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大事なこと リスペクトすること リスペクトし過ぎないこと【戦評】第4節 ザスパクサツ群馬戦

2021年3月22日

こんにちは。

今季無傷の開幕4連勝でございます。
奪った勝ち点12という数字もさることながら、この字面といい響きといい何と甘美で美しいものでしょう。“墾田永年私財法”とか“東海道中膝栗毛”とか、つい声に出して言いたくなる日本語っていうのはいくつかあるわけですが、この“今季無傷の開幕4連勝”もつい声に出して発したくなる気持ちのいい言葉ですね。

ちょっとふざけましたけど、いやほんとに素晴らしいです。
この日久々に会った信頼できる友人も「面白い」と言っていたり、大体毎週のように雑感を聞かせてもらっていて個人的に師匠と尊敬する方からも「今年いいサッカーしてるね」というお墨付きをいただけたりと、やっぱり見る人が見ても称賛に値する素晴らしい試合ができているんだなと改めてですが嬉しくもあり誇らしく感じられます。

今回も感じたこと、思ったことを楽しくダラダラと書いていきます。

スタメン

まずはメンバーから。
新潟の方は前節出場停止だった至恩がスタメンに復帰し、それ以外は今季お馴染みとなりつつあるいつものメンバーという感じでしたが、ベンチには今季初めてゴンサが名を連ねました。
昨年あれだけ多くの外国籍選手が、しかも多国籍な選手が揃っていたところから今季は一転して外国籍選手は彼だけになったということで、昨年にはなかった難しさやストレスなどもあり得るかもしれませんし、今後出てくるかもしれません。ただだからこそ今まで以上に強く応援したいですし、ピッチで躍動してくれることを期待したいなとも思います。

対して群馬のメンバーですが、こちらは前節ケガで欠場したSBの平尾が復帰。それに伴い前節は右SBだった岩上がボランチへ戻りました。またCBには今季大宮から加入した畑尾が移籍後初出場となりました。

6連続アタック

この試合に限らずですが、今年ここまで結果が出ている理由は様々ある中で、非常に大きなウエートを占めているのが攻から守への切り替えの早さと強度の部分かなと思います。この日NSTの中継でリモート解説をされていた松木さんにもプレッシャーの速さ・強さみたいなところでお褒めの言葉をいただけていましたが、そんな守備のところで相手との差を強く感じた部分を拾ってみました。

まず1つ目が新潟の連動した守備ということで、前半25分のシーンです。

右サイドで孝司が囲まれて失った瞬間、サポートに来ていた奏哉がまずすぐにボールホルダーの久保田へ出て行きます。-①
次に中央でボランチの岩上が受けますが、ここにはヤンとロメロが素早く寄せに行きます。-②
それでも群馬は右SHの田中がうまく中央へ入って間でボールを引き出すのですが、そこにも新潟は島田と善朗が前後から挟みに行きます。-③
それによって田中は一旦ワンタッチでCBの藤井へと戻すのですが、そこには善朗がプレスバックしたところからクルッとターンしてプレスを掛け-④、さらに右SB吉永へと渡ったところも至恩が連動してプレスを掛けます。-⑤
そして吉永は中央でサポートに入ったボランチの岩上へ渡すのですが、ここも島田とロメロが近い距離まで寄せに行けており、苦し紛れに前へ出したボールをゴメスが回収したという流れです。-⑥

まず、このシーンの最初の3つ目までのように、少ないタッチで相手の寄せをいなしつつ局面をうまくかわして打開していくということを群馬というチームは十分にできるだけの高い技術を持ったチームです。それはここまでの3戦を見ても分かりますし、この日の中でも数は少なかったですがいくつかそれが垣間見えるシーンがありました。
そういった相手に対して、新潟はこのシーンで言えば奪われたところは実に6回連続で奪いに行けており、さらに中央のエリアに入るところでは必ず2人で囲みに行けていました。
このように連動してプレスを掛けられている事で、CB藤井から右へパスが出るところで右SBの吉永は、前を向いた状態で受けるどころか後ろに戻りながらとにかく寄せられている藤井をサポートするためだけの動きを強いられていました。

連動しきれてなかった群馬

続いて対する群馬の守備と新潟の運びについてということで、こちらは75分のシーンです。

後ろからの縦パスを収められなかった右SHの田中が、そのままボールホルダーとなる千葉、舞行龍と連続でプレスを掛けていきます。この時点で奏哉には左SH加藤、そして島田とヤンのボランチコンビも群馬の2トップ(大前、青木)によって嵌められていたため舞行龍は一旦航斗まで戻す選択をするのですが、そこにも田中は出て行きました。
しかしこの時、田中が次にパスが出る千葉のところまで「次来い」と右手で要求していたように見えましたが、残念ながらタイミング的に遅れて誰も出られないままボールはフリーの千葉へと渡ります。
そのまま田中が千葉のところまで追い、ここでようやくボランチを見ていた青木も前を塞ぐように出てくるのですが、結局外側で待っていたゴメスへボールは展開され、そこから一気に決定機にまで至ったという流れでした。

新潟の守備に比べると、1人が3回も4回も続けて追っている状態がまず効率が悪いと言えるでしょうし、結局連動して味方が2つ目、3つ目までプレスを掛けられていないことで、新潟としては落ち着きどころを見つけながらプレーすることができていました。

4分、5分、7分と前半の立ち上がりから群馬は2トップの間に入った新潟のボランチにパスを通されていて、以降もプレスへ行くのかブロックを作るのか中途半端に見えることが現地で見ていても少し感じることはありました。
帰ってから見直すとやはりDAZN解説だった梅山さんもプレスのタイミングが1つ1つ遅いことやDFラインの押し上げが欲しいということを指摘されている場面があったので、何だか梅山さんに答え合わせしてもらえた感じがしてちょっと嬉しかったです。

まあそんな個人的な喜びはいいとして、群馬の守備の連動がイマイチだったというのは、展望でも書いた通りここまで昇格組2チームと、強風のゲームだったためこれだけ持たれる展開は今季初めてで少し戸惑った部分もあるでしょう。
ただそれと同時に新潟の的確なポジショニングと技術・判断によるポゼッションがしっかり発揮できていたからというのも紛れもない事実なはずです。
ということで次は攻撃について少し。

連動しきれないように仕向けた新潟

まず先程ご紹介した75分のシーンから1つ。

航斗から千葉がボールをもらったところで、群馬のFW青木はそれまで見ていた島田を後ろの味方が来てくれることを確認した上で少し前に出ました。ここで奪うために外側のゴメスへのパスコースを消す、いわゆる外切りの形で千葉へじわじわ寄せられれば群馬としてはよかったのだろうとは思います。
しかし最初は画面に映っていませんでしたが、ゴメスにボールが入ったところで分かるように孝司が少し下りて中間スペースに顔を出していました。そのため青木としては優先順位としてまずその中央への縦パスを消さないといけなくなり、結局ゴメスへのパスコースのところは中途半端になってフリーで受けられることとなりました。
またその先で至恩と善朗が前線にいることも、群馬の後ろの選手が連動して出て行きづらくなった一因となっていたかと思います。

さて、いい立ち位置であり的確なポジショニングという話ですが、ビルドアップをする際に島田が左に下りてSBを押し上げる形はもうすっかりお馴染みですし、またゴメスが少し残って至恩と奏哉が両幅を取るというのもこの日は特に多く見られました。
さらにそんな中で前半30分以降は奏哉が中盤の内側に入ってロメロが幅を取るという形も何度かあり、これもまたグッドでした。

特に50分頃、奏哉が群馬のDFとMFのライン間でフリーになって受けたシーンがあったのですが、ここでは前線にいる味方によって群馬のDFが自分まで出て行きづらいことを把握した上で、一旦やり直しつつ後ろで新潟がボールを動かす間もほとんど動かないことでフリーの状態を保ち、ヤンからのワンタッチパスを引き出していました。
これは前節の戦評記事で書いた『ボールを動かすことで相手を動かしているのだから止まっていれば自然と受け手は相手の間に立つことになるみたいな話』に近いプレーだったように感じます。

ここで何がすごいかと言えば、そういうライン間でフリーとなってボールを引き出すプレーをSBがこともなげにやっているということです。
もうすでに昨年からゴメスであり田上であり史哉なんかがSBでありながら内側に入って尚且つ高い位置に出ることはよく見られていましたが、奏哉に関してはチームとしてもスカウティング通りの補強であり、それがしっかり表現されているというのがよく出ているシーンに感じました。

取るべきポジションを取っていればそれが結局誰であってもいいわけで、そういう原則みたいなところをみんなで共有できているのでしょうし、とはいえそれがパターンというほどガチガチの決め事ではないからバリエーションが乏しくなることもないのだろうなと思います。

小さな成長と大前の叱咤

ターニングポイントと言うほどのものではないのでしょうけど、1点返された直後に自陣で失ってショートカウンターを受けたところを必死に戻りシュートコースを塞ぎ、何とか奪ったところから逆にロメロがカウンターで一気に運んでチャンスを作りかけた場面は、この試合においてちょっとした転機だったように感じたというのと、また新潟としては成長を実感するポイントでもあったように思いました。

というのも、まあ多くの人が頭をよぎったかと思いますが、昨年のホーム群馬戦では追いつかれた直後にやはりその時も自陣での繋ぎのミスからあっさり逆転を許した苦い記憶があったからです。
しかし今年は例えミスが起きてもその後に素早くブロックを形成して、中央を堅く閉じたところから粘り強く守り切ったということで昨年と同じ轍を踏む事はありませんでした。
スタジアムMCの森下さんが「連勝できている一番大きな要因は失点後の落ち着きじゃないかな」ということをツイートされていましたが、まさに仰る通りだなという気がしました。

さらにその直後に反転攻勢へ出ていけたところでは、残念ながらクロスを上げるところでラインを割ってしまって決定的なチャンスとまではなりませんでしたが、プレーが切れたところで大前がかなり味方に対して大きなアクションで叱咤をしていました。
大前としては一点差にした直後でここが勝負どころだと思っていたのに反撃されて流れが切れてしまったというイライラもあったのでしょうし、そう考えるとここはこの試合において小さくないポイントだったのかなとも思いました。

最後に

他にもCBの配球のところやFWのチェックの動きでマークを外す動きなどから改めて個人能力の差を感じるシーンがいくつもあったなとか、セットプレーはやっぱりゾーンで守る相手に対していろいろ工夫を試みていておもしろかったなとか、ちょっとまだ思ったことはあったのですが、疲れたのでこのへんで終わります。

冒頭でちょっとふざけちゃってちょっと浮かれた感じにもなっちゃいましけど、まあ言ってもまだたった4試合です。アルベルさんも「まだ改善点はあるし、道のりは険しい」と仰っていました。
ただ、このチームでそんな険しい道のりにチャレンジできるということに、今はわくわくしています。1つ1つやっつけていきましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。