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オレラグ

持ち越し【戦評】第30節 東京ヴェルディ戦

2020年11月3日

こんにちは。

また勝てませんでした。
何なんでしょうかね、この相性の悪さ。
これでリーグ戦の対戦成績はたしか7分5敗になったかと思いますけど、10回もやればダメでも2、3回くらい勝てるはずなんですけどね。しかもしばらくお会いしなかった時期も含めて20年近く経つわけですから、いろいろなことが様々に変化しているはずなんですけどね、不思議なものです。

そんな今節も今節とて、振り返ってみます。

スタメン

新潟は前節からベンチメンバーを含めて18人全く同じ顔ぶれとなりました。
GK小島、DF右から田上、マウロ、舞行龍、史哉。中盤右から中島、福田、島田、至恩。前線はトップにテセでその下に善朗。
ゴンサのケガがあり、それ以外にもリリースはなくても少し別メニューだったり離脱していたりする選手もちょこちょこ出ているようで、多少難しいやりくりを強いられているというのが実情のようです。

対するヴェルディ。
GKマテウス。DF右から若狭、高橋、平、福村。中盤アンカーに藤田、インサイドハーフに佐藤と山本。前線に端戸が入り、右小池、左井出という11人。前節からは6人の変更がありました。
右SB若狭と左SH井出が5試合ぶりのスタメン。そして左SB福村、アンカーの藤田、インサイドハーフの佐藤、右SHの小池がそれぞれ2試合ぶりにスタメン復帰となりました。

前半

早々からチャンスを作ったのは新潟でした。
2分経たない頃、高い位置でマテウスのパスを中島がカット。テセとのパス交換から中央へ送ったラストパスを善朗が狙いましたが、無情にもポストを叩きました。
11分にも相手陣内で横パスをカットした中島がミドルを狙い、GKに弾かれたのをテセが詰める好機を作ります。
前回対戦でもある程度ハマっていて、今節も梅山さんがご指摘されていましたが、新潟のSHが外側を切って内側に誘導してそこで奪い切るという狙った形が立ち上がりからよく見られ、そこからチャンスも作ることが出来ていました。

ポゼッション率自体は互角で推移する中、ヴェルディも少しずつ新潟のプレスをかわしてうまく前進するシーンが見られるようになりますが、ヴェルディの仕掛けのフェーズでは新潟もしっかり対応してやらせなかったり、また前節ヴェルディと対戦した山形の石丸監督も言及されていたように、ヴェルディはトップの端戸がサイドに流れて起点を作っても、その後中央に人がいなくなってしまうという事象も確かに見られたりして、恐さを感じることはそれほどなく進めることが出来ていました。

それでも先手を取ったのはヴェルディでした。
22分、一旦攻撃をやり直したところから平が鋭い縦パス。
これをタイミングよく下りた端戸が中央で受けて左の福村へ渡すと、さらに深い位置に井出が中央から抜け出して振り向きざまにクロス。飛び込んだ小池、ブロックに入った史哉と小島で混戦になりますが、こぼれ球を走り込んでいた藤田が押し込みました。

このシーンでヴェルディは1分半ほどポゼッションを続ける中で、何度かやり直した末にゴールへと結びつけていました。
肝としてはゴールから1分ほど遡ったところで平から井出に縦パスを入れたシーンだったかと思います。新潟はそれまで同様中島が外を切るアプローチをしていたのですが、空いた中央のコースに井出が入って受け、瞬間的にヴェルディは左サイドで数的優位を作ることが出来ていました。
これによって新潟はどうしても全体を下げざるを得ず自陣でプレーされるシチュエーションを作られます。
その後ヴェルディが完全に後ろまで戻して攻撃をやり直したタイミングで新潟もラインを上げてはいましたが、ヴェルディとしても固められてしまったブロックを引き出す狙いがしっかりあり、そのタイミングで逆に端戸へ縦パスを入れたところからサイドの攻略に結び付けました。
解説の梅山さんも「安定的に相手陣内に入ると厚い攻撃を仕掛けられるというヴェルディの強みが出たシーン」と仰っていました。

しかし飲水タイムを挟んだ再開後、ビハインドになってしまった新潟に少し変化が見られ始めます。
善朗が相手のCBとSBの間を抜けるような動きを見せたり、史哉が内側のポジションから縦にスプリントを入れたり、田上や島田も裏に抜けたりと、明らかにスペースへ抜けるような動き出しが増えました。実際なかなかそこへ狙い通りにボールが出てくることはなかったり、逆に縦パスを引っかけられて小池にカウンターを食らったりするシーンはありましたが、ビルドアップからうまく崩す形が作り切れていなかった状況を打破しようとする変化を感じました。

すると、29分には中島のパスからテセが裏を取ってボレーというチャンスシーンを作ると、31分には福田からテセにいい縦パスが入ったり、島田から善朗へ入ったパスでは梅山さんも「ハーフスペースの使い方のお手本のような」と仰っていたり、少しずつ前線のいい守備からだけでない押し込む形を作り始めます。
そして36分ついにこじ開けます。
まず中島のFKから田上の決定機があり、接触したマテウスの治療で少し間が空いた後の左CK。善朗の蹴ったボールにテセヘッド!同点!
綺麗な放物線を描く素晴らしいボールを入れた善朗と、GKにすら競り勝ってしまうほどの強さと高さを見せたテセ、2人の魅力が見事に活きたゴールでした。

同点に追いついた後も前線の守備で嵌めたり、裏やサイドの深い位置を狙ったりして、押し込む形を作りましたが逆転までは至らず。

前半終了、1-1。

後半

両チームとも1人ずつ選手を替えます。
まずヴェルディは山本→山下。
井出をインサイドハーフに移して、左・山下右・小池と両ワイドに突破力のあるアタッカーを配置してきました。
対して新潟の方は小島→和輝というGKの交代が行われます。
梅山さん曰くアップの時からそういった話はあったようで、そういえば前日練習も小島は別メニューだったということなので、そのあたりも考慮しての交代だったのでしょう。とにかく小島が大事でないことを祈るばかりです。

さて、ちょっとしたアクシデントによる交代があっての後半、早々にやられました。
48分、和輝のフィードが平にカットされると、それを拾った藤田がすかさず縦パス。ライン間で受けた佐藤が右に展開し、もらった小池のクロスに端戸が合わせました。Oh,no……。
後半の入り、且つビルドアップの流れで後ろを始め全体が広がっていた中で、ピンポイントで味方に付けるような鋭いボールを中央に入れるというリスクは避けなければいけなかったと言わざるを得ないかなという気がします。
この失点以降の和輝はサイドにいいボールを蹴るシーンもありましたし、テセに「真ん中蹴る時は高いボール、最悪越えるボール、手前は危ないから」という声掛けをされるシーンもありました。
ただとにかくいい場所を見つけて積極的にフィードを蹴るチャレンジをやめないでほしいなと思います。
もう糧にするしかないわけですから。がんばれ。

失点はしたものの、1人が持ち過ぎないでシンプルにボールを動かすという意識は高くなっているように感じましたし、パスのテンポ自体は前半よりよくなっているような印象を受けました。
また、そういった短いものがあることで長いものも活きてくるわけで、60分には島田のフィードを前線に出てきた田上が落とし、テセから右の中島へ渡して、クロスのこぼれ球を善朗がシュートという決定機も作りました。しかしゴールとはなりません。

66分、また両チーム同じタイミングで1人ずつを交代。
うちは善朗→ロメロ、ヴェルディは佐藤→森田。それぞれトップ下とインサイドハーフをそのまま入れ替えます。
するとその直後にゴールが生まれました。
69分、島田の左CK。ファーサイドへのボールを田上が落とし至恩がプッシュ!ゴールライン際でヴェルディも必死の抵抗を見せますが、アシスタントはフラッグアップしハーフラインの方へ迷わず走って行きました。同点!
福田とマウロが立て続けにクロスを入れながら跳ね返されつつ、それでもどちらのクリアボールもしっかり拾って2次、3次攻撃に繋げた厚みのある攻撃がこのCKを生みました。素晴らしい。

前半同様、後半も得点直後に飲水タイムが入ると、それ以降ゲームは少しずつオープンな様相を呈してきます。
新潟の方はシンプルに長いボールも増やしながら、クロスやセットプレーでチャンスを作ります。
対してヴェルディはスピードで明らかな優位を作ることができる山下のいる左サイドから再三チャンスを作りました。83分のヴェルディのCKに対して準備している中で、テセが島田と共に田上に対して何か声を掛けていたところからも、山下に対してかなり苦労させられた印象というのは間違っていなかったかと思います。

新潟の方は中島→シルビ、至恩→ゴメスの両SH、ヴェルディは福村→近藤で高橋を左SBに移し、最後小池→松橋とお互い変化を加えての終盤。アディッショナルタイムに新潟は田上のロングスローからテセ、ロメロが詰めにいくもGKキャッチ。
ヴェルディはそこからのカウンター。右サイドから運び出し、左サイドまで繋いで藤田のクロス。ファーサイドで松橋の折り返し、山下が繋いで森田ボレーと最後最後に決定的を作りましたがわずかに外れました。

試合終了、2-2。
これで3戦続けてのドロー。勝ち切れない試合が続きます。

ポジショニングのタイミング

結局ポゼッションは上回りました。
ヴェルディ相手にある程度主導権を握りながら試合を進められたというのは素直にポジティブなところでしょう。
ただ、ヴェルディは前半1本しか打てなかったシュートをしっかり崩し切る形で取ったのに比べて、うちはなかなか組み立てからの攻撃はうまくいかないシーンも多くあったように思います。
もちろん、高い位置からの守備で奪って作るチャンスもセットプレーでしっかり2点取れたということも、崩して攻め切る形と同等の価値がありますし大事なことですから大きな成果です。
とはいえ、主導権をある程度握っていた以上、もう少し相手の守備を動かして穴を開けて仕掛けるフェーズに持っていけないと厳しいなということも感じました。

相手のライン間やハーフスペースと呼ばれるような位置に入ってボールを引き出そうとする際に、当然ですが相手もそこは警戒してくるわけですから上手にコースを消して、また上下左右をコンパクトにして守ってきます。それに対して後ろでボールを持ちながら窺うものの入れられないというシチュエーションは多いように感じました。

そこで思ったのが、そのボールを引き出したいポジションに入って受けようとするのがちょっと早いことと、結局入ってそこで待ってしまうことになっているのではないかということです。
ずっと同じような位置にいると、守る方からすればそこは把握できた状態で他に気が回せるようになります。つまり守りやすくなります。もう少し受けたいポジションを空けておいてから直前で入って引き出すみたいな流れがあってもいいように感じました。

ここ最近はSBが内側に入ってSHが外に張るというやり方がおなじみになっています。
前半16分頃に梅山さんが「内側に集めながらワイドの高い位置に起点を作っていく」「前進させるやり方としては非常にうまく進めていますよね」ということを仰っていました。
そのタイミングで梅山さんが仰っていたことに他意はないでしょし、そのシーンでそれ以上解説する必要はなかったですからそのままの意味だろうと思います。
ただ、「前進させるやり方としては」という部分がまさにそうで、ゴールが中央にある以上遅かれ早かれ内側にボールは供給しないといけないわけです。前進させた後、または前進する最中でいかに内側に仕掛けていけるかということです。

“スペースにも鮮度がある”ということをどこかで見た記憶があります。鮮度がいい時にポジションを取る、また鮮度が落ちたら一旦離れる。ちょっとまだまだ自分の中でも整理し切れていない事は多いのですが、ポジションを取るタイミングはもう少し改善のしようがあるのかなと思いました。

最後に

最後に試合とは関係ないですが1つ。
55分08秒、プレスに来た佐藤が勢いそのままに史哉と衝突してファールになったシーンです。
あれだけの勢いで激しくぶつかっていますし、レフェリーの笛も長く強いものでしたから危険にも見えるファールなので普通カッとなって「オイ!」とか何とか言って怒りたくなるものです。
しかし史哉は先に立ちあがると自らかけよって怒るどころか手を差し伸べていました。

もちろん知っています。
昔から彼の事は見ていますから、そういうクレバーでありクリーンな選手であるということは存じ上げています。
ただそれでもあの瞬間は改めて感動というか、こういう選手が新潟で育って今こうして新潟でプレーしてくれているんだということがすこぶる嬉しくなりました。

史哉を始め、難しい状況の中でも真摯に戦ってくれている選手、スタッフが報われますように。
次、勝とう。そしてあと全部勝とう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。