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アルビレックスしか勝たん【戦評】第7節 モンテディオ山形戦

2021年4月13日

こんにちは。

試合が終わった瞬間、というかアディッショナルタイム頃にはもうボソッと出てた気がしますが、思わず「いーや、強っ」とつい口に出ちゃうような、そんな戦いをしてくれたのが今節・山形戦でした。

山形のホーム戦といえばこの人というくらいすっかりお馴染みで、個人的には梅山さんと同じくらい好きな解説である越智さんも「試合巧者」と仰ってくれていましたが、ほんとに今節は強いチームの勝ち方ができたような気がします。

特に気の利いた言葉とか面白い言い回しとかは出てこないですけど、ただただ最高です。

スタメン

それでは両チームのメンバーからザッとおさらいです。
まずうちの方ですが、スタメンの方では舞行龍が1試合のお休みを挟んで復帰となり、あとはいつものメンバーでした。
またベンチの方では秋山が3節・山口戦以来のメンバー入りとなりました。

対する山形ですが、こちらもスタメンで前節から変更があったのは1人だけだったのですが、それがエースのヴィニシウスに替わって今季今治からやってきた林が初スタメンというプチサプライズなものでした。
どういった理由でヴィニシウスが欠場となったのかは分かりませんが、結果的にこれは山形にとってそのまま痛手となったように感じました。

行くとこ耐えるとこ

強いと思わせてくれたことというのは攻守両面であったわけですが、まずはアグレッシブさと我慢強さが常に共存していた守備の方から。

開始10分にも満たない間に善朗が3回もインターセプトを見せていたところからも、奪いに行く姿勢と善朗自身の調子の良さみたいなところをこの日もすぐに感じられたのですが、そんな中でしっかり狙いを持って高い位置で奪い切れたシーンを2つ取り上げてみたので、それを軸に少し書いていきます。

まずは前半28分のシーン。
相手が下げたところで孝司がスプリントを行うことで全体を押し上げるスイッチを入れます。善朗も連動して出て行きますが相手のCB野田が前を向いて蹴れる状態になったところでは一旦ステイして孝司に任せる冷静な判断を見せます。
そこから浮球で飛ばしたパスが左のSB山田拓に入るのですが、ここにはロメロがしっかり寄せ、さらにボランチの國分に下げたボールには善朗が中央に残るボランチの岡崎を消しながら寄せ、さらにパスが戻ってきた野田には孝司が逆サイドへ替えさせないよう連動したプレスを掛けることができていました。
これによってパスコースが中央に限定されてしまった野田はボランチの岡崎へダイレクトで出すのですが、ここを「待ってました!」とばかりにヤンが奪って見せました。

そしてもう1つ続けて81分のシーン。
こちらも途中からボランチに移った山田康が下がることで後ろを3人にした山形のビルドアップなのですが、まずはカイトと善朗、ロメロで網を張るように守備のポジションを取ります。
そして右のCB熊本へ出たタイミングで善朗が出るのですが、この時カイトもボランチの岡崎へ入れられないようにスッと下がるチャレンジ&カバーがしっかり行われていました。
そこからボールは再び中央の野田へ戻るのですが、ここには善朗が熊本へ出て行こうとした流れのままその熊本へのコースを切りながら2度追いをします。それによってボールは左の山田康へ動くのですが、ここでロメロはまずパスが出る前に首を振って中央の状況を確認していました。
そしてパスが出たタイミングで外を切りつつ寄せていったことで、また前半28分のシーン同様パスコースは中央に限定され、注文通り中央へパスが出たところをヤンがまたもや「待ってました!」とばかりに奪ってチャンスへ繋げました。

いずれも両側からじわじわ挟んで真ん中で奪うという綺麗な形ができていました。
翌日のニュースで野澤さんが至恩の守備について、先制点以外の場面でも「寄せる時にしっかり奪いに行ける距離まで詰めていた」ということを褒めていましたが、今回挙げた28分のシーンのロメロ、善朗、孝司の詰め方も同じことが言えるでしょうし、試合を通じて各選手がそれをよく実践できていました。
そういう高い強度で寄せられていたことで、ここまでの試合に比べると山形は繋ぎに苦労して長いボールが多くなっていた印象があり、実際石丸さんも試合後「ビルドアップのところでも相手の強度、食いつきをうまく利用してという部分は、今までのゲームに比べると少なかった」ということを仰っていました。

また、長いボールが多くなった山形はそれでもセカンドボールを拾いながら前半の終盤に押し込む形を作ってきました。しかしそこもCB陣を中心としてシュートや勝負の縦パスなどを確実にブロックしたりカバーしたりというのが随所に見られました。それだけ全員が組織的にコンパクトさを維持して中央からしっかり埋めていたという証でしょう。
アグレッシブさに加えて我慢強さも感じることができた部分でした。

修正力

いい守備によって失点を0に抑えたとしても、勝つためにはゴールが必要です。なかなかうまくいかないことも多く、みんなが「難しい試合」と話していたこの試合で、それでも抜け目なく2ゴールを取りきった強さを攻撃面では示してくれました。
そしてそのゴールを奪うにあたって触れておく必要があるのがちょっとした修正です。

先程も書いたように、ビルドアップがうまくいかず長いボールがいつもより多くなった山形は、それでも時間が進むにつれて慣れてくる中で、前半の飲水タイム以降はセカンドボールを拾うことで活路を見出しかけていました。

そうなってしまった1つの理由としては、うちのビルドアップもボランチが後ろに下がる形を基本としていた中で、そうするとボランチが中央から離れてしまうことになり、そこで失って長いボール入れられた時に中央でセカンドボールへの対応が後手に回るということだったかと思います。
そこで、試合後にアルベルさんが仰っていましたが「ボランチが中央のゾーンから離れないように改善を指示した」というわけです。

実際後半になるとビルドアップの際は、島田が下りるのではなくゴメスがやや後ろに残ることで数的優位を作る形に修正がされていました。
これによって中央でのセカンドボールなりルーズボールへの反応で後手を踏むことは減りましたし、ビルドアップ自体でもボランチ含めた後ろ3人+中央にヤン1人ではなく、SB含めた後ろ3人+中央2人になったことで山形の前線の守備(2トップ+両SH)も少し嵌めに出づらいシチュエーションが増えたように感じました。
またゴメスが残ることで至恩が外に張る形が増えたため、早めに入れて仕掛けさせたいということでサイドチェンジも増え、これによってよりダイナミックな攻撃の形が展開できるようになったかなと思います。

さらに善朗のヒートマップを見ると、前半はかなり自陣でもボールを触っていたところが、後半はボールタッチ自体こそ減りつつも、相手陣内の左サイドで特にボールを触るようになっていたという変化がありました。
これも中央にボランチが2人いてくれることで下がらなくてもよくなったということがあるでしょうし、ゴメスが残って至恩が張っているその間にサポートとして入るシーンもよく見られ、相手のボランチからすると自身の持ち場である中央からあまり離れてはいけないけど……という難しい判断を後半は強いることができていたのかなと推測しました。

越智さんが至恩について「仕掛けることで2人3人とカバーに来る。2人3人来るということはそれだけでも効果がある。1人で引き付けることでどこかにフリーが生まれる」ということを仰っていましたが、この善朗がゴメスと至恩の間にサポートに入ることは、仮にボールに触らなくても位置的な優位という意味でその至恩の仕掛けと似たような効果があるのかなとも感じました。
ちょっと話がいろいろ枝分かれしてしまいましたが、結果的にゴール自体は前からのプレスとセットプレーを起点に相手のミスから奪ったものとはいえ、ちょっとした修正や何かを改めて意識してプレーしたことで試合の流れみたいなものを引き寄せられたからこそ奪えた2ゴールだったのかなとも思います。

その他

他にも言い残した事を挙げれば、奏哉はこの日も抜群でしたし、孝司も本人は交代の際に少し悔しそうに見えましたが相変わらず安定していました。
また途中から入ったカイトも積極的なシュートがありましたし、田上にはホールドポイント、ゴンサにはセーブを上げたくなるような頼もしさがありました。

あと航斗が試合後アルベルさんに笑顔で謝っていたシーンがちらっと抜かれていましたが、連続でキックミスしてしまったというところはシンプルに反省点としても、これから質を上げればいいというトライを褒めるべきものと、判断や狙いとしてどうだったかを再考する余地がありそうなものとがあったような気がしたので、パスが通らなかったやつを全てダメと一緒くたにしてはいけないような気もしました。

まあ何にしたってみんなナイスプレーでした。

最後に

お互いにポジショニングであり、ボールの運びであり、守備の形なんかもロジカルで且つしっかりしていて、相手の狙っているところや抑えにくるところも似た者同士だからこそ分かっているような感じで、なかなか決定的なシーンや崩しきるところまでいけない試合となりました。
そして試合中に越智さんが「お互いにつまらないミスがない」ということを仰っていましたが、ほんとにその通りで緊張感があり見応えのある試合だった中で、だからこそそれでも起こったミスやセットプレーの隙を突いた新潟に軍配が上がったと言えるでしょう。冒頭にも書きましたが改めてまさに強い勝ち方といった感じです。

しかし前半最後のセットプレーでネットを揺らされたところや、後半にロメロがゴールライン上でクリアしたシーンがあったように、勝敗を分けたのは紙一重でした。
だからこそより上を見据えて戦うことを考えれば、しっかり運んで崩したり、堅く狭いブロックでも連携でその間隙を縫ったりしてゴールを奪えるようにならないといけないのかなとも感じます。
まあそれはこんな何でもない1人のサポーターに偉そうに言われるまでもなく、現場は日々高い意識の下でやっているでしょうから、余計なお世話と言ってしまえばそれまでなんですけど。

とにかく、また次の試合でどんなプレーが見られるのか期待に胸を躍らせながら1週間過ごそうと思います。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。