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オレラグ

フットボールのようなもの【Review】第23節 レノファ山口戦

2019年7月22日

う〜ん…書きづらい……
前節のレビューと全く同じ入り方をしてしまうなんて、よくありませんね。
でも今節こそ本当に書きづらい。
なぜならフットボールの試合であってフットボールの試合ではなかったから。

そりゃ悔しい。
勝てなかったこともそうだし、あともう少しで逃げ切れなかったという展開もそう。
ただ今節に関してはとにかく選手、スタッフ、サポーターの方々にいつも以上に心からの労いと感謝をしたいという気持ちが一番です。

スタメン

新潟は3試合連続でスタメン、ベンチメンバー共に全く同じで臨みました。しかし始まってみると善朗が左SHで新太が中央に入る4-4-2の形でした。
試合後のコメントで吉永さんは2トップにした理由を、「このコンディションですし前にパワーのある選手を置く」という選択をされたと仰っていました。

いつも試合前のウォーミングアップではフィールドのスタメン組が4vs4+フリーマン2人(赤いビブスを着たボランチ2人)と、途中からフリーマン2人がそれぞれのチームに分かれて5vs5になるポゼッションゲームをやっていますが、チーム分けは基本的に右サイド(黄色いビブス)vs左サイド(ビブスなし)です。
4-2-3-1になってからはトップ下の善朗が右サイドチームで、レオが左サイドチームでした。この日も善朗は黄色のビブスを着ていて、左サイドチームの新太もいつものようにビブスを着ていなかったので、コンディションを考慮して2トップにする決断を下したのはアップが終わった後だったのかなという気がしました。

対する山口は前節から2人変更してきました。
右WBに川井が入り高木が左に回って、シャドーだった吉濱とトップだった山下を1つずつ下げて、最前線に加入したばかりの宮代を起用してきました。
瀬川が出ないわ、宮代をいきなりスタメンで使うわと、全く、プレビュー泣かせであります。

前半

試合開始の時点ですでに強い雨と風、そしてピッチにはところどころに水が浮いている状態でした。そのため入りから両チームともつなぐのは諦めて(そもそも不可能)シンプルに割り切って縦へ送る展開となります。

試合前のフラッシュインタビューで山口の霜田監督は「先に仕掛けたい」ということを仰っていましたが、それと反するように最初に攻め込んだのは新潟でした。
5分、右サイドでサチローが拾うとすぐにクロス。ファーサイドのレオが収めてシュート。DFにあたってこぼれたボールがゴール前のフランシスに入りますが、楠本にクリアされます。
7分にはさらに大きな決定機。
右サイドでフランシスが粘りながら強引に前を向いて突破。右のスペースへ飛び出して受けた新太がクロス。DFのクリアを善朗が思い切りよく右足を振り抜いて狙いますがクロスバーに弾かれました。
この後も9分に新太のシュート、11分にはフランシスのヘディングシュートと攻め立てることができていたので、開始15分で先に取れていれば、というか取らないといけなかったかなと感じます。

レノファの最初のシュートはおそらく20分。
楠本のロングボールに高井が競り、こぼれ球に自ら反応してシュートを狙っていきましたが外れます。
ちなみにこの少し前からシャドーの山下と高井の左右を入れ替えていました。

1つシュートシーンを作られましたが、それ以降も新潟の方が攻め込むシーンは多く作ることができていました。
33分、サチローのクロスにゴール前でレオが収めて反転シュートを狙ったり、35分には大谷のリスタートからDFのクリアミスに新太が抜け出してシュートを放ったり、39分にも右サイドでカウエが粘って上げたクロスに大武がヘディングで狙ったりと再三ゴールに迫りましたが決め切れません。
開始15分で取れずとも、最低でも前半のうちにこれだけチャンスを作れていることを考えれば、先制点を取っておきたかったというのが切実なところです。
この点に関しては敗れた前節の横浜FC戦だけでなく、逆転勝利した大宮戦、鹿児島戦から続く課題でしょう

前半終了、0-0。

後半

雨、風ともに相変わらず強いまま始まった後半。
すると早々の48分にやられました。
吉濱の左CK。大谷が飛び出して弾いたボールを山下に拾われて押し込まれます。

またもやセットプレーです。
解説の森崎浩司さんも仰っていましたが、山下は入ると見せかけて一回止まってマーカー(カウエ)を外していました。賢いプレーであると同時に、おそらくスカウティング通りだったかと思います。特にカウエのマークはこれまで失点になっていないところでも外されるシーンが時々ありましたので、まんまとやられた感じでしょう。
吉永さんは「大きく何かを変えるというよりも徹底していくしかない」とセットプレーの守備については仰っていたので、それを強く求めて信じるしかないわけですが…。
一刻も早い改善が求められます。

また、前半チャンスを作りながら決められないと、こういうことが往々にして起こるから先制点が大事という部分も課題でしょう。
それにしても、チャンスが多い中で決め切れないと逆に痛い目に遭う現象は世界的に科学的な根拠がデータとしてあるのか気になります。
チャンスをたくさん外したとしてもそれが=相手の決定機になるわけではないのにそれでもこの現象はかなり高い確率で目撃するので面白くはないですが、興味がわいてしまいました。

失点直後、新潟ベンチはすぐ動きます。
51分新太→貴章。早めのキショーです。
あのコンディションであれば高さがあって馬力のある、無理が効く貴章はベターというか打たないといけない策だったでしょう。

するとその5分後、早速結果が出ます。
中盤で相手に奪われかけたボールを貴章がしつこくプレスバックしてカットするとサチローがワンタッチで裏へ。
抜け出したレオがうまくDFをブロックして持ち込みシュート!これが美しい弧を描いて決まりました!

レオのプレーはさすがでした。
DFにあたっていますが、すくい上げるようなキックで確実にGKの頭上を狙っていたかと思います。このシュート自体も非常に冷静でテクニカルではあるのですが、それと同等かそれ以上に見事だったのがその前です。
サチローからのパスに反応して飛び出すとまずコンディションを考えてボールには触らず慎重にバウンドを見極めました。
しかし、そうするとその間にDFが詰めてくるわけですが、これに対してしっかり左手でブロックしていました。このハンドオフの技術が素晴らしかったです。

ハンドオフとは…腕を使って相手を寄せ付けないもしくは距離感を保つプレー

これが身についてない選手だと、相手をブロックするためにまず体を入れようとすることが多い印象があります。そうすると過度なチャージによってファールを取られたり、ファールにならなかったとしても体を入れるだけではどうしても距離は詰められてしまうのでボールに触られやすくなったりしてしまいます。
もちろん、ハンドオフも下手にやればファールを取られる可能性もありますが、レオは上手に使いこなしていました。

スコアは変化しても、ゲームの内容は変わりません。
風雨は依然として強く、それどころか試合中も時折勢いを増してピッチはさらに止まりやすく難しいコンディションになっていきます。
それでも、前半同様に後半もどちらかといえば新潟の方がアジャストしながら進められていたようには感じました。

そして76分、引っくり返します。
サチローが前へ蹴りだし、フランシスがキープして善朗がさらに前へ。
楠本のクリアが真上に上がると貴章がヘッドで競り勝ち、フランシスが股抜きの技ありパス。大外で待っていたレオがスッと中央入ってきて受けると右足ドン!逆転!

またしてもレオでした。
最初は大外で待ちながら、ボールが上に上がったあたりからじりじり中央へ入って行き、フランシスからのパスをゴール正面で受けることができました。
そしてパスが来た瞬間素早く反応すると、まず左足で打つようにみせかけます。これによって戻ってきた高木はシュートコースを消しに行こうと慌ててしまいバランスを崩してしまいました。
シュートを打つために十分なスペースと時間を確保したレオは今季10点目のゴールを叩き込んだという流れです。まさにゴレアドール。

山口の反撃はその3分後の79分。
宮代が見事なボールコントロールから決定的なシュートシーンを作りますが、ここは大谷が素晴らしいセーブで防ぎます。
すると山口は川井→工藤を投入しシステムを変更します。
工藤と宮代の2トップで右SHに高井、左SHに山下。ボランチはそのまま三幸と吉濱で、4バックは右から前、楠本、菊池、高木。4-4-2にしてきました。
さらに86分には前→ドストンで菊池を最前線に上げます。
菊池と宮代が前線で工藤がそのすぐ後ろ。両サイドとボランチはそのままで、後ろは一応ドストン、楠本、高木でしたが高木も前へ出てくるため実質2バックのような感じでパワープレーに出てきます。

新潟は86分に善朗→凌磨。そのまま左SHに入りました。
体を張るところは張り、前線の選手はうまくファールをもらったり、コーナーで時間を使ったりしながらゲームを締めに入ります。

しかし、アディッショナル+3分でした。
右サイドから高井のクリア。菊池がうまく落として宮代がサイドチェンジ。
逆サイドで待っていた山下に通って、一旦は新井が体を入れて大谷がキャッチしに飛び込みますが、クラッシュしてこぼれたボールを菊池がつなぐとエリア外で待っていた工藤がボレー。
フランシスがカバーに入りますが、スリッピーなピッチによって勢いよく跳ねたボールをブロックしきれませんでした。

試合終了、2-2、ドロー。

ナイスファイト

冒頭にも書きましたが、とにかく現地で戦ってくれた選手、スタッフ、サポーターさんには労いと感謝です。
お疲れさまでした、ありがとうございます。

転がると思ったら止まってしまいクッと踏み込んで方向転換しなきゃいけなかったり、ルーズボールが転がってくると思ったら止まってしまい急いでスプリントし直すだったりというのは相当に負担がかかります。
また、いつもなら転がるところが転がらなかったり、通るパスが通らなかったりすることで生まれるストレスや、1週間準備してきたものがほとんど意味を成さなくなってしまうという難しさもあります。
もちろんこれらは新潟に限らずお互い様ではあるわけですが、結局「個人の判断が大事になってくる」(森崎さん)環境で、吉永さんも仰っていた通り「我々の方が立ち上がりからこのピッチの状況を考えて割り切って戦った分チャンスもあった」というのはその通りだと思うし、よく戦ってくれたなという気持ちです。

当然勝てたゲームだとも思うし、もったいないとも思いますが、1度は負ってしまったビハインドを跳ね返した展開なんかを考えると、試合が終わってから時間が経っても勝てなかったことを責める気持ちにはなれませんでした。

最後に

60分頃、善朗への三幸のタックルから、直後には反対に善朗の三幸へのタックルがあり、さらに直後にはレオのタックルがありと、かなり激しく熱くなる時間帯がありました。
しかし、それ以降はお互いタフではあれラフにはならなかったのはとてもよかったなと感じます。また、難しいコンディションのためいつもよりケガのリスクが高まる中で、レフェリーも簡単にカードでゲームをコントロールしようとしなかったのはよかったのかなと思いました。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。