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オレラグ

見つめて見据えてプラスパワー【戦評】第42節 FC町田ゼルビア戦

2021年12月8日

こんにちは。

今これを書いている机の上には金曜日までにはなかったいくつかのお菓子が並んでいます。この週末、お世話になっている方や仲良くしていただいている方と久々にお会いできた時に頂いたものです。
改めて諸々ありがとうございました。

昔から熱い人に対しては苦手意識があります。
それは今もそんなに変わらないのですが、昔はそれだけで一括りにしてしまっていたものも、正確には赤い火が見えるタイプが苦手なんだということが自分の中で分かってきてすでに随分と時が経ちました。
まあそれはつまり青い炎が奥でメラメラしてるタイプの熱い方は全然苦手じゃないどころかやっぱりおもしろいし楽しいと思うわけです。
炎自体赤よりも青の方が実際熱いって言いますし。

なんて書きつつもこれが果たして適確な例えというか表現なのかは何とも自信が持てないですし、苦手という言葉で自分のコミュニケーション能力の低さを言い訳しているだけなのかもしれません。
まあただとにかく何が言いたいかと言えば、この週末はそんな久々にお会いできた青い炎をお持ちのサポーターの方々のおかげで、負けたこと以外は大変素敵な時間を過ごすことができましたということです。

スタメン

そんなわけで振り返ります。
最終戦が終わっての記事とはいえ、1年を総括なんていうことはそんな観察力も表現力もありませんから基本的にはいつも通りこの試合を見て思ったことをダラダラと書きます。
そんなこと言ったらじゃあ1試合ならちゃんと観察できて表現できているのかと言われたらノーと言わざるを得ないわけですが、それを言い出したら何をするのも許されなくなっちゃう気もするので改めてですがご勘弁ください。

はいじゃあスタメンから。

前節からうちは5人の変更ということで、両SBの奏哉と田上がそれぞれ3試合ぶりと2試合ぶりのスタメン。またボランチの福田と契約満了が発表された右SHロメロがいずれも2試合ぶりのスタメン。
そして試合前日に今季限りでの引退を表明した達也さんがアルベルさんの発言通りキャプテンとして今季初のスタメンとなりました。この辺の積もる思いは後で少しだけ。

対する町田の前節からの変更点は前線を中島からドゥドゥに替えた1人だけでした。
あとは結果的に途中出場でデビューを飾った特別指定の平河がメンバー入りというちょっとしたサプライズもありました。
ちなみに彼は佐賀東出身ということなので、来季うちに加入が内定している吉田陣平君の3つ先輩ということのようです。

立ち位置自体は悪くなかったけど……

とりあえず拾ってみた2つのシーンを図にしていただいたので最初はそれについて。
前半と後半(の立ち上がり)に見られたビルドアップの比較みたいな話です。

まず1つ目が前半15分。
流れとしてはヤンが中盤で拾ったところからそのまま後ろに下りてビルドアップを始め、縦パスを受けた善朗が厳しい寄せを受けながらも何とかまた縦のロメロに繋ぎますが、そこも厳しいマークに遭って結局相手2人に挟まれて失ったという場面です。

まず右に下りた位置でヤンがボールを持った際、相手は実質4-2-4みたいな格好で守備に来ているのですが、こういった場面で相手の逆SHの背中=逆側のボランチの脇のスペースを狙えていなかった印象を90分通して感じました。

町田のSHは外を切りつつ前まで奪いに来ることが多いというのはこの試合に限らない話なのですが、だからこそ展望記事でもこのSHとボランチの間にでき得るギャップへフワッとしたパスを期待するといった旨のことを書きました。
しかし残念ながらそういったパスは55分頃に千葉が入れた1本くらいしか目ぼしいものはなかった気がします。
もちろん町田の守備がタフでそんな簡単なことではないというのは重々承知ではあるのですが…。

さらに続けて、善朗に縦パスが入ったところで奏哉へフリックという選択が取れなかった事と、ロメロに入ったようなシチュエーションで福田に落として逆へ展開というのがほとんどできなかった部分はもったいなく感じました。

特に後者ですが、このシーンだけで言えば確かにロメロに対して三鬼もかなりハードに付いて来ていますから、ボールを収めるだけで精一杯というのはあったかもしれません。
ただ、もう少し余裕のあるシチュエーションで誰かしらが受けることができ、さらに落としたボールを誰かしらが受けられるような状況の時でも、あまりそこから素早く逆サイドへという意識は強く感じられなかったような気がして、それによって攻撃のスピードを上げ損なったシーンというのも多々あった印象を受けました。

よい修正

もう1つ拾ってみたシーンはエンドが替わって52分です。
流れとしては航斗からのビルドアップで、舞行龍→ヤン→舞行龍→ゴメス→善朗→ヤン→孝司→福田→奏哉と左から右にテンポよく動かして、奏哉がドリブルで深くまで入っていったという前節琉球戦のゴールを彷彿とさせるようなものでした。

まずこのシーンの前に前半についての話ですが、うちはボランチのどちらか1人が後ろに下りたりアンカー的に残ったりして、もう1人はやや高い位置を取ってSHなんかと共に中間のスペースに立つ形が多くありました。
しかしそれに対して町田は2トップが縦関係になることでアンカー的に残るボランチを監視しつつ、2CB+GKには最前線とSHが外を切りながら出て行って嵌めてきました。

そしてうちのやや高い位置を取るボランチや内側へ入って中間を狙うSHに関しては、町田のボランチからすると高い位置に出てきている分だけ距離としては近くなり、また先述のように前の選手がしっかり追ってくれている分、中盤で数的不利っぽくなるのを気にせずに捕まえに行きやすい形になっていたように感じました。

それが後半になると、まず梅山さんも仰っていましたが2CBがやや開いた立ち位置を取るようになります。
さらにそれと併せてボランチも1人が下りたり残ったりするのではなくて、中央に2人が立つことによってそれまで縦関係でトップ下的になっていた安井に対して数的優位を作り、まずそこで起点を作る形を増やせました。

ここで改めて図のシーンです。
ここではヤンに対して相手ボランチの佐野が思い切って出てきました。まずこの時点で前半よりも面倒なハードワークを強いることに成功しているというのもありますが、そこから1タッチ2タッチで相手のプレスを外すことにより、高江しか残っていない広大な中盤のスペースで善朗や孝司がレシーバーとして顔を出し、ヤンや福田が勢いを持って前に出て行ってボールを受け、スピードに乗ったまま逆サイドの奏哉まで展開するという流れを作り出せました。

そういう意味では前半から後半にかけてはいい修正ができていたと言えるかなと思います。

修正への修正

だがしかしです。
良き修正によってゴール前に迫ったり押し込めるようになったりできたのも、振り返るとせいぜい後半立ち上がりの10分、15分くらいのわずかな時間でした。

実際町田としても前線のパワーが落ちてきてシンプルに受けてしまって押し込まれたという部分はあったかと思います。
しかし54分頃に『広がってる時だけだぞSHは!』という町田ベンチからの声が放送のマイクに入っていました。これは恐らくプレスのタイミング的な話しだったとは思うのですが、52分に先程紹介したような綺麗な運び出しをされて、54分にそういうベンチからの声掛けがあった以降は、割り切るというわけではないですが前から行って剥がされて間延びしたスペースを使われるリスクを避けるような守備のコントロールが町田はできていたように感じました。

そうやって構える展開をしっかり消化して慣れて行くことで、そこから今度は奪った後に出て行く形も少しずつ作れるようになり、結果68分に追加点を奪い、さらに前線の選手を入れ替えることで再び前からの守備のパワーを取り戻すという町田からすると理想的な展開に持っていかれたような気がします。

またこれはちょっと脱線して失点シーンに関しての話ですが、左サイドで善朗がファールを受けながら縦に繋いだものの、その後すぐにカットされて左に起点を作られました。
その時点でうちも4-4のブロックは敷けていたのですが、善朗が左に残っていたために少し4-4ブロックの中央手前にスペースがあり、孝司が必死に戻ったもののそこを見逃さなかった高江の飛び出しからゴール前に侵入されてやられてしまったと言えるかと思います。
この辺の隙を逃さないあたりも町田は強かでした。

確かな差

基本的には自分達のやりたい事、理想としている事を意識して戦いつつも、相手の修正によって苦しい局面になったら許容する部分を柔軟に考えつつ町田は戦えていたと思いますし、うちからするとその相手の修正をさらに越えるアイディアであり質というのを出せずに押し切られた印象でした。

最近はボールを持ちながら支配して押し込むけれど最後の局面が……ということをここでもずっと書いていて、特に直近2試合はとにかくあとはその部分みたいな感じで振り返ったりしていたのですが、今節を受けて『そこまでの作りはもう十分によくできている、なんて勘違いしちゃいけませんよ』と町田に突きつけられたような気さえしました。

たとえ1つしか順位は違わずとも、たとえポイント差が1しかなくても(最終的に4になりましたが)、えらいものでリーグテーブルというのはちゃんと今の実態を映しているんだなと改めて思い知らされた次第です。

別れはいつでも寂しい

試合の事はここまでで、ここからはそれ以外についてちょっとだけ。

まず契約満了により今季限りでお別れとなる大本、ロメロ、ゴンサ、高澤ですが、正直最後の挨拶ももうちょっと落ち着いた感じになると思っていたので、みんながみんなあれだけ感情が溢れる姿というのは、自分としてもグッとくる想いが余計こみ上げてきました。
アルビレックスというクラブでプレーしてくれて本当に感謝ですし、これからのそれぞれの道に幸多きことをただただ願っています。

そして達也さんです。
これは結構たくさんの人が言っていた気がしますが、あの田中達也が新潟で9年もプレーしてくれるなんて思っていなかったというのは自分も正直なところでした。
だからこそ本当にこの日々は嬉しかったし感謝しかありません。

01、02年あたりからサッカーを見始めた自分からすると、最初にメディアで見たヤングスターとか期待の若手みたいな人たちがアテネ世代の選手だったのですが、その中でもとにかく速くて、キレがすごくて、シュートも鋭くて、うちに来る前の印象はとにかく一際キラキラしている選手でした。

そんな日本を代表するドリブラーが13年にうちへ来てくれたわけですが、『こんなにポストプレーがうまいんだ』とか、『こんなところでDFと駆け引きしているんだ』とか、見ていて楽しいというのもありますがとにかく学びが多く敬服させられるプレーばかりでした。

改めてこれだけの名プレーヤーの技や心を、自分の愛するクラブの選手として9年も見られた事、そして一緒に戦えた事というのは本当に感謝でしかありません。

現役生活お疲れさまでした。
そして共に戦ってくれてありがとうございました。

最後に

さ、締めましょう。

試合の翌日には力蔵さんの監督就任が決まり、その翌日には会見も行われました。
マリノスユースで監督をされている時に何試合か見た記憶があるのでちょっとまた今度過去のノートからその時のメモを見返そうかなと思いますが、そんなうちに来る前からも含めて、それこそ青い炎がメラメラと燃えている熱い方という印象があります。

細かいことは蓋を開けてみないと分からないですし、そもそも選手編成がどうなるかが決まらないうちはどうこう言えることもないわけですが、まあとにもかくにも、力蔵さんよろしくお願いします。

ということでこれを書きながら目の前にあるお菓子を2つ食べました。
ちなみにいくつか頂いたそのお菓子の賞味期限は長いもので1月の頭までなんですけど、開幕はそこからまたさらに1カ月半以上先の話なんですよね。

いやはや、また長いオフが始まりました。
今年も寒いし雪も多くなりそうみたいな予報を見た気がするので、この冬も体調には十分気を付けましょう。

今年も1年ありがとうございました。よいお年を。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。