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オレラグ

彼らよりもっと向こうに行きたい【戦評】第37節 ジュビロ磐田戦

2021年11月5日

こんにちは。

支配率は今季ここまでの平均よりはやや少ないながらも相手を上回る57%。そしてパスは657本という数字で成功率は約90%。
しかしシュートは相手を下回る4本。そして最終スコアは0-1の敗戦。

終わって振り返るととても今年らしい内容と結果だったと言えるのかもしれません。そんな試合を昇格目前の首位相手に演じて、結果的に自分達は今節で昇格の可能性がなくなったというのは大変残念であると共に何だかストーリーとしてよくできているなと思ってしまいました。

いや、我ながら何が『よくできているな』だよっていう感じではあります。ただこうやってどうにか平静を装った感じで振り返りでもしないと気持ちがずっしり重くなってどうしようもないわけです。

今年も目標は叶いませんでした。

スタメン

今回は連戦や諸事情により図なしで振り返ろうかなということでまずはスタメンです。

うちは前節もその前の試合から5人を入れ替えて臨んだわけですが、今節も前節の岡山戦から6人を入れ替えてきました。
まずはCBの舞行龍、ボランチの島田と福田、そしてトップの孝司がそれぞれ2試合ぶりにスタメンに戻る形となります。

そして何と言ってもこの2人です。
右SBに入った巧、左SHに入った小見が今季初スタメンとなりました。ただ初スタメンとはいえ、前節の活躍を考えれば特別驚きはない人選だったのかなとも思います。

対する磐田は前節からの変更が2人。
前節出場停止だったルキアンと、久々にベンチスタートだった大津が2試合ぶりのスタメンということで、前々節まで5試合連続同じだった11人に戻してきました。

過程はグー、結末はうーん…

冒頭で今年らしいという言葉を少しネガティブな意味合いで使いましたが、決してそれだけではありません。
アルベルさんも舞行龍も試合後のコメントで話していたように試合をコントロールする、支配することができたということを仰っていて、そういうポジティブな意味でも今年らしいと捉えることはできたかと思います。

相手が5-4-1でセットした状態で守ってくるのに対して、主に島田が中盤の底に残り、その脇(相手のシャドーの背中=ボランチとWBとCBの中間)にSHのルーキーコンビがポジションを取り、SBが幅を取る。
そしてライン間で縦パスの引き出しを狙う善朗と後ろに下りてビルドアップのサポートをする福田が、それぞれの仕事と共にルーキーコンビやトップにいる孝司への縦パスへのフォローも担う形は多く見られました。

例えば福田がサイドに下りて相手のシャドーを少し引き付けておいて、背中の三戸ちゃんを使い、一旦外の巧に渡して自らは縦に走ることで空いたスペースに善朗が入って三戸ちゃんが3人目の動きで抜ける形とか。
もしくは同じく三戸ちゃんが相手シャドーの背中で受けて、一旦巧に渡すと、中間にいた善朗が裏に抜けることで空いたスペースに孝司が入って来てポストプレーとか。
もちろん、シンプルなワンツーや当てて落として裏というのでSBが抜ける形なんかも見られ、攻撃の作りはいいものがたくさんあった印象です。

しかし舞行龍も話していた通りいかせんシュートまでやり切る形がなかなかできませんでした。前半で言うと恐らく田上の直接FKくらいで、流れからはほぼなかったかと思います。

バランスの変化

なかなかやり切る形を作れなかった反省から後半は少しリスクを負っても強気に縦を選択するシーンが増えます。それによって両チームの出入りも少しずつ激しくなり、瞬間的且つ局地的に通った雨すらも演出かのように俄かにゲームの温度は上がりました。

しかし0-0の時間帯でしっかり打ち切れたところと言うと、58分に孝司のフリックから小見がシュートを放った場面くらいだったのではないでしょうか。
立ち上がり早々の右から細かい連携で抜け出してから左の小見へ渡ったシーンも、49分の左サイド高い位置で奪ったところからエリアに侵入したシーンも、結局磐田がしっかり戻ってブロックされたり打ち切れなかったりするシーンが続きました。

そんな中、少し出入りが激しくなってきたことで微妙にではありますが守備のバランスにも影響が出始めた気がします。
それは奪われた後に素早く奪い返しに行く際、前半であれば前に連動してボランチが潰しに出て行けていたのが遅れたり、または出て行こうとしたけど難しいと判断して一旦構えるブレーキが間に合わなかったりという部分です。

特に後者。
これは攻撃でより縦にチャレンジしようとか、アグレッシブに行こうという意識を持ったからこそ生じたものかと思います。たぶん非常にわずかな違いだとは思うのですが、前へ出て守備に行くところの加減を共有し切れなかった、というか連動し切れないシーンが垣間見えるようになった感じでしょうか。

そしてこれは結果的に失点シーンにも関わってくる話となります。
FKのクリアボールを拾われた後に小見が出て行っちゃって遠藤をフリーにしてしまったのは本人も反省していましたが、その前にFKに至るまでのところで連動し切れていないままCBまで寄せて釣り出されてしまったところがそもそもの問題というか課題にはなってしまったのかなと思います。
もちろんそれだって本人は十分理解しているとは思いますが。

強者の勝ち方

試合後のインタビューで服部さんは『J2の中でも保持率の高い相手なので守備のところでイメージを持たせて入りました』ということを仰っていました。
また会見のコメントで守備のプランについて『どうしても高い位置から行きたくなってしまうクセが最近はあって・・・』ということも仰っていました。

展望の方でも書きましたがここ数試合の磐田は確かに前の選手が出て行っても後ろが付いて来られずに中盤のあたりでスペースを与えてしまう傾向がありました。
だからこそ付け入る隙はあると思っていましたし、たぶんこの試合でも完璧に修正されていたわけでもなかったでしょうから、そこをしっかりうちも突いて運び出すシーンは随所にあったかと思います。ってかありました。

とはいえ服部さんのコメントしかり、ルキアンの『今日はあまり前から行かない方がいいと思ったので、ミドルポジションから守備をかけていました』というコメントしかり、ここ数試合に比べて明らかにコンパクトさを保ちながらやれているように感じました。
服部さんは『少し下がり過ぎる場面もあったが…』と話していましたが、それでもそれくらい割り切った戦いができていたということでしょう。

そしてそういった割り切りというかリスクを強く意識したゲームマネジメントというのは守備のライン設定だけではありません。
18分や33分にあったシーンですが、左に下りて受けた遠藤に対してその時のうちは4-4-2のブロックを揃えて特にプレスを掛けずに構える選択をします。そのためフリーで持った遠藤はそこからいかようにも繋ぎ直すことができるにもかかわらずシンプルに長いボールを蹴ったシーンがありました。

さらに前半の飲水タイム直前に左の伊藤からダイレクトパスで裏へフィードが蹴られるもオフサイドになったシーンでは、その直前に右CBの山本義がフリーで持ち出せる余裕がありながらも、下りた大津と中央の遠藤で小さく繋ぎながらまるで餌を撒くようにしてうちの守備を食いつかせ、少しパスがズレたためうちがラインを上げたタイミングで左の伊藤へ渡してダイレクトで裏に蹴り込むというシーンもありました。

そういったプランを徹底しつつ、相手のちょっとした綻びから得たセットプレー、そしてチャンスを確実にものにしたという点で、何だか今のうちとの決定力を含めた勝負強さみたいな差をまざまざと見せつけられた気がしました。

最後に

試合後には我ながら救いようのない負け惜しみの感情が生まれたり、自分達の戦いも含めてですが磐田に対して余計なお世話以外の何物でもないことを思ったり、いや、具体的なことはわざわざ書かないですが、すっかり心は荒みました。

まあ何を思い、何を感じたとて、そこにあるのは昇格目前のチームと昇格を逸したチームの差を見せつけられた上で、1つの区切りを迎えてしまったというそれ以上でも以下でもないという事実です。

まだ残り5試合あるタイミングではありますが、来季に向けての話がここから本格的になっていくかと思います。
気になるのはやはり指揮官の去就になるかと思いますが、もちろんお金やら本人の意思やらが関わってくる話なのでそう単純な話ではないのは重々承知の上ですが、個人的には2年続いた同じ船主による旅の続きをこれからもさらに見てみたいなという感じです。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。