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オレラグ

Not yet【戦評】第15節 京都サンガF.C.戦

2021年5月25日

こんにちは。

いい選手ですね、川崎。
スタメン予想もろくに当たらないこの毎試合の振り返りにおいて、珍しく注目として挙げた選手が決勝点を奪ってしまうという悲劇。
1人のフットボール好きとして、いい選手に巡り合える事は嬉しいことであり、川崎の場合はもう各所から注目されているとはいえ、推した選手が活躍するというのも本来気分がいいものです。
しかし、グッドプレーヤーは好きだったとしても、アルビレックスに不利益を被る選手はお兄さん嫌いです。

なんか小さい子に先生が怒るときみたいな感じで書き出してみましたけど、灰色に染まる心と漏れ出る悔しい感情がぐるぐるぐるぐるどっかーんです…。

はい、もちろん分かってます。自分でも何言ってるか分かりません。

スタメン

前節から最前線に孝司が帰って来たことでカイトが右に移ったわけですが、その右SHに今節はプロ入り後初のスタメンとなる三戸ちゃんが抜擢されました。このビッグゲームでその選択をしたということですから、それだけのパフォーマンスであり信頼を勝ち得たということでしょう。

対する京都は前節お休みだったウタカがやっぱり戻ってきました。
また、インサイドハーフに7試合ぶりスタメンの三沢と左のワイドにこちらは11試合ぶりスタメンとなる武富を起用してきました。改めて層の厚さを感じさせられた次第です。

鱈とレバー

まず全体を通してですが、とにかく面白かったです。
今季ここまでのJ2全体を含めてもベスト3には入るくらいの試合だったのではないでしょうか(もちろん全部見ているわけではないので断言はできませんが)。少なくとも自分が見た試合の中では最もエキサイティングで質の高いゲームだったと思います。
球際や切り替えといった部分を始め、スタジアムを包む雰囲気は何だかこれまでの試合には感じられなかったくらいの緊張感みたいなものがあったように感じました。
やっている選手やスタッフと同じように、見ている側もこの試合の重みや大きさみたいなものを十分に認識した上で来ている感じがひしひしと伝わるような感じで、とにかく最高でした。

そしてそんなビッグゲームであることを理解した中で、さらにこの試合が間違いなく面白くなると確信させてくれたのが開始早々のビッグチャンスでした。
キックオフからわずか10秒。ゴメスのフィードから至恩が抜け出して入れたクロスに孝司のヘッド。
解説の梅山さんも仰っていましたが前節の反省を活かそうという意思が強く感じられるプレーでした。

また、京都は今季ここまで主に3トップの左ワイドで起用していた松田をこの日は右に置いてきました。今季J1からカテゴリーを落としてでも湘南時代から関係のあった曺さんの誘いを受けて京都にやって来て、しかも1年目からキャプテンを任されるほどの絶大な信頼がある松田をいつもとは逆の右に置いたのはやはり新潟の左サイドへの対策という意味があったのではないかと推測します。
そう考えるとこのわずか10秒で左サイドから決定機を作ったシーンは最高の先制パンチになり得たなと思うと、これがまさにたられば案件といった感じです。
これが決まっていれば……とどうしても思ってしまう自分を神様どうか許して下さい。

特長を発揮し支配したゲーム

アルベルさんは『我々は多くのチャンスを作り、良いプレーをしていたので、まったく心配していません』と仰っていましたが、これまで戦って積み重ねてきたものと今節を照らし合わせれば、この言葉は十分に理解ができますし納得もできるものでしょう。

そんな中で今回1つ拾ってみたのは29分のシーンです。

千葉が持ったところにインサイドハーフの三沢が島田を気にしつつ出てくる中で、その島田とのパス交換によって三沢を引っ張ることで千葉は時間を確保します。またその間に両SH(至恩、三戸)は内側に入りライン間でポジションを取ります。
そこから至恩がスッと下がるタイミングでゴメスが高い位置に張りだすことで、右SBの飯田は一旦本来のマークである至恩を離さざるを得えなくなり、そこから至恩へパスが入ると、実質マークを受け渡されたアンカーの川崎が出てくるのですが、ここでヤンを見る必要があったインサイドハーフの武田との間に門が空き、鋭い楔のパスが三戸ちゃんへと入りました。
(ちなみに作っていただいた図を見て自分も思い出しましたが、確かにこのパス自体千葉メーターが加算されるに値する見事な縦パスでした。)

飯田に対する至恩とゴメス、そして中盤3人に対するボランチ2人と両SHの4人という形で動かしながら縦パスを供給できたシーンでした。

さらにこの直後、三戸ちゃんが寄せられてボールを失った瞬間に孝司と至恩が素早く囲むという切り替えの速さも見られます。
この切り替えの速さという守備に関しては、このシーンに限らず常に意識してプレーできていました。

加えて相手のビルドアップに対する守備に関しても、ヤンが若原から川崎へのパスを狙ってファールを取られたシーンが40分頃にありましたが、前線から孝司、善朗、三戸ちゃんがそれぞれ1人で相手2人を見ながらどちらにも行けるような追い方をすることでパスコースを消して、間に下りてきた川崎にヤンが狙って奪う形を作れていました。

そしてちょっとまた攻撃面について話を戻しますが、先程挙げたような数的優位を作りながら運び出すという攻撃以外にも、前からプレスに来る相手に対して1つ飛ばしてSBへ送り、またやりなおして今度は逆サイドにフィードという大きな展開も織り交ぜながら展開するシーンが随所に見られました。
またそういったプレーを、中央で出し入れしつつ間を狙った次の場面で見せるシーンもあったのは揺さぶりや攻撃の下味という意味で効果的でしたし、ポゼッション率こそ多少いつもより低かったですが、『我々がしっかりと支配できていたと思います』というアルベルさんの言葉も頷けるものに感じられました。

リスクの塩梅

全体として支配できており、あとは決め切るところ、決定力という部分にフォーカスすればいいというのは基本としてありつつ、些細ではありますがそれ以外で少し気になるところも一応。

これはこの試合に限らず少し前からあり、信頼する友人から聞いて気付かされた話なのですが、ボランチがボールを受ける際にちょっと後ろ向きに受ける傾向がやや多いような印象を感じました。
もちろん“向かない”のではなく“向けない”場合も多くありますから、そこは一緒くたにせず区別して見る必要があるのは前提としてあります。

ただもう少しターンをして前を向こうとするチャレンジをしてもいいかなと思えるシーンはあるように思いました。その分多少なりともリスクが増すのは当然ですが、そもそもフットボールはゼロリスクでゴールが奪えるほど生易しいものでもないでしょう。

試合中、梅山さんが『誰もコースを切る守備をしてない』『奪いに行く守備をしている』と仰っていたように、うちもそうでしたが京都もかなり激しく奪いに来ていました。
そして梅山さんは『奪いに行き切ることが結果的に制限にもなる』と仰っていたのですが、これは逆のことも言える気がして、ボールホルダーが前を向くことで相手にプレスを掛けづらくさせる、つまり制限を掛けることにも繋がるということです。

もちろんボランチの位置ですからそんなにハイリスクでプレーする必要はないというのは重々承知してはいるのですが、それでもそこで前を向けるか、もっと言えば1歩でも相手を外せるかで次の景色はガラッと変わってきます。
ここ最近相手の対策によって停滞気味な状況を打破するべく、前を向くチャレンジをさらに見たいなと思いました。

ちょっとしたところ

気になることついでではないですが、失点に至る流れの起点となったスローインについても少し。
前から嵌められ、右に追い込まれて奏哉のところでラインを割ってしまったわけですが、ここで奏哉は非常に綺麗にトラップをしました。
このシーンで奏哉自身もう次に繋げる場所もなく、それどころか自分が受けるところですでにラインを割って相手ボールになるのは何となく分かっていたように個人的には見えました。だからそうであるならば大袈裟に大きく蹴り出すまではしなくとも、そのまま触らずに流して少しでも戻る時間を作ってもいいように感じました。

もちろんすぐ近くにボールパーソンも待機していますから、時間を作ると言っても微々たるものではあるのですが、それでもあの丁寧なトラップがあまりにも綺麗にスローワーの本多に渡って素早くリスタートされたように見えてしまいました。
このスローインからゴールまでは10秒以上あり、しかも一旦は取りかけてもいましたから、このスローインのプレー云々で失点を防げたとかそんな大袈裟なことを言うつもりはありませんが、早いリスタートに対して少しバタバタと対応しに行かざるを得ず、その流れから失点まで至ってしまったので、そういうちょっとした狡猾さみたいなものはあってもよかったかなと思いました。

そんなことを書きつつ、これはわざわざ書いておく必要もないのですが、やっぱりこの日も奏哉は攻守において見事なプレーがたくさんあったというのは補足しておきたいと思います。
学生の頃はSBをやることが多かったので、あんなSBになってみたかったとつくづく思います。

最後に

ツイッターで自分がフォローしている方にはいなかったのですが、中にはどうも随分と悲観的になられている方もいらっしゃるらしく、世の中には諦めがよすぎたり、はたまたこれからこの戦いがダメになると予見できる根拠をこの試合から見出せるほどフットボールを熟知し切っている方がいるんだなと思って感心した次第です(こういうこと言うから友達が少ない)。

まあこれは冗談としても、連敗は確かに痛いです。
『強いチームであるために連敗を続けず…』と三戸ちゃんも話していたように、一層の危機感が必要な1つの正念場と捉えることもできるでしょう。

ただ、それもこれまで積み重ねてきた自信を持ち続けながら戦うことが大事であることに変わりはないですし、ましてや何かを否定するなんてことも今は全く必要のない事です。

また来週もホームでできますし、いい雰囲気を作って臨みましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。