オレラグ
バモー!【Review】第24節 FC琉球戦
フランシスのハットトリックを含む4発の花火が打ち上がりました。
そりゃボールパーソンだった西高の子だって両手上げて喜んじゃいますよ。
夏ってやっぱり楽しいですね。
ん?プレビューで「好きじゃない」って言ってたって?
覚えてません。
勝てばオールハッピー。しかも4点も取ってくれれば好きじゃない夏の印象も様変わりです。
とは言いつつ、やっぱり暑かった。
気温30度、湿度は公式記録だと64%と書いてありましたが、もっと高かった気がしてなりません。
そんな中でもアグレッシブに走り切って、戦い抜いてくれた選手たちには感謝と尊敬です。
あとタイトルはこの試合のお気に入りのシーンです。
4点目の直後にフランシスを迎え入れた吉永さんの雄叫びを引用しました。
スタメン
新潟は4試合続けて同じスタメン。
前回はピッチコンディションを考えて新太と善朗の位置を入れ替えていましたが、この日はいつもの並びに戻していました。
またベンチには、ケガのために少し離れていたゴメスが戻ってきました。
琉球の方は前節から3人変更。
GKに前節は契約のため出場できなかった石井が入り、中盤2列目に上門と田中がそれぞれ12試合ぶりと6試合ぶりでスタメンに名を連ねました。
前半
琉球はキックオフからシンプルに前へは蹴らずゆっくりと自陣で回して入りました。新潟が少しプレスをかけたら長いボールを入れてきましたが、やはりしっかりボールを持って攻める、攻めようとするチームであることは最初のプレーからも窺えました。
また、1分20秒頃の西岡から上門への裏へのパスは実況の内田さんと解説の勲さんも少し言及していましたが、前節裏への動き出しが足りなかった反省から飛び出しの得意な上門や田中を起用したという意図が表れていました。
そんな琉球に対して前半の新潟はわりと前からプレッシャーをかけることを選択しました。
3分45秒の新太がカットしたシーンから奪い返されて縦パスを入れられて、戻ったサチローが再び奪ってフランシスがスペースに飛び出すという流れがありましたが、こういう行ったり来たりの展開がここからも続くようだと前からプレッシャーをかけるのは暑さを考えると大きなリスクになりそうだなと懸念していましたが、次のプレーで幸先良く先制点を奪うことに成功します。
7分、セットプレーからの2次攻撃で左サイドの善朗からクロス。これが増谷にあたってゴール!
勲さんが「ボールの落下地点に入ったことでオウンゴールを誘った」と仰っていた通り、記録はオウンゴールでしたがレオの飛び込みあってのゴールだったのは間違いありません。
そして、このセットプレーの起点になったのが先程紹介した3分45秒のシーンと似たようなサチローのインターセプトからのカウンターだったというのは、懸念していた直後に似たような形からしっかり点を取ってくれたという意味で非常に心強く感じました。
スコアは動きましたが琉球がボールを持つ展開は変わりません。
ただ、これに関してはスコアが動く、動かないはあまり関係なく、戦前の予想通りではあったので特に問題はなく、1点リードできたことで多少の余裕を持って対応できるようになっていたとも言えるのではないでしょうか。
しかし、その中で、多少気になったのは左サイドの守備でした。
11分に西岡のアーリーからファーサイドの上門にあわせられたシーンを始め、22分には田中に完全に裏を取られてクロスからあわやというシーンも作られてしまいます。
このシーンについて言えば泰基と新太は自分のマークをそのまま捕まえることで上下が入れ替わっていました。そこまではよかったのですが、新太が最後まで付いていき切れなかったのは課題でしょう。
琉球も新潟の左側から仕掛けるのはスカウティングで狙っていたのかもしれません。新潟はカウエがCBと左サイドの間のスペースを埋めることでしのぐシーンが多く見られましたが、左サイドの守備の部分は引き続き要修正ポイントでしょう。
新潟のチャンスは15分のフランシスが放ったヘディングシュート、18分に再びフランシスの左足シュートなどがありました。結局フランシスはこの日8本のシュートを放っていたようですがその貪欲な姿勢や積極性が最終的に実を結んだと言えそうです。
また、よくセカンドボールを拾えていたことでそこからチャンスを作る機会も多くあったように思います。ある程度前から取りに行くプランを選択した中でしっかり全体をコンパクトに保てたことですぐにボールへ反応できたという見方ができそうです。
39分のカウエのクロスに善朗がうまく体を寝かせてあわせたシーンも、シュートを放った善朗自身のセカンドボールへの反応からマイボールにしたのが発端でした。
そして、このまま前半をリードして折り返せそうだなと思った44分に貴重な追加点が取れました。
右サイドで新井、善朗とつないで善朗からのスルーパスにフランシスが抜け出すと、強引に中央へ割って入っていき倒されます!はい、PK。
このPKをフランシスがGKに反応されながらもこれまた強引にねじ込む形で決めました!素晴らしい。
PKを得るまでの流れを振り返ると、大谷がシュートをキャッチしてそれを新井に渡したところが起点でした。その時恐らく善朗の声だと思いますが「運べ!運べ!」という声がマイクに入っていました。新井は結局すぐに善朗へ預ける選択をしましたが、善朗としては相手の準備が整っていないからチャンスになると感じていたのかもしれません。
そして、新潟の選手もまだ前に人数をかけられていなかったのですぐに縦へ入れてもフォローに行けない状況でしたが、それでも善朗がスルーパスを送ったのはフランシスであれば十分に突破できると踏んだからでしょう。フランシスはその期待にしっかり応えてくれました。
前半終了、2-0。
2点目を取った後のわずかな時間でも、大武がファールをもらってマイボールにしたプレーや、將成のクリア、サチローのカットとスタンドが盛り上がるようなプレーが続いて良い雰囲気で終われたのは後半に繋がったのかなと感じます。
後半
早々の47分、相手陣内入ってすぐのところからのリスタート。
新井のボールをゴール前でカウエが収めると浮球のパスに走りこんだフゥーランシースがバスゥーンッ!(アルビレックス公式LINEより引用)
相変わらずちょっと何言ってるか分からない感じの公式LINE、最高であります。
このゴールは中盤での奪い合いから新太がうまく体を入れてマイボールにして、突破しかけたところで受けたファールから得たセットプレーからでした。試合後のインタビューで敵将の樋口さんは「球際で負けた」と仰っていましたがまさにそんな球際で勝てたからこそ生まれたシーンでした。
琉球は49分、後半の頭から富所に代わって投入された河合が得意のドリブルで仕掛けて行きますが新潟がしっかりブロックの網に引っかけます。
少し余談にはなりますが、最近は右サイドで出ることの多かった富所がこの日はメンバーの変更に伴い左での出場になりました。あまり存在感を出せず前半のみでの交代はやむなしといった印象でしたが、もしもいつも通りの右サイドに入って彼にライン間でボールを受けながらゲームを作られたりしたら正直もっと嫌だったかもしれないなとも思いました。
もちろん、新潟の右サイドがしっかり彼を抑えていたからこその結果であることを無視してはいけませんが、立ち位置の違いがパフォーマンスに影響したようにも感じられました。
52分、カウンターから新太がシュートまで持ち込んだところで久々の「蹴散らせ」が発動。その後しばらく我慢の時間が続き一旦止まりますが、57分サチローの素晴らしいインターセプトからセットプレーを取ったところでまた再開。まあ3点入ってさらに良い出足でボール奪えていれば歌いたくもなります。やっぱり盛り上がりますね。
61分に琉球は2人目の交代で福井→徳元を投入します。
ケガでしばらく欠場していた攻撃的なSBの徳元をここで入れてきました。
樋口さん曰く「ぶっつけ本番」だったそうですが、それでも攻め上がりからのクロスは脅威でした。
ここからしばらくピンチが続きます。
63分には風間の右CKに岡崎と大武が競り、こぼれ球をもう1度岡崎に詰められますが大谷の素晴らしい反応で防ぎます。
67分には西岡のスルーパスに右へ流れてきた河合が抜け出してクロス。
鈴木がフリーであわせますがボールは綺麗に大谷の下へ収まります。
まさにあのQBK(急にボールが来たので)のようなプレーで絶体絶命のピンチから救われました。
新潟は67分に最初の交代として泰基→ゴメスを投入しました。
少し前のプレーで泰基はどの部分か分かりませんが痛そうな素振りを見せていたので、ゴメスも控えているから無理はさせずに代えたという感じだったと推測します。
新潟はセットプレーからフランシスが積極的にシュートを狙うシーンを作りますが、73分には徳元のクロスから鈴木にヘッドで脅かされてなかなか落ち着けませんでした。
新潟は前半に比べてリードを広げたこともあり、恐らく意図的にラインを下げてブロックを組んで対応するようにやっていたように思います。
全体的にはそれで大きな問題はなかったのですが、ブロックの外から入れてくるボール(クロス含む)の出し手にもっと距離を詰めるとか、クロスボールに対してしっかり体を付けて競るといったところはまだまだ改善が必要な気がしました。
75分両チーム選手交代。
新潟は善朗→凌磨、琉球は田中→和田を投入します。
凌磨はそのままトップ下に入り、琉球の和田は鈴木と2トップ気味で上門が右サイドに出ることで4-4-2のようになっていたようです。
新潟はさらに3分後、新太→至恩を矢継ぎ早に投入しました。
残り10分を切ると新潟は再びプレスをかけられるところはかけながら、最後にもう1回しっかり締めようという雰囲気が見て取れました。
83分には鈴木へのくさびを中盤まで出て対応した大武のカットを起点に、レオのポストから凌磨が受けてスルーパス。抜け出したゴメスのクロスにフランシスが飛びこむ決定機を作ります。
そして、アディッショナルタイムに入ってすぐのプレー。
サチローのミドルはブロックされますがゴメスが拾って至恩へ。
至恩は少し右へボールを動かして相手をずらしてからすかさず左側へパス。飛び出してきたゴメスが受けると中央へ。
レオのキックを再びゴメスが拾うと今度はフランシスに渡し、フランシスが左足で押し込みます!4点目!
最後フランシスのハットトリックとか至恩のゴールなんかでダメを押せるといいなぁなんて考えていたら見事にフランシスがやってくれました。
また、このゴールの少し前に裏を取られて最後は鈴木のシュートという決定的なピンチがありましたが、その直後からアイシテルニイガタが送られたのはタイミングとしては絶妙でした。
あのピンチからのアイシテルニイガタ、そしてダメ押しの流れは非常に印象的でした。
試合終了、4-0。
幾多のピンチあり、でも懸命に守り抜いて4ゴール。
フットボールの内容的には吉永さんの仰っていた通り「完勝ではない」のでしょうけど、わくわくもヒヤヒヤも多いエンターテインメント的にはお手本のようなゲームで勝ってくれました(当然フットボールの内容的に完勝できるのがベストですが)。
高い位置での守備の話
正直もう少しブロックを作って引きこむように守った方がいいのではないかと思っていたので、前半あれだけ前から取りに行ったのは少し意外でしたがしっかりやりきってくれました。
その中でよかったシーンが下図の26分のシーンです。
相手のゴールキックからのリスタートに対して、レオはボールを受けた増谷から再びパスを受けたGKの石井まで続けてプレスをかけます。
石井はワンタッチで左の岡崎へ渡しますが、そこに対してフランシスはプレスをかけようとしますが途中でやめて本来の自分のマークである福井を確認しました。
まず、琉球のビルドアップはCBが本職の福井が右の西岡に比べて少し残ることで数的優位を作ることがあるというのは、恐らくフランシスも頭に入れていたと思うので結構高い位置まで出て牽制することはありました。
そしてこの取り上げたシーンで言えば、前から取りに行く意識がある中で、さらにレオがGKまで2度追いしているのもあってフランシスはそのまま取りに行っちゃうかなと思いましたが、止まる判断をしたのは非常に冷静でよかったと感じました。
さらにこの後、岡崎と石井でもう1度パス交換をしますが、その場面ではレオと善朗のどちらかが中央へのコースを消しながらどちらかがプレスをかける連動ができていましたし、引いて受けにきた富所にはしっかり新井が出て前を向かせず、再び岡に入った時にはレオがGKを含めて逆サイドへのパスコースを消すようなプレスをしていました。
結果的にこの後は新井が引っかけたボールが相手に渡って鈴木に抜け出されてピンチになるわけですが、ピンチになったからそれまでの全部が悪かったと判断するのは本質を見失う危険があるように思います。
基本的には前から取りに行く中でも、行かない判断と連動した追い込み方は非常にポジティブだったように感じました。
サチローの進化
球際とかルーズボールへの反応といったところで負けなかったことが小さくない勝因の1つだったかと思いますが、その中でサチローが圧倒的な存在感を見せていたことに異論はほとんど出ないでしょう。それくらい誰の目にも明らかな活躍でした。
彼のハードワークはもう何度も見ていて驚きはないのですが、この日見ていて感じたことはひょっとするとまだ余力があったのではないかということです。
ここぞという場面で必ずと言っていいほど出てきて相手の攻撃の芽を摘み、さらには攻撃にも出て行くのでずっと動き回っているように見えますが、ブロックを作って守るタイミングで上手に休めるようになっている気がしました。もちろん、そうだとしてもあの運動量は凄まじいことに変わりはありませんが。
以前よりも取りに行ってしまったことで不用意にスペースを空けてしまうとか、取りに行ったけどタイミングが良くなくて外されてしまうといったことが減っているように感じました。
小さいころから何をして、何を食べればあんなに走れるようになるのか不思議で仕方ありませんが、ここから暑さの厳しくなる夏場の戦いで“ネオサチロー”が躍動してくれることは大いに期待できそうです。
最後に
ピンチは多く作られて、相手に助けられた部分も相当にある中で、それでも完封できたことは非常に大事なことです。また、ファウルを4つに抑えながらしっかり球際を戦って勝ち切れたことも素晴らしかったです。
さあ、すぐに次の試合が来ます。暑さに負けずに乗り切りましょう。