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オレラグ

3つ並んで団子 白く塗られて団子 間に挟まれた二男躍動【戦評】第3節 レノファ山口戦

2021年3月15日

こんにちは。

12年ぶりの次は22年ぶりと来ました。
開幕3連勝。やったぜやったぜ、わーいわーいであります。
しかも前半なんてほぼパーフェクトと言ってもいいような内容で2ゴールを奪いました。ボール支配率はほぼ7割に達するほどでその成功率も90%越えということで、相手の出来を考慮する必要はあるでしょうけど、まさにボールを愛し、ゲームをコントロールした45分でした。

後半は一転、アルベルさんも仰っていたように「ゲームのコントロールを失ってしまった」ことで見せ場も減り、最後に多少な不運も重なって失点というケチが付きましたが、とはいえ何よりも勝つことが大事です。
浮かれ過ぎず反省して次に行けるとポジティブに捉えるのが吉でしょう。

ちなみに実況を担当されていた江本さんは広島観音でプレミアにも出ていたほどのバリバリのプレーヤーだったようですが、そんな方が2点目に至る流れで航斗のパスをワンタッチで中央に持ち出した奏哉のプレーに「ナイスタッチ」と仰っていて、またさらに79分頃に山口のプレスをうまくかわしたビルドアップにも「おーうまい」と、どちらもボソッと感想がこぼれ出てしまっている感じが何だか嬉しかったです。

スタメン

ではスタメンからおさらい。

まず新潟の方ですが、前節レッドカードを頂いてしまった10番・エースが出場停止。ということでそんな至恩がいない左SHには星が移籍後初スタメンとなりました。

対する山口ですがこちらも前節から1人の変更ということで、開幕から2試合ボランチでスタメン出場していた佐藤謙介が欠場でした。
替わって前節SHでスタメンだった池上がボランチ、FWだった高井がSHとそれぞれポジションを下げて、前線に今季山口に戻ってきた岸田が復帰後初のスタメン出場となりました。
ここまでビルドアップの起点となっていた佐藤謙介は、前節少し足を引きずるような素振りを見せて交代していたので、そういったコンディションの影響で欠場となったのかなと思われます。またそれに伴い前でプレーしていた選手を少し下げることで替わりにCFタイプの選手を使ってきたということで、少しオフェンシブにしてきた印象がありました。

間を閉めてからのガッ

いいことから振り返ろうと考えた場合、やっぱりこの試合から抜き出す場面はほとんど前半ということになります。
ということでまずは守備、前線からのプレスについて。
まずは10分のシーンです。

相手のCB渡部が少し持ち出して一旦楠本へ渡したのに対して、新潟は孝司と善朗の前線2人が中盤の中央に立つボランチの佐藤健を隠しつつスライドしながら、CBのところはある程度持たせる形で守ります。
そして善朗と星の間に顔を出した池上には簡単にボールを入れさせまいとヤンがグッとアプローチを掛けます。そこでボールは再び渡部に戻るのですが、その瞬間に島田がスッと前へ出てラインを押し上げつつロメロとの間に下りてくる岸田も監視下に入れます。そしてボールは左SBの石川に出るのですが、ここも一旦岸田へのコースを消したところからロメロがスプリントで出て行き、結果的に長いボールを蹴らせてオフサイドを取ることに成功しました。

開幕からの2戦では、この日欠場だった佐藤謙介がほとんどのシーンでオートマティックにCB間に下りて後ろを3人にするビルドアップを行っていましたが、この日はそうやってハッキリ後ろを3人にするシーンというのがあることにはありましたが、過去2戦よりは明らかに少なくなっていました。
試合後に渡邉監督は「我々が攻撃においてやろうとしていた立ち位置は、今までとは違うものをやろうとしていました」と仰っていたので、この辺も対新潟ということで変化させてきた一環だったのかなと思います。

そんな相手に対してこのシーンでは前線2人がボランチ中央の佐藤健を消しつつ、CBにはある程度やらせて、間を閉めながらサイドに出たところで圧力を掛けて嵌めこむという形ができていました。

外を切ってガッ

もう1つ紹介したいのが前半39分のシーンです。
こちらは山口のゴールキックからのリスタートですが、始めの立ち位置から佐藤健が少し下がっているパターンでした。

そんな相手の立ち位置に対して新潟の方は、下がった佐藤健を孝司が見て、ボールが入ったCBの楠本には後ろから善朗が出て行きました。パスコースを見出せなかった楠本は再びGKの関へ戻すのですが、ここで新潟は孝司が関まで出て行きます。それに伴い孝司が置いて行った佐藤健には善朗がスライドし、善朗が置いて行った楠本には星が外を切りながらプレスを掛けます。
再びもらい直した楠本は星に外側を切られ、中央のパスコースも下りてきた池上には島田がぴったり付いて来ていたため、1つ奥を狙ったパスを出しましたが、冷静に見極めた島田が見事にカットしたという流れでした。

先程とは違い、プレスのスイッチが入った際に2トップは縦関係となり、サイドに開いたCBにはボールが出た側の星だけでなく逆サイドのロメロも出る準備が整っていたことで、こちらもやはりうまく嵌めこむ形を作ることができていたというシーンでした。

いずれのシーンも山口は、新潟の圧力に押し込まれる中でSBも外側の低い位置のままとなっていて、また39分の方が特にそうですが岸田もかなり低い位置まで下がってきていましたので、山口にとってはボールを運ぶどころか動かすのもシビアな状況を新潟は強いることができていたのかなと思います。

補足として、前節の戦評記事でサイドに誘導してからのSHの寄せ方についてもっと効率よくできる余地はあるかなと書いたのですが、この日の特に前半に関しては、いいタイミング、いい角度でロメロや星が相手のSBや開いたCBに出て行けていた印象でした。
より強力な個を有するチーム、もしくは完成度の高いチームと対戦した際にも継続してできるかということは気になるポイントなので、引き続き見てみたいなと思います。

引き出して広がるところへ出す技術

先週クラブのツイッターアカウントで、何度もやり直しながらポゼッションをした末に大きなチャンスを作ったシーンと共にアルベルさんの力強いコメントが投稿されていましたが、この日も前半に関しては非常に柔軟に丁寧にそしてテンポよくボールを動かしてチャンスを作ることができていました。

その中でもやっぱり目を引いたのが千葉でした。
ということで特に思わず唸ってしまったシーンを1つ。
それが59分、航斗からもらったパスを少し持ち出してから左足で対角のロメロへフィードを送ったシーンです。結果的に触ったのは競り合った相手でしたが恐らくロメロとしても狙っていたであろう外の奏哉へ送ることに成功しました。

まず千葉にボールが渡ると、山口のFW草野は舞行龍の方を切りながらじわじわ距離を詰めてきます。またその周りに関しても、ゴメスには右SHの高木、左に下りてサポートした島田にはボランチの田中が前へ出て捕まえることで完全に嵌った状況を作られていました。
しかし、田中が前に出たことで中央のギャップを通されないようにするためもう1人のボランチである池上も山口から見て右側へスライドしてパスコースを消しにかかるのですが、それを逆手に取るように千葉は浮球でしかも利き足とは逆の左足で、スペースの広がった右のロメロへ展開するというさすがの技術を見せてくれました。

相手がプレスを掛けて奪いに来ているシチュエーションでは基本的にどこかにスペースができるわけで、「あそこに出せたらチャンスになるけどさすがに厳しいなぁ」と思うことはサッカーを見ているとよくあって、だからこそそこを通してくると「すげー!」とテンションが上がるわけですが、まさにこのシーンは「そう、そこ!」と興奮するようなシーンでした。
また、サイドで体の強さを活かしてボールを収められるロメロであり、このシーンで言えば池上の気を引けたように常に間に入って受けようとしてくれる善朗のプレーも間違いなく見落としてはいけない大事な部分なので付け加えておきます。

千葉ちゃん先生

ちょっともう1度千葉の話に戻ります。
広島時代のチームメートでありこの日解説を担当されていた中島さんも、この59分のシーンを「頭脳的な配球」と褒めていましたが、それ以外でも何度か千葉のプレーを褒めるシーンがありました。
その中でも28分頃のシーンで、ちょっとボールを持って止まったところから一気に右へサイドチェンジしたシーンについて中島さんが「あんまり動かさないんですよね。(中略)自分の中では逃げ道が見つかっている中で少しあえてタメてサイドチェンジを入れましたよね」という解説は非常に興味深く感じました。

相手を動かすために1人1人が持つ時間やタッチを少なくしてボールを循環させることが攻撃においてはセオリーとして言われるわけですが、止まることでプレッシャーを掛けづらくする効果があるということのようです。
これはちょっと余談ですが、現在のマンチェスター・シティであったり、Jで言えば川崎なんかもそうだったりしますが、ボールは動かせども人は動き過ぎないということとも当たらずといえども遠からずな話なのかなという気がしました。
ボールを動かすことで相手を動かしているのだから止まっていれば自然と受け手は相手の間に立つことになるみたいな話ですが、結局何が言いたいか自分でもごちゃごちゃしていますがやっぱり出し手も受け手も緩急が大事だよね、という感じでしょうか。

すみません。正直全然噛み砕けていないのでまだまだこの辺の話しはうまくアウトプットできませんが、つくづくサッカーって難しいしおもしろいなと感じずにはいられませんでした。

修正を上回る修正を

後半は劣勢の展開となったわけですが、守備に関しては安定感を持ってできていたかと思います。
山口が後半の頭から田中をボランチに入れたことで後ろを3人にして動かす形が少し増えたり、またSBが内側の高い位置にポジションを取るところから深い位置への侵入を試みたりと、これまでの2戦で山口がうまく運用できていた形が発揮できるようになり、新潟としては自陣でブロックを敷く時間が長くなりました。
それでも繰り返し相手の狙い通りに崩されたということではありませんでしたし、ゴール前もCBの跳ね返しを筆頭にそのCBがやや釣り出されたとしてもしっかりボランチやSBがカバーに入るという集中力がしっかり持続できていました。
また、前線から嵌めこむ形に関しては前半同様にできているシーンも随所にありました。

ということでやはりより向上させるべき部分としては、押された展開になってもいかに自分達でボールを持ちながらコントロールできるかということなのかなと思います。

試合後に渡邉監督も仰っていましたが、前半山口はプレッシャーを掛けたところから外ではなく中で奪いたいという意図があったようですが、その嵌め方、強度が少し中途半端な部分もあって新潟はリズムよくボールを動かせていたのだろうと思います。
それが後半になると中央に残る新潟のボランチを前線2人で消すところを始点として、そこから後ろを3人にする新潟に対して外へ追い出す形が少し増えたように感じました。それによってパスの角度を作りづらくなったというのもあるでしょうし、また縦パスに対する山口の強度も前半より改善されていたこともあって、なかなか起点を作って展開したり相手陣内に押し込んだりという形が作りづらくなっていた印象でした。

前半が終わった際、このままの展開は続かないだろうし、ましてや渡邉監督であれば尚更そうだろうと思ったら案の定修正されて苦しい展開を強いられました。とはいえそれでも途中にゴメスを1つ上げて史哉や田上などを投入しながらしたたかに逃げ切ったというのはもちろん素晴らしいことではあるのですが、それと同時に相手の様々な出方に対してさらにもう1つ2つ後出しで効果的な策を繰り出せるようになれたら、きっともっと明るい未来が待っているような気がします。

最後に

冒頭にも申し上げた通り開幕3連勝は22年ぶりだそうですが、22年前はそのまま連勝を7まで伸ばしました。ですからこれから4、5、6、7と連勝したとて新しい記録に塗り替えられる事はありませんので、記録とか余計なことをしばらく考える必要はないでしょう。
もとより現場の選手やスタッフは恐らく全く気にしていないでしょうから特に心配する必要もないのですが、我々見る側としてもそんな感じでまた1つ1つ応援していけたらいいのかなという感じです。

仮に7連勝まで行っちゃえばたぶん嫌でも気になっちゃうとは思うのですが、まあそうなった時はそうなった時にわくわくすればそれで十分ですし、やっぱりしばらくは引き続き目の前の1戦1戦がんばろうというのが唯一にして最善の心持ちなのかな、なんて思います。

ほんとに勝つって素晴らしい。
そして反省しながら勝つってさらに素晴らしい。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。