オレラグ
喜びのち反省【Review】第31節 ジェフユナイテッド市原・千葉戦
最後の最後までヒヤッヒヤ。何とかもぎ取った勝ち点3。
入場者数1000万人突破やジェフにホームで初勝利と、メモリアルなゲームにもなったわけですが、最後に久しぶりのプラネタスワンを見ながら善朗の言葉ではありませんが、「本当にほっとしました」。
スタメン
その善朗が2試合の出場停止から復帰したこの日。ポジションは入れ替わりでこの日出場停止になってしまったカウエが普段務めているボランチでした。前節のアシストしかりレオやフランシスとの良好なコンビネーションを発揮できるシルビーニョはやはり外しがたいということだったかと思います。
対する千葉は前節から2人の変更。
CBに新井が4試合ぶり、右SHの堀米が2試合ぶりにそれぞれスタメンに入りました。
どうでもいいですが両チームに新井と堀米姓がいるなかなか珍しいシチュエーションとなりました。
前半
最初のチャンス、何ならマイボールで落ち着いたのはほとんど最初くらいだったところから先制点を奪います。
5分、後ろで丁寧に動かしてから舞行龍のくさびがシルビーニョに入ります。シルビーニョへのパスコースを空けるように一旦前へ走りこんだサチローが戻ってシルビーニョから落としのパスを受けると斜めのパス。
レオへのパスと読んだ鳥海が出てきたところをゴメスがワンタッチで運んで抜け出しGKと1対1。ここは出てきたGKにブロックされますがセカンドボールをシルビーニョがカットして最後はレオ!
素晴らしい崩しで中央を割っていきました。
CBからボランチを飛ばしてFWへ縦パス。1つ戻して前向きで受けたボランチが斜めのパス。CFに釣られた相手CBの背後に攻め上がってきたSBが一気に侵入。この時、相手のSBがカバーに行ける距離に立てないようにSHもしっかり幅を取る。
お手本のような崩しでした。お見事。
リードしてからは、落ち着いてボランチに入れながらビルドアップしたり、相手がプレッシャーを掛けてくれば8分のようにオフサイドにはなりましたが長いボールでフランシスを狙ったり、長短を使いながらプレーできていました。
逆に千葉はビルドアップが新潟のブロックの外を回っているだけのことが多く、サイドチェンジを使って局面を打開しようとするシーンも何回かありましたが、単純なミスであったり新潟のスムーズなスライドでの対応であったりでテンポが出ませんでした。
すると18分、左サイドのゴメスがレオとのワンツーで突破して再びマイナスのレオへ。レオが狙い澄ましたシュート!追加点!
1点目と同様に右隅に流し込む、まさにゴールへのパスのようなシュートでした。
また、このシーンは大武から相手の2トップの後ろで善朗がボールを受けたところから運んだのが起点でしたが、こういう縦パスを受ける意識や縦パスを受けた後の画をしっかり描けていると感じるシーンが前半は多く見られたように思います。
2点目が入り、飲水タイムを経て25分以降はブロックを作って守る時間がしばらく続きましたが、慌てることもなく、機を見て仕掛けからシュートまでいくシーンも作れたりしていたのは非常にいいゲーム運びだったように思います。
そして、前半の中で触れておきたかったのが41分のシルビーニョのミドルシュートまでの流れのところです。
約2分、パスの本数で言うと21本繋いでフィニッシュまで持っていったシーンでしたが、Nスタンドからはパスが入るごとに掛け声があり、さらに相手陣内でフランシスが受けながらも、一旦やり直そうと舞行龍まで戻したところでスタンドから拍手が起きたのはすごくホームを感じる良いシーンだったように思います。
2点リードの状況だったからというのはあるのかもしれませんが、あのようなじっくり動かして攻め直しつつ相手のブロックの間隙を狙っていくプレーをスタンドが後押しできれば、選手も気持ち良くプレーがし易くなるのではないかという気がしました。
前半終了、2-0。
非常にゆったりとした印象の45分に感じましたが、しっかりチャンスを活かしてリードできたことでそれはとてもポジティブな印象でもありました。
後半
前半途中にアクシデントで小島→熊谷に交代していましたが、それ以外は両チームとも交代なく後半に入ります。
47分早速ピンチが訪れます。
千葉の左サイドでの繋ぎから下平がクロス。クレーベが流してファーサイドの米倉がシュート。ここは大武が体を張ってブロックしました。
52分にも、同じく左サイドから熊谷のパスを為田、船山とワンタッチで繋がれて下平に完全に抜け出されるシーンを作られます。
さらにその1分後には三度左サイドから、為田のパスを左サイドまで来ていた堀米が内側で受けて縦に持ち込んでクロス。クレーベにドンピシャで合わせられるも大谷のビッグセーブでしのぎました。
立ち上がりこそこういったピンチと共にセットプレーやセカンドボールを拾ってから新太のミドルなどわずかながら反撃するシーンもありましたが、千葉の執拗な左サイドからの攻撃に対して奪いどころを見出せずズルズルとラインが下がってしまいます。
すると59分でした。
熊谷、為田、船山、下平のカルテットでテンポよく繋ぎ、抜け出した為田がクロス。逆サイドから走りこんだ米倉がダイビングヘッド。
ついに1点返されます。
失点直後に善朗がベンチに向かって強い口調と身振りで何か伝えていましたが、恐らく右サイド替えてくれみたいなことだったのかなということは、実際その後すぐにフランシス→貴章の交代を行ったところから想像できました。
しかし、その後も苦しい展開は変わりません。
1点返す直前に千葉は堀米→見木を投入していましたが、見木も堀米同様中央や左サイドまで寄ってきて新潟の守備のギャップを狙っていました。
63分にはカウンターからまたもや左サイドを為田に抜け出され、最後は米倉のシュートをゴメスがブロック。
それで与えたCKから見木にヘッドで狙われますが上へ外れて事なきを得ます。
70分にも左サイドから熊谷、船山、下平、為田とお馴染みのカルテットに繋がれて最後は佐藤勇人にミドルで狙われますが大武がブロックします。
その後も繰り返しセカンドを拾われ波状攻撃を受けて我慢を強いられました。
そして77分、新潟はシルビーニョ→達也さんを投入します。
この交代によって圧倒的だった相手のペースを幾分か食い止めることができました。
終盤の88分には新太→至恩で交代枠を使い切ります。守備を大前提に隙あらばカウンターを狙うといったところだったでしょうか。
千葉は79分に船山→佐藤寿人を投入。
さらに終盤にはCBの新井も前線へ上げてパワープレー気味に攻め込んできます。
アディッショナルタイムに入ってからも為田のクロスからゴール前で混戦になったり、セットプレーから米倉のシュートがあったり、そして最後の最後にもクレーベの縦パスから見木にボールが入ってゴール前でごちゃごちゃになりますが、なんとか掻き出したところで柿沼さんが長い笛を吹いてくれました。
試合終了、2-1。
ゼーゼーハーハーしながらも約1か月ぶりの勝利です。
苦労 PART1
とっても苦しくしんどいゲームになってしまったわけですが、じゃあなんでそうなったのかちょっと考えてみて気付いたことを2つ挙げてみます。
まず1つ目が前線での守備の行き方です。
前半に関しては、千葉の2CBとボランチがそのままのポジションでビルドアップすることが多くありました。
それに対して新潟は図のように、相手のCBには持たせて、前線の2人(レオ、シルビーニョ)が相手のボランチを基本的に横並びで見る形でやっていました。
また、前半の序盤は後半の内容とは反対に、右サイドからの攻撃が千葉は中心になっている印象がありましたが、これは数的優位を作って崩す狙いがあった左サイドからはなかなか打開できなかったことで、空いたスペースに出てくる米倉をサイドチェンジなどで使う事が多くなったという流れだったのかなと推測します。
そう考えると新潟は相手の攻撃の形をしっかり潰して自分達のペースでゲームを運べていたと読み取ることができるかもしれません。これは多少都合のいい解釈かもしれませんが、いずれにしろ余裕を持って守れていました。
しかし後半になると、下図のように新潟の前線2人が縦関係になることが多くなり、また千葉のボランチ(主に熊谷)も少し左側にズレて受けたり、左SBの位置に降りて受けてから運んだりパス交換だったりをするようになって、前半よりもやや高い位置で自由にボールを持たれる時間が増えてしまいます。
これにより、熊谷のところに新潟のボランチ(主にサチロー)が出るか出ないかの難しい判断を迫られ、少し出てしまうとそれによって空いた背後のスペースに千葉の2列目(堀米や船山)が入ってきて、さらにそこを潰しに行こうと新井が出ようとすればサイドが空いてしまい抜け出されるという悪循環に陥ってしまいました。
「もう少し前から取りに行こう」とか「(レオは)カウンターのために残っておけ」といった話があったから縦関係のようになったのかどうかは分かりませんが、例えばもう少し前から取りに行くのであれば、熊谷が左側へ降りて2CBと共に後ろが3人になった時、両側の選手には新潟のSHがSBへのパスコースを消すように外を切りながらプレスをかけるといったことが必要になってきますが、そういった意図は感じませんでした。
このオーガナイズ(組織された動き)が前半と変わってしまったことが押し込まれた一因のように感じました。
苦労 PART2
もう1つは攻撃の質です。
奪いどころが定められず押し込まれ、ズルズルとラインが下がってしまって跳ね返すことで精一杯になってしまったことで、ほとんど前線にボールが入らず時間を作れないまま押し返せない状態になってしまいました。
例えばルーズボールを拾って繋ごうとするものの、押し込まれた状態からのスタートなので当然相手のプレッシャーは早いためそれをいなせなかったり、押し込まれている中でセーフティーファーストにプレーするのは全く問題ないわけですが、一旦後ろに戻してやり直せそうな場面でも簡単にクリアやロングボールで逃げてしまうシーンが何回かあったりしたように思います。
また、なんでもないパスがズレてしまって失うようなもったいないシーンもありましたが、これは余裕のなさに起因するものだったのかもしれません。
前半はCBからボランチへ入れるシーンが2点目の起点になった場面を含めて何度もあって、そういったパスによって相手のファーストディフェンスである2トップのラインを越えることができていましたが、後半はCBからボランチへ繋いでビルドアップというシーンはほとんどなかったかと思います。
後半のシュートが1本だったというのは、チャンスを作れないというよりそもそも攻撃に出られなかったことを示している数字と言えそうです。
頼れる2人
途中から入った貴章、そして達也さんがチームを助けてくれたのは間違いないでしょう。
まず守備に関していえば、貴章に関してはとにかく右サイドの手当てといった色合いが強かったので、全体的に押し返せたわけではなかったと思いますが、サイドにしっかり蓋をしたり、マークも最後まで付いて行ったりしてくれたおかげで、数メートルでも相手に持たれるラインは上がったように見えました。
そして、達也さんは前からのプレッシャーや2度追い、さらにプレスバックも確実にこなしてくれたおかげで明らかに全体を押し上げる猶予ができていました。終盤にショートカウンターになりそうな場面やちょっとでもマイボールで落ち着ける時間が出来たのは達也さんの果たした役割が大きかったと思います。
押し込まれる展開だから下手に前へ出て後ろにスペースを与えるのだけは避けるために割り切ってゴール前を固めていたという見方もできなくはないですが、割り切るにしてはラインが下がり過ぎですし、あれだけ深い位置からクロスを何度も入れられるのを許容できるのはファン・ダイク(リバプール)とかクリバリ(ナポリ)レベルがいるチームでないと厳しいでしょう。
それに、千葉の前節・町田戦で、高さを活かしたクレーベのド迫力ヘッドを見ていたので、何でもないクロスからクレーベに叩かれる形というのは正直自分の中で1点は覚悟していました。
だからこそビッグセーブを見せてくれた大谷は神様仏様大谷様ですし、それと同時に貴章、そして達也さんが入ってラインを上げてくれたことは何とか逃げ切れた大きな要因だったように思います。
最後に
課題が多く手放しで喜べるようなゲームではなかったのは事実ですが、それでもブロックはコンパクトに保って、この日3回くらいあったような最後にしっかり体を張ることや、前半のように良い攻撃の形を作りつつ、相変わらずしっかり得点を取れていること、そして何より勝ち点3を奪い切ったというのは素晴らしかったです。
残りもどんどん少なくなってきていますが、1つずつ丹精に力強く戦って、勝っていきましょう。