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オレラグ

続けて取ったのは…1【Review】第33節 ヴァンフォーレ甲府戦

2019年9月23日

甲府戦当日。この日は明訓へプリンスリーグを見に行っていたんですけど、その帰り道に鳥の落とし物を食らいました。たぶん四半世紀生きてきて初めてのことなんですけど、最初何が起きたのか分からずパニくって、落し物だと理解したらテンションが下がるどころか、「今日は相当な運が付いているぞ、だから勝てるかも」なんて思っていました。
そんな落し物され損な能天気ポジティブ馬鹿が今日も試合について書いてみます。

スタメン

新潟のスタメンは前節と全く同じ11人。また、ベンチには凌磨が4試合ぶりに名を連ねました。
甲府は水曜日の天皇杯から予想通り全員入れ替え。前節のリーグ戦からは1人の変更で、負傷で途中交代したドゥドゥに代わりこの夏加入したアラーノが初先発となりました。

前半

2分、早速得たCKはゴメスがマイナスに出し、走りこんだ新井がシュートというデザインされたプレーを見せました。多少パスが弱くなったためDFに寄せられてしまいブロックされましたが、いい狙いだったと思います。
またこのCKに至った流れとして、それほど前線から来ていたわけではなく、ただラインは浅くてコンパクトな甲府に対して、大武からシルビーニョという裏へのシンプルなボールを送ったのもいい狙いでした。

しかし7分、今度は逆に甲府のCK。
内田のボールにあわせたのはウタカでした。うまく当たらず事なきを得ましたが、完全にマークを離してしまい、さらに言ってしまえば手前のアラーノにも先に飛ばれてしまっていました。

立ち上がりからお互いセットプレーで見せ場を作りましたが、そんなセットプレーの流れから待望の先制点が生まれます。
11分、善朗の左からのCKは一旦クリアされますが、再び拾ってクロス。
中で合わせたのはレオナルド!先制!
一度相手DFの前に入ってからボールの軌道を的確に見極めて、少し下がりながら文字通りゴールへ流し込むように決めました。お見事。
さらに、アシストした善朗も素晴らしいボールを供給
しました。
少し切る(カットする)ような感じの鋭い振りのキックで上から緩やかに曲がりつつストンと落ちるボールでした。素晴らしい。

試合の入りは少し前から取りに行っているように見えた新潟ですが、やはり前節同様シルビーニョとレオが相手のボランチを見る形で、その後ろは4-4のコンパクトな陣形を敷いて守る形に落ち着きます。
それによってこちらもまた前節同様、相手がボールを持っていてもしっかり我慢しながら食いつきすぎずに対応することでうまく守れていました。
17分にフランシスと新井の間を通されて内田に裏を取られるシーンこそありましたが、その他のシーンではそのフランシスしかり当然逆の新太もしかり、逆サイドにボールがある時はSHもグッと内側へ絞ることで横のコンパクトさも保つことで、嫌な位置で相手に受けられるシーンはほとんど作らせていなかったと思います。

前節のヴェルディ戦では、奪っても相手の素早い切り替えによってすぐに回収されてしまうことが特に前半は多かったですが、この日は甲府がそれほど早く奪いに来るわけでもなかったこともあり、カウンターなりポゼッションなりで自分達の時間は確保していました。もっとゆっくり急がずにやってもいいのかなと思ったことも事実ではありましたが。
そんな中で28分には舞行龍のフィードのクリアを新太が拾ってミドル。
32分にはカウンターで左から運ぶとテンポよく繋いで右まで展開し、最後は新井のクロスにあと1歩合わせられずというシーン。
さらに36分にも左サイドでシルビーニョが見事なシャペウ(ボールを掬って相手の上を抜く技)からクロスであわやゴールか、というシーンなどチャンスを続けて作れていました。

しかし39分。一瞬の隙を突かれてしまいます。
右サイドの田中から中央の小椋へ渡ると、小椋がワンタッチでスルーパス。抜け出した横谷のクロスは舞行龍が触りますが、大谷は慌ててしまいパンチングミス。こぼれ球をウタカに決められてしまいました。
大谷としては相当に悔しい、いや、悔やんでも悔やみきれないミスでしょう。ただ、それ以前にCBとSBの内側を抜かれてしまったことが問題ではありました。
田中から小椋に渡るところでボールを目で追ってしまった、いわゆるボールウォッチャーみたいな状態になっていたように見えます。
26分にも似たような形で、右サイドの田中から中央へパスが出て、この時はウタカが自ら前へ運ぼうとしてトラップが大きくなり大谷がキャッチしましたが、甲府としてはこの時の反省というかイメージはあったのかもしれません。得点のシーンではCBの小柳がフリーランニングして人数をかけて新潟の選手を引き出す改良がされてもいました。

前半終了、1-1。
決して悪くない試合運びに思えましたが終盤に追いつかれてしまいました。
ちょっと思ったのは30分にシルビーニョのパスミスからウタカにチャンスを作られたあたりから俄かに試合に動きが出てしまった気がしました。
30分以降新潟もチャンスを作っていたのでゲームが動いたこと自体は一概に全部悪いことではないのですが、それまでは甲府がボールを持ちながらも新潟の守備ブロックを崩せずに焦れる展開で、ある意味ゲームが止まっている感覚でした。
リードしていることを考えれば失い方だけ気を付けて、あとは止まっているゲームを維持する、何も起こさないままやれていたらよかったのかも、と感じました。
ただ、これはあくまでも何となくの印象から来る推測です。

後半

どちらも交代なしで入ります。
ちなみに前節に続いてこの日も新潟の選手は結構早くピッチに出てきました。審判よりも早いのでたぶんもうちょっと時間的にゆっくりしていていいとは思うんですけど、あれって何か狙いがあってのことなのか、特に意味はないのか気になってしまいました。

後半は入りからレオとシルビーニョが基本的に相手のボランチを見る格好で前半と変わらずブロックを敷いて守ります。
しかし、甲府の前線の選手が前半に比べて下がり過ぎないようになっている気がして、そのためか仕掛けのフェーズまで持っていかれるシーンが増えていました。
内田が狙った2本のFKを始め、55分にはアラーノ、横谷、リマの細かい繋ぎから横谷のシュート、58分には正面30mないくらいの距離から佐藤が強烈なミドルを狙ってきました。
この佐藤のミドルで言うと、新潟としてはブロック自体がそれほど下がり過ぎていたとも思いませんし、それまで通り外で回させている感覚でやれていたと思いますが、少しボールホルダー自体への寄せが甘くなったところを狙われました。甲府も前半より効果的に揺さぶりをかけてくるようになっていたと感じます。

そのせいで恐がって前半よりも人に食いついてしまってスペースを空けてしまわなければいいけど…と心配しましたが、60分以降新潟が再び盛り返したことで心配は杞憂に終わりました(終盤オープンになることは想定内だったはずなのでそこは除いての話です)。
カウンターのチャンスでスピードが上がり切らない歯痒さは前半から変わらずありましたが、カウンターになり得るボール奪取自体は、相手の簡単なミスを含めてではありますができていました。
ビルドアップからの攻撃も甲府に比べれば新潟の方が落ち着いて間に入りながらできていたように思います。

69分、右サイドから新井のロングスロー。ニアでシルビーニョが触りDFがクリアしたボールを新太がボレーは上へ。
続けて70分にも、左サイドから出た善朗のフィードをシルビーニョとDFが競り、こぼれ球を再び新太がボレーで狙いましたがこれも上へ外れます。
さらに71分には、落ち着いた左サイドでのビルドアップからシルビーニョが受けるとレオへ縦パス。レオは受けるやいなや素早いタッチで相手を抜き去りコントロールシュートを放ちましたが河田に防がれました。

新潟のいい時間がしばらく続きましたが、74分に甲府は小椋→宮崎を投入し宮崎をシャドーへ入れて横谷をボランチへ下げる策を講じてきました。直後にゴメスからのクロスをレオが受けてシュートというこれまた惜しいシーンもありましたが、この宮崎投入を機に甲府の反撃も出始めます。
79分、左サイドで受けた宮崎はウタカとのワンツーでDFの網を突破し深い位置まで侵入してチャンスを作りました。直前のプルアウェイ(一旦下がってから裏へ抜ける動き)で抜け出そうとしたプレーを含めて甲府の攻撃にアクセントをつけます。

対する新潟は78分に新太→至恩、80分にフランシス→貴章と両翼を入れ替えて活性化を図ります。
85分にはカウンターから左サイドの至恩に渡ると、得意の仕掛けから中へ持ち出してシルビーニョのシュートを演出しました。宮崎に負けじとではないですが、期待通り至恩も新潟の攻撃にアクセントをつけてくれます。

直後両チーム最後の交代。新潟はシルビーニョ→凌磨、甲府はアラーノ→金園を投入して勝ち越しを狙います。
終盤甲府はカウンターで、左サイドからウタカが運ぶと中央の金園へ渡し、ワンタッチで落としたボールを宮崎が狙います。決定的なシーンでしたがここは大谷がファインセーブで救ってくれました。
新潟も貴章の高さを活かしてゴール前へ迫りましたがシュートまでは行けず。

試合終了、1-1。
お互いにとって手痛いドローであると同時に、お互いにミスもあり大きなチャンスもありと考えれば、残念ですが甲府の伊藤監督も仰っていたように「妥当」なドローだったと言えるのかもしれません。

ブロックの安定、セットプレーの不安定

解説の須藤さんは前半「甲府は前線の動き出しがないから持たざるを得ない。新潟としても守りやすい」ということを仰っていました。それに加えて、甲府は3バックではありましたがビルドアップの際はややリマが出て右の田中と共にSB的な感じになったりすることもあり、前線3人と両WBが前へ出て新潟の4バックに対して5人が張るということもあまりありませんでした。
新潟としては、SBがシャドーに付くかWBに付くかといった迷いが生じることも少なく、またウタカ、横谷、アラーノの前線の選手はボールが来ないために下がってくれることもあって、危険なライン間のスペースを突かれることも少なく守れていたのかなと思います。

しかし、またセットプレーの悪癖が浮き出て来たのは気になるところです。最初のCKに始まり、何回かフリーで合わせられるシーンを作られてしまいました。失点することはありませんでしたが、これは幸運でしのげた面が大いにあります。失点するかどうかは運次第ではあまりに危険ですしもったいなくもありますから、もう1度引き締め直したいところです。

ビルドアップの光明

攻撃ではビルドアップからの攻撃にポジティブな面を見出せました。
例を挙げると前半8分と通算タイムで70分のシーンです。
8分の方はほとんど結果論的であり、追い詰められながらなんとか抜けた形ではありますが、それでも相手にブロックを作られてからやり直しを選択すると、左サイドでボールを動かしつつ相手を引き出した上でうまくゴメス、新太、善朗、サチローと繋いで逆サイドまで運べていました。
理想を言えば8分29秒あたり、大武が持ってフランシスが裏に抜ける動きをした時に相手のDFと中盤の間にできたスペースにバシッと入れられればよかったですが、これはあくまでも理想のお話です。

また70分の方は、こちらも左サイドでのビルドアップですが、善朗が外に出て内側のゴメスとパス交換をします。少し善朗が中へ持ち出して再びゴメスとパスを交換しながら40秒のところでうまく奪いに来た相手の背中を取ることが出来ていました。
ここ2試合もボランチとして善朗はボールを受けて叩いてリズムを作ってくれてはいましたが、その役割自体で言えば特別善朗である必要性は薄く感じて、彼の力を考えるともったいない気もしていました。
ただ、このシーンを筆頭にこの日は善朗をボランチに置く意義というか、善朗だからこそのプレーが増えたように思います。

カウンターの陰り

ビルドアップに良さを感じた反面、これまで最大の武器であったカウンターに少し不満というか、切れ味が落ちている印象を感じました。
正直これは印象が強くなっているということであって、明確な根拠を提示できるほど理解が深まってはいないのですが、フランシスがスペースに抜けたりスピードを活かしたりするというシチュエーションは分かりやすいこともあって、割と少し前から消されてしまってはいると思います。
またシルビーニョに関して、彼はスピードがあるタイプでは決してないので、それも表面的にはあるかもしれませんし、それ以上にボールを持った際によりいいところを探してしまって結果的にスピードが上がりきらないというパターンが多い気はします。
一応補足しておきますが、別にフランシスやシルビーニョなど誰か特定の個人“だけ”の責任だなんてことは言いたいわけでは当然ですがありません。
カウンターへ出るにあたってはやはり前線の選手が果たす役割というのが大きいですから、小さな一因として考えられるのかなと思って挙げてみたということです。

最後に

痛すぎる連続ドローです。
昇格圏内の2位とは14差、PO圏内の6位とは12差。単純計算で追いつくにはそれぞれ5試合、4試合必要です。残り9試合ですからまあ相当なハードルの高さです。そこらへんにある奇跡じゃ恐らく足りません(そこらへんにある奇跡ってそもそもよく分かりませんが)。
まあただとりあえず、可能性がゼロになるまでは叶うもんだと思い込んで応援したいと思います。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。