オレラグ
勝って見上げよ、金銀砂子【Preview】第21節 大宮アルディージャ戦
こんにちは。
今週は水曜日に天皇杯がありましたが、金沢まで行かれた方の言葉をSNSで拝見する限り、なかなかいただけないゲームをしてしまったようです。
正直この試合に関しては全く見られていないので言及しようがないですし、ここで切り替えて頑張ろうなんて簡単に言うこともできません。
ただ、事実としてもう天皇杯というタイトルはもちろん、この日良くなかった(であろう)プレーも取り返せないわけですから、どうか、最低でも金沢まで見に行かれたサポーターさんが納得できるようなプレーをここから必死に見せてほしいなと思います。
その水準は結局、それ以外の多くの人も納得できるくらいの水準に近いのではないかと勝手に思っております。
大宮アルディージャ
では、リーグ戦。
第21節ということで今節が終わると前半戦終了です。いやはや、いろんな意味で恐ろしい。
前半戦ラストの相手となるのが現在勝ち点36で自動昇格圏内の2位につける大宮アルディージャです。
今季の大宮はまず、昨年まで長崎を指揮していた高木琢也さんが監督に就任してスタートしました。
新監督に高木さんを迎えたことで伝統的に4バック(特にスタンダードな4-4-2)のイメージが強い大宮も3バックをベースにして今季はここまで戦っています。
シーズン序盤は開幕5戦でたった1勝とスタートダッシュに失敗し、内容も新しい形にしたことでの迷いが目立つ場面が多くありました。
しかし、6節からの5連勝を経てどんどん戦い方が熟成され、なんと現在16戦負けなし。3月23日以降1度も負けていません。今季ここまで2敗というのはリーグ最少の数字です。
ベースの話
基本の形は先程も書いた通り3バックの3-4-2-1を採用していますが、17節の京都戦から5-3-2の形も併用してきており、今節どちらで来るかはなんとも言えません。また、最近はあまり見られませんが、試合途中に4バックへ変更して悪いリズムを断ちきるということもできるチームです。
ボールポゼッションにこだわるチームではありませんが、カウンター志向に偏っているわけでもありません。それから、WBと前線の絡みを活かした速い攻撃や前線のタレントで攻め切る形が明確な強みとしてあるのと同時に、ビルドアップに関してはそれほどいろいろな形は持っておらず、手詰まってしまう印象もあります。
守備では基本的に前からプレスをかけることがありながらも、それほど無理には追わない印象です。ちょっとハマらなければ潔く撤退して5-4-1(5-3-2)のブロックをつくります。いずれにしても奪われた後の切り替えが早いため、即時奪回できずともいたずらにスペースを与えることは少ないです。
ギャップと奥抜
気を付けるべき点としては、まず3バックの相手なので噛み合わせの悪さ、ギャップがポイントになります。相手が2トップにしろ1トップ2シャドーにしろ、前回鹿児島戦でも抑えきれなかったSH、SB、ボランチ、CBの間のスペースを茨田なんかは上手に使える選手なので対応をハッキリしたいところです。
また、ビルドアップはあまり得意ではないと書きましたが、新潟の2トップに対して3バックなのでここは数的不利になります。一般的なのは、SHが1人余る相手DFに対して寄せるのをスイッチに連動してプレスをかけることですが、このSHの寄せ方やタイミング、さらに寄せる迫力(強度)は非常にシビアで慎重さが必要になります。
寄せたことでマークが浮いたWBに通されてしまえばそこから一気に攻め込む形を大宮は持っています。ですから、これは自分の気持ちになってしまいますがSHは無理に取りに行かず、相手の3バックにはある程度持たせていいよ、くらいの余裕を持ってプレーしてほしいのですが、はてさてどうなるでしょうか。
もう1つ気を付けたいところは、ポジションやシステムではなく人物なのですが、33番の奥抜です。
大宮ユース出身で2年目のアッタカーは、今季16節までの出場時間がたったの26分間でした。しかし、17節の5-3-2に変更したタイミングでスタメンに抜擢されるとその試合でプロ初ゴール。次の試合でもゴールを決めており、現在ノリに乗っています。
19節のヴェルディ戦で解説をされていた清水範久さんは「タッチが細かく相手を外すのがうまい」とおっしゃっていましたが、イメージとしては至恩と似たようなドリブラータイプの選手です。
ただ、サイドから一瞬のキレで相手を置き去りにする至恩に対して、奥抜は中央のエリアで力強く抜き去るという違いがあるように思います。
彼にスペースを与えない、そして前を向かせないように徹底したいところです。
動かせ、抜け出せ、サイドを攻めろ
攻略の糸口としてはやはりサイドになるのではないでしょうか。特に大宮の左、新潟の右サイドです。
3-4-2-1の場合左のシャドーに奥抜が入ると、右のシャドーには茨田や小島といったより中盤的な選手の起用が主になります。
そうなると、茨田や小島は中盤のスペースを消してから相手の左SBにボールが出たら少し寄せるという形を取るのですが、奥抜の方は相手の右SBと状況を見つつCBにも寄せます。そうなると結局形としては5-3-2になるのですが、こうした可変的に左右非対称になるタイミングで右SBに素早くボールを渡せると相手の3センターは右SBまで距離があり、かつ素早いスライドが必要になってギャップが生まれやすくなります。また、ここで相手の左WBが前に取りに来たらその裏をフランシスが抜け出す形も作りやすくなるでしょう。
最初から5-3-2の場合は3センターのスライドが元々左右応分でプランニングされているので3-4-2-1からの可変に比べてギャップは生まれづらいですが、その場合3センターのスライドが間に合わないくらいできるだけ早くボールを動かすことでSBに渡して、WBをおびき出したいところです。
特に左WBに予想される吉永は今季ユースから昇格したばかりの選手で、良い選手であるのは間違いありませんが、まだ守備面において特に経験の浅さがあり、狙う余地はあるように感じました。
おびき出して裏のスペースにフランシスという形はもちろん、そこで抜いてしまう事が出来ればさらに可能性は広がります。
この局面は少し注目してみてもいいかもしれません。
一番強い(気がする)
16戦無敗でじわじわと上昇していつのまにか2位まで浮上しているのに、“いつのまにか”と思ってしまうくらい今季の大宮はあまり話題になっていないと感じるのですが、それは“強さが見えづらい”からではないかと思っています。
水戸はハードワークが売りだったり、京都はしっかりボールをつないだ攻撃的な形だったりと特長が分かりやすいのに比べて、大宮は16戦無敗のうち3得点以上取った試合はたった1試合しかなく、攻撃が魅力的だったり爆発力があるとも言えません。守備も堅いことは堅いですが特筆するほど鉄壁な印象もありません。ただ、だからこそ今リーグで一番強いのは大宮なのではないかと思ってしまうわけです。
苦しい展開でもなんとか勝ち切ったり、相手の勢いに押されてビハインドを負ってもしぶとく追いついたりといった粘り強さや我慢強さが今年の大宮の最大のストロングポイントと言えるでしょう。
また、計算式以上の化学変化はそれほどありませんが、計算通りの解を出せている変哲のない強さみたいなものも感じます。
フットボールは1+1が2や3になることもあれば、項が2や3など、そもそも1人1人の質が高い選手が揃っていてもそれが計算通りの解にならないことがたくさんあります。数が大きいほど計算ミスが起きやすいのは計算もフットボールも同じだと思っていますが、大宮に関してはJ2の中でも項の大きい選手が揃っている中で、その足し算がしっかり計算通りの解になっているのではないかということです。
最後に
最後大宮の強さについて書いている自分が嫌になりましたが、残念ながら今の大宮は普通に強いです。
天皇杯では延長まで戦った大宮ですが、メンバーを大幅に入れ替えていますしそれほど影響はないかと思います。
リーグ戦連勝。負けなしが続く相手の勢いをへし折る。
前半戦ラストの試合、勝つしかないでしょ。