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オレラグ

1も積もれば……たぶん足りない【戦評】第25節 ジェフユナイテッド千葉戦

2021年8月16日

こんにちは。

まずはとにかく小島が大事には至らず、試合後は落ち着いていたということが分かって何よりでした。
正直EUROでエリクセンが倒れてしまったシーンをリアルタイムで見てから、今まで以上に選手が競り合って激しく落ちたり、ぶつかって倒れたりして動けなくなるシーンを見るとトラウマではありませんが嫌な汗をかくようになってしまっています。
そしてこの小島のシーンに関しても、駆け寄った千葉ちゃんが必死の形相でメディカルスタッフを呼んでいたので大変ヒヤッとしました。
だからこそとにかく無事でよかったと、ただただそれに尽きます。
しばらくはしっかり安静にしてもらい十二分に経過を見て、万全な状態が100%確認できた上で復帰してもらえたらと思います。

またその小島に替わって急遽出場となった和輝は浮足立つことなく無失点に抑えてくれたということで、ナイスプレーでした。ありがとう。

しかしそれはそれとして、結果は結果でシビアに捉えざるを得ません。
終始やりたいことができなかったということで前節とはまた違った意味での手痛い勝ち点1です。
リーグが再開してからもどかしい日が続きます。

スタメン

それではスタメンから。
新潟の方は至恩がベンチスタートとなり孝司が4試合ぶりのスタメンということで、前節からのメンバー変更はこの1人のみでした。
またこの変更に伴って前節トップだったカイトは左SHへと移りました。

対するジェフですが、こちらは前節から4人のメンバーを入れ替えてきました。
まず前節前半の途中で交代となった小林はやはり欠場ということで熊谷が実に2節以来のスタメン。また福満も前節の終盤に足を気にしていた様子があったのですが、こちらはそのままスタメンとなり、逆に反対サイドの安田が10試合ぶりのベンチスタートで替わりに末吉が入りました。
さらに前線3人のところも、トップに前回の新潟戦以来のスタメンとなる櫻川を起用し、シャドーには今季スタメンが2試合目となる矢田を起用してきました。

展望で攻撃は前線3人次第みたいなことを書き、注目選手にも船山を挙げておきながら3人中2人がベンチスタート…。
このタイミングでちょっとしたテコ入れは何だか嫌だななんて試合前から思っていましたが、ジェフからするとこの采配は結果的に良い選択だったと言えるのでしょう。

ジェフの思惑通り

解説の松原さんが前半終了時点でも『千葉のゲーム』と仰っていて、試合終了後にも『新潟は自分達のらしさをなかなか出させてもらえなかった』と仰っていた通り、90分を通じて非常に難しいゲームとなりました。

ということで、その自分達のらしさが出させてもらえなかったという点でまずはビルドアップについて少し思ったことを書いてみます。

シーンを1つ取り上げてみました。
前半の33分~34分です。

櫻川に寄せられた島田が舞行龍へパス。少し運んでからスッと下りてきた福田へ入れると、福田がワンタッチで落としたボールを再び中央で島田が受けます。
少し前方を見つつ自分の右から見木に寄せられたため左へドリブルで運んでからゴメスへ送るのですが、そこもジェフの選手2人に寄せられてしまい、中央にいた孝司へななめのパスも熊谷に狙われて奪われてしまいました。

まず、島田が中盤の中央に残る(もしくは後ろに下りる)形で2CBと共にビルドアップを担うのがデフォルトであるのに対して、ジェフも櫻川が基本島田を見て、シャドーが2CBを見に行く形で前からの守備を嵌めに来ていました。

そんな中でこのシーンではうまく福田がボールを引き出しつつワンタッチで落とすことによって、島田にはたっぷりの時間と空間があるわけではないですが、ボールを受ける前に1度ちらっと前方を確認していたように、島田であればある程度落ち着いてプレーできるだけの余裕がある中で前向きの状況を作ることができていました。
しかし結局見木の狙い通りボールが来た方(=同サイド)へ誘導されてしまったことで、ライン際で手詰まりが起こることになってしまった気がします。
これ以外でもジェフの思惑通りに外へ外へ誘導された流れから、WBやシャドーに嵌められてしまって縦パスがミスになったりイージーに失ってしまったりするシーンがよくありました。

このシーンの勝手な希望というか理想としては、福田から島田へボールが落とされた際に善朗も右側に下りて顔を出していました。田口が少し気にしてはいましたが、ダイレクトやもしくはトラップしてすぐに善朗へ預けることは十分可能だったように思いますし、そこから千葉経由にでも逆へ展開する形はできたような気がします。
そんな風に、1回中盤に入れてから左右に揺さぶる丹念さみたいなところはもっとあってよかったように思いますし、できたんじゃないかなと思いました。

ちなみに展望では前回対戦でプレースピードが落ちた反省があったからこそさらにリスク承知で縦にトライをして、それを常に続けたいみたいなことを書いたので、それとはちょっと矛盾するような感想になって情けないばかりです。
言い訳じゃないですが、展望で書いたことはもっとボールを持てて押し込む時間が長い想定で考えていたことでした。ですから自分の見立ては前提から見誤っていたということになります。まだまだですね。

噛み合わせが悪いからどうするか

続いてプレスの掛け方で感じたことついて。
こちらは2つシーンを拾ってみたのでまずは前半12分から。

ここではジェフがボランチの熊谷を下ろしてビルドアップを行ってきたのに対して、こちらは善朗が少し前へ出て4-4-2のような陣形をとりました。
そして下りた熊谷から中盤に残る田口へパスが入ったところで、福田がプレスをかけて守備のスイッチを入れると、再びボールが戻ってきた熊谷に対して善朗も先程より強めに寄せに行きます。
しかし結局熊谷から孝司の前を通される形で1つ飛ばしたパスが右に開いた新井一へ展開されてしまい、飛ばしたパスの分だけカイトも新井一へ出て行くのにラグが生じ、さらにそこから福田が前へ取りにいったことで空いたスペースを矢田に使われることとなりました。

このシーンではその後に善朗がすぐに戻って田口に寄せつつ中央を埋めたため簡単に中央から侵入を許すことはさせませんでしたが、このようにジェフのビルドアップに対する寄せ方が1試合を通じて嵌らないまま時間が過ぎてしまったことが気になりました。

さらにもう1つが後半に入って通算タイム57分のシーン。
うちは一旦自陣にブロックを敷いてからの守備です。

1つ2つ中盤で動かされてから鈴木へバックパスが入るのですが、このタイミングでロメロが内側を切りながら少しアプローチしに行きます。しかし鈴木は少し中央を探してからクッと角度を変えて外側の末吉へ渡し、そこから左サイドを突破されることとなりました。

まずロメロが中央へのコースを消すアプローチをしたことについては、ブロックを形成して守っていますから最優先に入れられたくないところを消して外側に追いこんで奪いたいという意味で理解できます。
またその後ろについても、シャドーの見木が中盤でボールを触ってからサイドの裏に走り込むのですが、ここで元々マークしていた福田はボールを持っている鈴木が中央へのパスコースを探っているのもあり、また一般論としてこのシーンで中央のエリアからボランチの選手が離れ過ぎてもいけませんから見木に付いていかないのは理解できます。
すると今度はSBの奏哉が福田から受け渡される形でその見木を気にする必要が生まれるわけですが、そうなると当然WBの末吉への寄せはどうしてもラグが起きてしまうわけです。

このように誰か個人が悪いとか、3ラインを形成するDF、MF、FWのうちどのポジションの判断が悪いとかっていうことではありません。
チームとしてどこで取りに行くのか、または留まってスペースを埋めるのかという全体の共通意識が十分に擦り合わされているように感じられない状況が正直見受けられたところが気がかりに感じました。

試合中解説の松原さんもシステムのかみ合わせが悪いからそこをどうするかみたいなことを指摘されていましたが、まさにその部分で曖昧な部分があったのは否めないような気がします。

それでも最後はやらせない

前からの守備が嵌らず思うようにマイボールにできないことに加え、シンプルな球際やセカンドボールへの反応みたいなところでも劣勢に映る場面が少なくありませんでした。

そんな苦しくて難しいゲームの中でも守備面においてよかったことと言えばラストサードでの粘り強さと集中力の部分です。
特にラインコントロールに関しては解説の松原さんが何度も称賛されていたように、しっかりラインを押し上げることで偶然ではなく意図的にオフサイドを取れていたのはしっかり評価されてしかるべきポイントでしょう。

中でも70分にあった田口のスルーパスから見木に抜け出されかけたところなんかは、確かに決定機になりかねないヒヤッとする場面ではありましたが、オフサイドに引っかけた後に千葉ちゃんと和輝が声を掛け合って『OKOK』みたいな感じで拍手したりサムアップしたりしていたところからも、しっかり連動して信頼し合って守ることができている様子が窺えました。
もちろん理想はあそこまで行かせないように未然に守る、もしくは押し込むことで攻めさせないことではあるのですが、GK交代というアクシデントがありながらもチームとして慌てず我慢できたことは無失点という結果と合わせてナイスプレーだったかなと思います。

最後に

最後よかったところを挙げてみましたが、まあ再開してから結果もさることながら内容も厳しい試合が続いています。

福田は『(相手のプレスが)来てくれたほうがありがたいくらいの感覚でやれるように…』とコメントしていましたが、いい時はその感じでやれていたように思います。
それはやっぱり相手の対策も進んだことでできなくなっているということなのでしょうけど、ということは苦しい現状ではありますが難しいことやできないことをやらないといけないのではなく、できていたことをまたできるように取り組むことが大事なのかなと思います。

そしてそれを体現するには、これも福田が話していたことですが『クオリティーをシンプルに上げる』ことが肝心なんだろうとも思います。
確かにこの日もちょっとしたパスやトラップのミス、味方との意思のズレといったもったいないプレーが時折見られました。

何とかみんなでこの状況を打破しましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。