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オレラグ

尽きない興味と光り輝く魅力【戦評】第16節 FC琉球戦

2021年6月1日

こんにちは。

今節はエフエムしばたで実況中継がありました。
放送でも言われていた通り落ち着いたトーンのイケボで、すごく聞きやすい上にとても分かりやすくタメになる解説をしてくださった板垣さん。
またサッカー実況が初ということだったそうですが、BCリーグの実況をされているのは何度も耳にしていましたし、サッカー実況が初とは思えないくらい安定感があって全くストレスなく聞くことができた実況の中村さん。ちなみに2点目のシーンで『シュート!』の後に少し出た『いけー!』という叫びは最高でした。
さらに冨高さんと加藤さんというリポーターお二方も、真面目な情報あり、ちょっとゆるいネタもありで、何より実況・解説含めてみんなで楽しみながら応援している感じが伝わってきて非常におもしろかったです。
試合の30分前からたっぷりと時間を取って放送してくれたわけですが、そこで選手がテンションを上げるために聴く音楽をリクエスト的に流すというのもとってもよかったです。

FM-PORTが閉局してからまもなく1年。
様々なところでPORTロスを感じてきた中で、サッカー中継というコンテンツがなくなったというのもそんなPORTロスを感じさせる一因でした。
そんな中で、今節は新発田市デーということでクラブの方から打診をしてエフエムしばたさんがそれに応えてくれて実現した生中継だったということを日報の記事で見ました。ほんとにほんとにありがたい限りです。

そんな簡単にできるものではないということは重々承知しているのですが、それでも今回限りではなく今後も継続していただけると嬉しいなと思いますし、他のコミュニティFMさんにもぜひやっていただきたいなぁとサポーターとしてのわがままをここに書いておこうと思います。

スタメン

さて、先週に続く上位決戦。今週は見事にやってくれました。連敗ストップです。
しかも今季初めて先制されながらの逆転勝ちということでより一層しびれる勝利でした。
素晴らしい。堪らん。

ということでまずスタメンからおさらいしておきましょう。

新潟の方は前節と全く同じスタメン11人、そして同じベンチメンバーということになりました。

対する琉球は前節から2人の変更が施されます。
まず前節負傷のため前半のみで交代となった岡崎に替わり、李栄直がCBに入りました。
また、気になっていた最前線には3試合ぶりのスタメン復帰となる阿部が名を連ねました。
やっぱりケロッと出てきました。まったく、こっちとしてはいい迷惑です。

自信を持って逆を取る

試合前のインタビューで樋口さんも『ミラーゲーム』を予想されていたこの試合。お互いがボールを大事にしながら攻撃、そしてゲーム自体を組み立てようとする中で、梅山さんが仰っていたように『スローなペースのゲーム』となりました。
前節とはまた違った趣があり、とはいえ同じように質の高いおもしろい内容だった今節は、改めて今のチームの強さを再確認させてもらえたゲームにもなったかなという気がします。

ということで1つ拾ったシーンが49分から50分にかけてのところです。

攻撃をやり直す場面。
千葉が前を窺うもパスを出せずにゴメスへ下げ、さらに航斗まで一旦ボールは下がります。そこから右に開いて受けた舞行龍がフリーとなったボランチのヤンへ縦パスを送り攻撃のスイッチが入ったという流れです。

千葉からゴメスへ下げた際、琉球の方は右SH風間矢と前線の池田、阿部という3人が前へ出てきました。
そして一旦最後尾の航斗までボールが戻ったところで、池田は一旦中央を消すようなコース取りをしつつ少しずつ前に出てきて、さらに航斗のトラップを見て今度は千葉へのコースを気にする動きを見せてからまたじわじわと航斗まで寄せに来ました。

ただ、こうしていくつか迂回しながらじわじわと出てきたことで航斗には十分な余裕がありましたし、舞行龍へ寄せに行った阿部も、まず中央へのパスコースを消していたために舞行龍とは短くない距離がありました。
さらにゴメスが航斗へ下げた時に、中央にいる島田に対してボランチの上里はすぐ寄せられる距離まで行っているのですが、結局舞行龍にボールが入った時点では横へスライドするために島田とは距離ができていました。

例えばゴメスから航斗へ下がったところで池田がより直線的に航斗へアプローチをかけて考える時間を奪い、同時に中盤から後ろもグッと押し上げることで上里もそのまま島田に付くくらい嵌められた場合、もう少し新潟も苦しくなる可能性はありましたし、前節の京都戦ではないですが実際にそういう場面はこれまでの試合でも時折見られています。

ただ今回のようにある程度時間的にも空間的にも余裕があれば、航斗はトラップで千葉に出す雰囲気を見せてから右に開いた舞行龍に出せていましたし、舞行龍からの縦パスも内側に入ったミトちゃんと中央に立つヤンとで風間希に対して数的優位を作ることが出来ており、風間希の動きを見た上でフリーになったヤンに出すことができていました。

今回のようにまずは中盤へのコースを切ったりスペースを消したりしてCBやGKまでは無理して出ないという相手に対しては、仮にそれが上位に位置する強敵の琉球であっても、今の新潟は相手を見ながら逆を取ることで中央からでもスムーズに運び出せるし、そうやって優位に立てるだけの力を証明してくれたように感じられました。

This is 9番

今回拾ったシーンはその後、ヤンからすばやく島田に渡り、少し運んでから相手のライン間であり中間に入った孝司へ縦パスを入れ、そこから左に開いて待っていた至恩へ展開して仕掛けるという流れに至ったのですが、改めて孝司の存在感、ポストプレーの効果の大きさを実感することが出来ました。

まあこのシーンやこの試合に限った話ではなく、復帰した町田戦以降その存在感の大きさを感じさせられるシーンはたくさんあったわけですが、彼が相手のライン間やもしくは相手の中盤のラインに下りて起点を作ってくれることで、2列目の特に善朗なんかはより高い位置で次の空いたスペースを狙いやすくなっていました。

同点ゴールも孝司がニアに動くことで相手の意識を少し引きつけて空いたスペースに善朗が走り込んだわけですが、善朗のあの合わせる技術とあのコースに流し込む技術自体が変態ではあるのですが(もちろん褒め言葉)、この孝司と善朗というホットラインみたいなところはますます期待したいなと思いました。

いくつかの解、いくつものきらめき

もう1つ先程のシーンで、ヤンが舞行龍から縦パスをもらったシーンがありましたが、現地で見ていた時は、フリーにもなっていたのでスッとターンして少し前にドリブルで運ぶアクションを見せることで、相手が急いで中央を閉めないといけないように仕向けてから中間なりサイドなりに展開というのがあってもいいのかなと感じました。
またこのシーンに限らず、そしてヤンに限らずですが、もう少しドリブルで運び出したり高い位置であれば思い切って仕掛けたりというプレーがあってもいいのかなというのは感じました。

ただ結果的に焦れずに揺さぶることでしっかり逆転もできたわけですし、後半の頭に梅山さんも『ムキになって突っ込んで行かないこと、焦れずにできるかどうか』ということを仰っていたので、この辺は微妙なさじ加減であり、まだまだ自分の中でも考え中といった感じです。

とりあえず忘れないように書いておきたいのは、ヤンは前半の14分や後半に入って57分のように相手に寄せられながらクッとターンをして相手をかわすシーンが見られましたし、守備面でも前から嵌めに行って激しい寄せで奪ったり、またはCBやSBが留守にしたところをスッとカバーに入ってピンチを未然に防いだりするシーンがこの日も見られました。
そしてそのプレーぶりはまさにこの日の早朝にあったCL決勝でのエンゴロ・カンテのようでした。

あとは前へ運び出す、抜け出すといった意味で途中から入った星のプレーも見事でした。
リードして時間的にも残り少ない中でしたから、リスクが増すような仕掛けるプレーというのは多くありませんでしたが、ドリブルで運んだり、ランニングで抜け出したり、とにかく空いているスペース、相手に取って嫌な場所を見つけながらそこを使うプレーが抜群だったように思います。
今季うちに来るまでのイメージとしてはもっとサイドで上下動するタイプだと思っていましたが、より幅広く動きながら様々なことができる攻撃的なセンスには見るたびに心惹かれています。
そしてこれはやっぱり山口や大分で上野さんや片野坂さんといった監督さんの下でプレーしてきた影響も多分にあるのだろうなということをふと感じました。

最後に

前線からのいい守備の嵌め方、アップから見られた2点目にも繋がるボランチの積極的な飛び出し、失点シーンの深掘り、警戒すべき選手に挙げていた田中がさっそくアップしていた今節の動画でビッグスワンの雰囲気について話してくれた事など、まだいくつかトピックはありますが、疲れたんで終わります。

とりあえずこれだけは書いておきたいということを書いて締めます。
アルベルさんは試合後のインタビューで真っ先に琉球、そして樋口さんへのリスペクトの言葉を仰っていました。また樋口さんも試合後の会見で『非常にサッカーの面白さを感じる試合が新潟さんとできた』ということを仰っていました。

結果が全てというのはまさにそうです。
チームの立ち位置、対戦相手との選手の力量、その他外的要因などを考慮して楽しさやおもしろさ、魅力的かどうかなどは割り切って多少荒削りにでも戦うチームはあります。それはそのチームの勝つための選択ですから誰に非難される筋合いもないですし、間違いなく尊重されるべきものです。
だからこそ今、我が心のクラブが多くの識者の方や今回のように敵将からも面白いと思ってもらえる魅力的な戦い方によってリーグテーブルの上にいられることが何とも誇らしいですし、何よりそんな魅力的な戦い方をより磨き上げることでさらに強くなれると思えることが幸せなのです。

来週からもまた1試合1試合自信を持って勝ちに行きましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。