オレラグ
訪れた別れの報せ【戦評】第40節 ザスパクサツ群馬戦
こんにちは。
試合前夜に出た報道が明けた朝には各紙へと広がりました。
そんな中で戦う事となった群馬戦はスコアレスドロー。
そして、試合後の会見でアルベルさん自ら今季限りでチームを去るということを仰り、翌日の昼にはクラブから本人の長いコメントと共に公式の退任リリースがありました。
この2,3日の出来事をおさらいするとこんな感じでした。
そしてこの一連だけがそこにあるただ1つの事実でもあります。
大変寂しいです。
もちろん分かってました。
その日が遅かれ早かれ滝沢カレンなのは分かってました。
こんなしょうもないダジャレでも散りばめておかないとどうにも辛くて塞ぎこんでしまうのです。
まあだからと言って何かをしたり逆にしなかったりすることもなくて、どうにか受け入れるしかありませんから、とりあえずいつも通り試合の事を振り返ります。
スタメン
うちは前節から4名の変更ということで、両SBが3試合ぶりの田上と2試合ぶりの巧。そしてボランチには福田が2試合ぶりで最前線には孝司が3試合ぶりということになりました。
対する群馬は前節からの変更が2名。
CBの畑尾が体調不良だったそうで3試合ぶりに内田がスタメン。ちなみにここ最近はボランチでの出場が多かったのでスタートからCBというのは恐らく7月以来くらいだったかと思います。
そしてもう1人、ボランチのポジションには9月に加入してから途中出場が続いていた細貝が今季初めてスタメンに名を連ねました。
7割持っても勝てない
まあMVPを挙げるなら清水でしょう。
たぶんほとんどの人が賛同してくれると思うのですが、それくらい数々のファインセーブによって残留争いの渦中にある群馬に貴重すぎる勝ち点1をもたらしました。
そしてそれはつまり、逆の立場である我々からするといくつかの決定的なチャンスは彼の活躍によって阻まれたと言えます。
この日もそれはそれはボールを持って主導権を握りました。
支配率は27vs73。シュートも10本前後打つ中でアルベルさんが『10個を越えるくらいの決定的なチャンス』と仰っていたのはまあちょっと盛っているかと思いますが、それでも4つ5つは決定機と言えるシーンはあったかと思います。
とはいえ、何度目の決定力不足か、という結果となりました。
松本戦の時に“今季支配率65%を越えた試合は3勝しかしていない”ということを書いて、その3勝の内で最も直近の試合はアウェー大宮と書いたのは秋田の間違いだった事に気付いたのでここで訂正しておきますが、いずれにしても5月とか6月まで遡らなければならず、そして今節もまた勝利することはできなかったというわけです。
70%越えの試合で言ってもこれが今季6試合目だったわけですが、これもやはりわずか1勝しかできていません。
『7割のポゼッションができれば8割の試合に勝てる』という考え方を説いたあのヨハン・クライフもびっくりでしょう。
ドントハフトゥーネガティブ
持っても勝てないということを書き出したことで悲観的にもなりやすいのですが、反省はしてもやっぱりネガティブにはならなくていいとも思うわけです。
相手の2トップに対してボランチが下りて数的優位を作ったところから、その2トップ脇から相手のSHとボランチの間へ楔のパスを入れたり、時には自ら持ち出してみたり。
またDAZN解説の清水さんも仰っていましたが、ボランチが下がらずとも相手2トップの間というか背中に立つことで前へ出て行きづらくし、その脇にもう1人のボランチやSHなんかが下りて相手のSHを引き出しておいて空いた外のSBを起点にしたり。
さらにそこから斜めの楔で孝司のポストからの連携や、起点となったSBに対して相手のSBががんばって出て来たらその空いた裏のスペースに善朗なんかが流れて受けて、引っ張り出されたCBの背中にさっき下りたうちのボランチかSHが抜ける動きを見せたりなんていうシーンも随所に見られました。
他にもCBの対角のフィードから開いて待っていた三戸がワンタッチで落として内側を田上が抜ける形も1回ありましたし、サイドで細かく動かす中でダイレクトのパスをスイッチにスピードを上げるような、細かい局面においてもリズムの変化をしっかり見せつつ崩しにかかるシーンは多々ありました。
ただちょっとイマイチだった部分を強いて挙げておくとすれば、後半になって時間が経つに連れ相手も疲労が溜まり全体的に下がってくる中で、うちの攻撃もトーンダウンした印象があったのはう~ん…と感じてしまいました。
SBが一旦低い位置で受けたり、ボランチが後ろで受けたりというのは、下がってしまった相手を引き出したい意図と考えれば悪くないのかなという感じで見ていましたが、結果的に清水さんも途中仰っていたように『群馬もまだ4-4のブロックを完全に崩された場面はないので……』というようにうまく丸めこまれた印象は否めませんでした。
また『後半に入ってロメロが裏に抜ける動きを狙っているからそこを使ってもいい』と清水さんが仰っていましたが、映像ではそこまでは映っていませんでした。
だからこれに関しては、そこを使う選択がなかなか持てなかったという意味での出し手側と、動き方があんまりよくなくて出せなかったという意味での受け手側のどちらにより問題があったのかは何とも分かりませんが、どちらにせよここも1つ後半の反省点だったのかなと思います。
評価はグラデーション
それにしてもほんとにラストサード、もっと言えばペナの16mはどうすればいいのか。いや、どうするも何も1点もののシーンはいくつかあったのでシンプルに決めてくださいよっていうことではあるのですが。
これに関して特効薬的なものはないのでしょう。たぶん。きっと。恐らく。
だからこそではないのかもしれませんが、そこに至るまでの組み立てでありチャンスクリエイトといったロジカルにできている部分に関しては大事にし続けてほしいなと願うばかりです。
来季の指揮官が替わることが決まった今。
もちろん監督が替わればその人の色もありますからいいことも悪いことも含めて多少変化はあるでしょう。そして何より選手だって入れ替わるでしょうからもしかすると今季の水準を一時的にでも保てないことだってあるかもしれません。
ただ、監督によってあまりに替わってしまって結局結果だけの評価で右往左往したり、その時にいる選手たちだから成り立つくらいの柔なスタイルのまま中途半端になったりするのは勘弁願いたいのです。
そりゃ継続したからって結果が出る保証はありません。
それでも、こういうことに取り組んだけどうまくいかなかったので監督を替え、それでも苦しくなってまた替え、結局待っていたのはバッドエンドなんていうのはもうしんどいのです。
だからせっかく培ってきたこの2年をちゃんとこれからも繋げてほしいと思います。そういった意味で次の監督選びは大変重要になるわけです。
最後に
最後は試合のことというより結局監督交代を受けての話になってしまいました。
そんな風にいろいろ考えるとまあどうしても不安は尽きないわけですが、とはいえ今季も残り2試合ありますから、まずはそこをしっかりやり切ってほしいなとも思います。
あとは昇格もなくなり監督も替わるとなった中で、試合についてあーだこーだ書いたところで……と思う節もなきにしもあらずですが、クラブが今取り組んでいる事を継続してくれると信じた上で、じゃあどんなプレーがよくてどんなプレーがそうでないかを自分の中で整理するという意味がやり切る意義にも思えたので、残り2試合もいつも通り書き切ろうと思いました、っていう勝手な意気込みで今回は締めたいと思います。