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オレラグ

男女合わせて8点の堪らん週末【戦評】第10節 愛媛FC戦

2021年4月26日

こんにちは。

1点目。ようやくカイトに初日が出ました。
開幕から途中出場を続けた7試合しかり、スタメンとなったここ2試合しかり、惜しいチャンスはありながら決め切れない日々が続く中で、サポーター界隈からはうちにやってきた頃の貴章を彷彿とさせるなんてことが呟かれたりもしていました。
そういえば初ゴールを奪った松本での甲府戦見に行ったなぁなんて個人的に懐かしい気持ちになったことはまあ別にいいとして、3試合目のスタメンとなった今節、開始12分でついに決めてくれました。
これから貴章のように愛される選手に必ずやなるでしょうし、何より貴章以上にゴールを量産してくれる選手になるはずと心から期待しています。

そして2点目。至恩パイセンがやってくれました。
ゴールシーンも見事なタッチと冷静なフィニッシュによるものでしたが、この日は1試合を通じて何度も“レベチ”なドリブル突破を見せてくれました。そりゃ洒落の1つも出ちゃうでしょう。分かります。
そして何より三戸ちゃんが退場してしまってからの勝負を決定付ける2点目でしたから、もう頼もしい立派な先輩です。

どんなゴールにも様々なストーリーがあるわけですが、今節生まれた2点もやっぱり素敵で素晴らしいものでありました。

スタメン

ではスタメンをおさらいしておきましょう。
まず新潟の方ですが、前節からの変更が3名ということで、1人目が
CBのポジションに4試合ぶりのスタメンとなる史哉。さらに右SHに7試合ぶりのスタメンとなる星。そしてボランチに今季初スタメンとなるゴンサが入りました。

対する愛媛の方も前節からの変更が3名。
まず左SBの位置に内田。さらにインサイドハーフに横谷。そして最前線に吉田。全員が2試合ぶりのスタメンということで、メンバーを戻してきたという色合いが強い人選だったかと思います。

いずれにしろ両チームとも中2日ということもあっていくつかの入れ替えを行ってきました。

勇気と技術のラインコントロール

まずはちょっと守備についてよかったなと感じた部分を作っていただいた図と共に書いてみます。

18分。
相手ボールになったところで速い切り替えからプレスに行きますが左サイドに逃げられ、そこから近藤に少し運ばれた後、中央で受けた川村にゴンサがかわされてしまいます。しかし結局川村は前へ出すことを断念して後ろに下げたという一連の流れでした。

まず左サイドに逃げられてフリーで近藤に運ばれている際のDFラインが、ハーフラインから5mほどしかないくらい高い位置をキープできています。
また近藤が運ぶのと同時に右SHの小暮が裏に抜け出す動きをしていましたが、近藤がトラップして2タッチで中央へ持ち出した後、3タッチ目で小さく触り川村へのパスを選択するのを認識した時点で千葉がピタッと止まって高いラインをキープしていました。
こうして高いラインをキープしていることによって、ボールが川村に入り対応へ行ったゴンサがかわされてしまった瞬間も、愛媛の選手は前にいる3人のうち2人がオフサイドの位置に置き去りとなっており、また川村がゴンサをかわしてからもう1回タッチして左に流れることである程度余裕を確保した状態の間も慌ててラインを下げずにオフサイドの位置に2人を置き去りにしたままの状態を維持できていました。

さらに、ここで川村が前線へのパスを断念して後ろの内田へ下げたタイミングで、オフサイドポジションにいた吉田が一度後ろに戻ってから裏に抜け出す動きを見せていましたが、ここではしっかり史哉&千葉のCBコンビが最初は付いて行く対応を見せて裏に抜け出されるリスクを排除し、内田が近くの前田へ預けたタイミングですぐにまたポジションを取り直して高いラインをキープしていました。

この試合ピンチはいくつか作られながらもそれほど恐いと思うことはなく、90分を通じて力の差を見せつけてくれた印象でした。そんな風に思えたのもこういった細かい上げ下げを怠らずに高いライン設定を集中して続けられていたということが1つ大きな要因としてあったのかなと感じました。

ハンティング・ディスタンス

今回こうして取り上げてみた18分のシーンというのは、まず新潟が右サイドの深い位置まで侵入してチャンスを作った直後に起こったものです。
このチャンスを愛媛のDFにブロックされたところから、ボールは愛媛のものになったわけですが、ボールを拾った川村が前へ持ち出そうとするのに対して、ゴール前に詰めていたカイト、至恩、善朗はすぐに切り替えて帰陣をしていました。
カイトは真っ先にボールホルダーに対してプレスバックしたところからボールを複数回追い、最前線の選手として自分が守備の先陣を切るという責任感を感じさせてくれましたし、シュートをブロックされた至恩に関しても一瞬天を仰いで悔しがる素振りを見せかけたところで、それどころじゃないとばかりに素早く反転して戻っていました。

さらに、持ち出した川村が近くの前田へ預けたところでヤンが鋭い寄せでアプローチを見せており、奪い切ることはできませんでしたが、寄せるスピードと寄せる距離感は見事なものでした。
このシーンに限らずですが、この寄せるスピード感と、寄せに行く際はしっかり奪いに行けるくらいまでアプローチするという部分が特に愛媛よりも明らかに上回ることができていたように感じます。

どうしても「寄せろ」と言われた時に、奪いに行くというよりも少しだけ距離を取ってかわされないような対応をすることが愛媛に限らず日本ではよく見られる光景であり、昨今そこがトップレベルの国との大きな違いだと指摘する意見もよく見聞きします。
そしてこれはボールホルダーに勢いよく寄せて簡単にかわされることを特に嫌う傾向があるからみたいなことも言われています。確かに自分が学生の頃もボールホルダーに対して「飛び込むな!」とよく指示された記憶があります。

ちょっと脱線しましたが、実際この試合においてもうちのボランチが中央で受けた際、愛媛の選手は3人くらいで囲めていたにもかかわらず様子を窺うような感じで奪いに来なかったため、落ち着いてサイドへ展開できたというシーンがありました。
今季攻守において出色のパフォーマンスを見せ続けている新潟ですが、守備に関しては先に挙げた丁寧なラインコントロールがあり、そして毎試合のように解説の方が仰ってくれる切り替えの速さというのがあると同時に、このしっかり奪いに行ける距離まで寄せ切るというのが、相手を圧すると言う意味で未だ負けなしを継続できている一因でもあるのかなと思います。

寄るとこあれば空くとこあり

攻撃についても少し。

最初愛媛は4-1-4-1の布陣で新潟の2CBまでは嵌めに来ませんでした。また、ボランチのところも愛媛の1トップの脇や、中央であっても自陣であればあまりストレスなくボールを受けて捌くことができました。
愛媛の西岡は「どこでスイッチを入れるかの判断が遅かった」というのを入りの悪さの原因として挙げており、「試合の入りのところからもっと前向きにやれば失点はなかった」とも話していました。

もちろん愛媛がそうなってしまったのも、新潟がいつものように2列目やSBなんかが流動的に動きながらライン間を狙い、またそれだけでなくシンプルに裏へ抜けようとするカイトを狙うなど、幅と奥行きを見せること迷いが生じさせ守備を後手に回らせることが出来たからと言えるでしょう。

先制点のシーンでは後ろでじっくり動かしたところから連続で揺さぶることでゴールを陥れたわけですが、この4分くらい前には同じように左に下りたゴンサから鋭い楔のパスがライン間の善朗に入ったシーンがありました。
ここでは史哉に対してインサイドハーフの横谷が少し出ることで愛媛は瞬間的に2トップとなり2CBまで嵌めに来たのですが、航斗を使ってやり直してから左に下りたゴンサまで動かし、横谷が前へ出たことで薄くなったアンカー(前田)と左SH(近藤)の間を突くことが出来ました。

そんなこともあったので、先制点のシーンではその間を通されたイメージが愛媛には残っていたのかなとも推測しました。
単純に比較はできませんが、じっくり後ろで動かすところも横谷は無理して出て行かず、また左に下りたゴンサに対して出て行った右SHの小暮にも味方から「中から、中から」と声が掛かって、かなり内側を意識してスライドも行われていました。
こうして愛媛に対してかなり内側を意識させることができたということで、うちとしてはサイドチェンジによって大きく幅を使うことで前進し、ゴールまで結び付けることが出来たのかなと感じます。

より高めたい精度

また、これは課題の話になりますが、後半愛媛が盛り返せたのは新潟がビルドアップする際に愛媛の両ワイドがうちのCBまでプレスを掛けるようになり、守備で前から圧力を強めると同時にやることをハッキリさせたことによるところが大きかった印象がありました。

後半から投入された森谷によってボール循環がよくなったというのも間違いないと思いますが、前半の途中からボランチを2人にしてトップ下の横谷が下りてサポートするような修正は行われていましたから、愛媛の繋ぎに対する守備に関しては前半と後半でそれほど違う対応が必要だったとも思いませんし、特別問題は感じませんでした。

それよりもやはり新潟が反省すべきポイントとしては、圧力を強くしてきた相手の守備に対して引っかけてしまった縦パスをいかに減らせるかというのが1つ。
そしてさらに根本的な話で言えば、アルベルさんも仰っていたように前半の内に追加点を取ってゲームを楽に進められるようにしておきたかったということがよりフォーカスすべき部分かなと感じました。

最後に

攻撃の課題にこそフォーカスすべき、みたいなことをちょっと書きましたが、それでもしっかり相手守備を外して運び出すシーンはありましたし、何より1人少なくなりながらもシンプルな形で追加点も取ったわけですから、改めて強いなぁと実感するばかりです。

土曜日は愛媛に2-0、日曜日はレディースがノジマステラに6-0。
いやはや、アルビレックスさん、最高の週末をありがとうございました。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。