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オレラグ

1/3の繁忙な日常【戦評】第14節 FC琉球戦

2020年8月25日

こんにちは。

まず、この日のDAZNでの解説は播戸さんが担当されていました。現役時代のイメージでは明るくて調子が良くて感覚的な方という勝手な印象を持っていましたが、引退された昨年から彼の解説も時々聞くようになるとそんな勝手な印象を持っていたのが申し訳なくなってしまいました。
BS日テレで名波さんと出演されている欧州CLのハイライト番組なんかも、軽快でありつつロジカルに現象やプレー描写を解説されていていつもタメになるなぁなんて思っていましたが、その番組同様にこの日の解説でも分かりやすく大変楽しく見ることができました。
いつもの勲さんや梅山さんも分かりやすいし、勉強になる事はとっても多いのですが、たまにこうしていつもと違う方にやってもらうのもいいなと思ったので、播戸さん含め今後とも様々な方にやっていただきたいというお願いはDAZNなのかTeNYなのかどなたにすべきなのか細かいことは分かりませんが、そんな風に思いました。

スタメン

 

さて、試合です。
今季最初の5連戦のラスト、わが軍しっかり勝ち切ってくれました。
素晴らしい。
いつも通りスタメンから振り返ってみます。

まず新潟ですが、前節からの変更が4人。
出場停止のゴンサに替わって島田。至恩がベンチにも入らなかったのは少し心配で気になるところではありますが、左SHに善朗。そして左SBの荻原とFWの矢村が初先発となりました。
また、3試合ぶりの達也さんと新加入の福田がベンチ入りを果たしました。

対する琉球です。
いや~、メンバー表を確認した時に我ながらすごいなと感心してしまいました。チーム得点王の阿部がベンチにも入らず今季初の欠場ということで、展望記事の願いが叶いました。
展望記事としては毎度大胆に空振っている事実は問題ではあるのですが、これでいいんです。そんな展望の当たり外れより相手の戦力が少しでも落ちて新潟のアドバンテージになることの方が大事ですから。
ということで、そんな不動の1トップである阿部が欠場ということで、代わりに風間が最前線へ入ります。
その他の変更としては前節お休みした李栄直がCBに復帰し、トップ下に富所ではなく小泉が入っていました。

前半

お互いにボールを持ち、失ったら前から取りに行くというのをベースとしている者同士の対戦でしたが、立ち上がりから主導権を握ったのは新潟でした。
ビルドアップでは最初に秋山がCB間に下りましたが、それ以降は基本的に島田がCB間や左に下りて相手の前線2人に対して後ろを3人にします。SBが高い位置を取り、中盤は秋山を中央にしてその脇に中島や善朗が入ってくる形で、2トップはその中盤と近い距離で連携したり、サイドのスペースに流れたりするという形です。
そんなビルドアップでリズムを作って押し込んだところから、8分には早速矢村がクロスバーにあたる決定的なシュートシーンができました。脇に下りた中島から高い位置の新井へ渡り、サイドに流れようとした矢村がこぼれ球を拾うという流れです。またこのシーンでは秋山が高い位置に出ていたことも相手のDFを惑わせる意味で大きな効果を生んでいました。

そして、そんなビルドアップを軸にボールを持つことと同時に、守備への切り替えでも強度と速さを見せて素早くボールを回収することが出来ていました。
琉球のビルドアップは最初からボランチが下がるのではなく、まずは2CBとボランチがスクエア気味になり外側でSBがフォローするという立ち位置から始まることがこの試合に限らず多いです。そこからボランチやSBに入れてワンタッチやツータッチでのパス交換から縦に入れるという狙いだったと思いますが、新潟は2トップがまずボランチを消してから2CBを寄せるのを合図に全体が前進してそれぞれマークを捕まえることで少ないタッチのパスも許さずテンポを作らせないことが出来ていました。

すると19分頃、ベンチからの指示で琉球は小泉と山口の位置を入れ替えます。これによって少しずつ琉球も盛り返し始めました。
22分頃には恐らく琉球ベンチから新潟の2トップの脇に動いてボールを受けた小泉に対して「そう!そう!そういうところ!」と声がかかっており、同じように27分には右側に下りて受けた小泉がライン間の山口へ出したのを起点にこの日最初のチャンスとも言える上里のFKへ繋がっていました。
こうして飲水タイム以降はポゼッションしながら盛り返してきた琉球に対して、新潟はブロックを作って我慢する時間が増えます。

しかしお互いに攻め切れないことが多いまま時間が進む中で、35分頃からはリズムを取り返すまではいかずとも、継続できていた守備への切り替えの速さを軸に中島のミドルや、善朗のシュートなど再びチャンスシーンを作れるようになった矢先でした。43分にゲームが動きます。

自陣深い位置から新井が蹴ったフィードを新太は触れずもその奥にいた矢村が収めます。そのまま右サイドから持ち込んで時間を作り、中央に上がってきた島田へパス。フリーでもらった島田はシュートを打つと見せて左へラストパス。待っていたのは善朗!先制!

完璧な流れによる素晴らしいゴールでしたが、やっぱり島田、俺の島田。あのアシストは堪らんです。
まずトラップの置きどころが最高でした。スピードがあっていいボールなのですがライナーで少し浮いたボールでもあったので、止めるにはそれなりの技術も要するパスでしたが、島田には何の問題もありませんでした。完璧な場所にボールを置けたことで、DFに対してシュートが来るぞと思わせることができたのではないでしょうか。
そしてあのシュートフェイントからのオシャレなアウトサイドでのパス。よく使われる表現ですが、あのパスだけでご飯何杯でもおかわりできるってやつです。改めて堪らんです。

前半終了、1-0。
一旦は我慢の展開を強いられながらも終盤に1点を奪って折り返します。

後半

琉球は鳥養→池田を投入し、池田がトップに入り風間を右SHに移して後半に入ります。
すると後半はスタートから琉球のペースで展開されることとなりました。
48分、右から中央に運んだ小泉のパスを受けた沼田がミドルも枠外。1分後には池田が運んで風間のクロスに河合が入ってきますがここは新井のナイスカバー。さらに53分には沼田が左サイドから早めのクロスをGKとDFの間に入れて、池田が合わせますがここは小島のナイスセーブでしのぎます。
琉球は前半よりも選手と選手の間といった狭いエリアにも積極的にパスをチャレンジしてくるようになったことと、単純に守備の切り替えの速さと強度が上がったことで、前半は1本しかなかったシュートも立ち上がりから立て続けに放てるようになり、ゲームを支配することが出来ていたように感じます。

60分経たないタイミングで劣勢の新潟は動きます。
58分に島田、矢村→福田、シルビを投入し、その2分後には荻原→ゴメスと立て続けに3人を替えます。
琉球の方も64分に山口→上原慎を投入。最前線に純粋なCFタイプである上原慎を置き、池田を本来のトップ下にすることで攻撃のギアを上げます。
新潟は「もう1回前で起点を作ろうという狙いじゃないか」と播戸さんが仰っていたように、シルビがポストプレーで時間を作る場面であったり、新井のインターセプトからFKを獲得したりと選手交代で多少反撃を試みることができるようにもなりますが、琉球のペースを完全には食い止めることができません。
65分には、沼田からの斜めの楔をライン間で池田が収めて右に展開。ボールを受けた風間がアーリークロスを上げると、上原慎、池田、小泉と来て最後は田中のシュートとゴール前で大ピンチを迎えましたが必至のブロックでここも守り切ります。

飲水タイム明けに琉球は河合→上原牧人を投入し、上原牧が右SHに入り風間が左に移ります。
対する新潟は79分に善朗、新太→史哉、達也さんを投入して交代枠を使い切ります。達也さんとシルビの2トップで、左SBに史哉が入りゴメスを左SHへ1つ上がることで、リスクマネジメントの色を強める狙いだったかと思います。

ラスト10分+αは上原慎をめがけたパワープレーが増えて何とか耐えることを想像していましたが、思っていたよりその迫力は見られず、逆に新潟は81分に中島の強烈なミドルや、高い位置で粘ったところから達也さんが左サイドをえぐって最後は福田がシュートを放ったり、アディッショナルタイムにはリスタートからシルビがクロスバー直撃のシュートを見舞ったりして、それほどヒヤヒヤすることもなく見ることができました。

試合終了、1-0。
栃木戦以来5試合ぶりの完封で今回はしっかり勝ち切ってくれました。ナイスプレー、ナイスゲーム、ナイス勝ち点3です。

グッドでありインタレスティング

ここ何試合かずっとボールの運びについて書いているような気がしますが、まあ今年はそういうチームですから、いいでしょう。今回もよかったと同時に興味深かった部分を取り上げて図を作っていただきました。

 

 

まず1つ目が前半15分のシーンです。
島田がCB間に下りることで後ろが3人となって、左に開いた舞行龍は相手が来ないとみるや自ら少し持ち出して縦パスを供給しました。結果的には受け手の善朗のところで寄せられてクリアされましたが、恐らく善朗から再びもらって裏に出して荻原が抜け出す形を狙っていたんではないかと思います。
荻原が高い位置を取ることで相手の右SH(鳥養)も後ろに引っ張る事が出来ていて、それによって時間と空間に余裕が生まれた舞行龍が自ら出ていくという悪くないシーンでした。

そしてこの舞行龍がフリーで持っていた時、恐らく琉球ベンチから「そこ行きたいなぁ」という声が掛かっていました。するとその約30秒後に今度は島田が左に下りることで後ろを3人にしたビルドアップの場面があったのですが、ここで鳥養は対面の島田に対して寄せに行きました。するとベンチからは「そう!今みたいに出る出る!」と声が掛けられます。
しかしまたその約30秒後のシーン。これが2枚目の図になります。

 

 

左に下りている島田に対して鳥養が寄せる準備をしていることを見越して、ボールを持っている中央の舞行龍は鳥養とボランチ(山口)との間を通して荻原へ鋭いパスを入れました。ここから荻原が落としたボールを島田がワンタッチで裏へ出して内側から善朗が抜け出すというシーンができました。

結果的にはシュートやチャンスまで至れなかったシーンではあるのですが、相手の状況や、狙いとしている事をしっかり把握した上で同じ裏のスペースという行先に対して違うルートを選んでアプローチできていたのはいいプレーだったなということと、ベンチの声がハッキリ聞こえるこの期間だからこそさらに興味深く感じられたシーンでした。

ようこそ新潟へ

もう1つ、新加入の福田についても少しだけ。
途中から入った選手たちが後半立ち上がりからの悪い流れをある程度緩和してくれたのは紛れもない事実だと思いますが、その中の1人として初出場の福田も自らの特長を随所に発揮して、チームに貢献してくれました。彼の特長というのは圧倒的な運動量によるボール奪取と神出鬼没な攻撃参加だと思いますが、今回はボール奪取について。

 

 

図にしていただいたのはその特長がハッキリと表れていた64分のシーンです。ボランチの立ち位置から相手のCBでボールが動いている瞬間にはもうスプリントをかけて、ボールを受けようとしていた小泉へ寄せてカットしました。この寄せるスピードと取りに行く判断力とその決断力、思い切りの良さは見事でした。

ちなみにここ意外にも74分や84分にも鋭い出足で小泉に寄せるシーンがありました。チームとしてはまず2トップで相手のボランチを消してから2CBへプレスを掛けるという狙いだったと思うので、福田が最初から小泉に付く役割ではないのですが、2トップの寄せるタイミングを見ながらしっかりアプローチに行けていました。
前半の途中からポジションを替えて以降琉球の攻撃をうまく循環させるキープレーヤーとなっていた小泉に対して、スタッフからの指示もあったでしょうけどしっかりと意識して潰しに行ってくれていたように思います。

秋山に島田がいて、ゴンサに中島もいて、そして福田もいて。
中島や福田に関してはSHでも問題ないわけですが、もしかすると4-3-3とか3-4-3なんてことも今後あるかもしれません。まあこれは勝手な妄想ですが、いずれにしろどう起用されていくのか楽しみで仕方ありません。

最後に

舞行龍も試合後に言及していましたが、もっとボールをもって自分達の時間を作ったり、ラインを高く維持しながらゲームを進めるといった克服すべき課題はありますが、少しずつ成長しているように感じられるのは嬉しい事ですし、何よりこの日のように勝ち点3を取りながら進めていけることは素晴らしいことです。

今季3分の1が終わったということだそうですが、2020年という年自体が残り約4カ月、たった19週しかないというのに、まだ残り28試合もあると考えると、致し方ないとはいえ改めて今年の過酷さを痛感します。
久々に中5日空くこの期間でしっかりリフレッシュ&トレーニングしてもらって、また次節からもがんばっていきましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。