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オレラグ

満開を目指して【戦評】第6節 相模原FC戦

2021年4月6日

こんにちは。

いよいよ止まりましたね。
カープ・菊池の連続無失策記録。
記録569、実に1年半ぶりのエラーということで、1つのエラーがニュースになるってすごいですね。しかも日曜朝の老舗番組で張本さんも上原さんもちょっと気の毒な判定と話していたくらいの微妙な物でした。改めて彼のプレーは諸々あっぱれです。

すみません、違いますね。
いや、別に菊池の話しも違くはないんですけど、シンプルに開幕からの連勝が止まりましたねって入るのもつまらないなと思ったのでちょっと捻ってみたという話です。

いろんな方が仰っていましたがアウェーで逆転されながら追いついて1ポイントを取り切ったのは紛れもなくポジティブでしょう。
しかも繋ぎでうまくいかなくてもむしろ相手の強みの1つであるセットプレーから逆にゴールが奪えてしまうのですから、まさにパンがなければケーキを食べればいいじゃないといった感じです。
ちょっと最後わざわざ分かりづらく例えた感じになりましたけど気にしないで大丈夫です。
とにかく、穏やかではないですけど沈むほどでもないというそんな感じで今回も思ったことを書いていきます。

スタメン

前日から報道が出ていましたが、疲労の蓄積があるということで舞行龍がこの日は欠場となり、替わって史哉が開幕戦以来のスタメン出場となりました。
またそれに伴いベンチには今季桐蔭横浜大から加入した遠藤が初のメンバー入りを果たしました。1つステップをクリアしたということでおめでとうございます。今度は出場を目指してがんばれ。

対する相模原ですが、こちらは前節から3人の変更がありました。
まず前節ケガのため途中交代となったCB鎌田がやはり今節は欠場ということで、3バックの中央には今季初出場となる白井を起用。また左CBを務めていた梅井も理由は定かではないですが欠場ということで、前節右だった夛田が左に回り、右のCBには川崎が2試合ぶりにスタメンとなりました。
さらに前線では今季ここまで全試合スタメンだったホムロをベンチからのスタートとし、最近は中盤に入っていた平松を前線で起用。そして替わって中盤には和田が開幕戦以来のスタメンとなりました。

試合後に敵将の三浦さんが話していましたが、間延びしてくる後半に技術のあるホムロを使いたいということと、前線からパワーを持って新潟のCBに圧力を掛けてほしいということでの変更だったようです。結果的に平松は点も取りましたし、新潟もこれまでのようにリズムよくボールは動かせませんでしたから策が奏功したと言えるのでしょう。

ちなみに完全な余談ですが、今季初出場の白井は97年生まれの市船出身ということで、ヤンの1つ先輩、矢村の同級生という選手です。

いくつかのハードル

まず試合の大雑把な概要をおさらいしておくと、強い風が90分右から左へと吹いていたことで前半は風下、後半は風上という状況の下で進みました。
また試合後アルベルさんもヤンも話していましたが、ピッチには水が撒かれていなかったということでボールの走らない展開を強いられました。これも平松の起用に加えてホームの利を活かした相模原の狙いがある程度効果を発揮したと言える部分だったと言えるでしょう。
そしてスタッツからも読み取れるように、新潟がボールを持ち相模原がブロックを作って対峙するという、戦前から予想された構図が実際に見て取れました。

そんな中で、新潟の攻撃における問題点として1つ挙げられることは、試合中解説の佐藤勇人さんも仰っていたように、右サイドから攻める形があまりうまくできていなかったということでした。

少しでもお得に

佐藤勇人さんは、舞行龍の場合だともう少し開いて受けたところからロメロに縦パスを供給し、奏哉がインナーラップで出ていくというのが脅威だけど今日はそれが見られない、というような話をされていました。
確かにそうだなぁなんて思いつつ、それに付け足してというかそれも含めてなのですが、史哉自らが運び出すプレーというのがもっと欲しかったなというのはあったかと思います。

1つ例として40分のシーンを拾ってみました。
左から右へと後ろで動かしたところで史哉がボールホルダーとなったのですが、ここで史哉は割と素早く外側の奏哉へ渡します。ボールをもらった奏哉は内側の至恩へパスを出しますが舩木に寄せられて結局相手ボールとなってしまいました。

ここで史哉がもう少し自ら持ち出す選択ができたとしたら、相模原の中盤3センターの左である星は多少史哉へ牽制しに行く必要が生じます。もちろんその場合内側にいる至恩のコースを消しながら、ということになるでしょうから奏哉はよりフリーの状態で受けられるでしょう(仮に早い段階で奏哉へのパスを消しに来たら内側へ入れる展開もあるでしょう)。

そして奏哉に渡った時には史哉に星が牽制している分、実際に起きたプレーよりも奏哉が前に持ち出す余裕があるはずです。
そうなると奏哉と内側にいる至恩、そして内側から外に流れていたロメロで、例えば流れたロメロに入れてから内側を至恩が抜け出すといった3人目の動きで崩すような形は作りやすくなっていたかなというのは想像できます。
あくまでも崩しの局面は想像でしかないので何とも言えませんが、少なくともCBが持ち出すことで相手の中盤を1人引き出してから動かすことができれば、実際よりも深くまで行ける可能性は広がったかなと感じました。

逆転ゴールの発端は千葉が持ち出して入れた縦パスをカットされてから引っくり返されたものでしたから、持ち出すことがダイレクトにリスクとして跳ね返ってくる難しさは当然あります。
それでも千葉の持ち出すプレー自体は簡単に相手2トップのラインを越えて起点になれたという攻撃面においてはとてもよかったですし、これまでの5試合と変わらず効果的なものでした。このシーンでは受け手やその周辺の味方の準備であり連携が整っていなかったという方が大きかったと思いますから、チーム全体でさらにそのあたりを擦り合わせつつ、史哉に関してはより積極的に持ち出すチャレンジをしてほしいなと感じました。

その場は10%、持ち出せば8%、軽減税率みたいな話ですね(たぶん違う、いや絶対違う)。

今季初の形に対する1つの解

右サイドの停滞からCBの運び出しという課題について書きましたが、ボールは保持しつつもなかなか今までのようにテンポが出せずに苦労したゲームだった中で、それでもよかったシーンはもちろんありましたらそちらも少し取り上げておきます。

54分、左の至恩からパスを受けた奏哉がダイレクトでシュートを放ったシーンに至る運びです。
このシーンの起点はゴールキックからのビルドアップでしたが、まずはよく見られるパターンとして島田が左に下りて後ろを3人にします。
そして左で幅を取っていた至恩にボールが渡ったところでゴメスがボランチの方へとポジションを移していました。至恩が内側を向いて下りてきた孝司へ入れると、孝司は間から抜け出すゴメスにワンタッチでボールを送るという一連の流れが見られました。

いわゆる3人目の動きによる崩しだったわけですが、やっぱり肝はゴメスが内側にポジションを取ったことでしょう。
この試合に限りませんが、新潟のビルドアップは4-4-2(4-2-3-1)という守備のベースからボランチの1人が下りて後ろを3人にし、残ったボランチがアンカー的になって、2列目の3人が相手のライン間に入り、SBが高い位置に出て幅を取る形というのが主な変化の流れです。
ただこの日は5-3-2で守る相模原だったということで、これまで対戦したチームに比べてギャップは作りづらくなっていた印象があり、それがなかなか攻撃にテンポが出ない1つの要因となっていたようにも感じました。

5-3-2という形に対して4バックのチームが最も優位性を作りやすい(=プレスが掛けられづらい)ポイントはSBのポジションです。
しかしボランチが下りて後ろを3人にすることで相手の2トップに対しては数的優位が作れたとしても、高い位置に出て幅を取るSBは相手のWBとしては捕まえやすい格好となります。そして前述のように後ろで数的優位を作ったとしてもCBの持ち出しが十分でないと優位を活かしているとは言えません。

そして至恩や善朗あたりが相手のDFとMFのライン間に立ってボールを受けようとしても、相手の3センターはボールの位置に応じて横にスライドしながら上手にパスコースを消していましたし、それに屈せずこちらも縦パスを入れたとしても今度は3CBが前に出て潰すことで起点を作らせてもらえませんでした。

それでもこの取り上げた54分のシーンでは、至恩が幅を取る役割を担う中で、ゴメスがボランチの位置へ入りました。
例えばこの時、ゴメスもより高い位置で受けようとして相手のライン間に立っていたとしたら状況は変わらなかったと思います。しかし少し低めのヤンと同じ高さに立つことで、相手の3センターとしては前を向いた状態で監視できているため、前へ取りに行ける感覚も生まれ、3センターの右に位置する和田が後ろに下がった島田まで出たのを先頭に全体が出てくる状況を新潟としては作り出せたのかなと感じました。

こう説明しておいて何ですが、正直ほんとにそういうことか?とまだしっかり咀嚼して飲み込んで消化したとは言い切れない自分もいますが、ただこうしてビルドアップにおいて柔軟に応用しながらプレーできるかはこれからさらに問われてくる大事な部分になってくるということはそれほど的外れではないかと思います。

この54分以外でも、8分にゴールキックを始点に外側のゴメスがワンタッチを使ってライン間の善朗に入れたり、18分には相手のセットプレーの流れから右にいたゴメスが少し低い位置で受けて、相手が出てきたところでボランチの島田に入れてワンタッチで縦パスを入れたりするシーンなど、いくつかいい運びがありました。
今回の相模原のようにまず新潟のストロングポイントを消すことを優先してプランを立ててくるチームとの対戦は今後増えてくるでしょうから、そういう相手に対してどれだけ相手を引っ張り出す術を準備してそれを表現できるかという部分を、この試合を経たチームにはより一層期待したいなと思います。

胸熱な対峙

DAZNのサムネにも素敵な2ショットが使われていたように星兄弟の直接対決というのが1つ見所としてありましたが、それと同じかそれ以上に新潟サポ的には史哉vs平松のマッチアップというのも非常に心躍るポイントだったかと思います。

どちらもうちのアカデミー出身で、92年組の平松と早生まれですが93年組の史哉。94年組の自分からすると昔から今もそうですが憧れでしかないという存在です。
プロになってからこうして直接対決というのは初めてだったわけですが、実は大学時代に3回直接対決があり、その内の1試合を見に行っていたこともあって今回のマッチアップは個人的にも特に思い入れがありました。

その大学時代に見に行った試合については現在このオレラグでもアーカイブとして再掲載しているモアブログでも書いた記憶があります。平松が国士舘の4年で史哉が筑波の3年時の対戦で、史哉のゴールもあって筑波が勝利しました(ちなみに筑波には1年生のサチローもいました)。

あれから実に6年半が経ってのマッチアップ。
今回は結局平松がゴールを決めましたから史哉としては悔しいところもあるでしょう。ただ史哉だって平松に起点を作らせない守備というのは幾度も見せていましたし、やらせるところはやらせつつ機を見て取り切るクレバーなプレーはこの日も健在でした。
ただプレー内容云々よりも、とにかくこうして2人の直接対決がプロの舞台でまた見られたということがただただ感慨深く嬉しい限りでした。

次回ビッグスワンでの対戦は8月22日ということで、一応今季我々は昇格する予定なのでこの日を最後にしばらくこの直接対決はお預けになるかとは思いますが(こういうこと言わない方がいい)、今度は2人の地元でこのマッチアップを生で見られることを楽しみにしたいなと思います。

最後に

いや~止まりました、連勝。
まあとはいえだから何ですかって話です。

左サイドを相模原に限らず狙ってきていますが、そこは多少の修正、微調整で修復可能だと思っています。よりフォーカスすべきはいかにボールを素早く奪えるかであり、先にも書いたようにいかにボールを運ぶ術を多く準備して表現できるようにするか。その強度や質を上げることだと思っています。

満開は綺麗なものですが実際にはならない方がいいでしょう。満開になったらあとは散るだけですから。もう少し丁寧に言えば、満開は目指すべきものではありますが、なったと思ってもまたいろんな相手と戦う中で実はまだだったと気付く繰り返しによってより強くなっていけるはずです。前節の試合後にアルベルさんも「まだ我々はなにも成し遂げていない」と仰っていましたがまさにその通りだなという感じです。

一喜一憂し過ぎず、1戦1戦日々成長あるのみです。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。