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『なんくるないさ』でなく『なんとかしねばならん』【展望】第16節 FC琉球戦

2021年5月29日

こんにちは。

ついに大宮が決断しましたね。
火曜日、岩瀬監督と西脇フットボール本部長の解任。そして暫定監督にチームのトータルアドバイザーであり、また今季からWEリーグに参戦する女子チームの総監督だったノリさんこと佐々木則夫さんの就任が発表されました。
いやはや、まさかそこから引っ張ってくるとはという感じです。

元々WEリーグ参戦に向けて十文字をベースに名乗り出てきたこと自体もあんまり快く思えずにいましたが、男子チームが不振に陥ったらその女子チームの総監督を暫定監督に据えるという、まあ何とも都合がいいというかなんというか。
まあ、よそのことですし詳しい事情も知らないので別にいいんですけど。

一方の岩瀬さんについてですが、以前から論理的でそれを分かりやすく説明できる方という印象があり、個人的には開幕前から大宮は厄介になるかもと予想していました。
しかし、この記事でも時折話を出させてもらっている自分の師匠は開幕前から懐疑的に見ており、結果的にその師匠の目利きが的中した形となりました。
曰く『ファン目線で期待したくなる気持ちは分かるんだけどね……』ということを仰っていました。改めて現場で戦っているからこそ見えるものがきっとたくさんあるんだろうなということを思い知らされた次第です。
それでも、だからこそファンとしていろいろ考えるのが楽しいし面白いとも思えるわけですが。

とりあえず岩瀬さんにはまたどこかで再起して頑張ってほしいなというのと、大宮にはこのまま何となく沈んでいてほしいなと願うばかりです。

安定した強さ

さて、本題参りましょう。
前節の京都戦に続いての上位決戦。今週はホームに3位のFC琉球を迎え撃つ第16節です。

まず琉球の開幕前のインアウトについてですが、浦和に引き抜かれた小泉や松本で活躍している河合など主に前目の選手が昨年からは抜けました。しかし、替わって徳島から加わった清武や岡山から加入の清水、そして地元出身で満を持して加入と言える赤嶺などの補強に成功して樋口体制3年目を迎えました。
的確な補強が施されたとはいえ、正直派手に大型補強できたわけではありませんでしたし、何と言っても昨季は16位に沈んだチームでしたから、前評判は決して高くなかったかと思います。それでも始まってみれば破竹の開幕5連勝。下馬評を覆してのスタートダッシュを成功させたという意味ではうちと似たような経緯だったと言って差し支えないでしょう。

しかし、初黒星を喫してからがうちとは少し違います。
うちよりもちょっと早い9節というタイミングで今季初黒星を喫したわけですが、以降は前節山形に敗れて2敗目を喫するまで、連勝を含む5試合負けなしという成績を残し、初黒星を引きずらずに立て直してみせました。
そうであるならば、うちとしてはそんな琉球に勝つことで立て直しのきっかけを掴もうではありませんか、という位置付けに今節はしてもいいかもしれません。

強力な右

基本の形は4-2-3-1。
基本というかスタートは毎試合必ずこの形ですし、途中からシステムを替えるようなことも自分が見た限りはほとんどありませんでした。メンバーに関しても、途中から出ることの多い選手を含めて、大体決まった14,5人を軸に少数で回している印象なので、このあたりもうちとよく似ていると言えますが、まあこれは勝っているチームはいじらないとか、良い意味ですでにある程度チームが固まっているからみたいなことの帰結なのかなとも思います。

戦い方の方向性、ベクトルみたいなものもよく似ている印象です。
ポゼッションをすることで試合の主導権を握ろうとしますし、守備もできるだけ高い位置から奪いに行こうというのがベースとしてあります。

攻守それぞれ触れていこうということで、まず攻撃について見ていきましょう。

ポゼッションを軸とする中で、ボランチが1人下りてビルドアップをサポートするだとか、SBが高い位置を取って崩しの局面に関わるだとか、SHが内側に入ってトップ下やFWと連携しながら間を狙うだとか、それぞれのポジションに置かれている選手の特徴も含めてうちと共通する部分が多くあります。

そんな琉球というチームの大きなストロングポイントがサイド攻撃であり、そこで印象的な活躍を続けているのが今節注目であり警戒すべき選手に挙げる右SBの田中です。

Youtuberとしてもすっかりお馴染みであり、自分もチャンネル登録して毎回アップされる動画を楽しみにしている1人ではあるのですが、今季はここまで5アシストを記録しており、開幕からここまで高品質なクロスを毎試合何本も上げています。
13節に琉球と対戦した栃木の田坂さんも、試合前のインタビューで琉球の警戒すべきポイントに『サイド攻撃』を挙げており、さらに『右から15点、左から3点』という具体的な数字まで挙げていました。実際田中の1つ前にいる右SHの風間宏矢も6アシストを記録しており、それくらい右からのクロスで仕留める形が今季の琉球は数多く見られています。

琉球の右vs新潟の左というお互いのストロングポイントがぶつかるサイドの攻防は、この試合の大きな見所の1つと言えるでしょう。

堅守と明らかな弱み

続いて守備についても少し。
基本的には前から奪いに行くということを先程書きましたが、とはいえ京都ほどの圧力や強度を持って常にプレスを掛ける感じではありません。もう少し後ろや大外といった、持たせていいところはある程度持たせつつ守るというバランスのよさみたいなところをより強く感じます。

特にSBの絞りや中を閉めて内側を通させない部分は強く意識されている印象であり、ゲーム展開としては前節京都戦のような常にハイインテンシティで息をもつかせないという感じとは少し違い、お互いじっと睨みあってつばぜり合いで固唾を飲むような時間が増えるような気がしています。まああくまで予想ですが。

そんなバランスの良さを感じる琉球において、目下最大の課題となっているのがセットプレーです。
直近の3試合はいずれもCKからの失点があり、特に前節に関しては『絶対にやらせないようにしよう』とHTコメントで樋口さんからも声がかけられて、かなりチームとしても意識していた中で立ち上がりの時間帯にやられてしまっていました。

守り方としてはストーンに1人とゴール前に1人をそれぞれ置いたら残りはマンツーマンというものですが、前節の山形なんかは走り込む選手が一斉にニアに走ることで空いた中央のスペースにエリアの外から走りこんだ選手が合わせたり、またはストーンに立つ選手を越えたところでタイミングよく入って合わせたりして攻略していました。
2週続けて同じ轍は踏まないように対策はしてくるでしょうけど、マンツーの弱みを狙うという意味では、山形の1つ目のゴールのようなスペースメーキングを取り入れたデザインというのは大いに参考になるでしょう。

ちなみにここまでの失点のうち半分がセットプレーから喫したものということなので、逆に言えば総失点がうちと同じ12でリーグ2位の少なさですから、流れから崩されてというようなやられ方はほとんどされていないとも言えます。
だからこそ明らかな弱点になっていて、どこかで苦手意識も生まれつつあるであろうセットプレーは全力で突いていきたいところです。

最後に

ポゼッションができて安定している琉球において1つ今節に向けて不透明なのが、理由は分かりませんがここ2戦ベンチにも入らず欠場が続いている阿部の出場可否です。
予想スタメンでは希望込みで入れませんでしたが、彼のポストプレーでありキープ力というのは、それがあるかないかで攻撃の迫力が変わるのはもちろん、守備の時間を減らせる効果ももたらす大きなポイントになっています。

2戦欠場しているとはいえ何となく前節のウタカ同様ケロっと出てくる気がして仕方ありませんが、古巣対戦となる孝司とのCF対決というのも、サイドの攻防と合わせて大きな見所になるでしょう。

さあ、勝ちましょう。もうほんとに勝ちましょう。
2週続けてエキサイティングでハイクオリティな楽しい試合になるのは間違いないでしょうから、今週こそ、3を取りましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。