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【燃え上がれ清五郎】今ここにいる選手を称えるという事
2014年3月13日
時間なんて過ぎてしまえば早いモノで、あっという間の2014シーズンJリーグ開幕と、第2節終了。また今年も、毎週末の予定をサッカーの試合スケジュールと調整しながら頭を悩ませる時期がやってきましたね。という訳で、開幕戦のアウェイ仙台へ行けなかった僕にとって、ホーム開幕となるガンバ大阪戦が今シーズンの初観戦となりました。
ところで、オフシーズンのストーブリーグといえば、J1の中で決して経済的に豊かな方ではない我がチームのサポにとって、毎年楽しみというよりはヒヤヒヤしながら迎えるものです。今年も主力選手のうち数名が流出したけど、その中でGK東口選手がいきなりの新潟凱旋となったのがこの試合でした。僕は、彼に対するスタジアムでの新潟サポの反応は様々だろうと思っていました。なぜなら、彼は新潟との契約期間が残っている中でガンバ大阪へ移籍し、わがチームへお金を落としていくという一定の「貢献」をして去っていった訳で、これを評価する声が僕の周りでも少なくなかったからです。案の定試合当日は、新潟のゴール裏から大ブーイングが起こることはなかったけど、それでも彼に対して不満をあらわにする人は少なからず見受けられました。まぁ、以前に新潟を去って同じオレンジカラーのチームへ移籍したGKがビッグスワンに登場したときの、あの敵意むき出しの大ブーイングに比べればかわいいものだったけどね(笑)。
去っていった選手とは対照的に、一時的に新潟を離れて他のチームへレンタル移籍し、そこで結果を残して戻ってきた選手がセンターバックでスタメン出場を果たしましたね。そう、DF2番の大野和成選手。僕は、彼が新潟からレンタル移籍する前のプレーについて、すごく悪い印象もなかったけど、良かった覚えもありません。というか、申し訳ないけどはっきり言ってほとんど記憶がない(ごめんなさい)くらいしか出場機会がなかったように思います。その彼が、愛媛を経て湘南へ渡り、そこで2012年のJ2と2013年のJ1、2シーズン合計で70試合に出場し、成長して帰ってきました。前節の試合、怪我で途中交代を余儀なくされた舞行龍ジェームズ選手に代わってのスタメンに、多くのサポが期待と(ほんのちょっとのw)不安を抱いて試合開始のホイッスルを聞いたんじゃないでしょうか。
G大阪戦、空中で競り合う大野選手
試合が始まってからほんの10分もしないうちに、そんな僕の中にあったほんのちょっとの不安は、見事に吹き飛んじゃいました。というか、なんですか、ディフェンスすげー! スピードを生かして相手FWをマンマークし、見事に相手の攻撃の糸口を摘みまくる、摘みまくる。舞行龍選手とはタイプの違うディフェンダーという印象でしたが、まったく引けを取らない守備力の持ち主。このままスタメン獲っちゃうんじゃないか、くらいの勢いを感じました。
残念ながら試合は0-2で負けちゃったけど、試合後のインタビューで柳下監督が言っていたように、決して内容の悪い試合ではなかったし、代わって入った選手が持ち味を出し、チームへ貢献する姿勢が感じられました。年間を通して調子が大崩れしないチームって、こういう感じなんじゃないかなー。
2002年日韓ワールドカップの時、こんな事件があったのを覚えている方も多いでしょう。アイルランド代表に選ばれていたロイ・キーン選手が、W杯直前の練習時にチームを率いたミック・マッカーシー監督を批判した事で急遽メンバーから外れた、いわゆる「サイパン事件」。しかし、アイルランドはベスト16入りを果たし、結果としては良い成績を残しました。その監督がW杯後の記者会見で、こんな趣旨の発言をしたと記憶しています(うろ覚えなので間違っていたらごめんなさい)。
「いなくなった選手の事を話題にするより、
このチームにいる選手たちを称えて欲しい」
今シーズンの戦いは始まったばかりです。去って行った選手にブーイングを浴びせるパワーがあるなら、今マイチームにいる選手に向かって精一杯の声援を送る力に替えて欲しい。目標に掲げたACL出場を叶えられる強いチームになる事が、ストーブリーグを戦い抜く力にもなるはずだから。
渡辺英雄(わたなべ ひでお)
1973年生まれ。新潟大学法科大学院助手。新潟大学在学時からアルビレックス新潟のサポーターとなり、現在は新大アルビプロジェクトを教員の立場から取り組んでいる。また、ホームゲーム後に新潟県スポーツ公園内のレストラン「ラ・ピアンタ」で不定期開催している「サポーターズバー」の実行委員としても活躍中。