オレラグ
天高く白鳥”越ゆる”秋 第33節 レノファ山口FC戦
こんにちは。
晴れ渡る空、吹き抜ける風、ちょうどいい気温。
今日サッカーしないでいつサッカーするんだ、というくらいのサッカー日和。そんな好天の中で久々にお会いできた方とご挨拶したり、存じ上げてはいながら直接お話ししたことなかった方とようやく初めてご挨拶できたり、加えていつも帰路の途中までご一緒する方とこの日もやっぱりあーでもないこーでもないとお話できたり。
それだけでいい日だと思えるわけですからやっぱり人との触れ合いって大事ですね。仲良くしてくれる方々に感謝です。
そして何より我がアルビレックスが勝ち切ってくれました。
正直勝ち方に関しては手放しで喜ぶ気持ちにはなれないなぁというのが偽らざる気持ちではあったのですが、それでもアルビレックスの勝利が最も自分の心を満たしてくれるというのは間違いありません。
今週もありがとうございました。
スタメン
そんなわけで今節について今回もスタメンから振り返りましょう。
まずうちですが、前節から4人の変更がありました。
右SB奏哉、ボランチヤン、左SH至恩が2試合ぶりで、カイトは3試合ぶりにスタメンに名を連ねました。
アップで入ってきた時にNスタンドに掲げられたカイトへのメッセージは何だか堪らなかったですね。いや、カイトへのメッセージなのでそれを見て自分が堪らなくなるのはちょっと意味分からないですが、とにかくそれくらい素敵な物でした。たぶんみんなカイトへの熱い想いは同じだったでしょうし、それをああやって大きく表現してくれたことに作って出してくれた方ありがとうございますという感じです。
カイト、これからも頼むぜ。
対するレノファ。こちらは前節からの変更が3人でした。
CB眞鍋、シャドーの島屋がどちらも2試合ぶりというのに加え、GKの関が怪我から復帰して5試合ぶりのスタメンとなりました。
プレスで感じた後手
最初にも書いた通り手放しでは喜びづらい、大変難しいゲームとなりました。それは主に攻撃面で思うように繋げない、運べないという部分に起因するものだったと思いますが、そこではなくまず先に少しだけ守備の方で1つシーンを拾ってみました。
前半26分、相手のビルドアップからうまく運ばれたシーンです。
レノファはやはりビルドアップの際にボランチの佐藤が下りて楠本と眞鍋がSB的に開く(特に眞鍋は高い位置を取る)ことが多くありました。
それに対してうちは、このシーンでは至恩と善朗が入れ替わっていますが、基本的に4-4-2の陣形から前の2人がまず中盤でアンカー的に残るボランチの田中を消しつつ中央の佐藤と渡部へ出ていました。
しかしこのシーン、佐藤が持っている段階でシャドーの島屋と池上がうちのボランチの脇に立ち意識を引き付けています。そして佐藤から渡部に渡ったところでうちも少し取りに行ったわけですが、田中と池上もこのタイミングでピッチの中央から左の方に流れて島屋と近い関係を作り、縦パスを受けた田中から島屋、そして池上とうまくうちのボランチ2人対して3人の数的優位を作られてしまいました。
こういった守備で前へ出て行った時に嵌め切れずにかわされたり前を向かれたりする場面はいくつかありました。
そこから特に決定的なシーンを作られたわけではなかったですし、すぐにリカバーなり最後のところで我慢はできていたと思うのですが、もう少し取りに出る時の行き方、もしくは出ない判断が整理されているとよかったのかなとは感じました。
選択のバランス
守備の方で気になったことを先に少し書きましたが、より大きなピンチや決定機を作られた時の原因で言うとやっぱり自分達の繋ぎのミスであることが多くありました。ということで次に自分達のビルドアップ、攻撃面について。
拾ってみたのは前半18分です。
航斗のゴールキックから短く千葉に預けますが、すぐ島屋に寄せられて航斗へ戻します。すると最初はヤンに付いていた大槻が航斗まで出て来ます。この時点で大槻も左を切って出て行き、置いていったヤンも島屋がスライドし、さらに左に開いた舞行龍には池上が付いていました。
ここで航斗はヤンの脇に下りてきた孝司へ入れるのですが、ここにも田中が強く当たりに行けるくらい近距離まで詰めてきており、孝司も逃げるように外のゴメスへ預けましたが、ここもすぐ高木が出て来ており、下げざるを得なくなったボールは舞行龍が苦し紛れに縦に蹴るしかなく相手ボールとなりました。
前半は特にこういうシチュエーションが何度も見られました。
孝司からゴメスに渡るあたりの映像では、レノファの選手は逆サイドの桑原を含め7人が画面に入っていました。つまり後ろに残っているのは3CBだけです。
対するうちも、奏哉までプレスに出てから戻っている桑原より相手ゴール側に立てている善朗を含めれば、カイトと至恩を合わせて前に3人いますから、人数的には3vs3です。
レノファはこうして後ろが同数になるリスクを許容しながらも高い強度による速い寄せによって同数のところに持ち込ませない、もしくはこのシーンのように狙って回収というのがよくできていました。
試合後に孝司も『繋ぐことに固執し過ぎた』と話していましたが、これは試合中に梅山さんも『3バックの脇なり一旦裏返して逆にボールを持たせてプレッシャーを掛けるという状況があってもいいかなと思います』ということを仰っていました。
長いボールを全く使っていなかったわけではないですが、もう少し誰かにあてるというよりスペースへ送る形はあってよかったように思います。
もしくは寄せ切られて追い込まれる前に少ないタッチでボールを叩いてどうにか逆サイドまで展開して運び出すというくらいまでできるようになれれば理想だろうなとも思います。
見せた自力
そんな苦しんだ試合、特に前半だったわけですが、その前半の中で梅山さんが『ただ試合は90分あるということを忘れてはいけないと思いますね』とも仰っていました。
そういう視点で言うと、実際に時間が経つに連れてさすがに序盤ほどの圧力を掛けきれなくなったレノファに対して新潟はうまく剥がして運ぶシーンは増やせていましたから、粘り強く戦い、良くない雰囲気に引きずられ過ぎずにやれていたとも言えるかと思います。
3つ目の図は前半の44分。
左で動かしたところから航斗を経由して千葉に渡し、相手を広げたところで浮球のパスからWB裏に善朗が起点を作ったという形です。
本来はこういった相手を引き出し、また全体の選手の距離を広げておいてその間にボールを入れて運び出すということがやりたかったのだろうと思います。
また後半に入ると、得点の直前に2回ゴメスが裏に抜け出すシーンを作りました。
まず試合を通じてレノファは、左側はシンプルにWBがうちの幅を取る選手を見ていたのに対して、右は時折CBの眞鍋が前に出て幅を取る選手を捕まえ、WBの高木が中央の高い位置まで出てプレッシャーを掛ける形が見られました。
それをしっかり見越した上で、兄(善朗)が下りて弟(大輔)を引き付けることによってサイドにスペースを作り、右のシャドーである池上の後ろ髪を引っ張りつつ舞行龍が持ち出す時間と空間、さらにゴメスが抜け出す形を作るなんていうこともできるようになっていました。
そういった意味では前半の終わりから徐々にやりたいことができるようになって、自分達のペースになりつつある中でしっかり先制点を取れたというのは素晴らしいという一言に尽きるでしょう。
振り返りたいあのゴール
あのゴールシーンですが、孝司の体を張ってからのフィニッシュワークも三戸ちゃんの抜け出しからの落ち着きも大変見事でしたが、やっぱり善朗のあのパスに惹かれました。
三戸ちゃんが絶妙に抜け出せる場所へ落とす計算し尽くされたアウトサイドによるエンジェルパス。
そしてアウトサイドですからそれがベストだと思いますが、足を振り切らずに弾くように蹴ったシルキータッチ。
さらにその弾いた後の一瞬止まってからバックステップを踏んだそのシルエット。あれはきっとボールが前や外側に流れ過ぎないようにという意識というか気持ちの表れでしょう。
この足を振り切らないで出すパスとその後の余韻が大好物です。
基本的にパスを出したら走る、パスアンドゴーというのがサッカーの基礎中の基礎ではあるので、いつもこういうパスを出していてはいけないわけですが、だからこそ時折見られる必殺スルーパス的なこういう時を止める系のセクシーパスが大好きです。
いくつになっても男子は初恋の記憶とファンタジスタへの憧憬が忘れられないのです。
最後に
サンドウィッチマンのあのツッコミフレーズが聞こえてきそうなことを最後に書いてしまいましたが、まあとにかくいいものを見せてくれてありがとうございますということです。
決して大満足の試合内容ではなかったですし、例えばこれが今みたいにシーズンの佳境ではなかったら前節のような引かれた相手に敗れてしまったことよりもむしろこのチームのスタイル的には今回の方がフォーカスしなければいけないかなとも思う気がしました。
ただそこはアルベルさんも『勝ち点だけに満足せずいいプレーを求めていきたい』と仰っていたのでまあ十分意識してやってくれるのかなとは思います。
何のためのいい内容かと考えれば、魅力的なプレーを提供するというのもそうですが、より勝利の確率を上げるためにいい内容も求められているとは思うので、残りも1つ1つ変わらず続けつつ勝利を目指してほしいなと思いますし、それを自分も応援したいなと思います。