことが起こるかも、という状況で敗れました。
可能性がゼロになるまでは全力で信じて戦おう、なんてことはまあ言わずもがな当然として、残念ながら目標としている順位がほぼ難しくなったのは否定できない現実でしょう。
残り5試合、実況の方の表現をお借りすれば残り450分。
今年ももうあとわずかです。