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オレラグ

おっと、ここで新潟がちょっと待ったコールだ【戦評】第31節 ヴァンフォーレ甲府戦

2021年9月27日

こんにちは。

新しい朝が来た、希望の朝だ、って感じです。
まあ窓の外はこれ以上ないというくらいどんよりとした曇天なんですけど、そういうことじゃございません。心模様は爽やかに晴れ渡っているということです。

あまりに大きい勝利。しかも勝ち方まで終了間際に決勝点という、勢いをつけるにはこれ以上ないような勝ち方。しかもそのロメロのシュートもネットを突き破ってしまうのではないかというくらい豪快で痛快なシュートで堅牢な扉をこじ開けました。痛快と言うことで言えば、甲府が大ベテランの山本を入れた後に打ち破ったというのもの痛快さを際立たせてくれます。

上位2チームに対してフィーリングカップル的な番組か、はたまた司法ドラマばりの『ちょっと待った!』という名乗りが聞こえてくるような我がクラブの堪らん勝利でした。

今回もいくつか思ったことを書きつつ勝利に浸ろうと思います。

スタメン

とりあえずスタメンですが、今節もまたちょいといじってきた我が指揮官でした。
まず奏哉と至恩が2試合ぶりのスタメン。さらに前節久々のゴールを奪った孝司が6試合ぶりにスタメン。

そして今節はやっぱり左SBです。
前節は奏哉が今季初めてベンチに回りましたが、今度は左のキャプテンゴメスが今季初めてベンチに回り、替わってリーグ戦は今季初スタメンとなる田上が抜擢されました。
ということで前節から4人の変更があったうちのスタメンです。

対する甲府ですが、こちらは3戦連続クリーンシートによる3連勝中ということで、その間スタメンも一切いじらず来ていたので今節もそうだろうと思っていたのですが、左CBに12試合ぶりスタメンの北谷が入っていました。
前回対戦で終了間際に同点弾を決めたメンデスはこの日はベンチにも入らず欠場ということで、理由はちょっと分かりませんが、結果的にこの部分もこの試合において小さくないポイントになったかと思います。

外から内

今回の試合で触れないわけにはいかないトピックとしては、何といっても左SBの田上でしょう。
試合前から田上のスタメンに対して攻め上がりに期待する声がSNSではたくさん飛び交っていたようですが、まさにその期待通りのプレーを表現してくれたように思います。

そんなわけでまずその点について、1つ目に拾ってみたのは前半14分のシーンです。

ビルドアップからの攻撃ですが、奏哉→千葉→舞行龍と最終ラインで繋いだところから左に開いた至恩へ展開されます。少しドリブルで運んだ至恩から内側の善朗へパスが入り、善朗はダイレクトで内側を抜けて行こうとした田上へ送りましたが残念ながら相手に引っかかってしまったという場面です。

アルベルさんも『中央のゾーンで攻撃参加すること』と田上の起用について仰っていましたが、その通りに後ろで組み立てる間にスルスルっと内側の高い位置へ出て行くシーンはこの日たくさん見られました。

そしてその効能の1つがこの14分のような形だったかと思います。
田上が内側を出て行くことで、相手の右WB(荒木)は元々のマークである至恩を見つつも、それよりもまず内側をやらせてはいけないということで田上を警戒せざるを得ない状況となります。それによって大外の至恩には時間とスペースが与えられました。

また、田上がこういった抜ける動きを見せることで相手のDFラインが高い位置を取りづらくさせる効果ももたらしていました。
もちろんこれは両SHの至恩と三戸ちゃんにも同じことが言え、敵将の伊藤さんが特に警戒するポイントとして挙げるほどのドリブラーである彼らが大外に張っている事で、WBは高い位置を取りづらくなるという効果を生み出していました。

外と見せかけて内

次にさっきのシーンと比較するような形でもう1つ、後半になって57分のシーン。

こちらはうちが押し込んで相手陣内で動かしていた局面ですが、やはりここでも田上が内側からスプリントを掛けてゴール前へ出て行きます。そして中央でボールを持っていた島田から鋭い楔のパスが田上へ入りかけましたが、惜しくも収まらなかったというシーンです。

このシーンでは、ボールホルダーの島田がトラップした後に少しだけ触ってわずかにボールを外側に置くことによって大外に張った至恩へ展開するように見せかけました。
このプレーによって至恩を見なければいけない右WB荒木は、映像では分かりづらいですが一瞬そちらを警戒するような形となり、その間隙を狙って楔のパスが刺しこまれました。

これら2つのシーンはどちらも下で繋いだパスですが、このような内外の使い分けを長短のパスも使い分けながらじっくりできていた印象がありました。
例えばこれが内側に誰かが抜け出したとしても、そこになかなか出せずに外側へ展開する形へ偏ってしまうと、ポゼッション率は高くてもいわゆる“持たされてる”感覚に陥っていたはずです。
ただ、いくつかそうやって内側に入れることで失ってカウンターというリスクに直面するケースもありましたが、それでもチャレンジしたり内側を狙えていたりしたことによって、5-4-1で構えて守られてもそれほど“持たされてる”感じはあまりしませんでした。

欲を言えばもう少し1つ目のシーンのような3人目の動きを使ったトライが見られればよかったなとは思いますが。

ボランチの背中

続いてはまたちょっと違う視点の話ですが、相手を見ながら攻略を狙うという点では共通する話だとも言えるかと思います。

拾ってみたのは64分の場面。

島田が少し下りつつ2CBと共にビルドアップするシーンで、舞行龍から千葉へ渡り、千葉は少し運んでから鋭い楔のパスを孝司に入れ、そこから左のゴメスへ展開し、縦で受けた至恩が仕掛けからクロスを入れ善朗がシュートというシーンです。

甲府のボランチである山田が、少し下りた島田に対してのぞきに行きつつ、その流れで舞行龍まで出てきました。
それに対してうちは素早く千葉へ渡し、千葉は少し運んでから前へ出て行った山田と残っていた野津田の間にできたギャップへ楔のパスをバシッと通しました。
ちなみに千葉が持ち出しの際、自分の正面から右を見つつ味方に対して『受けに来い』みたいなジェスチャーをしていましたが、そこから角度をつけたパスを入れたので、その出し所を探すジェスチャーすらもフェイントだったのかもしれないと感じました。さすがです、千葉メーターチャリン。

話を戻します。
前半からボランチ(特に山田)が前に出てプレッシャーをかけにくるシーンはありましたし、もしくはシャドーの宮崎がCBまで出て行き、それに伴い全体が連動して押し上げて高い位置で蓋をするという形は前半から後半の立ち上がりまではいくつか見られました。

しかし少しずつ最前線のリラも疲労から追えなくなる中で、チーム全体も高い位置からはなかなか嵌めに行けなくなり、それでも何とか高い位置から制限を掛けたいということで山田ががんばっていたのですが、結果的にこうしたギャップが生まれてそこをうちはしっかり突くことができていました。

そして最初に書いたメンデスの不在が小さくないポイントと感じたというのはここで何となく感じました。
というのは、甲府のこれまでの試合を見ると基本的に交代の5枠は前線3人とボランチ2人で使うことがほとんどでした。そうやって前の5人を次々にフレッシュな選手へ入れ替えることによって、ここ最近好調の要因にもなっていた高い位置からの制限を90分持続させていた面があったように思います。

ただこの日は63分でCBの一角、久々スタメンの北谷を替える采配がありました。久々の出場で疲労が出やすかったのもあるかもしれませんし、実際の意図は分かりませんが何かしら懸念があっての交代だったのかなと思います。
それで結果的に山田は前の5人の中で唯一フル出場となったわけですが、最終盤もこの64分同様に彼が前へ出て制限を掛けに行ったところで背中を使われて試合を決める一撃が生まれました。

背中を使われたからといって山田が責を負わされるのは酷なものでしょう。チームとして我慢し切れなかったという意味で甲府からすればただただ悲劇的な結末と言えるかと思います。
逆にそれはうちからすると、90分を通してジャブを打ち続けながら最後の最後に生まれた隙を見逃さなかったことで訪れた歓喜だったと言え替えられるような気がします。

最後に

甲府のビルドアップで新井が後ろに残るかアンカーへ出るかによってどう嵌めに行くかの部分で、うまくいったところといかなかったところとか、甲府が後半の頭からシャドーの左右を入れ替えたものの、前から奪いに行く役割は宮崎が担うままで実際いくつか危ないシーンを作られたとか、75分前後にちょっと前と後ろの距離が離れてしまった印象があったところの問題点とか、いつも以上に考えたくなる事柄の多い試合だった気がします。

とはいえ久々にシュートも10本打てず、なかなか煮え切らないいつもの甲府戦と言えばそれもまた確かな印象だったかなとも思います。
あとは単純に勝ったからいろいろ考えたくなっているだけなのかもしれません。

まあそんなことは別に何でもいいのです。
何より欲しかったものが手に入ったので大満足であります。
そして翌日にはレディースもWEリーグ初勝利ということで、これこそあるべき週末というものを過ごすことができました。

来週もそんな週末でありますように。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。