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【番外】世界へ羽ばたけ!アルビレックス!
2014年1月17日
みなさん、こんにちは。
今回はシーズンオフということで、少し話は逸れて、僕の体験記とそこから考えさせられた事を書きます。
まず、これは別にACLとかトヨタカップを目指せ!とかいう話ではありません。
去年の11月上旬のある日、僕はタイのバンコクに居た。単なる観光旅行であるが、知らない国のサッカー観戦は旅の目的の一つだ。当初の観戦目的はムアントンユナイテッドだった。昨年ACLで浦和レッズとも対戦しているタイの強豪。ただ、今回は帰国日のナイトゲームとあって、半分諦めかけてはいた。
だが、まさに、運命は突然に!
たまたま、市内のマーケットでの出会い。店番の少年が着ていたオレンジとブルーの縦縞のシャツはすぐに僕の目に止まった。それはアルビ以外の何も連想出来ないようなデザイン。
もちろん、すぐさま少年に聞いてみる。
「そのシャツはどこのチーム?」
「どこで買えるの?」
少年はわざわざ数軒先のサッカーシャツ店まで案内してくれ、在庫が無いのを知ると、明日か明後日もう一度来るなら用意しておくよと言ってくれた。
結局、少年とはそこで別れたのだが、僕はタイポートFC(現シン・タールアFC)というチームの存在を知る。観戦は諦めていたが、翌日、折角のオレンジとブルーの縦縞シャツ購入の為、そのチームを調べてみる。分かったのはタイ ディヴィジョン1(2部)のチーム。昨年、タイプレミアリーグ(1部)から降格したチームらしい。ホームタウンはバンコク市内。しかもスタジアムは市内からアクセス抜群とのこと。もちろんディヴィジョン1の日程も検索。
すると、今日、ナイトゲームがあるではないか!しかも最終節!
なんと運命的な出会い!
この機会を逃す手は無い。で、いきなりの観戦となったのである。
タイでサッカーは人気のスポーツだとは知っていた。でも、人気・実力・施設全ての面でJリーグには遠く及ばないだろうと思っていた。
最寄りの地下鉄駅からトゥクトゥクに乗り換え、10分。徐々にオレンジのサポーターの数が増えてくる。スタジアムへ着いたのは開始時刻1時間を切った頃。早速、シャツ購入の為、スタジアム脇のグッズショップへ。最終戦ということもあり、大勢のサポーターで賑わっていた。当初想像していたより人は多そうだ。念願のシャツ購入の後、人でごった返すスタジアム脇のチケット売場へ。が、なんとチケット売り切れとの案内。僕の困り果てた顔を察してか、係のお兄さんが反対側にもう一か所あるとすぐに教えてくれた。僕は大急ぎで別のチケット売場へ。そこで、何とかチケットゲット!無事観戦の運びとなったのである。チケットは一応ゾーンの区切りはあるが、どの席でも一律100バーツ(約300円)。
スタジアムはサッカー専用、スタンドは脚組で組まれていて、柏のスタジアムを連想させるような造り。スタジアムへ入ると12000人収容のスタジアムはほとんど満員状態。
お客さんの観戦スタイルは360度すべてが基本立ち見で(ちゃんと座席はある)、すべてが日本でいうゴール裏状態。座って観戦のお客さんは皆無。試合開始からスタジアムのあちらこちらで熱い歓声が鳴り響くのである(揃った応援歌ではなく、歓声)。試合開始時33℃という気温とは関係なく、スタジアムはすごい熱気と盛り上がり。
なめていた!タイリーグ!
2部でこの入りと盛り上がりならJリーグと遜色ないじゃないか!
ここからはシン・タールアFCを親愛を込めて、あえてタイアルビと呼ぼう。さて、ゲームはホーム、タイアルビの一方的な展開。後で、知るのだが、このゲーム、ディヴィジョン1の首位対決。最終戦で昇格のかかった大一番だったのだ。勝って昇格を確実にしたい2位タイアルビとドローでもOKの首位アウエーチーム。お互いの立ち位置からか、ゲームは終始タイアルビの攻勢で進み、結局2-1にてゲームセット。
このゲームの両チームとも来年のプレミアへの昇格が決まることとなる。
ゲームが終わった瞬間、サポーターの喜びが爆発したのはいうまでもない。だが、僕は更に目を疑うことになる。スタジアム全体が喜び爆発で、なんと興奮したサポーターがあちらこちらから一斉にピッチへとなだれ込む。昔見た、セリエAの優勝シーンを一瞬思い出す。最初こそ係員が抑え込もうとしたものの、あまりの人数の多さに早くも諦め状態。係員の抑止力はすぐに無意味になってしまった。あちらこちらで発煙筒が焚かれ、花火が上がり、いたる所でチャントとガッツポーズの嵐。最初は暴徒化したらどうしようと心配した僕であったが、辺りの雰囲気は本当のお祭りムード。みんな友好的で僕の心配は杞憂に終わったのであった。
今回は偶然縁あって、観戦となったゲーム。しかもあのシャツ。僕は本当に運が良かった。そして、サッカーは世界の共通語だと改めて実感したのであった。
昔からの建物と近代的なビルが同居し、乱立する街。他のアジアの都市同様、バンコク市内の街並みもそうであり、そこからも容易に想像がつくが、アジアの成長スピードはすさまじい。アルビがJ1に昇格してから10年。アジアクラブの盟主は日本か韓国、中東勢であったが、いまや、アジアクラブの主流は中国に傾きつつある。
アジアの10年は日本の10年よりずっと早い。今回の観戦でも思ったのだが、10年後タイリーグがJリーグと並び立ったとしても僕は何も驚かないと思う。
だから、今、準備しておこう。
今ちょうど、J2札幌にベトナムの英雄レコンビンが在籍している。今後Jリーグのチームがアジア市場へ進出していく際のターニングポイントだと思う。(ちょうどこれを書いている今、札幌退団の報がありましたが)
昔、キングカズが当時世界最強のイタリアセリエAへ挑戦した時のことを思い出す。実力はもちろんあったが、移籍先のジェノアにとってはカズに付いてくる日本企業スポンサーの魅力もあったに違いない。今、同じことがアジアの中で起こりかけているのだと思う。「先んずれば人を制す」という言葉がある。これからの10年を考えるとしたら、この流れは見逃せないと思うのである。
10年後、理想をいうなら、アジアの様々な都市でアルビのシャツを着たサッカーファンが見られるようになることである。マンUやミラン、バルサに混じってアルビのシャツがあったら素敵ではないか。で、アジアの都市にその国のアルビ、またはアルビの姉妹クラブがあったりする。現地では、Jリーグのアルビのゲームが放送されたりして、日本のトップチームのベンチにはどこかの国の英雄的な選手が控え、スーパーサブ的な感じで点を取ったりする。スワンの看板には異国のスポンサーも混じったりして、もしかしたら背中スポンサーは異国の企業だったりするかもしれない。時には異国のアルビファンがビッグスワンへ観戦旅行に来たりする。もちろん、僕らがアジア旅行の際には現地のアルビを応援する。現地の人との距離がグッと近くなる。
そして、NIIGATAはアジアを代表するフットボールシティに。そして、人の交流も生まれ、NIIGATAは文化交流都市になるのだ。
幸運な事に今アルビにはシンガポールもバルセロナもプノンペンもある。なんとか上手くお互いが活用できないだろうか。
実際、タイリーグに進出しているJのチームはすでにあって、ムアントンは磐田とパートナーシップを結んでいるし、昨年、トヨタ自動車がタイプレミアリーグの冠スポンサーになった縁あってか、今年のプレシーズンには昨年に続き、グランパスがタイ遠征の予定だ。ただ、ヤマハとトヨタ、いずれも親会社の顔を立てたイベントであろうと思われるが。
本当の意味での文化的交流、クラブ間の親密な交流、そして、サポーター、市民の交流の文化はまさにこれからなのだ。いっそのこと、新潟市と姉妹都市になったらいい。FCバルセロナ同様、世界でNIIGATAといったらアルビ!みたいな広告塔になったらいいのだ。
何も知らず好き勝手な事を書いたが、ただ、実際に行ってみると、距離も人の心も世界は思った以上に近い。そして、今回そうであったように、同じクラブを愛するもの同士、国籍の壁は無いに等しい。まさしく、サッカーは世界の共通語なのだ。
J1に定着して10年。僕はアルビと新たな夢が見たい!
昨年、チームは過去最高レベルの戦績を上げた。スワンでは、夏以降勝ちっぱなしだ。久しぶりのワクワク感に満ちたアルビのゲーム。実際、幸せだった。
で、好成績に支えられ、お客さんの動員は伸びたのか?
そう、サッカークラブとは本来、選手、戦績、クラブのステータス、クラブの夢、街の夢、市民の高揚感、様々な要素が絡み合って人気を作っていくと思うのだ。だからこそ、単なるスポーツでなく、その街の文化になりえる存在なのだ。
チームの成績とは別の所で、また次の10年に向けて、また新しい夢を持てたら、僕らはもっとアルビとこの街を誇りに思えるのではないかと思うのだ。J2からJ1へ。そしてこの10年、もともと新潟はまさに夢を実現してきた、そんなクラブだったじゃないか。安住してはいけない。新潟は更なるフロンティアスピリットを持って、Jリーグをリードするクラブであるべきなのだ。金持ち大企業のパトロンが付いたクラブには出来ないことを僕らはやるべきなのだ。
さあ、今こそ世界へ羽ばたこう!アルビレックス!
今こそ、次の10年に向けて新たな夢をみんなで模索、共有しようではないか!
かなざわ まさなり
新潟生まれ新潟育ち。大学進学を機に新潟を離れ、早十数年。いつからアルビの虜になったかは定かでないが、木澤の豪快なオーバーラップに心奪われた記憶はある。アルビは単なるサッカークラブでなく、新潟の文化だ!と思いつつ、名古屋の地よりアルビレックスを応援中。