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オレラグ

新しい思い出【戦評】第18節 ジェフユナイテッド千葉戦

2020年9月11日

こんにちは。

ほんとにいいスタジアムですね、フクアリ。
去年の達也さんのスーパーゴール、新井の鮮烈な初ゴール、一昨年は新太が大活躍。遡れば2007年はウチさんの弧を描いたクロスシュートがあり、初めて訪れた2006年はゴールラインギリギリに転がったボールを走り込んで押し込んだ貴章らしいゴールがありました。目の前で見ていたあの時、猛ダッシュからスライディングでつめた貴章がスローモーションに見えたのは今でも鮮明に覚えています。

すみません。勝利の気持ちよさからつい昔話をしてしまいましたが、またフクアリに新しいハイライトが足されたということで、今年もナイスゲームでした。

スタメン

まず新潟の方ですが、前の試合から8人を入れ替えた臨んだ磐田戦に続いて、今節もまた7人を入れ替えた(正確に言えば戻した)メンバーとなりました。GKの小島、CBの舞行龍、マウロ、さらに島田の4人が前節から引き続きスタメンとなります。

対する千葉はやはりGK以外のフィールドプレーヤー10人全員を入れ替えてきました。ちなみに久しぶりにスタメン予想的中、11人全員ビンゴでした。
だから何だって話ではありますが、シンプルに予想が当たるのは気持ちいいもんだなっていうただそれだけです。

前半

ブロックの堅い千葉と展望で書きましたが、立ち上がりからジェフはプレスを掛けてきます。特別それに対して苦労したわけでもないですし、7分から新潟が5連続CKという珍しい事象で押し込んだシーンもあったわけですが、それでもこの前半の立ち上がりが最もヒヤヒヤさせられた時間帯だったと言えるかと思います。

10分には右サイドから堀米が小島とのワンツーでエリア内に飛びこんできましたが、ここは新潟のGK小島が勇気あるプレーでクリアします。
13分には左サイドの安田から裏へ送られたパスを、走り込んだ山下に抜け出され決定機なシュートシーンを作られます。しかしここも小島のナイスセーブでしのぐことができました。

すると15分頃から、新潟も慣れてきて落ち着いてきたか、押し込んだ状態でボールを動かせるようになってきます。正直ここからは新潟がどう崩しの形を作るかであったり、点を取り切るかであったりといったことに試合の主題は限定されていったように思います。
17分の中島が放った強烈なミドルは残念ながらGKに防がれましたが、その5分後に新太の放ったミドルがゲームを動かします。

22分、ファビオへの縦パスが一旦は相手DFにカットされましたが、堀米へのパスを福田がすぐに奪い返します。それを至恩がもらって新太へ預けると、新太が右足でコントロールショット!これがGKの頭上を抜き、クロスバーにあたってゴール!先制!
至恩からパスをもらうまでに2回ちらっと自分の前のスペースを確認していましたが、そこで相手DFとの距離感をしっかり掴めていたのだろうと思います。
ただ「相手が寄せてきていなかったので、しっかりコースを狙った」と話していましたが、GKの立ち位置を含めていつそのコースを確認したのかが分かりませんでした。2回ちらっと首を振ったところでそこまで確認していたのか、ボールをもらってからわずかに目線を上げて間接視野気味に把握したのか、気になって夜も眠れない……ほどではありませんが、とにかく見事なゴールでした。

それ以降も新潟が試合のペースを握ります。
28分は舞行龍から中央の福田へ通し、福田から右の新井へ展開。新井から斜めの楔がライン間の至恩へ入るとスルーパスにファビオが抜け出してシュート。
さらに32分にはマウロからの楔を新太が落としてファビオへ。福田を経由して左の荻原へ渡ると、相手のブロックの真ん中にファビオが入って荻原とのワンツー。さらにもう1回今度は縦のワンツーで荻原が抜け出してシュートまでいきます。
どちらのチャンスもGKのセーブでゴールとはなりませんが、テンポのいいポゼッションからフィニッシュまで持ち込んだ素晴らしいシーンでした。

前半終了、0-1。
少しずつリズムが出てきた中で飲水タイム前に先制点を挙げ、先制点以降はさらにテンポよく攻撃の形を作ってという非常にポジティブなゲーム運びを見せました。

後半

両チーム選手交代なく始まった後半も、前半同様に立ち上がりは千葉が少し仕掛けるシーンが見られました。
サイドチェンジや、中央にあててからの展開などで主に左サイドから好機を作りだし、48分には船山の左CKから田口が落として小島がシュートというチャンスも作られました。
それでもこのCKの直後にカウンターからファビオのシュートまで至るシーンを作りだすと、その4分後という案外早い段階で追加点が生まれます。

53分、相手がプレスに来る中で落ち着いてビルドアップ。
最後尾までボールが戻ったところから小島は舞行龍へ、舞行龍は島田へつなぎます。さらに島田から左の荻原へ渡ると斜めの楔が相手ボランチの背中にポジションを取っていた至恩へ通ります。ドリブルで少し運んでから裏に走り込んだ新太へスルーパス。新太から再び中央で受けた至恩は相手を抜き切らず、右にちょっとだけずらしてタイミングを外すと右足一閃!追加点!
お見事です。これはまた後でちょっと細かく書いてみます。

2点目以降もそれまでと変わらず新潟のペースが続きます。2点リードしたこともあってゆっくりボールを動かすところは動かしつつ、失ったらすばやく回収するというサイクルがしっかり回せていました。
ちなみに56分55秒頃の舞行龍と福田が2人でパス交換を7回くらい、時間にして5秒ちょっと繰り返したシーンなんかは、ジェラール・ピケとセルヒオ・ブスケツのパス交換を彷彿とさせて、ほんのりバルサっぽさも感じました。

さて、当然このままじゃいけない、何とかせにゃいかんという千葉は、63分に堀米、田口、山下→アランピニェイロ、見木、川又の3人同時交代をしてきます。
しかし、この直後に安田の左サイドからのFKにチャンミンギュが折り返してクレーベがバイシクルで狙ったチャンスシーンこそありましたが、単発に終わってしまい交代から流れを引き寄せることはできません。
対する新潟は66分に中島、ファビオ→ロメロ、テセを投入。やることは変わらず強度を落とさないように選手を入れ替えます。さらに73分には舞行龍→田上も投入します。こちらは舞行龍を休ませたい意図もあっての交代でしょう。この交代によって新井が左のCBに移り、田上が右SBへ入りました。

77分、千葉は船山→岡野を入れます。
岡野がCBに入ったことで、チャンミンギュをアンカーに上げて見木、小島と共に3人で中盤を形成し、そしてアランピニェイロ、クレーベ、川又の3人を前線に並べるような形へシフトします。
しかしこうしてもう一段階ギアを上げようとした千葉に対して、直後に新潟が3点目を見舞います。

78分、右サイドのスローインを起点にロメロとのパス交換から田上が粘って抜け出してクロスまで上げ切ります。するとこのクロスボールを岡野がクリアミス。不意を突かれたゲリアにあたってこぼれたボールを至恩!3点目!
体を寝かせてボールを抑えた至恩のシュート技術、お見事です。
また、ジェフとしてはスローイン直前にスパイクの紐を結び直していたのも含めて、入ったばかりの岡野の準備が果たしてどうだったのかということは問いたくなるところでしょう。新潟はそこを見逃さずしっかりゴールに結びつけました。

84分新潟は殊勲の2人である至恩、新太→善朗、矢村という交代で5人の枠を使い切ります。
対する千葉は85分に安田→田坂の交代でそのまま左SBへ投入します。
すると終盤。89分に新井章のフィードから荻原のクリアがゴール前にこぼれて川又に決定的なシュートを打たれます。ここは上へと外れて救われましたが、アディッショナルタイム+1分でした。
中央から一旦左の田坂へ展開されると、再び中央へ出たパスをCBの岡野が受けてそのまま運びます。エリア手前まで来たところで上げたクロスにクレーベのヘッド。1点を返されました。
岡野に自由に運ばせ過ぎてしまったことと、それによってボールに意識が強くなり、クレーベは高さのある選手で難しい相手とはいえ、その前にいた川又も含めてマークへの意識がやや弱くなってしまったように思います。

試合終了、1-3。
終始主導権を握りながら5節以来の3ゴールで勝利。連敗阻止です。
最後1つ反省点が残りましたが、まさしく勝って兜の緒を締めなさいというメッセージということでしょう。

自信からの落ち着き

攻守両面で印象に残ったシーンを1つずつ取り上げてみました。
まずは攻撃面ですが、「あとで細かく」と書いていた2点目のシーンに至る一連の流れです。

後ろでポゼッションをする中で、相手がプレスを掛けてきたこともあってボールは最後尾のGK小島まで戻ります。まずここでプレスを受けているためセーフティーに蹴っても致し方ないと思える場面でしっかり舞行龍へつないだ小島のプレーはナイスでした。
さらにここから流れとしては舞行龍が島田へ預け、島田は左の荻原へ渡し、荻原はライン間にポジションを取っていた至恩へ楔を入れて一気に局面を打開しました。
相手の山下がGKまでプレスを掛け、舞行龍にはクレーベが寄せて、連続でプレスを嵌めにいかないといけないということで相手の右SH堀米は本来のマークである荻原を捨てて島田へ寄せました。ここで島田は落ち着いてキープした末、空いた荻原へ渡します。さらに前線からプレスを掛けにいく流れで福田に対して寄せに行こうとしていた相手ボランチの小島の背後に至恩はうまくポジションを取って荻原のパスを引き出しました。
また下図の②にあるように、島田がゲリアの空けたスペースからゴール前まで長い距離を走り込んでくれたおかげで5vs4の数的優位の状況を作り出すことができました。

千葉の目線から言えば、もっとボランチが前線のプレスに呼応することで島田や福田に寄せることができていれば、堀米が島田に出る必要もなくなっていたんだろうと推測できます。
ただ、その点においても至恩や中島がいつも狙っている相手のライン間、相手と相手の間にポジションを取っていたことで前へ出づらくしていたとも言えるでしょう。

味方を空けるためにポジションを取り、相手が出てきたら空いた人やスペースを使いリズムよく運び出すというのはこのシーンに限らず随所で見られました。それだけ落ち着いて相手を見ながらプレーできていたということでしょうし、その落ち着きというのは改めて自信を持ってやれていたからなのかなと思います。

1人でもチームでも狙い討つ

次に守備についてです。
こちらは前半13分20秒~のシーンです。

千葉の最終ライン、新井一から1つ飛ばしたパスで右のゲリアへ展開します。それに対して新潟はスライドして対応します。
そしてゲリアに入ったところで中央にいる田口が近くまで寄ってサポートしに行っているのですがそこへ福田もしっかり付いて行きます。
すると、ゲリアが軸足である左足を踏んだくらいのタイミング、時間で言うと13分21秒から22秒になった瞬間くらいのところで福田はグッとスピードを上げて田口への距離を縮めていました。
結局ここでは田口にボールは出なかったのですが、まず福田の次のパスを狙うタイミングとスピード感そのものが素晴らしかったです。

さらに今季の千葉がよくやっていて得意の形としているであろうことが「ジェフの狙い」と題して作っていただいた上図のような攻撃なのですが、これも恐らく把握した上でそれをやらせないように相手のボランチを狙えていたという点でその準備や判断が見事でした。

もちろん福田だけでなくチーム全体としての守備でも、攻撃がいいリズムでボールを動かせていたというのはすなわち、近い距離感で且つ上下の高さに段差を作りながらできていたということなので、失った際もすばやく誰かが寄せてそこに援軍もすぐに駆けつけて回収することが実現できていました。

就任当初からアルベルさんが仰っていた「ボールを愛する」ということが攻守においてよく表現されていたように思います。

最後に

今節の勝利はJ2通算150勝目というメモリアルなものだったそうです。
それでちょっと気になったので100勝目はいつだったのか調べてみたら、2003年7月30日水曜日の第25節。NACK5スタジアムに改修される4年ほど前の大宮公園サッカー場での大宮戦でした。ちなみに得点者はその日の2トップだった船越とマルクス。懐かしい。

入りも締めも昔話になっちゃいましたけど、とりあえず今季の残りは24試合しかありませんから、来年以降半永久的にJ2通算200勝という記録が更新できなくなるように勝ち続けましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。