オレラグ
備えが大事【Preview】第19節 ツエーゲン金沢戦
こんにちは。
火曜日の夜、特に新潟にお住まいの方は大丈夫でしたでしょうか。
エリアメールのけたたましい音が鳴った直後にガタガタガタ……。
自分のいた場所は震度4くらいだったようですが、人一倍ビビリなところもあり、久しぶりに焦りと恐怖を感じました。
発生から1週間ほどは、また震度6強程度の地震が起きる可能性があると気象庁も言っていたので、もうしばらくはいつも以上に強い警戒をしておいた方がよさそうですね。
せっかくアルビレックスが防災グッズを発売してくれているので、やっぱりああいうのは持っておいた方がいいですね。備えあれば憂いなしです。
真面目なチーム
十分な地震への警戒をしつつ、今週もプレビュー書いていきます。
今節の相手は金沢です。
現在の順位は9位、6勝8分4敗の勝ち点26という成績です。
柳下さんが指揮するようになってすでに3年目ということで、もうすっかりヤンツーさんらしいチームに仕上がっています。
ハードワークをベースとして、システムは基本的にオーソドックスな4-4-2。1人1人がしっかり自分のマークを捕まえて離さず、積極的でかつ堅い守備とサイドを起点にして速攻を中心とする鋭い攻撃。
と、ざっくり要約するとこんなところでしょうか。
失点数がここまで13でリーグ4番目の少なさであることや、1試合平均のクロス数がリーグで上位であること、また支配率はリーグでも下の方であることなどは、見ている側の感じる金沢らしさや印象みたいなものを裏付けてくれる数字かなと思います。
とにかく、真面目な印象のチームです。
リーグ屈指のマンツーマンディフェンス(傾向編)
金沢の大きな特徴と言えば、がっちりと人を捕まえるリーグでも屈指のマンツーマンディフェンスが挙げられるしょう。そこで、まずはその傾向的なお話から。
通常4-4-2の金沢と新潟のような4-4-2系のチーム(4-2-3-1とは2トップが縦か横かの違いだから構造としては同じなので“系”という表現を使わせてもらいます)が対戦すると噛み合わせはよく、マッチアップする相手は分かりやすいです。
そのため、SHが中に入ったり、ビルドアップの時にボランチが1人ディフェンスラインに下がったり、SBが高い位置を取ったりという変化を付けて相手のマークを困らせようとします。
そのような変化に対して多くのチームは4-4-2のブロックを崩さずスペースを埋めて、危険なところ(主に中央)へ入ってきたら潰すという策を取るわけですが、金沢の場合はあらかじめマークを動かされた時仕様に人を決めて守ることがあります。
前々節琉球戦はその好例でした。
琉球も上に書いたような変化をつけながら攻めようとしていましたが、それに対して金沢の両SHは始めから中へ絞り、相手のボランチを見ます。そして中へ入ってくる琉球のSHを金沢のボランチが迎え撃つ形です。また、高い位置を取るSBにはそのまま金沢もSBが前へ出て対応するという流れです。
琉球がビルドアップの際に、金沢の2トップに対してボランチが下がって最後尾を3人にして回そうとしても金沢のSHがそのまま付いていくので状況は変わりません。むしろ琉球としては後退した形になり、金沢がラインを押し上げるスイッチにもなりかねないわけです。
リーグ屈指のマンツーマンディフェンス(対策編)
では、どうするか。
先に申し上げておきますが対策編なんて偉そうな見出しを付けちゃいましたけど、当然そんな大層なものではないのでお許しください。
それだけ人にしっかり付いてくるのであればそれを逆手に使っちゃいましょう。付いてくるという考えではなく、付いてきてくれるという発想の転換です。
例えば、SBがあえてあまり高い位置を取らないことで相手のSBを誘き寄せ、空いた裏のスペースに中へ入っていたSHが斜めに抜け出すプレーは有効でしょう。
さらに、このSHの動き出しによって相手のボランチを中央のスペースから釣り出すことにもつながります。その空いた中央のスペースに新潟のボランチでもいいですし、逆のSHでもいいですし、前節のようにSBのゴメスが出てくるなんていうのも効果的だと思います。
また、そこまで大胆に動かずとも少し前後左右にズレることで、狙えるだけのスペースは十分にできます。そこで起点を作れればもうゴールまではあと1歩です。
このように、人に付いていく意識が強ければ元々いた場所にはスペースが生まれやすくなります。このスペースをいかに作り、そして使えるかが攻略のポイントになるでしょう。
補足として、あまり好ましくないのは1人1人がボールを持ちすぎることです。
繰り返しになりますが、ハードワークができてがっちり人を捕まえられる金沢相手にボールを持ちすぎれば確実に狩られます。球離れは早くして、どんどん相手を動かしたいところです。
次善策
マンツーマンディフェンスに対して、仮に対策で書いたようなことがうまくいったとしても当然修正はされるでしょう。琉球戦も後半はSHが最初から内側に絞りすぎず、スタンダードなやり方で外側に立って相手のSBを見るような形にしていました。
ただ、そうしたら相手の変化に対してマークは付きづらくなるのでプレスはかけづらくなります。したがって、後半は押し込まれて結果的に追いつかれてしまったのですが、それは琉球のパス回しが上手だったこともあるでしょうけど、そもそも金沢はポゼッションの高いチームではないのでリズムを取り返せなかったことでそうなったのかなと思います。
つまり、琉球のようにポゼッションで新潟が優位に立って押し込む展開になれば、今度は前からのプレスが効いてくるはずです。
金沢は前線に入ってからが勝負みたいな部分もあり、それほど自陣のビルドアップが得意なチームではないので、前線へ供給される手前でボールを奪えたり引っかけられたりすればチャンスを増やせるだけでなくピンチの予防にもつながります。
もちろん、前からプレッシャーをかけること自体は最初からやってもいいのですが、要は2の手、3の手を用意できるかもこの試合の1つのポイントになるのではないでしょうか。
脅威は速攻、巧の成長
金沢の攻撃についてもちょっと。
FWが斜めに走ってサイドで起点を作るとか、反対にSHが斜めに走りこんでゴール前に飛び込んでくるとか、前線4人の推進力を活かした速攻は健在です。特に加藤のスピードは要注意になるでしょう。
また、今年何試合か見ただけの印象ですが、昨年に比べてその前線4人でワンタッチ、ツータッチとテンポよくつないで連動しながら崩す攻撃の形も増えている感じがします。
予想スタメンの前線4人は昨年からずっと一緒にやっているメンバーですし、全員がFWもSHも遜色なくできる選手なので連携がスムーズにできているのかもしれません。
あと気を付けなければならいところでいえば、藤村の精度の高いセットプレーもそうですし、何より新潟からレンタルされている巧の積極的な攻め上がりからのクロスでしょう。
7節から直近の愛媛戦まで12試合連続スタメンと完全に主力の座を勝ち取っており、試合に出続けることで積極的な攻め上がりやクロスといった攻撃のセンスはさらによくなっている印象を受けました。
しかし、前節愛媛戦では前半に2回ほど完璧に裏を取られてしまうシーンもあったので、攻撃に出た直後は特に容赦なく突いていきたいところです。
最後に
金沢の前節・愛媛戦のこと。
試合終盤判定に納得のいかなかったヤンツーさんは転がってきたバウンドボールを、綺麗に抑えたハーフボレーで味方の選手へ蹴り返して審判から注意を受けるというシーンがありました(素晴らしいボレーなのでぜひご覧ください)。あわや“2年連続アウェー金沢でヤンツーさん不在”の事態になりかけましたが、今年は無事、直接相見えることができそうです。
しかし、当然ですが勝利は譲れません。
勝って3連勝、勝って金沢に勝ち点で並ぶ、そしてしばらく負け先行で心地悪かった勝率を勝って五分に戻す。
やってやろう!