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オレラグ

ジメジメ払拭カウンター【Review】 第20節 鹿児島ユナイテッドFC戦

2019年7月1日

「飛行機ちゃんと飛ぶ?」とか「雨大丈夫?」とかいろいろ心配されましたけど、無事飛行機も飛んだようで、試合も開催され、遠く新潟から見守っていた人間としてはまず一安心でした(帰路はまた大変だった方もいらっしゃるようでしたが……本当にお疲れさまです)。

そして何よりも勝利できたこと。ほんとうによかった。
正直、よく勝ったなというゲームではありましたが、これもフットボール。カッコ悪くても、いいようにやられていたとしても、終了の笛が鳴った時により多くのゴールを奪っていた方が勝ちというルールの下で、1点の鹿児島に対して新潟は3点取りました。
蒸し暑い中でボールを持たれ動かされる苦しい中で最後まで走って戦った選手と、アクセスが不透明な中でも鹿児島までチームを鼓舞しに行かれたサポーターさんには心からの拍手と感謝です。
おめでとう、そしてありがとうであります。

スタメン

まず、4試合ぶりに新井が右SBとしてスタメン入りを果たします。
そして驚きだったのがユース出身19歳、岡本將成デビュー
サムエルサントスがベンチにも入っていなかったので何か問題があったから出番が回ってきたのか、このところ特にCBへの不安を感じることが続いていたので、そこでいよいよ將成にチャンスが訪れたということだったのか。はたまたその両方なのか。
理由は定かではありませんが、いずれにしても彼のパフォーマンスが評価されてのことなのは間違いないでしょうから、まずは初スタメンおめでとう。
いつの日か、この試合を見に行った400人ほどのアルビレックスサポーターさんが「私は將成のデビュー戦を現地で見たんだ」と日本中、いや世界中で自慢できるくらいビッグになってくれることを期待しています。
やってやれ、將成。

鹿児島は前節から3人変更。
水本、田中、酒本がスタメンに名を連ねました。

前半

入りの10分くらいは決して悪いようには見えませんでした。
ある程度シンプルに縦、裏というのを狙いながらつなぐところはつなぎ、中盤のルーズもそれなりに拾えて、相手の細かいポゼッションに対しては立ち上がりからちょっと対応しきれていない一面も覗いていましたが、9分にはカウンターからフランシスのクロスバー直撃のシュートというチャンスも作りました。
ちなみにこのフランシスのシュートの場面で起点となったのが將成のフィードです。
フィードの精度はもちろんのこと、新井からボールを受ける時に後ろを確認して下げる雰囲気を出しながら、足首のスナップを利かせてクイッと前に向いたのは非常に落ち着いたナイスプレーでした。

その後も10分にはサチローの良いくさびを起点にFKを取ったり、CKからカウエのヘディングがあったりとチャンスを作っていましたが、そんな矢先にやられます。
15分、右サイド田中から中央に入った五領へ斜めに入るくさびのパス。
落としを受けた八反田は枝本へ渡すと、枝本が一旦はサチローに引っかけられながらも強引に突破してシュート。ポストに跳ね返ったボールを酒本がつめました。
サチローのところで止めたかったですし、そのあと將成はチャレンジしに行こうとしたところでかわされ、新井も少しバランスを崩してしまってあたりに行けませんでした。
ちょっとあっさり真ん中を割られた印象です。
また、その前に五領に間で起点を作られたこと、そしてその前の中盤から前線での制限のかけ方もまずかったのかなと思います。

これ以降は相当いいようにやられてしまったように映りました。
振り返ってみると大谷に直接脅威を与えるようなシュートはそれほど多くなかったのだと気付きましたが、それでもいいようにやられた印象が強く残っていたのは、間にうまく入ってくる鹿児島の選手を捕まえらないことや、取りに行っても中途半端なために簡単に剥がされてボールを動かされていたためでしょう。
また、仮にマイボールになっても前線へ入った後のサポートがほとんどないまま奪い返されてしまうことが続いていたのも1つの理由だったかと思います。

それでも、追いつけちゃうわけだから分からないものです。
38分、鹿児島のミスを新太が拾ってフランシスへ。フランシスは素早く裏のスペースへスルーパスを送るとレオと赤尾の競走。
始めは赤尾が前にいましたが、うまくレオが前に出て先にボールを触ったところで赤尾の足がかかってPKゲッツ!
このPKをレオがしっかり決めて追いつきます。
フランシスのパスは決して気の利いたパスではなかったかもしれませんが、マイボールになった時の出て行く速さはさすがでしたし、PKを獲得したレオの狡猾さも光りました。
終盤また鹿児島に攻め込まれますが、將成のナイスブロックなどでなんとか試合を折り返します。
最後まで結局いいようにやられてしまいましたが、逆に言うとそんな中でも追いつけたことが自信や後半への活力につながったのかもしれません。

後半

ピッチへ戻ってくる時、新潟は鹿児島に比べて結構ゆっくり出てきましたが、それだけみっちりといろいろな指示や擦り合わせが行われたのかなと推察します。実際後半はしっかり修正がなされていたように感じました。
特に「守備は内側のケアに重点を置くこと」という吉永さんのHTコメントの部分は意識して改善されていたのではないでしょうか。
プレスリリース用のHTコメントがどれくらい本当のことを言っているかのかについてはここでは置いておきます。

そして54分、待望の瞬間がやってきます。
相手のセットプレーからの流れで続いた攻撃を跳ね返すと、フランシスが拾ってレオへパス。レオが送ったスルーパスに走りこんだフランシスがシュート!
GKの手にあたりますが、ボールはそのままゴールへ!
再びこの2人による素晴らしいカウンターからゴールを奪います。
レオのパスなんて大変に思いやりのある優しいパスでしたし、フランシスもあれだけスピードに乗った状態からシュートの瞬間、体をやや開いてインサイドで面を作って決め切ったのはお見事でした。

60分、両チーム交代。
新潟は將成が足をつってしまい、大との交代。
それに伴い新井がCB、サチローが右SB、そして大がボランチというポジションの入れ替えがありました。
將成はナイスカバーあり、ナイスフィードありで十分な働きをしてくれたのではないでしょうか。これからますます楽しみです。
鹿児島は酒本→田上という交代を行います。
左SHに田上が入り、枝本がトップ下に移りました。

交代があり、ポジションを入れ替えた直後に田中からのパスを田上にフリーで受けられてシュートというピンチを迎えて少し不安に襲われますが、ここを大谷がナイスセーブでしのいでくれると、その3分後に再びカウンターが炸裂します。
64分、ゴメスと新太のワンツーからゴメスが入れたくさびがレオに通ると、レオから鋭いスルーパス。抜け出したフランシスについてきた砂森の出した足に当たったボールはそのままゴールへ吸い込まれます!
三度、レオとフランシスのホットラインで取りました。
フランシスの動き出しは、最初は普通に走りながらレオが蹴れるタイミングになった瞬間一気に斜めに走り出す素晴らしいコース取りでした。
またレオも、内側に来たゴメスからのボールをそのまま触らずに流して横へ運びつつ、時間を作ってから鋭いスルーパスを送っていました。
2人ともお見事。

直後に新潟は新太→ヨンチョル。
さらに71分にはアクシデントでフランシス→凌磨を投入します。
鹿児島は75分に田中→野嶽、82分に五領→萱沼と右サイドの選手を入れ替えて活性化を図ります。
新潟は後半からの修正と2点差のアドバンテージもあって前半ほどバタバタせずやり過ごせていたのかなと思います。しかし、残念ながら盤石とは程遠いもので、78分にはハンヨンテのポストプレーから野嶽が抜け出して上げたクロスを砂森にあわせられたり、84分にも田上のキープから枝本のシュートがポストにあったりするなど、際どいシーンを作られていたのは事実でした。

アディッショナルタイムではサチローの凄味が存分に出たところからチャンスシーンがありましたが、80分のヨンチョルのシュートも含めてどちらかで4点目を取って完全にとどめを刺せれば最高でしたが、それでも後半はしっかり無失点で締めることができました。
また、これは余談ですが終盤に少し負傷したゴメスを前線に残さざるを得ず、トップ下ゴメス、左SH善朗、左SBヨンチョルという普段ではまずお目にかかれないスクランブル態勢も見られました。

試合終了、1-3。
なんとか勝ち切ることができました。よかった、よかった。

相手の思い通り

冒頭にも書きましたが、まあよく勝ちましたよ。
それくらい不安定な、特に前半はまずいゲームだったと思うわけですが、前半のところでも少し書いた相手にいいようにやられていたという部分について。

鹿児島の攻撃ですが、まず両SHは内側に入って新潟のSH、SB、ボランチ、CBによって形成されるスクエアの中央にポジションを取っていました。
そして、トップ下の酒本が下がったりサイドに流れたりすることで新潟のボランチを釣り出すようなプレーもいくつか見られました。
釣り出されると中央のスペースは1人になってスクエアの間を取っているSHはさらに受けやすくなります。このSHとトップ下の動きは2つでセットです。
そしてスクエアの間に入ったSHにボールが入れば新潟は当然対応しに行くわけですが、そうやって動いたことでできるスペースにまた酒本なり、ハンヨンテなり、SBなりが出てくる形が崩しの流れでした。
また、同じスペースに人が重なることは基本的に避けたい事象ではありますが、例えばスクエアの中でSHと酒本が重なることも鹿児島は認めつつうまく活かしていました。
そこでスルーを使ってマークの目線を外したり、短い距離でつないでから展開したりといった感じです。

これらに対して新潟は1つ1つが駆けつけ救護のような後手になっていた印象でした。
まずスクエアの間に入ったSHを誰がどう捕まえるが中途半端で、さらにボールを受けに行く相手選手に対して、チーム全体として中途半端に取りに出てしまっていたがために、相手のいいように剥がされてしまったのではないかと思います。
前から取りに行きたいという気持ちがあったのかもしれませんし、それ自体は全然いいのですが、下図のシーンでも前から行ったものの、中途半端なために制限をかけ切れておらず結局空いたスペースで受けられてしまっています。これは決してスペースを空けたサチローだけの責任ではなくチーム全体としての連動の部分です。

修正力

しかし、後半はある程度修正されたかと思います。
キックオフ直後の赤尾から下がってきた酒本に対してボールが入った時、カウエが最初から出すぎないアプローチをしていたり、84分の野嶽から中盤中央に下りた萱沼に対して大は、ボールが入ってから少し寄せに行っていたりしたのも、ある程度自陣の浅いエリアまでなら持たせていいという考えを持てるようになったのかなと推測します。取りに“行く、行かない”の決断がハッキリしたと言えるのではないでしょうか。
残念ながら決断がハッキリしただけで、取りに“行く、行かない”の判断そのものは後半も不安定な部分が残っていたので取りに行ったときに剥がされるシーンは依然としてありました。
ただある種、割り切れたことで多少は守備を持ち直せたのではないかということと、「無理して行かずに引き込んで、カウンターのスペースをつくる」という善朗のコメントからは、攻撃においてもフランシスとレオのスピードを活かすロングカウンターの下地がつくれたという点で狙い通りの修正ができていたようです。

最後に

とにかく勝ったんだからOKOKというのが率直な気持ちです。
褒められた内容でないことは百も承知ですが、次節で半分終わる時期に差し掛かりながらもこうして課題が出ては隠れ、出ては隠れ(モノによっては出続け)というなかなか進歩が見えづらい状況なので「勝ったけどこんなんじゃダメだ」というのが高望みというか贅沢に思えてしまいます(望まないと強くならないのも一理ですが)。

ただ、当たり前ですが期待してないわけじゃありません。幸いリーグは混戦模様ですし、ここから十分にやれる、やってくれるとも思っています。
不格好でもなんとか勝ちながら自信を付けて、どんどんチーム、そしてクラブが良い循環になってくれるように楽しく応援し続けたいなと思うこの頃です。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。