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オレラグ

大収穫祭【Review】第35節 鹿児島ユナイテッドFC戦

2019年10月7日

6得点、無失点、レオの4ゴールに久々の新太、そして何よりいよいよピッチに帰ってきた史哉。こんな日を幸せと言わずして何と言うのでしょう。それくらい幸福に満ちた、最高な1日でした。

スタメン

今回はまず鹿児島の方から紹介したいと思いますが、前節からの変更は2人でした。GKは2試合ぶりにアン・ジュンスが戻ってきて、ボランチには二ウドが3試合ぶりに名を連ねました。

そして新潟の方ですが、こちらも前節から2人変更してきました。
まずは至恩が自身初のスタメン出場を果たします。これまでは途中から入ってまさしくチームのジョーカーとして見せ場を作り、前節もPKを奪取する素晴らしい仕掛けを見せていたわけですが、ついにスタメンの座を掴みました。

そして史哉です。
公式戦出場は約3年半ぶりということで、歌詞がウチさんと同じ“選手”仕様になったチャントを、満を持してスタメンの最後に歌った時、グッとこみ上げるものがあったのは恐らく自分だけではないと思います。
試合後のインタビューの返しみたいになりますが、改めておかえり!

前半

最初の入りに関しては少しだけ不安定な感じがしました。大谷のキックミスが2つあったり、フィールドでも細かいミスが見られたりしました。
ゴールキックを善朗が受けてビルドアップするシーンなんかからもしっかり後ろから組み立てようというのは感じられましたが、それを実行するにあたって少し意識が慎重すぎて思い切りみたいなものが足りずにミスが起きたり、攻め切れなかったりしたのかなと感じました。
ただ、鹿児島も元々それに近い感じのより丁寧にサッカーをするタイプで、パワー(走力やフィジカルなど)を前面に押し出すチームではないこともあって致命的な問題には発展しなかったように思います。
そしてそんなやや不安定な感じも5〜10分経過する頃にはある程度落ち着いていったように感じました。

12分、善朗の右CKからシルビーニョがヘッドであわせたシーンはゴールとはなりません。しかし、セットプレーは大いにチャンスになり得ると実感できた矢先。そんなセットプレーから待望の先制点が生まれました。
18分、同じく善朗の右CK。ファーサイドへ送られたボールを大武がヘッド。
一旦はGKに止められますがそこを抜け目なく狙っていたのはレオ!
「ああいうこぼれ球は常に狙っている」と本人もコメントしていましたが、まさにゴールへの嗅覚。
FM-PORTで解説されていた梅山さんもレオに関して、シュート技術はもちろんだけど、ポジショニングがいいから点が奪えるということを試合中何度か仰っていました。

さらにその2分後、新潟が畳み掛けます。
落ち着いたビルドアップから左サイドのゴメスへ渡ると、縦へ突破。
ファーサイドの新太は胸トラップで収めてからの左足ボレー!お見事!
守備のがんばりにしろ、攻撃での間で受けて叩いてリズムを作るプレーにしろ、進境著しいです。あんまり器用な選手になる必要はない、なんて前から思っていましたが、泥臭くゴールを狙える上に器用さもあればそれに越したことはないわけですから、さらなる進化に期待したいところです。
この得点シーンに関しては素晴らしかったのであとでもうちょっと細かく振り返ってみます。

2点リードしてからも落ち着いてボールを動かし、また守備も積極的な出足でプレーできていました。
26分にはセットプレーから新太がゴール…かと思いましたがオフサイドでノーゴールになると、30分には反対に鹿児島側にも、ゴール前に上がったボールを牛之濱が触りこぼれ球を萱沼に押し込まれてあわやゴールというシーンを作られてしまいます。
オフサイドで救われたとはいえこういう偶発的(ゴール前へ蹴ったルカオは偶発を狙ったとも言えそうですが)なシーンは恐いし嫌だなぁとちょっと不安になった6分後、3点目を奪う事が出来ました。

36分、史哉の縦パスを右に流れたシルビが受けると、少し外へ運んでからヒールパス。フリーの新太が内側から抜け出すと、ゴール前へ優しいラストパス。レオフィニッシュ!3-0!
史哉が持った時に新太は自分の背後を確認した上で少しボールに近づいて受ける動きをしていました。これによってシルビが受けるスペースが広がりました。またシルビが右に流れて相手のCBを釣り出すと、その空いたスペースを今度は新太がしっかりと突きました。ナイス連携。

直後に鹿児島は藤澤→五領という交代を行います。
3点目が入る直前から準備していましたが、この交代により萱沼が右SBへ下がって、五領が右SHへ入りました。
終盤、40分に左サイドの砂森のクロスをルカオに合わせられたり、アディッショナルタイムには萱沼の直接FKでヒヤリとさせられましたが、それぞれ大武のブロックと大谷のナイスセーブでしのぎ切りました。

前半終了、3-0。
前半だけで3点のリードなんてただただ楽しかったわけですが、こういう場合、後半急に流れが変わったり勢いが落ちたりすることは往々にしてよくあることであり、正直まだどこかに不安な気持ちも残っていました。

後半

開始から大体15分くらいでしょうか、前半の終わりに抱いたわずかな不安は案の定当てはまってしまいました。
48分中原のミドル、51分には左サイドの崩しから酒本のクロスに五領のシュート。さらに53分には、右サイド五領のクロスに酒本が折り返してルカオがシュートという決定的なシーンを作られますがなんとか舞行龍がブロックします。
51分の五領のシュートシーンでは、鹿児島がビルドアップの際に砂森が内側に入ることで水本から大外の牛之濱へのパスコースを作ると、そこから酒本のポストプレーを経由してインナーラップの砂森へ渡るという、ちょっとした変化を見せて新潟のマークを惑わせに来ていました。
またセットプレーからも53分には萱沼のCKに二ウド、59分には五領のCKから水本と危ない場面を作られてしまいます。

新潟としては前半ほど前線からの守備が行けていなかったように感じましたが、それはつまり奪った後に前で時間が作れずになかなか全体を押し上げられなかったことが問題としてあるような気がしました。

しかし64分。相手のクロスをクリアするとセカンドボールをシルビが拾います。落ち着いて善朗からゴメスへと繋ぐとゴメスが素晴らしい縦パス。
レオがワンタッチで落とすとサチローが相手より先に触ってうまく抜け出します。
再びゴール前へ走りこんだレオは、サチローからのパスが少し足下に入りながらも強引にシュート。一旦はGKにセーブされますが、DFにあたってこぼれたボールをプッシュ!4点目!レオ今季初のハットトリック達成!
劣勢の中で巡ってきたカウンターのチャンスをただ攻め切るだけでなく、きっちりゴールで完結させたことが、この後さらに続く大量得点に繋がったような気がします。

直後に新潟は至恩→凌磨。
鹿児島は中原→野嶽、さらに72分に酒本→ハンヨンテを投入し、ハンヨンテとルカオの2トップにしてなんとか1点を返しに来ます。

しかし、新潟のゴールショーは終わりません。
73分、低い位置でボールを持つ萱沼に対して新太がプレス。
萱沼はCBの赤尾へ渡しますがここでトラップミス。狙っていたレオが奪うとGKもかわして冷静にトライ!…じゃない、ゴール!
ドリブルでゴールへ入れるのは久しぶりに見た気がしますが、レオはよく狙っていました。
吉永さんも「守備への貢献もかなりしてくれるようになりました」と仰っていましたが、この5点目のシーンほど分かりやすいケースはなかなか少ないと思いますが、守備でがんばったからこそ奪えるゴールはさらに増えてくるかもしれません。

新潟はここで新太→フランシスへスイッチします。
この前後くらいの時間帯から試合はオープンな展開へ加速していった印象でしたが、そこでフランシス投入はまさに打ってつけでした。
79分にはうまいターンから左サイドを一気に持ち運んでニウドのイエローを誘発します。
そして81分再び左サイドからの仕掛け。スピードを存分に活かした突破からクロスを上げると、クリアしようとした赤尾のヘッドがそのままゴールへ吸い込まれました。なんとなんと6点目。
FM-PORT中継実況の立石さんも「もう今日は何でもうまくいくっていう感じになりましたね」と仰っていましたがまさにそんな感じでした。

84分に善朗→カウエでしっかり締めにかかります。
アディッショナルタイムにシルビがGKとの1対1を止められて、梅山さんは「絶対にダメですね。点差は関係ない」と厳しい喝も入りましたが、最後まで相手にゴールは許さずしっかり完封も達成しました。

試合終了、6-0。大勝。
1試合6点は16年ぶりと立石さんが教えてくれましたが、たぶん2003年に福島県営あづま陸上競技場(現・とうほう・みんなのスタジアム)で行われた横浜FC戦(7-1)以来ということではないでしょうか。
奇しくも今節のレオと同じくマルクスが4点を奪ったり、若き日の菅野(現・札幌)が退場してフィールドの外国人選手だったかが急遽GKをしたり、相手の監督はリティだったり…。懐かしい。
それこそ、“ねえバーディア、覚えてる?あの9月の日の出来事”といった感じです。

相手を見て(動かして)プレーする

前半のところでもったいぶった2点目の形について、大変素晴らしい流れだったのでちょっと細かく見てみます。
まず作っていただいた図の1枚目。
まず左サイドのゴメスと善朗のパス交換によって鹿児島をボールサイドに寄せますー①

そして、レオへくさびを入れたことで鹿児島を今度はグッと中央へ密集させてから、落としたボールをサチローは右の史哉へ展開しましたー②
ここから2枚目。

鹿児島がボールサイドへスライドする中で史哉が少し中へ運んだことで鹿児島は全体的に中央にギュッとコンパクトになります。すると再びボールをもらったサチローは左へ展開します。鹿児島が中央へギュッと固まっていたので大外のゴメスは余裕を持ってボールを受けることができましたー③
ここからゴメスが縦に突破してクロスを上げ、新太が見事なコントロールからゴールを決めるという流れでした。

(新潟から見て)相手を左側へ寄せて

くさびを入れて中央へ集めてから右へ展開

相手のスライドを見ながら再び逆へ展開

という一連の崩し。

さらに2枚目の萱沼を引っ張ったシルビの動きや、ゴメスが仕掛ける際にレオがもらいに行って赤尾とニウドを釣りだした動きも含めて、相手を動かすアクションがいくつも連続して行われた結果として1つのゴールが生まれたのがほんとうに素晴らしかったです。

また、この得点シーン以外でも、例えば2点目を取った直後の21分40秒頃の史哉が一旦中央のサチローへ戻して攻撃をやり直したシーンでは、梅山さんも「(前に)スペースもあったし1人走っていたから出してもよかったけど、出したところでスピードが上がって失うリスクよりも、確実にマイボールの時間を作る」
「先まで考えている。ゲームメーカーが右SBにいるような感じ」と称賛されていて、さらに25分05秒頃のプレーでは、鹿児島がプレスを掛けてくる中で一旦大武は裏へボールを送ってラインを押し上げたことで、直後に善朗がプレスをかけてニウドからボールを奪い結果的にFKを得ていました。
舞行龍が「相手を見てプレーすることがうまくいった」とコメントしていましたが、それを感じることができる機会は確かに多く見受けられたように思います。

やっぱり大事な前の守備

前線からの守備、特にレオ、シルビの守備への意識は強く感じられたので、ここについても少し。
特に前からのプレスを起点に後ろも連動して取り切った37分50秒〜のシーンを図にしていただきました。

最初にニウドから上を通すパスが水本に入りましたが、そのボールの移動中にレオはスプリントをかけて、且つ赤尾へのコースを消しながらしっかりプレスに行っていました。水本との距離は以前までなら追っていてもあそこまでスプリントはかけていなかったような気がします。
そして、そのプレスに伴って新太は内側をケアしつつ史哉に出てこいと指示を出し、史哉が対応しにいったところは砂森にワンタッチでうまく逃げられますが、ポストに入った牛之濱にはしっかり舞行龍が付いていて、その舞行龍の空けたスペースもサチローがしっかりカバーしていました。

このシーンでは出てきていませんが、もちろんシルビもレオ同様プレスへ行ったり、プレスバックしたりしていました。
そしてこの前線2人の前から追ったり、後ろへ戻ったりという守備のアクションが増えたことで、中盤との距離がいたずらに離れ過ぎてしまう事がほとんどなくなっていたため、善朗やサチローが奪ったり(奪いに行けたり)ルーズボールを拾ったりというように、ボランチもいつも以上に効いているように感じることができました。

ちなみに梅山さんは、欲を言えば攻守両面においてレオとシルビの距離がもっと近いといいという注文もされていたので、そのあたりも残りの試合は注目して見たいと思います。

最後に

いつものように試合を見ながらメモを取る中で、史哉の縦パスが…とか、史哉のカバーが…などと意識せず書いていましたが、あとで見返した時に何だか改めて感慨深いというか嬉しくなりました。
もちろんこれまでもポジション争いはしていたわけですが、ここからはいよいよ完全に純粋な競争の一員と言っていいのでしょう。右SBで言えば新井は毎試合安定したプレーを見せていますし、サムエルサントスもケガから戻ってきています。
個人的にはボランチでのプレーが見てみたいなぁなんて勝手に思ったりもしていますが、とにかくこれからまた彼の賢いプレーを見られるのは楽しみでしかありません。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。